FXニュース:世界的な株安リスク回避

2024年7月25日
FXニュース:世界的な株安リスク回避

 

東西FXニュース – 2024年7月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀金融正常化予想円高
  • 日銀追加利上げ観測報道
  • 米欧英利下げ予想で調整
  • 欧米日の主要株価が下落
  • 日経平均株価は千円超安
  • 低リスク通貨円相場急伸

今日2024年7月25日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の153円97銭付近から、円の高値でドルの安値の152円6銭付近の値幅約1円91銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円18〜20銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円57〜59銭付近の前東京終値比では約2円39銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、来週7月30〜31日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合と米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えたイベントリスクの調整が進む中で、日銀が利上げ圧を受けて来週の会合で「追加利上げの要否について議論する」という英国ロイター通信 (Reuters) などの観測報道が話題になり、日銀の国債買い入れ額減額の推定額も一部の市場予想で月額3兆円規模まで減額する可能性が指摘された一方で、今年9月の米国利下げ予想と欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の追加利下げ予想と英国利下げ予想などが高まっていたことから、日米欧英金利差縮小予想によりドルや欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対して円相場が上昇し、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円19銭付近と、昨日の東京終値よりも円高ドル安が進行していた。

米国利下げ予想やイベントリスクと一部の株価の下落を受けた安全資産の米国債買いの影響もあり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も低下していたが、一時的な反発もあったことでは、債券利回りを受けた金利差トレードのドルの買い戻しが混ざり、昨夜21時11分頃にドルは円相場で一時154円23銭付近に反発し、前日比で大幅な円安ドル高が進行する中でも、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

昨夜21時30分には最新米国経済指標の発表があり、6月の米国卸売在庫の前月比は前回の0.6%と市場予想の0.5%に対し0.2%と在庫の数が減って堅調であったことでも、米国長期金利は昨夜21時35分頃の一時4.247%付近に反発したが、世界的な安全資産の米国債買いの影響で昨夜21時45分頃には一時4.238%に反落していた。

昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の7月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の速報値は、前回の51.6と市場予想の51.7を下回る49.5に下振れし、不景気と好景気を分ける景気ボーダーラインの50以下の不景気寄りであったことでは、米国製造業の景気要因のインフレ圧鈍化と、米国景気減速懸念が意識されたドル売りの一因となった。

ただし、同時発表の7月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の55.3と市場予想の55.0を上回る56.0に上振れしたことではサービスインフレの根強さも意識され、7月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の54.8と市場予想の53.9を上回る55.0であったことは、ドル売りトレンドの一時抵抗になっていた。

しかし、昨夜22時45分には、米国の隣国にあたる北米カナダの中央銀行にあたるカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) が、カナダの新政策金利をこれまでの4.75%から市場予想通り4.50%に連続で利下げした影響があり、声明で「カナダ銀行 (BoC) が重視する加CPIコア指数は数カ月間3%を下回り、CPIを構成する複数の品目における物価上昇の度合いは過去の平均水準に近づいている」として、北米カナダのインフレが想定通り鈍化を続ければ、さらなる追加利下げの可能性もあることから、北米カナダと地理的に近い米国の利下げペースの市場予想に影響を与えていた。

今夜23時には、最新米国重要経済指標の6月の米国新築住宅販売件数が発表され、年率換算件数は前回の61.9万件と前回上方修正の62.1万件と市場予想の64.0万件を下回る61.7万件で、前月比も前回の-11.3%と前回下方修正の-14.9%と市場予想の3.4%に対し-0.6%と、いずれも市場予想を下回ったことでも、米国で根強いと考えられていた住宅インフレへの警戒感が緩和された米国利下げ予想が高まり、日米金利差縮小予想でも低下していた米国長期金利が、深夜過ぎの一時4.215%付近に向けた低下を見せていたこともあり、円相場でドルが売られて、昨夜23時54分頃にドルは円相場で一時153円11銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、米国主要企業の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、先日の対中国の米国の半導体規制への警戒のハイテク株売り以来の株売りが起きており、決算結果を受けた米国電気自動車メーカーのテスラ株の10%を超える大幅下落や、イベントリスクの持ち高調整に加えて先物市場の下落の影響と、日本や欧州英国市場など世界市場での株売りトレンドの影響などもあり、前日には小反発していた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って大幅に反落したため、世界的な株価下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で、世界的に流動性が高いドルからでも買える低リスク通貨の円が買われた影響も円安ドル高の要因となっていた。

ただし、午前2時に米国ニューヨーク債券市場で米国5年債の入札があった影響では、米国債価格が全般的に上昇したため、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利も反発上昇し、米国ニューヨーク債券市場の終盤の一時4.293%付近に向けた大幅な上昇を見せ始めたことでは、市場安値後のドルの買い戻しも入り、午前4時4分頃にはドルは円相場で一時154円10銭付近まで下げ幅を縮めていた。

