FXニュース:日米金利差縮小予想再燃

2024年8月08日
FXニュース:日米金利差縮小予想再燃

 

東西FXニュース – 2024年8月08日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米主要株価反発後の反落
  • 日銀主な意見にタカ派も
  • 「段階的な利上げが必要」
  • 日経平均株価が再び反落
  • 米大幅利下げ予想再浮上

今日2024年8月8日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の145円42銭付近から、円の安値でドルの高値の146円87銭付近の値幅約1円45銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円85〜87銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円79〜81銭付近の前東京終値比では約94銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向と分析はまず、昨日の日本市場で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の内田真一副総裁が、「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」と追加利上げに慎重なハト派発言をした影響では日経平均株価続伸に伴う低リスク通貨の円売りが起きたほか、昨夕の欧州市場では欧州主要株価のドイツのDAX (Deutscher Aktien IndeX) 株価指数も大幅高になり、日欧株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) ムードで世界的な安全資産の米国債が売られて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、昨夜19時台には一時3.941%付近になり、債券利回りを受けた日米金利差の円売りドル買いが為替相場に影響を及ぼしたことなどから、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円20銭付近の始値であった。

しかし、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、先週金曜日の米国雇用統計が市場予想を下回ったことに起因した下振れ後の過度な米国景気減速懸念はやや緩和されてきたものの、米国主要企業の決算報告シーズンの影響で投資家や株主達達が市場のトレンドに敏感になっていたこともあり、リスクへの警戒感が払拭できずに、前日に上昇して引けていた米国主要株価三指数が一時の大幅上昇後に早期の利益確定などで上昇幅を縮め始めたため、再び反落に向かうことへの市場の懸念が高まるにつれて、リスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円が再び入り始めて対ドルの円相場が反発し、昨夜23時28分頃にドルは円相場で一時146円65銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したほか、数分後の昨夜23時30分頃と23時37分頃にも一時146円65銭付近を再記録していた。

ただし、同時進行中だった欧州株式市場の安全資産の米国債売りの影響も続いていた昨夜の米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが上昇を続けており、米国長期金利は深夜24時5分過ぎ頃には一時3.962%付近の高利回りになっていたため、債券利回りを受けた日米金利差トレードの円売りドル買いも入っていたことでは、日米金利差縮小予想の一時後退中でもあったため、深夜24時36分頃にドルは円相場で一時147円69銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に米国10年債の入札が予定されていたため、入札前の午前1時45分頃には債券価格が一時的に上昇したため、債券価格上昇に伴う利回りの低下の影響が一時観測されたことでは米国10年債の利回りは一時3.935%付近に低下したため、市場高値後のドルの利益確定売りと市場安値圏からの低リスク通貨の円買いなどが入って円相場が反発を始めたが、午前2時の米国10年債の入札がやや不調に終わると再び米国債売りが優勢になり、米国長期金利は午前4時頃の一時3.979%付近に向けて再び上昇を始めたことは円相場の上値を抑えていた。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、前日は揃って上昇して引けていた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が市場前半の上昇後に続伸できずに揃って反落に転じ、特に米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前日比で大幅安の終値に向かったため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフでドルからでも買える低リスク通貨の円買いが勢いを増したことでは、ドルは円相場で再び146円台の市場安値圏に近づいたが、米国ニューヨーク債券市場の終値時点でも米国10年債の利回りは3.942%付近と前日比で0.046も上昇していたことでは、ドルは円相場で米国市場のドルの市場安値前で下げ渋った。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円65銭付近から、円の安値でドルの高値の147円69銭付近の値幅1円4銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円68銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円34銭付近と比べて約2円34銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間にあたる午前8時50分には、今日の日本市場に先立って日本銀行 (日銀 / BoJ) が先月7月30〜31日開催分の前回の日銀金融政策決定会合における「主な意見」を公表したが、「0.25%という名目金利は、引き続き、極めて緩和的な水準であり、経済をしっかりと支えていく姿勢に変わりはない」、「緩やかなペースの利上げは、基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するものであり、引き締め効果を持たない」ことが言及されたほか、一部の委員は、「今回の政策変更後も、物価が見通しに沿って推移するもと、その都度、金融緩和の一段の調整を進めていくことが必要」で、「政策金利を中立金利まで引き上げていくべきだ。中立金利は最低でも1%程度とみているが、経済・物価の反応を確認しつつ、適時、段階的に利上げしていく必要がある」などの、更なる追加利上げに前向きなタカ派の意見が出ていたことから、前日の内田真一副総裁のハト派発言を覆す様な株式市場の警戒感が再び高まり始めた。

金融市場への配慮で政策金利が急速に追加利上げをされない場合にも、国債購入額減額による長期金利抑制が弱まって行くことで個人や企業に対する固定金利ローン見直し時の長期金利上昇圧への警戒感が続くことには変わりがないため、一部の委員が国債買い入れ減額についても、「慎重に進めれば、市場にサプライズを起こさず実施可能だと思われる」などと意見していたこともあり、すでに史上最大の下落幅の後に史上最大の反発と不安定な株式市場にサプライズ感が起きていた市場では、再び警戒感によるリスク回避姿勢が優勢になった。

そのため、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円28銭付近の始値であったが、今朝の東京株式市場で日経平均株価がリスク回避の株売りと低リスク通貨の円買いで始まると、対ドルの円相場が大きく上昇し、今朝9時46分頃にドル円は一時145円42銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

今朝9時50分頃には日経平均株価は一時3万4259円96銭付近にまで売られて前日比で829円66銭安の大幅安を記録しており、この後にはマイナス圏での反発を始めたものの、日本株価大幅下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われる値動きが、この時間にはドルだけでなく他の主要通貨に対しても強まっていた。

