FXニュース:日米金利差縮小予想後退

2024年8月07日
FXニュース:日米金利差縮小予想後退

 

東西FXニュース – 2024年8月07日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米株価反発後反落警戒
  • 日銀副総裁がハト派発言
  • 「市場不安定時利上げせず」
  • 日銀金融市場安定化配慮
  • 日経平均株価反発後続伸

今日2024年8月7日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の144円55銭付近から、円の安値でドルの高値の147円90銭付近の値幅約3円35銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円79〜81銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円31〜32銭付近の前東京終値比では約1円48銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向と分析はまず、昨日の日本市場で日経平均株価が史上最大の反発を見せたややリスク選好のリスクオン (Risk-on) ムードで終了した後の欧州市場では、昨夜18時に発表された最新欧州経済指標の6月の欧州ユーロ圏総合の欧州小売売上高の前月比が前回の0.1%と市場予想の-0.1%を下回る-0.3%に低下したほか、前年同月比も前回の0.3%と前回修正の0.5%と市場予想の0.2%を下回る-0.3%と下振れしたため、再び欧米景気懸念のリスク回避のリスクオフ (Risk-on) の警戒感が高まったため、欧州ユーロが世界的な流動性が高い基軸通貨のドルや低リスク通貨の円に対して売られたほか、世界的な安全資産である米国債が買われた影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、昨夜18時過ぎには一時3.862%付近に上昇していた米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、昨夜21時頃には一時3.842%付近に反落したため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時145円15銭付近の始値であった。

昨夜21時30分には、最新米国経済指標の6月の米国貿易収支が発表され、前回の-751億ドルと前回修正の-750億ドルよりは改善されたものの、市場予想の-725億ドルを下回る-731億ドルであったことなどを受けては、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債買いの需要がしばし続き、昨夜22時25分頃に米国10年債の利回りは一時3.815%付近にまで低下したため、しばらく戻りが鈍かった時間もあった昨夜22時46分頃に、ドルは円相場で一時144円4銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国主要企業の決算報告シーズンの影響で景気や金利先行きなどのニュースに敏感になっていた米国ニューヨーク株式市場では、前米国市場で発表された米国重要経済指標の7月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数の総合指数が前回は景気ボーダーラインの50以下の不景気寄りだった48.8から市場予想の51.0を上回る好景気寄りの51.4に上昇し改善されて以来は、先週金曜日の米国雇用統計下振れによる過度な米国景気減速懸念がやや緩和されてきていたため、前日には揃って大幅続落した米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) の米国主要株価三指数が、昨日の日経平均株価に続き大幅な反発を見せ始めたため、米国主要株価上昇時のブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオンムードに再び転じたため、債券価格上昇後の米国債に利益確定売りが起き始めて米国長期金利が反発上昇し、午前2時台の一時3.912%付近に向けた大幅な上昇幅を見せていたことでは、債券利回りを受けた金利差トレードの主要通貨に対するドル買いと共に低リスク通貨の円が売られて、午前1時59分頃にドルは円相場で一時145円42銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待の一方で、米国景気減速懸念もやや燻っており、一時の大幅な株価上昇後の早期の利益確定売りの慎重な投資家姿勢が混ざり始めたほか、ナイトセッションの日経平均株価先物が、昨日の大幅反発後の反落を示したことなどでは、再びリスク回避のリスクオフムードも漂い始めたことでは、やや低リスク通貨の円が買い戻され始めた。

また、米国金利先物から米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) では、次回9月17〜18日に開催が予定されている米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ予想値が、以前は一時50bp (0.50%) の大幅な米国利下げ予想が確定値と考えられている70%を超えて推移していたものが確定値割れに下げ始めており、25bp (0.25%) の小幅利下げ予想値が37.5%に上昇したことに対し、50bpの大幅利下げ予想値は62.5%付近に低下した。

