FXニュース:日米欧英金利差縮小予想
2024年7月24日東西FXニュース – 2024年7月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日利上げ圧と欧米英転換
- イベントリスク調整進む
- 米経済指標市場予想以下
- 日米株価下落リスク回避
- 円高で日経平均大幅続落
- 国内長期金利が高止まり
今日2024年7月24日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の155円99銭付近から、円の高値でドルの安値の154円36銭付近の値幅約1円63銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円57〜59銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円6〜7銭付近の前東京終値比では約1円49銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のルイス・デ・ギンドス副総裁が、欧州の追加利下げについて、欧州インフレ率が目標の2%に向けて進展していることを検証する上で、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新たな予測が最も重要なデータとなるため、「データ的な観点から、7月よりも9月の方が決定を下すのに都合が良い」と発言したスペインの通信社ヨーロッパ・プレス (Europa Press) のインタビューのニュースがあり、市場では今年9月の欧州の追加利下げを示唆したと話題になり、その一方で、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) には今月の国債買い入れ額減額に伴う金利上昇圧や政治的な追加利上げ圧があったため、欧州ユーロが円やドルに対して売られて下落した。
昨夜21時頃の欧州英国市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円15銭付近の始値で、昨夜21時20分頃には債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.245%付近に上昇したため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードの円売りドル買いの影響では、昨夜21時23分頃にドルは円相場で一時156円27銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、来週7月30〜31日には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合と米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の日米双方の金融政策イベントを控えているイベントリスクからは、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の今年9月の米国利下げ予想値が米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) で確定値と考えられている70%を超える91.7%付近で推移し続けていたことでは、以前の経済連からの円安牽制発言以降も、先週の河野太郎デジタル相に続き、一昨日の自民党の茂木敏充幹事長の発言など、追加利上げ圧のニュースが話題になった日銀に対し、米国や欧州と英国の利下げに向けた金融政策の方向性の違いが意識されたため、イベント前の持ち高調整では日米欧英金利差縮小予想の円買いで円相場が反発上昇した。
昨夜23時には、最新米国経済指標の7月の米国リッチモンド連銀製造業指数が発表されたが、前回の-10と市場予想の-6を大きく下振れする-17に悪化したことも、景気要因のインフレ圧鈍化を受けて、米国利下げ予想を強めることになった。
同時発表だった6月の米国中古住宅販売件数も、年率換算件数が前回の411万件と市場予想の400万件を下回る389万件で、前月比も前回の-0.7%と市場予想の-2.8%に対して-5.4%と下振れしたことも、米国市場で根強いと考えられていた住宅インフレの軟化を示したと受け止められ、昨夜23時25分頃には米国ニューヨーク債券市場で安全資産の米国債が買われた影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.225%付近に低下したことも、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りに繋がった。
午前2時の米国2年債の入札に向けた米国債買いの影響もあり、米国長期金利は低下後もしばらくは一時4.230%台付近で推移していた後、市場終盤には一時4.256%付近に反発上昇はしたものの、米国ニューヨーク株式市場では米国主要企業の決算報告シーズンの影響もあり、前日には米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って反発上昇したが、この日は米国主要企業の決算報告予定などを控えた持ち高調整や利益確定などの抵抗が入り、米国主要株価三指数が小幅ながらも揃って小反落して終値を迎えたことでも、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われたため、米国ニューヨーク株式市場の終値後にも続いていた米国ニューヨーク外国為替市場では、市場終盤には低リスク通貨の円が買われて上昇した。
また、米国現地時間の先週末に民主党のジョー・バイデン大統領が今秋11月の米国大統領選からの撤退とカマラ・ハリス副大統領の支持を表明した後、正式な党の候補者として市場での認識が進むに連れて、以前のドナルド・トランプ前大統領の米国第一主義の景気刺激策や外国関税増税案などによる米国インフレ再燃警戒感のトランプトレードで買われていたドルが売られていたことでも、対ドルの円相場が上昇した。
来週の日米金融政策の発表に向けたイベントリスクの円相場でのドルの持ち高調整の売りも相まって円高ドル安が進行を続けたため、米国ニューヨーク外国為替市場が終値を迎える午前6時頃の値動きの中でドルは円相場で一時155円53銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、その直後の今朝6時頃に対ドル円相場は一時155円56銭付近のニューヨーク終値をつけていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の156円27銭付近から、円の高値でドルの安値の155円53銭付近の値幅約74銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は155円56銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円4銭付近と比べて約1円48銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝8時39分頃のアジア・オセアニア市場では、時間外の米国債券取引で米国長期金利が一時4.261%付近に上昇したため、債券利回りを受けた日米金利差で世界的に流動性が高い基軸通貨でもあるドルの買い戻しが入ったことなどでは、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円76銭付近の始値であった。
さらに日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要の影響があったことでは、今朝9時38分頃と9時41分頃にはドルは円相場で一時155円99銭付近の今日の日本市場の円の安値でドル高値を記録した。
