FXニュース:米景気懸念後退ドル急伸

2024年8月16日
FXニュース:米景気懸念後退ドル急伸

 

東西FXニュース – 2024年8月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小売売上高コア上振れ
  • 前週分失業保険申請数減
  • 米長期金利上昇3.952%
  • 米経済の軟着陸に期待感
  • 日米株高受けリスク選好
  • 日経平均株価1336円超高

今日2024年8月16日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の149円27銭付近から、円の高値でドルの安値の148円74銭付近の値幅約53銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円3〜4銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円24〜26銭付近の前東京終値比で約1円79銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円22銭付近で、最新米国重要経済指標の発表イベントを控えたドルのイベントリスクでは昨夜21時15分頃に一時147円18銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、昨夜21時30分に米国商務省が発表した景気関連の最新米国重要経済指標の7月の米国小売売上高が、前月比は前回の0.0%と前回修正の-0.2%と市場予想の0.3%を上回る1.0%に上振れしたことに加えて、自動車を除いた米国小売売上高のコア指標も前月の0.4%と前回修正の0.5%と市場予想の0.1%を上回る0.4%に上昇したため、米国景気減速懸念が後退し、ドルは円や主要通貨に対して大幅に急伸し、ドル円は148円台を上抜けて149円台に向けた上昇を始めた。

昨夜21時30分に同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数も、前回の23.3万件と前回修正の23.4万件と市場予想の23.5万件よりも改善された22.7万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の187.5万人と前回修正の187.1万人と市場予想の187.5万人よりも堅調な186.4万人であったことで、先日の米国雇用統計の下振れを受けて燻っていた米国雇用市場への懸念も同時に緩和されたことで、世界的な安全資産の米国債売りの影響で米国10年債の利回りが指標になる米国長期金利が大幅上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いが起きたほか、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待で今年9月の米国大幅利下げ予想が大幅に後退し、小幅利下げ予想が一時確定値を記録したことで、主要通貨に対する金利差予想でもドルが買われた。

同時刻に発表されていた8月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数も、前回の-6.6と市場予想の-6.0よりも強い-4.7であったが、8月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数は前回の13.9と市場予想の6.0を下回る-7.0と一部地区で下振れして弱かったことでは、ドルの大幅急伸中にはわずかながらも抵抗も混ざったものの、同じく発表されていた7月の米国輸入物価指数の前月比は前回の0.0%と市場予想の-0.1%を上回る0.1%で、7月の米国輸出物価指数の前月比も前回の-0.5%と前回修正の-0.3%と市場予想の0.0%を上振れする0.7%であったことから抵抗幅は限られた。

全米レベルの最新重要経済指標の米国小売売上高の上振れを受けて、米国の個人消費の堅調さによるインフレ圧も意識された米国債券市場では、米国景気懸念緩和や米国大幅利下げ予想後退により安全資産の米国債の利益確定や持ち高調整の売りが進み、債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国小売売上高の発表前の昨夜21時25分頃には一時3.858%付近だった米国長期金利が、発表後の昨夜21時35分頃には一時3.923%付近に大幅に上昇し、更に昨夜22時50分頃の一時3.952%付近に向けた上昇トレンドが観測されていたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いと、主要通貨に対する一時ドル全面高の波及で、昨夜22時8分頃にドルは円相場で一時149円32銭付近を記録した。

ただし、より重要度は低いものの、続いて昨夜22時15分に発表された最新米国経済指標の7月の米国鉱工業生産の前月比が前回の0.6%と前回修正の0.3%と市場予想の-0.3%を下回るマイナス圏の-0.6%に悪化したことや、昨夜23時の8月の全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数も前回の42と前回修正の41と市場予想の43を下回る39であったことではやや抵抗も混じったが、その後の午前5時に発表された6月の対米証券投資は前回の158億ドルと前回修正の161億ドルに対し1075億ドルと大幅に増加し、短期債除いた6月対米証券投資も前回の-546億ドルと前回修正の-541億ドルに対してプラス圏の961億ドルに規模か拡大していた。

また、先述の重要景気指標の7月の米国小売売上高は、季節調整済みで7096億6800万ドル (約105兆円) の増加と、2カ月連続で市場予想を上回っていたことが指摘されたことでも米国景気懸念の緩和が続き、米国ニューヨーク債券市場での米国長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いが起きただけでなく、昨夜から今朝早朝までの米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅高の続伸に向かったほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も続伸の終値に向けたため、米国主要株価三指数の続伸を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円が売られたため、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の今朝5時55分頃にドルは円相場で一時149円39〜40銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

