FXニュース:米GDPが市場予想上振れ

2024年7月26日
FXニュース:米GDPが市場予想上振れ

 

東西FXニュース – 2024年7月26日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀追加利上げ織り込み
  • 米ダウ工業株が反発上昇
  • 日経平均株価は大幅続落
  • 欧英株価上昇リスクオン
  • 今夜米PCE物価指数控え

今日2024年7月26日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の153円39銭付近から、円の安値でドルの高値の154円17銭付近の値幅約78銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円92〜93銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の152円18〜20銭付近の前東京終値比では約1円74銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場のトレンドの影響が残っていた昨夜17時台の東京終値後の英国ロンドン外国為替市場では、来週7月30〜31日に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合と米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の日米金融政策のイベントを控えたイベントリスクの調整が進み、日銀の追加利上げ検討の報道があった日本に対し、米国や欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) には9月の利下げ予想が優勢であった金融政策の方向性の違いから日米欧金利差縮小予想の影響が続いていたことなどで、ドルは円相場で昨夜17時21分頃に一時151円94銭付近と、英国市場及び日通しの円の高値でドルの安値を記録した。

また、昨夜17時に欧州市場で発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の7月の独IFO企業景況感指数が、前回の88.6と市場予想の88.9を下回る87.0であったことから、日経平均株価続落後に欧州株式市場も軟調であったことなどで、日欧株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われて、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドに対しても円相場が上昇していたことなども影響を及ぼしていた。

ただし、今年5月以来の一時151円94銭付近の英国市場安値後のドルには買い戻しも入り始めたほか、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時反発したこともあり、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円72銭付近の始値であったが、反発後の米国長期金利が一時反落した債券利回りを受けた金利差トレードの影響では、昨夜21時3分頃に一時152円55銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。

しかし、昨夜21時30分の米国市場では最新米国重要経済指標の発表があり、4〜6月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の速報値は前期比年率が前回の1.4%と市場予想の2.0%を上回る2.8%に上振れし、同四半期の米国GDP個人消費の速報値も前期比年率が前回の1.5%と市場予想の2.0%を上回る2.3%と好調で、同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) の速報値は前期比年率が前回の3.7%よりは減速したものの市場予想の2.7%を上回る2.9%と、いずれも市場予想よりも強かったことを受けて、景気要因の米国インフレ圧が意識され、主要通貨に対するドル買いの勢いが強まり、ドルは円相場で153円台後半に向けた上昇を始めた。

同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の24.3万件と前回修正の24.5万件と市場予想の23.8万件に対し23.5万件に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の186.7万人と前回修正と市場予想の186.0万人に対し185.1万人と堅調であったことでもドルが買われたため、米国長期金利が一時4.264%付近に向けた上昇を始めたため、債券利回りを受けた日米金利差トレードでも円売りドル買いが起き、ドルは円相場で更に154円台に向けて上昇したが、同じく発表されていた6月の米国耐久財受注の前月比は前回の0.1%と市場予想の0.3%を下回る-6.6%に低下したことではやや抵抗も混ざったものの、輸送用機器を除くコアでは前回の-0.1%と市場予想の0.2%を上回る0.5%だったことでは、米国長期金利上昇に伴う主要通貨に対するドル買いが続いていた。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前日の下げ幅を回復して大幅に反発上昇していたことでも、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られたことに加えて、米国債券価格低下に伴う利回り上昇の影響で債券利回りを受けた日米金利差拡大で他の主要通貨に対してもドルが買われていたことなどもあり、午前1時41分頃にドルは円相場で一時154円32銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、米国ニューヨーク債券市場で米国長期金利の上昇が続き、市場終盤の午前4時15分頃の一時4.266%付近に向かったことでは、金利に敏感な米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が一時の大幅な上昇幅を縮めたほか、ハイテク株の比率の多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が大幅に続落し、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も続落の終値に向かったことでは、市場高値後のドルの利益確定売りに続き、世界的な安全資産の米国債や低リスク通貨の円が買い戻されて反発し、米国ニューヨーク債券市場では他の年度の米国債入札後の影響もあり、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は米国債券市場の終値時点は4.243%と前日比-0.045に反落したため、ドル円は再び153円台に戻した。

なお、米国GDPの上振れによる景気要因のインフレ圧への警戒感の影響があり、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラルファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、来週の7月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では米国金利据え置き予想値が確定値と考えられている70%を上回る93.3%付近に上昇しており、7月の米国利下げ確率は6.7%付近に低下しているが、9月の米国小幅利下げ予想値は今でも確定値と考えられている70%超えの89.6%付近で推移を続け、9月の米国大幅利下げの確率は10.2%付近になっていたことでは、来週の7月の日銀金融政策決定会合の追加利上げ圧と国債買い入れ額の減額による国内長期金利上昇圧を受けた日米金利差縮小予想の影響も燻っていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の152円55銭付近から、円の安値でドルの高値の154円32銭付近の値幅約1円77銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は153円88銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の153円86銭付近と比べて約2銭の小幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝8時28分頃に対ドル円相場は一時153円38銭付近にまで反発していたが、8時30分に発表された日本の最新経済指標の7月東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品を除くコア指数の前年同月比が、前回の2.1%から市場予想通りの2.2%の上昇率であったことでは、2%のインフレ目標を掲げる日銀が追加利上げをする場合には、欧米よりも小幅な利下げ幅になる可能性が世界市場ではやや意識されたため、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時153円70銭付近の始値であったが、日本市場ではインフレ率が市場予想通りに2%を超えて上昇したということから日銀の追加利上げ予想の円買いの反応も一時混ざったことでは、今朝9時1分頃に対ドル円相場は一時153円39銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったほか、昨夜発表の米国のGDPの成長率の上振れの影響もあり、米国の利下げ予想と日銀の利上げ圧により最近進行していた円高ドル安に一服感が見え始めたため、市場で織り込み済みになってきていた来週の日銀の追加利上げの可否の議論で欧米よりも小幅な利上げ率が出てきた場合や日銀の利上げが先送りになった場合のイベントリスク回避でもドルの買い戻しがあったため、午前10時44分頃にはドルは円相場で一時154円14銭付近に反発上昇していた。