米国の金利先行きに敏感な米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が前日比では大幅上昇の範囲内ではあるが一時の大幅な上昇率をやや縮め始めたほか、国際的なハイテク企業株の比率が多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) では、先日までに大株主だった米国投資家のウォーレン・バフェットが大規模な利益確定売りを展開したアップル (Apple) や、マイクロソフト (Microsoft) 、アマゾン(Amazon)、グーグル (Google) のアルファベット (Alphabet) 、フェイスブック (FaceBook) のメタ・プラットフォームズ、電気自動車のテスラ (Tesla) 、エヌビディア (NVIDIA) の米国巨大テクノロジー株7銘柄の時価総額は、ピークだった今年の7月上旬と比較して8月6日時点で約2.5兆ドル (日本円で約362兆円) 下落したと言われており、特に最近のAI (Artificial intelligence / 人工知能) ブームで今年の米国株式市場を先導してきたAI半導体のエヌビディア (NVIDIA) の時価総額は約81兆円も減少したことが世界市場の話題になっていた。

ただし、今朝早朝の米国ニューヨーク市場の終値時点でも、米国主要株価三指数は、前日までの大幅続落後の買い戻しの反発としては米国主要株価三指数が揃って前日終値比で上昇の終値をつけており、米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は38,997ドル66セントと前日比294ドル39セント高の大幅高ではあったが一時の大幅上昇幅をかなり縮めており、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も16,366ドル86セントの終値で前日比166ドル77セント高の大幅高であったが、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) は5,240ドル3セントの終値と前日比53ドル70セント高で、前日の大幅下落時の3分の1で半値戻しができなかったことでは、低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗も混ざり、米国株引け後もしばし続いていた米国ニューヨーク外国為替市場終盤の午前5時57分頃には、対ドルの円相場は一時144円15銭付近に円相場が一時反発した時間も観測されたが、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は終値時点に3.896%と前日比で0.106上昇していたことでは、この時点での日米金利差の影響ではドルも円相場で下げ渋っていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円4銭付近から、円の安値でドルの高値の145円42銭付近の値幅1円38銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円34銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円18銭付近と比べて約16銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円74銭付近の始値であったが、今朝の東京株式市場では今朝までのナイトセッションの日経平均株価先物の反落を反映した今朝の日経平均株価が前日比で反落して始まったため、低リスク通貨の円買いが先行し、ドル円は今朝9時3〜4分頃にかけて一時144円55銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝10時30分頃頃から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の内田真一副総裁が、北海道函館市で開催された金融経済懇談会の講演で発言し、「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」と追加利上げに慎重なハト派発言したことが市場で話題になり、金利警戒感や円高転換を背景にした海外投資家の利益確定売りで先日の日銀の追加利上げ後に日経平均株価が史上最大の大幅下落幅を記録後の昨日に史上最大の大幅反発を見せた後に、今朝は再び反落で始まっていた株式市場では配慮への反応が出始めて、当面の間の日銀の追加利上げへの警戒感が緩和され、日経平均株価が反落の下げ幅を縮め始めてプラス圏に上昇し、再び前日比で大幅上昇の続伸トレンドになったことで低リスク通貨の円が売られ、日銀副総裁の発言の報道後の午前10時46分頃には、ドルは円相場で一時147円49銭付近に急伸した。

また、前述の通り、米国の9月の利下げ予想値でも、一時は確定値超えだった大幅利下げ予想が確定値を下回った一方で、小幅利下げ予想が再浮上して戻してきていたため、大幅な日米金利差縮小予想が後退していたこともあり、当面の間は日米の金利差が続くのではないかという日米金利差の市場予想などが影響を及ぼして、米国長期金利が一時3.920%付近に上昇し、債券利回りを受けたドルの買い戻しと、先日の急速な円高後の円の利益確定売りや持ち高調整が続き、今日の日経平均株価が午前の終値で大幅高になった後に、午後の部も大幅高で安定した推移を見せ始めたことで、株式市場からの低リスク通貨の円売りも相まって、昼の13時34分頃にはドルは円相場で一時147円90銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

