FXニュース:日銀利上げ圧と日本株安

2024年7月17日
FXニュース:日銀利上げ圧と日本株安

 

東西FXニュース – 2024年7月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小売売上高想定上振れ
  • 米9月利下げ予想は優勢
  • 連日為替介入6兆円規模
  • 米国債買いで利回り低下
  • 米ダウ工業株終値最高値
  • 日銀に追加利上げ圧報道
  • 日経平均株価再び大幅安

今日2024年7月17日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の158円62銭付近から、円の高値でドルの安値の157円1銭付近の値幅約1円61銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円4〜6銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円49〜50銭付近の前東京終値比では約1円45銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感が海外市場で続く中で、世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響で債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜20時45分頃には一時4.179%付近に低下し、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時158円34銭付近の始値で、米国ニューヨーク債券市場でもトレンドを受け継いで昨夜21時20分頃には米国長期金利が一時4.175%付近に低下したため、昨夜21時29分頃にドルは円相場で一時158円25銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、昨夜21時30分には米国景気関連の最新重要経済指標の6月の米国小売売上高の発表があり、前月比は前回の0.1%が前回0.3%に上方修正された上で、市場予想の-0.3%を上回る0.0%と堅調で、自動車を除くコアも前回の-0.1%が前回0.1%に上方修正され、市場予想の0.0%を上振れする0.4%に上昇と強く、米国景気要因のインフレ圧が意識されたことでは、ドルは円相場で瞬時に158円63銭付近に反発した。

同時発表だった6月の米国輸入物価指数の前月比も、前回の-0.4%が前回-0.2%に修正された上で、市場予想の-0.1を上回る0.0%で、米国大統領選に向けてドナルド・トランプが米国への輸入関税引き上げ案を提唱していることに加えての輸入物価のインフレ圧も再び意識された。

米国長期金利は、米国のインフレ圧を意識させる経済指標の発表を受けて、昨夜21時35分頃には一時4.214%付近に反発上昇したため、債券利回りを受けた日米金利差拡大の円売りドル買いや、欧州ユーロなどの主要通貨に対するドルの買い戻しが入ったことでは、昨夜21時54分頃にドルは円相場で一時158円85銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、米国景気要因のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待は高まった一方で、金利先物価格データを基にして米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、今月下旬の7月30〜31日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が金利据え置きをする市場予想値は確定値と考えられている70%超えの93.3%付近に上昇して推移する一方で、今年9月の0.25%の米国利下げ予想値も同じく確定値の70%を超えた93.3%付近で推移を続けており、市場の一部で出ていた9月の大幅利下げ予想は6.7%付近に後退したものの、9月の米国金利据え置き予想値も後退したことでは、米国利下げ予想により米国長期金利が再び低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードでは、再び円買いドル売りが起き始めた。

また、同じく昨夜21時30分に発表されていた米国の隣国である北米カナダの6月の加消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) も、前月比と前年同月比ともに前回と市場予想よりも鈍化していたことなども、北米周辺のインフレ鈍化トレンドを意識させていた。

昨夜23時には7月の米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数が発表され、前回と市場予想の43を下回る42であったことも、米国で根強いと考えられていた住宅インフレの沈静化を示唆した。

また、昨夜には次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官のアドリアナ・クーグラー理事が、全米企業エコノミスト協会 (NABE / National Association for Business Economics) 主催のイベントに向けた原稿で、「過去3カ月の米国インフレ指標が示した様に、ディスインフレ (Disinflation) がより進展し、s過去数回の米国雇用統計に見られた様に、米国雇用市場は軟化しつつも底堅さを維持し、米国の経済状況がこの様な好ましい形で展開を続けるのならば、今年年内の米国利下げ開始が適切になると予想している」とハト派寄りの発言をしたニュースも話題になった。

米国利下げ予想を受けて米国長期金利は低下を続け、米国市場終盤にも一時4.161%付近と数ヶ月ぶりの低水準に向けていたことでも、米国長期金利低下時のドル売りが円相場などで起き、ドルは米国小売売上高の上振れによる上昇幅を縮め始めた。

