FXニュース:米雇用統計市場予想以下
2024年8月05日東西FXニュース – 2024年8月05日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米失業率4.1%が4.3%に
- 米9月の大幅利下げ予想
- 日欧米株安時リスク回避
- 日経平均株価年初最安値
- 低リスク通貨の円高進む
今日2024年8月5日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の145円94銭付近から、円の高値でドルの安値の141円69銭付近の値幅約4円25銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円43〜46銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の149円27〜29銭付近の前東京終値比で約5円84銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の先週金曜日の夜21時頃の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、先週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げに対し9月の米国利下げ予想が優勢になっていた影響や日米欧英の主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) ムードの影響が続き、最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表を控えたイベントリスクの安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いもあり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利低下に伴う円買いドル売りの影響が続き一時149円1銭付近の始値であったが、米国長期金利が一時3.943%付近とやや反発を見せていた先週金曜日の夜21時2分の一時149円11銭付近が米国市場の円の安値でドルの高値となった。
先週金曜日の夜21時30分には、先週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 終了後の記者会見で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長が、データ次第での次回9月の米国利下げの可能性について言及した際に、同じく言及していた米国利下げ要因のリスクバランスでは、米国のインフレリスクだけではなく米国労働市場軟化のリスクにも留意すると発言していたことで市場注目度が高まっていた最新米国重要経済指標の7月米国雇用統計の発表があり、市場予想以下や想定下振れのデータが出てきたことで、米国長期金利の一時3.835%付近への急落を伴う債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、ドルは円相場だけでなく、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても大幅な急落を見せ始めた。
7月米国雇用統計では、米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Nonfarm Payroll) は、前回の20.6万人が前回17.9万人に下方修正されたほか、市場予想の17.5万人を大幅に下回る11.4万人に下振れした。
また、7月の米国失業率も、前回と市場予想の4.1%に対し4.3%に悪化し、2021年10月以来の高失業率になった。
7月米国平均時給も、前月比が前回と市場予想の0.3%を下回る0.2%で、前年同月比も前回の3.9%が前回3.8%に下方修正され、市場予想の3.7%以下の3.6%に低下し、米国失業率の増加だけでなく、米国雇用市場軟化を受けた賃金インフレ圧の鈍化なども観測されたことで、総体的にも市場予想以下の弱い米国雇用統計となった。
米国景気減速懸念のリスク回避のリスクオフでは、世界的な安全資産の米国債買いによる債券価格上昇に伴う利回り低下を受けた米国長期金利の急落による金利差トレードの主要通貨に対するドル売りの影響だけでなく、決算報告シーズンの影響で景気動向などに敏感になっていた米国主要株価三指数が揃って下落に向けた株安リスク回避でも低リスク通貨の円が買われたため、対ドルの円相場は大幅に急伸し、先週金曜日の夜の米国雇用統計発表時の21時30分に瞬時に一時147円61銭付近を記録したほか、先週金曜日の夜21時42分頃には一時147円2銭付近と、発表前と比較すると約2円以上の円相場の急伸を見せた。
米国金利先物市場の値動きから米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) では、米国雇用統計の下振れ後に、今年9月の米国利下げ予想に、従来は優勢であった0.25%の小幅利下げ予想に対し、0.50%の大幅利下げ予想が優勢に転じるなど、確定値を超えた推移を続けていた今年9月の米国利下げ予想で以前の小幅から大幅の利下げ予想値が優勢に転じたことを受けた米国債券市場では、米国長期金利が一時急落後に一時反発はしたものの、先週金曜日の夜23時に発表された6月の米国製造業新規受注の前月比も、前回の-0.5%と市場予想の-2.9%を下回るマイナス圏の-3.3%に悪化した影響もあって再び低下トレンドに転じ、先週末の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の3.801%付近へ向けた前営業日比-0.176の低下に向けていたことでも、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りや、主要通貨への金利差縮小時のドル売りが進行した影響が円相場にも波及し、深夜24時27分頃にはドルは円相場で一時146円41銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が39,737ドル26セントの終値と前営業日比610ドル71セント安の大幅安で続落し、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も16,776ドル16.4セントの終値で前営業日比417ドル98.1セント安の大幅続落、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も5,346ドル56セントの終値と前営業日比100ドル12セント安と、米国主要株価三指数が揃って大幅続落した影響で、リスク回避のリスクオフの安全資産の米国債買いによる米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りと、日米主要株価の大幅下落を受けた低リスク通貨の円買いの影響があったため、世界的な流動性の高さを持つ基軸通貨であるもののドルの市場安値後の買い戻しは鈍かった。
このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円11銭付近から、円の高値でドルの安値の146円41銭付近の値幅約2円70銭で、先週土曜日6時頃のニューヨーク終値は146円53銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円36銭付近と比べて約2円83銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
週が明けた今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、先週末の米国雇用統計発表後の米国長期金利低下を受けたドル売りトレンドが続いたため、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円59銭付近の始値で、時間外の米国債券取引で米国長期金利3.8%台から低下後にも一時3.789%台に留まっていた今朝9時7分頃の一時145円94銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となった。
今朝の日本市場の仲値決済は、今日は5日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったが、日本企業の輸入実需の円売りドル買いと共に、輸出企業や投資系の円買いドル売りが入ったため、ドルは円相場で再び下落した。