午後14時30分頃から日銀の内田真一副総裁の記者会見もあるというニュース速報が入ったことでは、警戒感もあって市場高値後のドルにも利益確定売りが入り始めたほか、市場安値後の円の買い戻しの抵抗もやや入ったものの、記者会見では、今後の日銀の追加利上げに関する個人的な意見として、「これまでよりも慎重に考えるべき要素が生じている」と慎重な姿勢を示し、「日銀の政策変更に伴う円安修正は、株価下落の要因の一つ」として、「市場の変動の影響注視し、そのことを政策に反映していくのは当然」と、金融市場の安定化に向けた配慮を強調したほか、自身の考えは植田和男総裁とも違いはないとも言及したことで、市場には安堵感が漂い、今朝9時台には前日比で一時は大幅な反落を見せて始まった今日の日経平均株価は、日銀の内田真一副総裁の発言後には上昇トレンドに転じ、午後15時台に3万5089円62銭の終値をつけて、前日比414円16銭高の大幅高と続伸して大引けした。

日本市場で、日経平均株価の大幅続伸を受けた低リスク通貨の円が売られた一方で、午後からの欧州英国市場でも、大幅な日米金利差縮小予想の後退を受けて、米国長期金利が上昇しており、欧米株価指数も堅調な動きであったため、日本市場終盤のドルの利益確定売りの抵抗を交えながらも、ドルは円相場で146円台までで下げ止まって反発した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円79〜81銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の145円31〜32銭付近の前東京終値比では約1円48銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と米国債の入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA (Mortgage Bankers Association / 米抵当銀行協会)住宅ローン申請指数、23時30分に米国週間原油在庫、26時に米国10年債の入札予定、28時に6月の米国消費者信用残高などが発表される予定である。また、米国主要企業の決算報告シーズンの影響が続いている米国株式市場や、債券市場の為替相場への影響などにも引き続き注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円29〜30銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円81〜83銭付近と比較すると約1円48銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、今日の日銀の内田真一副総裁のハト派寄りの発言の影響を受けて、日経平均株価が続伸に転じたことで低リスク通貨の円が売られており、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対しても円相場が下げていた。

また、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の6月の独鉱工業生産は、前月比が前回の-2.5%と前回下方修正の-3.1%と市場予想の1.0%を上回るプラス圏の1.4%に改善され、前年同月比も前回の-6.7%と前回下方修正の-7.2%と市場予想の-4.2%に対し-4.1%にマイナス圏ながらも改善を見せていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0918〜1.0920ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0928〜1.0930ドル付近と比較すると、約0.10セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、過度な米国景気減速懸念が後退し、来月9月の米国利下げ予想で大幅利下げ予想が確定値を下回ったことで、米国長期金利の反発上昇を受けたドルの買い戻しが入り、円相場だけでなく欧州ユーロなどの他の主要通貨に対してもドルが上昇していた。

なお、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の6月の独貿易収支は、前回の249億ユーロと前回上方修正の253億ユーロと市場予想の235億ユーロを下回る204億ユーロであった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は186円34〜40銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の185円15〜21銭付近と比べると約1円19銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、今日の日銀の内田真一副総裁の発言の影響を受けて、日経平均株価が上昇時の低リスク通貨の円売りが起きた影響が、先週の英国中央銀行イングランド銀行 (BoE / Bank of England) の小幅な英国利下げ後にも5.00%の英国政策金利と、日本利上げ後の0.25%との金利差が当面の間続く可能性から、英国ポンドにも波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月7日の日本時間(JST)19時52分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時52分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:52の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.19 〜 147.20 +1.88 (円安)
ユーロ/円 160.75 〜 160.76 +1.94 (円安)
ユーロ/ドル 1.0920 〜 1.0922 −0.0008 (ドル高)
英ポンド/円 187.22 〜 187.28 +2.07(円安)
スイスフラン/円 170.63 〜 170.69 +0.87 (円安)
豪ドル/円 96.69 〜 96.73 +2.27 (円安)

注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。