FXニュース:欧ECB政策金利据え置き
2024年7月19日東西FXニュース – 2024年7月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米経済指標が予想上振れ
- 米長期金利上昇ドル反発
- 日CPI上昇率は想定範囲内
- 日本実質五十日ドル需要
- 日経平均株価は小幅続落
今日2024年7月19日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の157円86銭付近から、円の高値でドルの安値の156円95銭付近の値幅約91銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円31〜32銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円23〜25銭付近の前東京終値比で約1円8銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場で一時155円46銭付近まで円高ドル安が進んだことでドルの買い戻しが入り始めたほか、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感は燻り続けていたものの、昨日の日本市場終了後の昨夜17時53分頃の英国ロンドン外国為替市場では時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.190%付近に上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大による金利差トレードの円売りドル買いの影響でドルは円相場で一時156円59銭付近に反発上昇したため、欧州英国市場の後半から始まった昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円の始値は一時156円50銭付近であった。
昨夜21時15分には、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の新政策金利と金融政策発表のイベントがあり、市場予想通りに欧州政策金利を現状の4.25%で据え置き維持することを決定し、欧州のインフレ抑制の進展を見極めるため、前回の6月の理事会からに続く連続の欧州利下げは見送りが適切と判断したことを発表した。欧州の政治や経済に先行き不透明感が高まるなか、市場では次回9月の理事会での利下げの有無が注目される様子見混じりの反応となった。
昨夜21時30分には、最新米国経済指標の発表が始まり、前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の22.2万件と前回修正の22.3万件と市場予想の23.0万件に対し24.3万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の185.2万人と前回修正の184.7万人と市場予想の185.5万人に対し186.7万人と弱かったことでは、発表時の昨夜21時30分にドルは円相場で一時156円18銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、昨夜21時30分に同時発表された7月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が、前回の1.3と市場予想の2.9を大幅に上回る13.9に桁違いの想定上振れをしたため、米国景気減速懸念の後退によるドルの買い戻しが始まったほか、景気要因のインフレ圧が意識されて米国長期金利が再び上昇し、ドルは円相場で上昇トレンドになった。
昨夜21時45分頃から欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見での要人発言が始まったが、「9月にどうするかは、まだ決まっていない」と、今後の欧州政策金利や金融政策は経済データ次第である中道的な姿勢を改めて強調したが、声明で出ていた現在の経済データによる理事会の今後のインフレ見通しに対する評価が続いたことでは、今後の欧州利下げに向けたハト派寄りの受け止められ方も市場では出ており、欧州市場で欧州ユーロがドルに対して売られていた影響が対ドル円相場に波及したことも、米国市場でのドルの上昇トレンド形成に繋がっていた。
市場では今年9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国利下げを開始する市場予想が織り込み済になってきていたが、欧州中央銀行 (ECB) がインフレ圧などを意識して連続利下げを見送ったことでは、今年1回以上の連続利下げには米国も慎重になる可能性が意識された。
続いて、昨夜23時には最新米国経済指標の発表が続き、6月の米国景気先行指標総合指数の前月比も前回の-0.5%が前回-0.4%に上方修正された上で、市場予想の-0.3%よりも改善された-0.2%に上昇したことでも米国景気要因の米国長期金利上昇に伴うドル買いトレンドが継続したため、ドルは円相場で156円台後半に上昇後も157円台に向かった。
米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.204%付近に向けた上昇を見せ、米国債券市場の終値時点も4.203%と前日比+0.045に上昇して終えたため、日米金利差拡大の円売りドル買いでドルは円相場で午前4時10〜11分頃と4時19分頃、そして4時24〜26分頃と4時28〜31分頃と4時41分頃と4時56〜57分頃、5時30〜31分と5時38〜39分と5時50〜51分頃にも何度も高止まりを見せる形で一時157円40銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、米国主要企業の決算報告シーズンが続く米国ニューヨーク株式市場では、昨日の半導体株下落時にも続伸を続けた後の米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が米国長期金利上昇を受けて大幅に反落したほか、昨日に続き、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が続落したことを受けては、低リスク通貨の円買いの抵抗もやや混ざったものの、欧州ユーロに対するドルの買い戻し意欲も強かったことではドル上昇圧も強く、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルの主要通貨に対するドルインデックス (ドル指数) が上昇した影響では、ドルは円相場で抵抗を交えながらも下げ渋った。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円18銭付近から、円の安値でドルの高値の157円40銭付近の値幅約1円22銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は157円37銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円20銭付近と比べて約1円17銭の大幅な円安ドル高をつけた。
今朝早朝8時30分のアジア・オセアニア市場時間に、日本のインフレ関連の最新重要経済指標の発表があり、6月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の前年同月比は市場予想の2.9%を下回る前回と同じ2.8%で、生鮮食料品を除くCPIコア指数の前年同月比は前回の2.5%よりは上昇したものの市場予想の2.7%を下回る2.6%で、生鮮食料品とエネルギー除くCPIコアコア指数も前回の2.1%に対し市場予想通りの2.2%と、前回よりは横ばいまたは上昇したものの、いずれも市場予想以下および市場予想通りの想定範囲内であったことでは、特に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げを急がせるほどのインフレ上昇率ではないことが世界市場ではやや意識されていたことでは比較的小動きであったが、日銀 (BoJ) が物価安定目標としている2%をやや上回っていることでは、やや円買いも入ったため、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円18銭付近の始値になった。