一方、今日の東京株式市場では、今朝早朝には続落して始まった日経平均株価が、一時大幅に反発上昇したことを受けたリスク選好のリスクオンでも低リスク通貨の円が売られてドルだけでなく欧州ユーロなどの主要通貨に対しても円相場が反落したが、来週の日銀の債券買い入れ額減額や追加利上げの可能性からは国内金利上昇への警戒感による株売りが入ったため、日経平均株価は一時の大幅反発後に上昇幅を失い大幅な反落に転じて午後15時台に3万7667円41銭の終値をつけ、前日比202円10銭安の大幅安で続落したことでは再び日本株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの抵抗も混ざっていた。

午後からの欧州市場に続いて、夕方には世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が本格参入し、午後4時25分頃には時間外の米国債券市場で米国長期金利が再び上昇して一時4.268%付近になったため、債券利回りを受けた日米金利差拡大による金利差トレードの円売りドル買いの影響があり、午後16時35分頃にドルは円相場で一時154円17銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

上昇後の米国長期金利は、世界的な安全資産でもある米国債買いの抵抗も混ざったことではピークアウトを見せ始めたため、今夜この後の米国市場で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する最新米国重要インフレ指標の米国PCE物価指数である米PCEデフレーターの発表イベントを控え、市場予想では鈍化予想が優勢であった一方で、昨夜の米国GDPの上振れを受けたインフレ高止まりへの警戒感やイベントリスクなどもあり、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗もやや混ざったものの、153円台後半付近に留まった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円92〜93銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の152円18〜20銭付近の前東京終値比では約1円74銭の大幅な円安ドル高になっていた。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に6月の米国個人所得と米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) と米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターが発表されるイベント時間があり、今夜23時には7月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値などが発表される予定である。

また、来週7月30〜31日には、日銀金融政策決定会合と米国連邦公開市場委員会 (FOMC)を控えたイベント前の調整が続く中で、米国主要企業の決算報告などが続いていたことなどから、世界の株式市場からの安全資産や為替相場などへのリスクオンやリスクオフなどの影響にも引き続き注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は166円99銭〜167円0銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の165円12〜14銭付近と比較すると約1円87銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨日までは日銀の追加利上げ圧と金融正常化予想の影響を受けて欧州中央銀行 (ECB) 理事会の9月の追加利下げ予想の影響で大幅な円高ユーロ安が進行したが、市場ではかなり織り込み済みになってきたことから、イベントリスクの円の利益確定売りや持ち高調整による欧州ユーロの買い戻しなども入り始めたほか、今日の午後からの欧州市場では、欧州主要株価が反発上昇に向けたことでもリスクオンで低リスク通貨の円が売られて欧州ユーロが買い戻されたため、今日の円相場では欧州ユーロが反発上昇していた。

また、今日の日本市場と欧州市場の時間が重なる午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の7月の仏消費者信頼感指数は、前回の89と前回修正と市場予想の90を上回る91に上昇していた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0847〜1.0849ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0848〜1.0850ドル付近と比べると約0.01セントのやや横ばいに近い僅差のユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨夜のドイツの経済指標が下振れした一方で、米国GDPは上振れしたため、米国長期金利上昇時のユーロ売りドル買いが影響を及ぼしたが、今日の午後からの欧州主要株価が反発上昇したリスク選好の影響では、低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルも売られた影響では、欧州ユーロの買い戻しが抵抗になった。

また、今夜その後の19時台の英国ロンドン外国為替市場では、上昇後の米国長期金利が下げ始めた影響で、小幅なユーロ高ドル安にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は197円98銭〜198円4銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の196円24〜30銭付近と比べると約1円74銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の午後からの欧州主要株価指数の独DAXの反発上昇だけでなく、英国主要株価指数の英FTSE100も続伸していた影響で、今日の夕方の欧州英国株式市場ではリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで欧州英国通貨の買い戻しがあり、昨日には大幅に下落していた英国ポンドも今日の円相場では大幅に反発していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月26日の日本時間(JST)19時27分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時27分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:27の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 154.20 〜 154.21 +2.02 (円安)
ユーロ/円 167.40 〜 167.41 +2.28 (円安)
ユーロ/ドル 1.0854 〜 1.0856 +0.0006 (ドル安)
英ポンド/円 198.44 〜 198.50 +2.20 (円安)
スイスフラン/円 174.54 〜 174.60 +1.68 (円安)
豪ドル/円 101.16 〜 101.20 +1.72 (円安)

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