FXニュース:日銀0.25%程度に利上げ

2024年7月31日
FXニュース:日銀0.25%程度に利上げ

 

東西FXニュース – 2024年7月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 国債購入減額3兆円規模
  • 国内長期金利1.06%超え
  • 日銀総裁追加利上げ示唆
  • 主要通貨に円一時全面高
  • 米FOMCと議長発言控え

今日2024年7月31日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の153円89銭付近から、円の高値でドルの安値の150円61銭付近の値幅約3円28銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円87〜88銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円89〜90銭付近の前東京終値比で約4円2銭の大幅な円高ドル安であった。

主な原因は、今日の昼頃に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合が、0〜0.1%だった国内政策金利を0.25%程度へ追加利上げをする決定を発表し、これまでは月額5.7兆円程度としていた国債買い入れ額も2026年1〜3月期に向けて段階的に四半期毎に4000億円規模で減らしていき、月額2.9兆円程度にまで減額する方針を示し、およそ3兆円規模の国債買い入れ減額計画で7〜8%の国債保有を縮小するという同時発表をした後にも、午後15時30分頃から日銀の植田和男総裁が記者会見で追加利上げ継続の可能性を示唆したほか、データ次第では将来的に0.5%を超えた金利上昇への抵抗もないことなどのタカ派発言が相次いだことで、国内長期金利が1.06%を超えて上昇した影響などもあり、今日の日本市場の終盤には日米欧英金利差キャリートレード (Carry trade) の持ち高調整による大幅な円高が主要通貨に対しても進行し、一時全面円高を記録した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時154円89銭付近の始値であったが、今夜この後の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のビッグイベントでは今月7月は米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 金利レートの誘導目標は、現状の5.25〜5.50%の米国金利据え置き予想が96.9%付近と、確定値と考えられている70%超えの優勢さを保ちながらもやや上昇していたため、昨夜21時30分頃に米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.186%付近に向けて反発上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いでは、低金利通貨の円で資金調達して高金利通貨のドルで運用して利益を出すキャリートレードの影響などがあり、ドルは円相場で一時155円2銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。

昨夜22時に発表された最新米国経済指標の5月の米国住宅価格指数の前月比は前回0.2%が前回0.3%に上方修正されたものの市場予想の0.2%は下回る0.0%であったことでは、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整が起きたが、同時発表だった5月の米国S&Pケース・シラー住宅価格指数は前回の7.2%が前回7.3%に上方修正されたほか、前回よりは低下したものの市場予想の6.7%を上回る6.8%であったことでは、根強いとされていた米国住宅インフレの鈍化傾向が意識される中でも、抵抗要素も混ざっていたことでは、この時点のドルは円相場では154円台中盤付近で下げ止まって推移を続けていた。

続いて、昨夜23時に6月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が発表され、前回の814.0万件と前回上方修正の823.0万件と市場予想の800.0万件を上回る818.4万件に上昇し、同時発表だった7月の米国コンファレンスボード消費者信頼感指数も前回の100.4は前回97.8に下方修正されたものの市場予想の99.7を上回る100.3と堅調であったことでは、今週金曜日の8月2日に最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表を控えている米国市場では、堅調な米国雇用市場を背景としたインフレ圧がやや意識されたことでは、一時154円台後半へのドルの買い戻しの抵抗も入ったものの、今日の日銀金融政策決定会合と、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) と米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の発言予定のビッグイベントを控えたドルの買い控えは抵抗になっていた。

しかし、イスラエルがレバノン首都のベイルートでシーア派勢力ヒズボラの司令官を狙った攻撃を仕掛けたというニュースがあり、中東情勢の地政学リスク回避で世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響があり、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が急落を始めたことも、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いが起きた。

また、深夜を過ぎると、日本放送協会 (NHK / Nippon Hoso Kyokai / Japan Broadcasting Corporation) が日本経済新聞 (Nikkei) などが相次いで、本日7月31日の「日銀金融政策決定会合で0.25%への追加利上げを議論、国債購入減額も具体的に決定」と改めて報じたニュースが世界市場でも話題になり始めたため、日本の国債購入減額による長期金利上昇圧に加えた追加利上げが同時に決定される可能性が意識されたため、それまでは市場では国債買い入れ額の減額と同時の追加利上げの可能性は低いのではないかと思われていたことに対するサプライズで追加利上げの可能性が市場予想で高まったため、市場で織り込み済だった異例の超小幅利上げ率の0.10%よりも大幅な0.15%〜0.25%の追加利上げの可能性が出てきたことから、日米金利差縮小予想の円売りドル買いも強まり、対ドルの円相場が大幅な上昇を始めた。

米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) のインタビューでも、本日7月31日付けで就任する三村淳財務官が、円安について、「輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなど、デメリットの方が大きい」と発言したことも日銀への追加利上げ圧が増しているとの認識を高めて日銀追加利上げ予想を高めたほか、為替介入についても、「国際合意の枠組みの中でやっていく」と発言していたことが話題になった。

米国主要企業の決算報告期が続いていた米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は前日の小反落後に大幅な反発を見せたものの、世界的なハイテク株比率の多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は地政学的なリスクの高まりや、大手IT系企業の決算発表と日米金融政策を控えたイベントリスクなどもあって大幅に反落し、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も反落の終値に向け、米国主要株価三指数のうち二指数が下落したため、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも低リスク通貨の円が買われやすかった。