しかし、今朝の日本市場では、明日の20日が土曜日にあたるため、19日の今日が実質的な日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」にあたり、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けて、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要も入り始めて、ドルは円相場で再び上昇した。
また、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が上昇し、一時4.222%付近に向けた日米金利差拡大による円売りドル買いが入った。
今朝の東京株式市場では、昨日に大幅下落後の日経平均株価が午前中に一時やや反発しプラス圏に転じた時間があったことでも、低リスク通貨の円が売られた。
日本時間の午前中に、時差で前夜の米国でドナルド・トランプ前大統領が、先日の銃撃事件後に共和党の全国大会で今年の秋の米国大統領選候補指名の受諾演説が報じられ、米国第一主義のアメリカ・ファーストで知られているが、「米国のインフレ危機を終わらせ、金利を引き下げる」、「物価を押し下げ、再び購入できる価格にする」などの演説抜粋が伝わったものの、今回は特にドル高が問題などとは再発言しておらず、円安牽制もなかったことでも円相場ではドルが買われていた。
今日の昼のニュースでは、岸田文雄首相が「円安を背景とした物価上昇に警戒」と発言するなど円安によるリスクが報じられる一方で、円安を追い風にインバウンドの訪日客数が増えて今日発表されたデータでは今年1~6月はおよそ1778万人と過去最高を更新し、この勢いが続けば年内に3500万人規模と、日本政府が2016年に掲げた4000万人の目標達成も視野に入るとされ、円安時の日本株高が円高時には日本株安に転じた影響もあり、円高によりインバウンド観光産業や消費が減少するリスクもやや意識されるニュースもあった。
日本市場時間の午後にも米国長期金利が一時4.2%台で推移を続けていた債券利回りを受けた日米金利差拡大の影響もあり、午後14時53〜54分頃にドルは円相場で一時157円86銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、今朝の午前中には一時はプラス圏に転じていた日経平均株価が再び下落し、昼前頃から再びマイナス圏になったほか、午後15時台に4万63円79銭の終値をつけ、前日比62円56銭安と続落の大引けを見せたことでは、再び日本株安時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの抵抗も入ったが、前日よりは小幅な下落幅であったことでは、午後16時2分頃の一時156円95銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値になり、その後には夕方から本格参入した英国ロンドン外国為替市場で米国長期金利上昇に伴う日米金利差拡大の円売りドル売りが再び入り始めてドルは円相場で反発し、午後16時39分頃にはドル円は一時157円55銭付近に戻していた。
また、先日に日本の次期首相候補の一人と噂される河野太郎デジタル相が「日銀に追加利上げを求めた」との一部報道に対して、「日銀に利上げを直接求めているわけではない」と本人が釈明したというニュースもあったこともドルの買い戻しの一因になっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円31〜32銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円23〜25銭付近の前東京終値比では約1円8銭の大幅な円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、特に注目度が高い最新米国経済指標の発表予定はないものの、米国主要企業の決算報告シーズンが続くほか、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間での経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時40分頃から米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定と、26時頃から米国アトランタ連銀ラファエル・ボスティック総裁の発言予定などがあり、両氏共に次回のFOMC投票権を持っている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円27〜29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の170円78〜79銭付近と比較すると約49銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜の欧州政策金利の据え置きにより、日欧金利差が意識されたほか、ドルに対する円相場反落の影響も、他の主要通貨である欧州ユーロや英国ポンドに波及した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0886〜1.0888ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0930〜1.0931ドル付近と比べると約0.44セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米国長期金利上昇を受けて、ドルに対しては欧州ユーロが売られて下落した。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は203円37〜43銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の203円8〜14銭付近と比べると約29銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、前述の通り、ドルや欧州ユーロなどの外貨に対する今日の円相場下落の影響が英国ポンドに対する円相場にも波及したが、前日までに約1年ぶりとも言われる英国ポンド高ドル安を記録後から対ドルでの英国ポンドの利益確定売りや持ち高調整の抵抗があったことでは欧州ユーロよりもやや小幅になっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月19日の日本時間(JST)19時45分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時45分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:45の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.44 〜 157.45 | +1.21 (円安) |
ユーロ/円 | 171.38 〜 171.40 | +0.60 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0884 〜 1.0886 | −0.0046 (ドル高) |
英ポンド/円 | 203.38 〜 203.44 | +0.30 (円安) |
スイスフラン/円 | 176.99 〜 177.05 | +0.25 (円安) |
豪ドル/円 | 105.36 〜 105.40 | +0.07 (円安) |
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