ただし、今朝発表された日本の最新経済指標の6月の日本国際収支の貿易収支は前回の-1兆1089億円の赤字額が大幅に改善され、市場予想の3507億円を大幅に上回る5563億円の黒字に転じていたことなどもあり、その後の日経平均株価は下げ幅を縮め、11時台には前日比で一時プラス圏に転じる時間があったため、それまでのリスク回避で買われた低リスク通貨の円が売られたほか、今朝9時台のリスク回避市場では一時3.904%付近に低下していた世界的な安全資産でもある米国債が時間外の米国債券取引で下げ幅を縮めて今朝11時過ぎには一時3.934%付近に反発し、債券利回りを受けた日米金利差トレードの円売りドル買いも入り、今朝11時25分頃にドルは円相場で一時146円87銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、国内金利上昇への警戒感とリスクオフムードが払拭できない日経平均株価は、一時のプラス圏からの早期の利益確定売りなどを受けて再び前日比でマイナス圏の下落に転じて下げ幅を大幅安の終値に向け、午後15時頃に3万4831円15銭の終値と、前日比258円47銭安の大幅安で大引けしたことを受けては、日経平均株価反落を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが再び優勢になり、主要通貨に対し円相場が上昇した。

また、午後からの欧州市場に続く世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の参入でも、米国金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) で、次回9月17〜18日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で、米国中央銀行の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の確定値超えの米国利下げ予想値の利下げ幅予想の割合が今日は再び変動しており、25 bp (ベーシスポイント / Basis point = 0.25%) の小幅利下げ予想値が25.5%に後退する一方で、50 bp (Basis point = 0.50%) の大幅利下げ予想値が74.5%に上昇しており、確定値と考えられている70%を再び上回ったことで、昨日は日銀 (BoJ) の副総裁が追加利上げに慎重な姿勢を見せたものの、今朝の日銀の主な意見では追加利上げに前向きなタカ派意見が飛び交っていたため、米国FRBが次回のFOMCで大幅な米国利下げを開始する場合には、日米金利差縮小予想が再び高まることへの警戒感が燻った影響もあり、夕方16時44分頃に対ドルの円相場は一時145円62銭付近への上昇を見せていた。

ただし、夕方の米国長期金利は3.9%台で推移しながら再び上昇トレンドを見せ始めたことでは、債券利回りを受けた日米金利差の影響も続き、ドルは円相場で下げ幅を縮め始めた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円85〜87銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円79〜81銭付近の前東京終値比では約94銭の円高ドル安になった。

また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利の上昇が続き、今夜18時39分頃には一時3.924%付近に向けていたことから、今夜18時31分頃には金利差トレードで高金利のドルが買われて円相場で上昇し、一時146円49銭付近を記録した。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と米国債の入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、今夜23時に6月の米国卸売売上高、26時に米国30年債の入札予定、28時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁の発言予定などを控えている。

また、米国主要企業の決算報告の影響が続く米国株式市場や、債券市場などからの為替相場への影響などにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は159円57〜58銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円29〜30付近と比較すると約72銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、前述の通り、昨日の日銀の内田真一副総裁のハト派寄りの発言に対して今日発表された前回の日銀委員達の主な意見では追加利上げに積極的なタカ派寄りの意見が目立ち、国内金利上昇への警戒感が再び高まって日経平均株価が大幅な反落に転じたことで、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が主要通貨に対して買われており、今日の日本市場ではドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどに対しても円相場が上昇した。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0939〜1.0940ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0918〜1.0920ドル付近と比較すると、約0.21セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、過度の米国景気減速懸念は後退したものの、警戒感が完全に払拭されずに燻っていたことなどを受けて、来月9月の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国大幅利下げ予想値が再び上昇しており、今日の午後の欧州市場参入時には確定値を再び上回ったことが影響を及ぼしたが、今日の夕方の時間外の米国債券取引では米国長期金利が上昇していた時間があったことでは、対ユーロでのドルの下げ幅は比較的小幅域に留まっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は185円23〜29銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の186円34〜40銭付近と比べると約1円11銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、今日の日経平均株価下落を受けた低リスク通貨の円買いでは、欧州ユーロ同様にリスク回避市場で売られやすい英国ポンドも円相場で下落したことに加えて、今朝発表された前回の日銀金融政策決定会合でのタカ派意見を受けて、前回英国利下げに踏み切った英国ポンドとの日英金利差縮小予想による円買いポンド売りも為替相場に影響を及ぼしたことで、前日比で大幅な円高ポンド安になった。

また、前回の英国利下げの主な要因は、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が目標としてきた2%のインフレ抑制の達成であったが、今朝8時1分頃に発表された最新英国経済指標の7月の英国王立公認不動産鑑定士協会(RICS / Royal Institution of Chartered Surveyors / 英国王立勅許鑑定士協会) 住宅価格指数が、前回の-17と市場予想の-10を下回る-19に鈍化したことなども今後の英国政策金利予想に影響を及ぼした。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月8日の日本時間(JST)19時40分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時40分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:40の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 146.23 〜 146.25 −0.56 (円高)
ユーロ/円 159.72 〜 159.73 −0.57 (円高)
ユーロ/ドル 1.0921 〜 1.0923 +0.0003 (ドル安)
英ポンド/円 185.46 〜 185.52 −0.88 (円高)
スイスフラン/円 170.44 〜 170.50 −0.97 (円高)
豪ドル/円 95.79 〜 95.83 −0.26 (円高)

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