しかし、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラルファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、今年9月の米国利下げ予想値が確定値と考えられている70%超えの76.7%付近で小幅利下げ予想が推移を続ける一方で、大幅利下げの確率が21.8%付近に増えてきたことに加えて、来週の7月の金利据え置き予想値が確定値超えの89.1%付近で推移する傍らで、今月の早期の利下げ予想値が10.9%付近に浮上したことはドルの上値を抑えた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の154円23銭付近から、円の高値でドルの安値の153円11銭付近の値幅約1円12銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は153円86銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の155円56銭付近と比べて約1円70銭の大幅な円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時153円93銭付近の始値で、9時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録していた153円97銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、昨日に続き、日銀の今月の国債買い入れ減額や追加利上げを検討という観測報道の影響を受けて強まった日本の金融正常化予想の日米金利差縮小予想の円買いドル売りが再燃したほか、今日の東京株式市場で日経平均株価が大幅な下落を見せたことでも、世界的な株安を受けたリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたため、円相場はドルやユーロや英国ポンドだけでなく、スイスフランや豪ドルなどの主要通貨に対しても上昇した。

今朝9時頃から米国ではジョー・バイデン大統領の今年の秋の大統領選撤退についての発言も伝えられており、米国政治の先行き不透明感なども、来週の日米金融政策会合のイベントを控えた低リスク通貨の円に対する投資家達のドルの長期ポジションの利益確定売りや持ち高調整につながった面もあったと考えられている。

ただし、今日は日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日(ごとおび / ゴトーび)」であったことでは、今朝9時55分の仲値決済の頃までは、輸入実需の円売りドル買いの抵抗も混ざっていたが、続いては輸出企業のまとまった円買いドル売りも入り始めたことに加えて、その後にはイベントリスクの調整で投資系などがロングポジションのドルの利益確定売りで円が買われた影響があり、円相場が大幅な上昇を始めた。

なお、急激なボラティリティを伴う円高ドル安が進行する中で、日本政府の鈴木俊一財務相は、G7 (主要7カ国) 財務相・中央銀行総裁会議の後の会見で、「為替の動きや水準についてコメントすると市場に不測の影響を与える面があり、コメントは控えたい」と発言したほか、神田真人財務官も、「為替については、特段議論していない」と発言し、以前の円相場の大幅な下落時には為替介入を意識させる円安牽制を繰り返していたが、円相場の大幅な上昇時にはノーコメントで関与しない姿勢を示していた。

今朝までの米国主要株価三指数の大幅下落の影響もあり、また円高になったことで以前の円安時に買っていた日本株を利益確定売りする海外投資家達の動きやイベントリスク回避の持ち高調整などもあり、今日の日経平均株価は前日比で1200円安以上の超大幅下落になり、午後15時頃に3万7869円51銭の終値と、前日比1285円34銭安で大引けしたことで、世界的な株安を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが強まった。

また、時間外の米国債券取引で、今日の日本市場時間と午後からの欧州英国市場の参入でも世界的な安全資産でもある米国債が買われていた影響で、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起きたことも、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードの円買いドル売りで円相場がドルに対して上昇したため、午後16時53〜54分頃にはドルは円相場で一時152円6銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円18〜20銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円57〜59銭付近の前東京終値比では約2円39銭と、大幅な円高ドル安になっていた。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に4〜6月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) と同四半期の米国GDP個人消費と同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) の速報値と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数と、6月の米国耐久財受注が同時発表されるイベント時間があり、続いて26時に米国7年債の入札予定を控えている。

また、今週は来週の日米金融政策会合を控えた調整やイベントリスクの影響が続く中で、米国株式市場で米国主要企業の決算報告が続いていることから、世界市場や株式市場からのリスクオンやリスクオフなどの為替相場への影響には、引き続き注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円12〜14銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の167円43〜46銭付近と比較すると約2円31銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述の通り、昨日に続き、日銀の追加利上げ圧と金融正常化予想の影響を受けて、今年の秋の追加利下げ予想の出ている欧州ユーロに対しても円相場が上昇したことに加えて、世界的な株価下落のリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円が買われた一方で、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドは売られやすかった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0848〜1.0850ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0827〜1.0828ドル付近と比べると約0.21セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、円に対するドル売りが波及したほか、米国利下げ予想が高まる中で、米国長期金利低下を受けたドル売りが影響を及ぼしていた。

なお、今夜の深夜24時頃からは、欧州中央銀行 (ECB) 総裁のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言予定を控えている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は196円24〜30銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の199円16〜22銭付近と比べると約2円92銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、今日の日経平均株価の大幅続落を含めた世界的な株安リスク回避で、低リスク通貨の円に対して欧州ユーロ同様に英国ポンドも大幅な下落を見せた。

また、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が、現在の英国のインフレ率を目標の2%達成をホームページで掲げていることで、英国利下げ予想の影響も続いており、日銀が来週に追加利上げについて検討するというニュースを受けた日米欧英金利差縮小予想の円買いでも英国ポンドが売られており、他の主要通貨への円高の影響の波及もあり、円相場が大幅に上昇していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月25日の日本時間(JST)19時41分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時41分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:41の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 152.19 〜 152.21 −2.38 (円高)
ユーロ/円 165.13 〜 165.14 −2.30 (円高)
ユーロ/ドル 1.0848 〜 1.0852 +0.0021 (ドル安)
英ポンド/円 196.08 〜 196.14 −3.08 (円高)
スイスフラン/円 173.27 〜 173.33 −0.33 (円高)
豪ドル/円 99.28 〜 99.32 −2.72 (円高)

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