しかし、仲値決済を終えると、来週の日米の金融政策会合のイベントを控えた持ち高調整が再び入り、日銀の追加利上げ圧に対して、欧米の利下げ転換という金融政策の方向性の違いが意識され、日米金利差縮小予想の影響による円買いドル売りが再燃し、ドルや欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対して円相場が上昇した。
加えて、今日の東京株式市場では、すでに5営業日連続で続落していた日経平均株価が、今朝10時頃に一時プラス圏にタッチしたものの、円高が進行していたことで海外投資家達が以前の円安時に買った株を円高時に利益確定売りした影響や、国内長期金利が高止まりを見せたことで固定ローン金利上昇などへの警戒感などがあり、6営業日目の続落を続けた上に、午後14時前頃に下落幅が前日比で一時450円安を超えるなどの大幅安になったため、日経平均株価大幅下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が主要通貨に対して買われた影響で円相場が更に上昇し、午後14時8分頃に対ドル円相場は一時154円36銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
なお、今日の日経平均株価は、午後15時頃に3万9154円85銭の終値をつけ、前日比439円54銭安の大幅安で大引けしたことでもリスクオフムードの円高ドル安が続いた。
午後からの欧州市場の参入でも、午後15時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツとフランスの7月の独仏製造業購買担当者景気指数 (PMI / purchasing managers index) の速報値が前回と市場予想を下回ったことでも欧州ユーロが低リスク通貨の円に対して売られて、円高ユーロ安も同時進行し、続いて欧州経済の影響を受けやすい英国市場の参入でも世界的な安全資産の米国債が買われた影響で米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国長期金利は午後16時57分頃には一時4.231%付近に低下した日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響も、市場安値後のドルの買い戻しの抵抗になっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円57〜59銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円6〜7銭付近の前東京終値比で約1円49銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場でも最新米国重要経済指標の発表や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜21時30分に6月の米国卸売在庫、今夜22時45分に7月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) と米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値、今夜23時に6月の米国新築住宅販売件数、今夜23時30分に米国週間原油在庫と、26時に米国5年債の入札予定などを控えている。
昨日に続き、今日も来週の日米金融政策会合を控えた調整やイベントリスクの影響がある一方で、米国株式市場では米国主要企業の決算報告が続いており、世界市場や株式市場からのリスクオンやリスクオフなどの為替相場への影響にも引き続き注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は167円43〜46銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の169円69〜74銭付近と比較すると約2円26銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、先述の通り、昨夜の欧米市場から欧州利下げ予想が高まっており、それに対して、日銀への経済的・政治的な利上げ圧による追加利上げ予想が市場で浮上してきたことなどで日欧金利差縮小予想の円高ユーロ安が進行したことに加えて、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いでも、リスク市場に弱い欧州ユーロがリスク市場に強い円やドルに対して下落した影響があり、欧州ユーロが円相場で大幅安になった。
ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0827〜1.0828ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0874〜1.0876ドル付近と比べると約0.47セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧米ともに今年9月の利下げ予想がある中でも、欧米の金利差に加えて、リスク市場に弱い欧州ユーロは、日米株価下落時のリスクオフでは低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対しても売られやすかったことなどが影響を及ぼしていた。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円16〜22銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の201円55〜61銭付近と比べると約2円39銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、地理的にも経済圏が近く、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドにも英国利下げ予想が出ていたことで、日銀の追加利上げ圧による日米欧英金利差縮小予想で売られたほか、今日の日経平均株価の大幅続落によるリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円に対して欧州ユーロ同様に英国ポンドも売られやすく、大幅な円高ポンド安になった。
なお、今夜その後の17時30分に発表された最新英国経済指標の7月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、前回の50.9と市場予想の51.1を上回る51.8に上昇したが、7月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、前回の52.1と市場予想の52.5に対し52.4であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月24日の日本時間(JST)19時35分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時35分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:35の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 154.65 〜 154.67 | −1.41 (円高) |
ユーロ/円 | 167.69 〜 167.71 | −2.00 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0841 〜 1.0845 | −0.0033 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.56 〜 199.62 | −1.99 (円高) |
スイスフラン/円 | 174.40 〜 174.46 | −0.95 (円高) |
豪ドル/円 | 102.03 〜 102.07 | −1.30 (円高) |
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