FXニュース:米消費者物価指数下振れ

2024年7月12日
FXニュース:米消費者物価指数下振れ

 

東西FXニュース – 2024年7月12日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米9月利下げ予想高まる
  • 為替介入観測円相場急伸
  • 日財務省はノーコメント
  • 4円高で日米株価大反落
  • 日経平均株価は千円超安
  • 日銀欧ユーロ円価格確認
  • 今夜米卸売物価指数控え

今日2024年7月12日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円97銭付近から、円の安値でドルの高値の159円39銭付近の値幅約1円42銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は159円23〜25銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円62〜63銭付近の前東京終値比では約2円39銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時161円54銭付近の始値で、昨夜21時21〜25分頃の5分間には一時161円62銭付近で高止まりし、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、昨夜21時30分に発表された最新米国重要経済指標の6月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の前月比が前回の0.0%と市場予想の0.1%を下回る2020年5月以来のマイナス圏の-0.1%に下振れし、前年同月比も前回の3.3%と市場予想の3.1%に対し3.0%に鈍化し、気候条件などで価格変動が激しい食品などを除いて物価基調を見る米国CPIコア指数の前月比も前回と市場予想の0.2%を下回る0.1%に低下し、前年同月比も前回と市場予想の3.4%を下振れする3.3%と米国インフレの鈍化が続いたことを受けては、今年9月の米国利下げ予想が高まり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が大幅な急落を始めたため、ドルが円や主要通貨に対して売られて下落し、発表時の昨夜21時30分にドルは円相場で一時160円84銭付近に瞬時に売られたほか、数分後の昨夜21時32〜33分頃には一時160円66銭付近と、わずか数分間の間に約1円近い大幅な急落を見せた。

だだし、同時発表された米国雇用関連の最新経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の23.8万件と前回修正の23.9万件と市場予想の23.6万件に対し22.2万件に改善されており強く、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の185.8万人と前回修正の185.6万人と市場予想の186.0万人よりも堅調な185.2万人と強かったことでは、ややドルの買い戻しも入り、昨夜21時36分頃にはドルは円相場で一時161円3銭付近に反発し、昨夜21時40分頃にも一時161円0銭付近と161円台をタッチした。

しかし、昨夜21時42分頃からは、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の円買いドル売り為替介入観測の一部報道が浮上した大規模な円買いドル売りが起き始め、昨夜22時8分頃にはドルは円相場で一時157円41銭付近の米国市場の円の高値でドルの高値を記録し、ドルは円相場で昨夜の米国市場の高値圏から4円以上の大幅な急落を見せたため、以前の円買いドル売りの為替介入の時にも起きた様な大幅な円相場の急伸の影響が、最も影響を受けたドルだけでなく、欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対するクロス円にも波及し、一時円相場が主要通貨に対して大幅な円高に傾き、海外市場では混乱が起きていた。

また、急激な円高の影響を受けて、昨日までは円安を追い風に海外投資マネーの流入などが続き、史上最高値を3連日で続伸していた日経平均株価の先物や市場予想が大幅な反落を始めた影響があり、日本と同様にハイテクやAI半導体関連株などがこれまで好調で前日までは史上最高値を続伸していた世界的なハイテク株比率の高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も大幅に反落し、一部の株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも世界的な安全資産の米国債が買われたため、米国ニューヨーク債券市場では昨夜21時頃には一時4.298%付近だった米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は急落を続け、深夜24時40分頃には一時4.173%付近にまで低下したことでも、債券利回りを受けた日米金利差縮小時もあり低リスク通貨の円が買われる一因となった。

一方、昨夜23時台には、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言が報道され、6月の米国消費者物価指数 (CPI) については、「米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) は、声明で目標の2%への軌道にあるとの確信を強めるまでは米国利下げは想定していないと明確にしているが、私の見解ではこれこそ2%への軌道ではないかと思わせる素晴らしいニュースだ」と、米国のインフレ鈍化のデータを歓迎したが、次回のFOMC投票権を持たないこともあり、具体的な米国利下げ時期などに関する発言は避けていた。

米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 金利先物価格データを基に市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、今回の米国消費者物価指数 (CPI) の下振れを受けて、今年9月の米国利下げの市場予想値が確定値と考えられている70%を超え、現時点でも86.4%付近で推移しているが、今年年内に1回もしくはもしも1回以上の米国利下げが起きたとしても、今月7月30〜31日に開催が予定されている日銀金融政策決定会合では、日本国債購入額の縮小と同時に日銀は追加利上げは発表しにくいのではないかとの観測報道が昨夕に出た影響などもあり、米国市場では今年の秋の米国総選挙でドナルド・トランプが再選した場合には、米国インフレ再燃懸念を高める外国輸入関税の高額増税や米国景気刺激策を打ち出す可能性を否定できない背景などもあり、日米の政策金利差は当面の間は拡大した状態が続く可能性からは、追加の為替介入への警戒感は続いていたものの、ドルの買い戻しも入り始めていた。

また、午前3時に発表された最新米国経済指標の6月の月次米国財政収支は、前回の-3471億ドルと市場予想の-830億ドルに対し-660億ドルと、前回と市場予想よりも赤字額を縮小しており、一時は157円台まで下落したドルは円相場で158円台に反発していた。

米国ニューヨーク株式市場では、前日までは史上最高値を続伸していた米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が大幅な反落を見せたまま終値を迎えたほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も反落したが、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) は前日比で小幅高の終値を迎えていた。