米国ニューヨーク債券市場では、今朝早朝の終値時点の米国長期金利は4.139%と前日比で−0.046%低下し、対する日本の新発10年物の国債利回りが指標になる国内長期金利には日銀の国債購入額減額や追加利上げにより上昇圧がかかる市場予想が浮上していた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の155円2銭付近から、円の高値でドルの安値の152円64銭付近の値幅約2円38銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は152円77銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円2銭付近と比べて約1円25銭の大幅な円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時152円66銭付近の始値で、今日の昼頃の先述の日銀金融政策決定会合の0.25%への追加利上げとおよそ3兆円規模の国債買い入れ減額の発表を受けて、正午12時56分頃に対ドルの円相場は一時151円59銭付近に一時急伸したが、欧米で起きた様な0.25〜0.50%の追加利上げ幅よりも小幅で0.0〜0.10%だった日本の政策金利が0.25%程度に上昇するという実質0.15%程度の異例の超小幅な追加利上げであったことでは、すぐにドルの買い戻しも入り、数分後の昼の13時頃にはドルは円相場で一時153円89銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、午後15時30分頃から植田和男総裁のライブ記者会見が中継され、「経済・物価見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げる」と、更なる追加利上げの可能性を示唆したことや、0.5%を超える段階的な金利上昇にも利上げの壁となる抵抗は感じていないなどタカ派発言が相次いだことで、今日は国内長期金利が一時1.06%付近を超える上昇を見せるなどしていた影響もあり、午後からの欧州英国時間の参入後にも日米金利差縮小予想による日米金利差のキャリートレードの持ち高調整や、主要通貨に対する円買いの勢いが増して円相場が急伸し、一時150円台に向けた大幅な円高ドル安が進行する中で、記者会見終了後の午後16時55分には対ドル円相場は一時150円61銭付近の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円87〜88銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円89〜90銭付近の前東京終値比では約4円2銭の大幅な円高ドル安が進行したほか、日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場でも今夜17時11分頃にドルは円相場で一時150円6銭付近まで下落したが、その後には今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言予定のビッグイベントを控えており、イベントリスクの買い控えが混ざる中でも、ややドルの買い戻しや円の利益確定などの抵抗も混ざっている。

今夜この後の米国市場では、ビックイベントに加えた最新米国経済指標の発表予定などもあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時15分に7月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計、21時30分に4〜6月第2四半期の米国雇用コスト指数、22時45分に7月の米国シカゴ購買部協会景気指数、23時に6月の米国住宅販売保留指数、23時30分に週間米国原油在庫、そして27時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国政策金利と声明の発表のイベントがあり、続いて27時30分頃から発言による市場への影響力が大きい米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見での要人発言予定のビッグイベントを控えている。

また、今夜から明日の早朝までの米国ニューヨーク株式市場の株引け後の時間になると伝えられているが、フェイスブック (FB / FaceBook) などで有名な米国メタ・プラットフォームズ (Meta Platforms) の決算報告予定なども控える。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円22〜23銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の167円55〜61銭付近と比較すると約4円33銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、前述の通り、日銀の追加利上げ後も更なる追加利上げの可能性を排除しなかった植田和男総裁のタカ派発言が影響を及ぼし、日米金利差縮小予想の円買いドル売りだけでなく、日欧金利差縮小予想の円買いユーロ売りや主要通貨に対する円相場急伸の影響が見られた。

また、今日の午後16時55分に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの7月の独失業者数の前月比が、前回の1.90万人と前回修正の2.00万人と市場予想の1.50万人に対し1.80万人と、市場予想ほどの改善を見せなかったことも影響を及ぼしたが、7月の独失業率では前回と市場予想通りの6.0%に留まっていた。

ただし、今夜18時には欧州ユーロ圏の最新重要インフレ指標の7月の欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonised Index of Consumer Prices) の速報値が発表され、前年同月比は前回と市場予想の2.5%を上回る2.6%にやや上振れし、同月の欧州HICPコア指数も市場予想の2.8%に対し前回と横ばいの2.9%であった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0817〜1.0819ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0817〜1.0818ドル付近と同じほぼ横ばいレンジ圏であった。

主な要因は、米国と同様に欧州中央銀行 (ECB) 理事会にも9月の追加利下げ予想があるため、円高ドル安が進行する中で、円高ユーロ安も同時進行した影響が観測された。

ただし、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、今夜この後の米国市場でのドルのイベントリスクや、今夜18時に発表された欧州インフレ指標にやや予想比の上振れや高止まりが見られた影響もあり、小幅域ながらもユーロ高ドル安に転じる時間も見られている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は193円63〜69銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の198円94銭〜199円0銭付近と比べると約5円31銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、日銀金融政策決定会合のイベント後の主要通貨に対する円買いの影響が続く中で、8月1日には英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) が英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の英国新政策金利のイベントを控えており、2%のインフレ目標達成の一方で、英国のインフレ圧の根強さが指摘されるなど、金利据え置き予想と利下げ予想の市場予想が混在する中で、上昇トレンドだった低リスク通貨の円に対して英国ポンドのイベントリスクが近づいた持ち高調整が始まった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月31日の日本時間(JST)19時49分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時49分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:49の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.50 〜 150.52 −4.39 (円高)
ユーロ/円 163.01 〜 163.02 −4.54 (円高)
ユーロ/ドル 1.0830 〜 1.0831 +0.0013 (ドル安)
英ポンド/円 193.14 〜 193.20 −3.80 (円高)
スイスフラン/円 170.79 〜 170.85 −3.87 (円高)
豪ドル/円 97.74 〜 97.78 −3.73 (円高)

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