一方、米国主要企業の決算報告期の米国ニューヨーク株式市場では、米国景気のソフトランディング期待が高まる中で米国利下げ予想を受けた高金利警戒感の緩和により、米国主要株価三指数が上昇して連日で揃って続伸の終値に向かい、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は終値ベースの史上最高値を更新する大幅高と好調で、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も続伸の終値に向けたことでは、米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りも入ったものの、市場推定で7月11日に3〜4兆円規模、7月12日に2兆円規模と報道されていた日本政府と日銀 (BoJ) の連日為替介入観測後の警戒感が海外市場で続いていたことを受けては、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いも混ざり、円相場の下げ幅は限られた。

また、米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産の米国債買いの影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下が続き、今朝早朝の米国債券市場終値時の米国10年債の利回りは4.158%付近と、前営業日比で-0.074低下しており、およそ4カ月ぶりの低水準になったことも、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りが円相場でもドルの上値を抑えており、ドルは円相場で米国小売売上高の上振れ後の上昇幅を縮めていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の158円25銭付近から、円の安値でドルの高値の158円85銭付近の値幅約60銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は158円35銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の158円6銭付近と比べて約29銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、時間外の米国長期金利が一時4.153%付近まで低下したことや、日本政府と日銀 (BoJ) のステルス為替介入への警戒感が続いていたことではドル円は小動きになったため、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時158円36銭付近と、今朝早朝の米国市場の終値に近い始値であった。

ただし、今朝9時過ぎの日本企業の参入後には、営業妨害を配慮して為替介入警戒感が一時的に緩和されたため、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた輸入実需などの円売りドル買いが入り始めたほか、日本市場時間の時間外の米国債券取引で米国長期金利が反発上昇し、今朝10時10分の日銀の国債買い入れによる金利抑制の指し値オペの通知時間にはドルが円相場で上昇し、一時158円62銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今月下旬7月30〜31日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と同日に開催予定の日銀金融政策決定会合では、この自国債買い入れ額の減額予定が既に発表されており、相当な規模の額になるという見解では、円の買い戻しも入り始めたほか、今朝10時20分頃には一時4.180%付近に上昇した米国長期金利が再び4.169%付近に向けた反落を見せ始めたことでも、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整などが入り、円相場で下げ始めた。

また、今朝早朝までの米国主要株価三指数上昇を受けて、今朝の午前中には前日比で上昇して始まっていた今日の日経平均株価が、米国が中国に対する半導体規制を警告したニュースの影響や、米国ブルームバーグ通信が日本の将来の首相候補の一人との噂もある河野太郎デジタル相が「日銀に追加利上げを求めた」と報道した影響などで国内金利上昇への警戒感が高まり、今日の東京株式市場では日経平均株価が午後に前日比で一時200円以上の大幅下落を見せて反落し、午後15時台に4万1097円69銭の終値と、前日比177円39銭安の大幅安で大引けしたことで、日本株安時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが強まり、ドルや主要通貨に対して円相場が急伸し、午後から時差で参入した欧州英国市場でも為替介入警戒感や日銀の追加利上げ圧を受けて低リスク通貨の円が買われたため、午後16時37〜38分頃にかけてドルは円相場で一時157円1銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、午後16時50分頃には時間外の米国債券市場で米国長期金利は一時4.181%付近に反発していたことでは、債券利回りを受けたドルの買い戻しも混ざったが、海外市場時間に向けた為替介入警戒感とともに、日銀 (BoJ) への追加利上げ圧がかかったニュースがあったために時間外の日経平均株価も下落していたため低リスク通貨の円に対するドルの買い戻し幅が限られたほか、為替介入警戒感が続く中で再び世界的な安全資産の米国債が買われて米国長期金利が低下すると、ドルは円相場で再び下落した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円4〜6銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の158円49〜50銭付近の前東京終値比で約1円45銭の大幅な円高ドル安になった。