米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りは一時4.212%付近と前日比-0.073であったが、一時の大幅な下げ幅を縮小したことも、ドルの買い戻しにつながったものの、為替介入警戒感や市場混乱の影響で、安全資産の需要増加は観測されていた。

なお、日本政府の神田眞人財務官は、「為替介入の有無について、コメントする立場ではない」とした上で、一部のメディアが日本政府関係者の話として「日本政府と日銀 (BoJ) が為替介入を実施した」と為替介入観測を報道したことに対しては、「仮にあったとしても、政府関係者なるものがそういったコメントをしたことは考えられない。インサイダー取引を絶対に起こしてはならないという観点からも、極めて関係する人々の数は絞られていて、(知り得るのは)もう数人と言ってもいいかもしれない」と否定的であったが、市場からの為替介入観測については、「ファンダメンタルズに沿った合理的な動きとは言えない」との見解は示しており、特に否定はしない「ノーコメント」の立場を取っており、追加の為替介入への警戒感が続いていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の161円62銭付近から、円の高値でドルの安値の157円41銭付近の値幅約4円21銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は158円84銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の161円60銭付近と比べて約2円76銭の大幅な円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、今朝8時15〜17分頃には一時159円45銭付近まで円相場で買い戻されたドルが、今朝8時29分頃には一時157円74銭付近に再び急落を見せるなど、海外市場を狙った為替介入への警戒感が続いていたため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時158円29銭付近の始値で、今朝9時3分頃にもドルは円相場で一時157円97銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

今朝9時過ぎ頃には、前日までに史上最高値を続伸していた欧州ユーロに対して、日銀 (BoJ) が、円買い為替介入への準備のためのレートチェックを実施したことが関係者筋の話として伝えられたことなども警戒されていた。

ただし、日本市場の参入後の日本企業の営業時間内には、日本政府と日銀の為替介入警戒感が一時緩和されることもあり、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い重要があり、割安感から来る円売りドル買いや、今日の日本市場の時間外の米国債券取引で米国長期金利が一時4.233%付近に反発上昇時の債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いなども入っていたことでは、今朝11時54分頃にはドルは円相場で一時159円39銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今日の東京株式市場では、円高を受けた海外投資家達の大規模な売りの影響もあり、先物から下落していた今日の日経平均株価が大幅に反落し、前日比で千円以上も暴落する今年最大の下げ幅を記録したことでは、株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われた影響では、円相場は下げ渋って反発した。

今日の午後15時頃には、日経平均株価は大幅に反落し、4万1190円68銭の終値と、前日比1033円34銭安の超大幅安で大引けした。

また、林芳正官房長官は今日の記者会見で、日本政府の為替介入実施の有無については、具体的な発言を「差し控える」と発言していたほか、鈴木俊一財務相も、「コメントは控える」とノーコメントであったことから、市場では推定3〜4兆円規模の円買いドル売りの為替介入観測などが浮上する中で、今後のステルス介入への警戒感が燻り続けていた。

今夜この後には、最新米国経済指標の6月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) 発表予定のイベントも控えていることもあり、午後からの欧州市場の参入を受けて、世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響もあり、米国長期金利が再び4.210%付近にまで低下した影響もあり、その後の英国ロンドン外国為替市場の参入後には米国長期金利は反発上昇に転じたものの、為替介入警戒感があり小幅な値動きになった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は159円23〜25銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円62〜63銭付近の前東京終値比では約2円39銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国インフレ指標の6月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) と米国PPIコア指数の発表予定があり、今夜23時に7月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値などが発表される予定である。

また、今夜は米国主要企業の決算報告予定もあり、今夜20時台頃に米国金融大手のJPモルガン・チェースの決算報告や、今夜23時頃に同じく米国金融大手のシティグループの決算報告予定などがあり、時期的に決算報告シーズンがあることにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は173円19〜20銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の175円20〜25銭付近と比較すると約2円1銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述の通り、昨日までは1999年のユーロ導入以来の史上最大の円安ユーロ高の記録を続伸していた欧州ユーロも、ドルストレートの円相場の為替介入観測の大幅急伸の影響がクロス円の円相場にも波及したことから、大幅な円高に転じていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0874〜1.0876ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0838〜1.0840ドル付近と比べると約0.36セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、昨夜の米国消費者物価指数 (CPI) 下振れを受けた米国利下げ予想の高まりにより米国長期金利が低下したほか、ドルが主要通貨に対して売られた影響に便乗した様な為替介入観測で、ドルが円相場で大幅に急落した影響が他の主要通貨にも波及し、欧州ユーロに対してもドル安になっていた。

また、今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの6月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比が前回と市場予想の2.1%を上回る2.2%に上方修正されていた。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は205円80〜86銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の207円95銭〜208円1銭付近と比べて約2円15銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、為替介入観測の主要通貨に対する円相場急伸の影響が波及したほか、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円買いに対して、欧州ユーロや英国ポンドはリスク市場では売られやすい性質があったことも影響を及ぼした。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月12日の日本時間(JST)20時4分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時4分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 20:04の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 159.10 〜 159.12 −2.52 (円高)
ユーロ/円 173.27 〜 173.29 −1.93 (円高)
ユーロ/ドル 1.0889 〜 1.0891 +0.0051 (ドル安)
英ポンド/円 206.21 〜 206.27 −1.74 (円高)
スイスフラン/円 177.59 〜 177.65 −2.21 (円高)
豪ドル/円 107.78 〜 107.82 −1.42 (円高)


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