米国ニューヨーク債券市場では、今朝早朝の終値時点の米国10年債の利回りは3.914%付近と、前日比+0.075上昇して終えていた。

なお、米国金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今年9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ予想値が、今日の時点では、0.25%の米国小幅利下げ予想値が市場での確定値と考えられている70%を超える72.5%付近に上昇して推移しており、それに対して0.50%の米国大幅利下げ予想値は27.5%付近に低下していた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円18銭付近から、円の安値でドルの高値の149円40銭付近の値幅2円22銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は149円28銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円33銭付近と比べて約1円95銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝8時50分頃のアジア・オセアニア市場では、時間外の米国債券取引で米国長期金利が一時3.927%付近に上昇しており、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時149円23銭付近の始値であったが、今朝早朝までの米国主要株価三指数の上昇を受けた今朝の東京株式市場でも今日の日経平均株価が前日比大幅高で始まったリスクオンムードの影響などがあり、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時149円27銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、昨夜から今朝にかけて米国市場で大幅な円安ドル高が進行していたため、今日の日本市場では高値のドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整買いの抵抗が入り始めたことでは、今週の日本はお盆休みの夏季休暇のホリデーシーズンで市場流動性の減少により値幅が拡大しやすくなっていたため、今朝11時42分頃にドルは円相場で一時148円74銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、日本市場の時間外の米国債券取引では米国長期金利上昇後の債券価格低下時の安値の米国債買いの影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下の反落があったことも、債券利回りを受けた日米金利差トレードでも、高値圏のドルの利益確定売りや持ち高調整が入っていた。

しかし、それでも前東京終値比では大幅な円安ドル高が進行していたため、今日の円安を追い風にした海外投資の再流入や、米国を主要な取引先に持つ日本企業の株などが米国景気懸念緩和で買われて上昇し、今日の日経平均株価は今年2番目となる大幅高に向けたことでは、再び日米株高を受けたリスク選好のリスクオンでは低リスク通貨の円が売られて円相場が下落し、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨も円相場で上昇した。

午後15時台には、今日の日経平均株価は3万8062円67銭の終値をつけ、前日比1336円3銭高の大幅高を記録して大引けし、今年年内2番目の大幅な上昇幅を記録したほか、史上ランキングでも9番目の上昇幅を記録するなど、日米の株価上昇時のブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオンムードになっていた。

午後からの欧州英国市場の参入では、日本市場の今日の昼頃には一時3.899%付近にまで低下していた米国長期金利が反発し、夕方には一時3.910%付近に下げ幅を縮めたことでは、ドルは円相場で149円台を回復していたが、その後には米国長期金利が再び低下に向けたことでは、ドルは円相場で今朝の市場高値を上抜けはせずにやや上昇幅を縮めていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円3〜4銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円24〜26銭付近の前東京終値比では約1円79銭の大幅な円安ドル高になっていた。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に7月の米国住宅着工件数と7月の米国建設許可件数、続いて今夜23時に8月の米国ミシガン大学消費者態度指数 (信頼感指数) の速報値と、26時25分頃から米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言予定があるが、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での投票権は持っていないことには注意が必要である。

また、米国長期金利との金利差を受けたトレードなどに影響を与えている債券利回りや、世界の株式市場などからの為替相場への値動きの影響なども市場では注視されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円72〜73銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の162円16〜17銭付近と比較すると約1円56銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の米国小売売上高の上振れを受けた米国景気減速懸念後退により、日米株高時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られた一方で、ドル買いだけでなく、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが円相場で買われた影響から、前東京終値比で大幅な円安ユーロ高の今日の東京終値になった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0984〜1.0988ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1011〜1.1013ドル付近と比較すると約0.27セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、米国景気減速懸念の後退と共に米国経済のソフトランディング期待が高まり、今年9月の米国大幅利下げ予想が後退したことで米国小幅利下げ予想による欧米金利差予想の影響などもあり昨夜の米国長期金利が大幅に上昇したため、昨夜は円相場だけでなく欧州ユーロなどの他の主要通貨に対してもドルが買われて一時はドルが全面高になった影響が残っており、今日の東京終値時点でも前東京終値比のユーロ安ドル高が観測された。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円97銭〜192円3銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の189円19〜25銭付近と比べると約2円78銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、ユーロ円の要因でも述べた通り、今朝までの米国主要株価三指数続伸に続く今日の日経平均株価の大幅続伸を受けて、市場ではリスク選好のリスクオンムードの低リスク通貨の円売りが継続し、欧州ユーロと同様にリスクオン市場で買われやすい英国ポンドも円相場で大幅に上昇した。

また、今日の午後15時には最新英国経済指標の発表があり、7月の英国小売売上高は、前月比が前回の-1.2%と前回修正の-0.9%よりも改善し、市場予想通りの0.5%に上昇したほか、前年同月比も前回の-0.2%と前回修正の-0.3%に対し市場予想通りの1.4%であった。

自動車を除くコアな7月の英国小売売上高の前月比は前回の-1.5%と前回修正の-1.3%からはプラス圏に改善されたものの市場予想の0.8%にはやや届かない0.7%ではあったものの、前年同月比では前回マイナス圏だった-0.8%に対して市場予想通りのプラス圏に1.4%に上昇していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月16日の日本時間(JST)19時26分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時26分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:26の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 148.49 〜 148.50 +1.25 (円安)
ユーロ/円 163.19 〜 163.21 +1.03 (円安)
ユーロ/ドル 1.0989 〜 1.0990 −0.0022 (ドル高)
英ポンド/円 191.66 〜 191.72 +2.47 (円安)
スイスフラン/円 171.02 〜 171.08 +0.97 (円安)
豪ドル/円 98.52 〜 98.56 +1.02 (円安)

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