また、今夜の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時7分頃に米国長期金利が一時4.159%付近にまで低下したため、今夜17時58分頃と18時1分頃にドルは円相場で一時156円10銭付近の日通し安値を記録したが、その後には米国長期金利が反発上昇したことではドルは円相場で下げ止まったものの、世界一の対外純資産国の日本にはまだ為替介入への余力があると見られていることなどから、今日の午後の円相場の急伸を受けて為替介入警戒感が続いていたため、ドルは円相場での戻りが鈍くなっていた。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定と米国債入札予定などがあり、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜21時30分に6月の米国住宅着工件数と米国建設許可件数、今夜22時頃から次回のFOMCの投票権を持つFRB高官の米国リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁の発言予定、今夜22時15分に6月の米国鉱工業生産と米国設備稼働率、今夜22時35分頃から次回のFOMCの投票権を持つFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言予定、今夜23時30分に米国週間原油在庫、26時に米国20年債の入札予定、27時に米国地区連銀経済報告 (ベージュブック / Beige Book) の公開予定などを控えている。

また、今夜も米国主要企業の決算報告シーズンが続いていることから、引き続き株式市場からの為替相場や安全資産への影響にも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円30〜32銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の172円72〜75銭付近と比較すると約1円42銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述の今日の日経平均株価の大幅下落を受けて、低リスク通貨の円が買われてリスク市場に弱い欧州ユーロが売られたほか、為替介入警戒感も円相場を支えていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0906〜1.0908ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0897〜1.0899ドル付近と比べると約0.09セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、昨夜の米国小売売上高の上振れを受けては、欧州ユーロに対しても一時はドルが買われたものの、先述の米国利下げ予想による米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売り影響や、日本政府と日銀の為替介入警戒感によるドルの買い控えの影響が見られた。

ただし、明日7月18日の夜には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のイベントリスクを控えていることから、今日の日経平均株価大幅下落を受けたリスク回避のリスクオフの欧州ユーロ売りで低リスク通貨の円が買われた外貨影響の波及では、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対しての安全資産でもあるドルの下落幅はやや限られていたことでは、対ユーロではドルは前日比で小幅安の東京終値になっていた。

なお、日本市場終了後の今夜18時の英国ロンドン外国為替市場で発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要インフレ指標の6月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語:Harmonised Index of Consumer Prices / 米語:Harmonized Index of Consumer Prices) の改定値は、前年同月比が前回と市場予想通りの2.5%のままで、HICPコア指数も前回と市場予想一致の2.9%であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は204円25〜31銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の205円50〜56銭付近と比べると約1円25銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、日経平均株価の大幅下落を受けたリスクオフの低リスク通貨の円買いで英国ポンドも売られたことに加えて、為替介入警戒感の主要通貨に対する円高の影響も波及した。

ただし、今日の午後15時に発表されていた最新英国インフレ指標の6月の英国消費者物価指数 (CPI) は、前月比が前回の0.3%に対し市場予想通りの0.1%に鈍化したものの、前年同月比は前回の2.0%と市場予想の1.9%に対し2.0%と市場予想を上振れし、物価基調を見る英国CPIコア指数は、前年同月比が前回と市場予想通りの3.5%の横ばいで、英国インフレの根強さがやや意識されたことでは、対ドルでは英国ポンドが上昇も見せている。

その一方で、同時発表された6月の英国小売物価指数 (RPI / Retail Price Index) の前月比は前回の0.4%から市場予想通りの0.2%に鈍化し、前年同月比も前回の3.0%から市場予想通りの2.9%に鈍化し、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoJ / Bank of England) が6月の英国インフレ率を目標通りの2%としていたことでは、今日の午後には日銀の追加利上げ圧報道の影響もあって、英国ポンドは円相場では前日比で大幅安の東京終値になった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月17日の日本時間(JST)19時51分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時51分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:51の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 156.64 〜 156.65 −1.85 (円高)
ユーロ/円 171.23 〜 171.25 −1.50 (円高)
ユーロ/ドル 1.0930 〜 1.0932 +0.0033 (ドル安)
英ポンド/円 204.12 〜 204.18 −1.38 (円高)
スイスフラン/円 176.37 〜 176.43 −0.72 (円高)
豪ドル/円 105.60 〜 105.64 −1.24 (円高)

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