また、今日の東京株式市場では、前日に続き、日銀の利上げ後の金利警戒感と以前の円安時に買った日本株を円高時に利益確定して売る海外の大手ヘッジファンドの株売りの影響が続き、前営業日である先週金曜日にも1987年10月19日の米国のブラックマンデー (Black Monday) の株価大暴落明けの翌20日に記録した日本株式市場の史上2番目の大幅下落後の日経平均株価が、今日は更にブラックマンデー翌日を超える日本株式史上最大となる前日比一時4600円超安の暴落の続落を見せたことでも、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われ、円は対ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどのリスク回避市場に弱い主要通貨に対しても買われて上昇した外貨影響も波及したため、対ドルの円相場は大幅な上昇を続けて、今日の午後15時頃に日経平均株価は3万1,458円42銭の終値と前営業日比4451円28銭安の史上最大の下落幅を記録して大引けし、今年の日経平均株価の年初最安値も更新した株式市場の混乱を受け、リスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの勢いが急増した午後15時7分頃にドル円は一時141円69銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
午後15時台には、世界的な安全資産でもある米国債買いの影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下で米国長期金利も一時3.686%付近まで低下したが、日本国債も買われていた影響では新発10年物の国債利回りが指標の国内長期金利も一時0.750%付近に低下しため、午後からの欧州英国市場の参入もあって市場安値後のドルには買い戻しが入り始め、世界的な流動性から基軸取引通貨でもあるドルは円相場で143円台へと2円近く下げ幅を縮めたが、前東京終値比では今日の日本市場では一時7円以上も円高ドル安が進行した後であった。
夕方の欧州英国株式市場でも欧米景気警戒感の欧州や英国の株価下落リスク回避のリスクオフでは、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドに対してドルが米国雇用統計での大幅下落後にやや買い戻されるという値動きもやや混ざったものの、米国景気減速懸念の影響があった点では、主要通貨に対する低リスク通貨の円買いの影響の方が強かった。
今日の夕方に、日本政府の鈴木財務相は、今日の日経平均株価が史上最大の下落幅になったことについて、「政府として、冷静に判断していくことが重要」とした上で、「内外の経済・金融市場の動向などについて、日銀とも連携をしながら緊張感を持って注視をするとともに、今後の経済財政運営にも万全を期していきたい」と発言したが、「円の水準は安定的に推移することが望ましい」ことも引き続き強調していた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円43〜46銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の149円27〜29銭付近の前東京終値比で約5円84銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権は持たないものの米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言予定があり、今夜22時45分に最新米国経済指標の7月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と7月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値と、今夜23時に最新米国重要経済指標の 7月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数が発表される予定である。
また、米国決算報告シーズンの欧米株式市場や債券市場からの為替相場への影響にも引き続き、注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は157円7〜8銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の161円29〜30銭付近と比較すると約4円22銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、日銀利上げ後の日欧金利差縮小予想に加えて、日経平均株価の市場最大規模の下落幅を受けた株価暴落リスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円が買われて主要通貨に対して上昇した一方で、リスク市場に弱い欧州ユーロは欧米株価下落のリスクオフでも売られやすかった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0947〜1.0949ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0803〜1.0805ドル付近と比較すると、約1.44セントの大幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、先週金曜日の夜の米国雇用統計の想定下振れ後の米国長期金利低下による主要通貨へのドル売りの影響が残っていた。
なお、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の7月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の50.7を下回る50.1に下方修正されたが、16時55分のドイツの7月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の52.0を上回る52.5に上方修正され、今夜17時の欧州ユーロ圏総合の7月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想通りの51.9の横ばいであった。
今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の6月の欧州卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比は、前回の-0.2%と市場予想の0.4%を上回る0.5%であったが、前年同月比では前回の-4.2%と前回修正の-4.1%と市場予想の-3.3%に対し-3.2%だった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円61〜67銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の189円81〜87銭付近と比べると約6円20銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、先週の英国中央銀行イングランド銀行 (BoE / Bank of England) の英国利下げに対し、日銀の追加利上げ後の日英金利差予想の影響が続いたほか、今日の日経平均株価の大暴落を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いでも、リスク市場に弱い英国ポンドが売られたため、今日の日本市場では英国ポンドは円相場で大幅安となった。
ただし、日本市場終了後の今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の7月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の52.4を上回る52.5に上方修正されたことでは、やや反発も見せていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月5日の日本時間(JST)19時44分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時44分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 142.25 〜 142.27 | −7.02 (円高) |
ユーロ/円 | 155.79 – 155.84 | −5.50 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0948 – 1.0950 | +0.0145 (ドル安) |
英ポンド/円 | 181.60 – 181.66 | −8.21 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.60 – 167.66 | −3.50 (円高) |
豪ドル/円 | 91.83 – 91.87 | −5.35 (円高) |
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