FXニュース:米9月利下げ予想を意識

2024年8月21日
FXニュース:米9月利下げ予想を意識

 

東西FXニュース – 2024年8月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 海外中銀利下げトレンド
  • 安全資産の米国債に買い
  • 米長期金利低下時ドル安
  • 欧米日株反落リスクオフ
  • 低リスク通貨円買い影響
  • 日経平均株価下げ幅縮小
  • 日米イベント控えた調整

今日2024年8月21日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の144円93銭付近から、円の安値でドルの高値の146円22銭付近の値幅約1円29銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円11〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円50〜52銭付近の前東京終値比で約39銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州連合 (EU / European Union) の中でも独自通貨のスウェーデン・クローナを持つ北欧スウェーデン国立銀行のリクスバンク (Sveriges Riksbank) が、今年の5月以来2会合ぶりにスウェーデンの新政策金利を0.25%利下げし、従来の3.75%から3.5%に引き下げることを決定したほか、今後の追加利下げについても、「今年さらに2〜3回利下げする可能性がある」と発表したことを受けて、海外の中銀による利下げトレンドが意識され、今年9月の米国利下げ予想により、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が昨夜19時台の一時3.882%付近をピークに低下に転じた。

欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円37銭付近の始値であったが、今夜この後に発表予定の米国労働省労働統計局 (BLS / Bureau of Labor Statistics) の年次改定値の暫定値では、昨年2023年4月から今年2024年3月までの米国非農業部門雇用者数 (NFP / Non-farm Payrolls) が大幅に下方修正されるとの市場予想が出ていたこともあり、米国雇用市場に想定以上の軟化が見られる場合には大幅利下げや追加利下げの可能性も否定できないことを背景に、週内のイベントリスクの影響もあり、安全資産の米国債買いに伴い利回りが更なる低下に向けたため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利低下時の日米金利差縮小時の円売りドル買いや、イベントリスクのドルの持ち高調整や買い控えが他の主要通貨に対しても入り、米国長期金利がまだ一時3.851%付近と3.8%台後半下げ渋っていた昨夜21時42分頃の一時146円49銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となり、その後には米国長期金利が3.8%台前半に向けて急落したため、対ドルの円相場が上昇した。

今週金曜日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の発言予定と、同日の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定の週内のイベントリスクも控えた市場ではドルの持ち高調整が進んでいたが、先行していた欧州や英国の株式市場が前日の上昇後に反落した影響もあり、米国ニューヨーク株式市場では、前日までは揃って続伸していた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って反落の終値に向けていたことも、欧米株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われて、ドルや主要通貨に対して円相場が上昇する原因となったほか、世界的な安全資産である米国債買いが続いたことでも、債券価格上昇時の利回り低下により米国長期金利が低下し、債券利回りの金利差縮小を受けた主要通貨に対するドル売りに繋がった。

この日の米国市場では特に重要度の高い最新経済指標の発表はなかったものの、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言の影響もあり、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) で、今年9月17〜18日開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が9月に米国利下げを開始する予想値は全体的に100%付近に達しているが、その中でも利下げ幅の市場予想値では0.25%の米国小幅利下げ予想が前日までは市場で確定値と考えられている70%を超えて推移していたが、今夜の米国雇用統計の下方修正予想の影響などで米国小幅利下げ予想値は今日は69.5%付近に低下して確定値をやや下回った一方で、米国大幅利下げ予想値は一時30.5%付近にやや上昇していた。

イベントリスクを控えた市場ではリスク回避の安全資産の米国債買いの需要も高く、これらの安全資産の米国債買いに加えて、米国利下げ予想でも米国長期金利が低下を続けたため、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は3.808%付近と、前日比で-0.066と低下していたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りや、主要通貨に対するドル売りが起き、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の今朝早朝の午前5時27〜29分頃と午前6時頃にドルは円相場で一時145円20銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、昨夜から今朝までの次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言の中では、FRBの中でもタカ派として有名なミシェル・ボウマン理事が、短期の経済指標に過剰な反応せずに米国景気関連の長期指標を全体的に見るとインフレ上昇リスクが継続しているとの見解からは米国金融政策の変更には引き続き慎重な姿勢を見せたものの、以前の様な「必要であれば利上げを行う用意がある」という様な発言は最近は控えており、市場予想で確定値に達している今年9月の米国利下げ予想に関しては、現在の5.25〜5.50%の高金利の金融政策継続のスタンスのもとでは米国のインフレ率は引き続き低下するはずであり、目標の2%の目標達成に向けて米国のインフレが持続的な低下を続ける場合には、「金融政策が米国経済や米国雇用市場に対して過剰に制約的になることを防ぐため、米国政策金利を徐々に引き下げることが適切となるだろう」とハト派寄りの発言をしたことなども話題になっていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円49銭付近から、円の高値でドルの安値の145円20銭付近の値幅1円29銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は145円20銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の146円55銭付近と比べて約1円35銭の大幅な円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時145円33銭付近の始値であったが、お盆休み明けでもまだ夏休み時期ということで市場流動性がまだ減少しており、少しのまとまった値動きでも値幅が拡大しやすく荒い値動きになりやすくなっていたことから、昨夜から今朝までの欧米主要株価の下落の影響に加えて、円安時に買った日本株を円高時に利益確定売りして利益率を高める海外投資勢の日本株売りなどで、今朝の東京株式市場では日経平均株価が前日比で一時409円58銭安付近の大幅な下落から始まったため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われて円相場がドルや主要通貨に対して一時急騰し、今朝9時32分頃にドルは円相場で一時144円93銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、144円台の安値圏からはドルの買い戻しも入り始めたほか、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入ったことでは、ドルは円相場で反発し、午前10時前には元のレベルに戻す「往って来い」になったほか、大幅低下で始まった日経平均株価が下げ幅を縮め始めたことでも低リスク通貨の円の利益確定売りが入り始めたことでは、今朝10時過ぎにはドル円は145円台後半と、今朝早朝のニューヨーク終値時点よりもドルは円相場でやや上昇し、日本市場の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が上昇トレンドに転じたことから、ドルは円相場で昨夜の前東京終値比の今日の下げ幅を縮め始めた。

日経平均株価は今朝の一時400円超の大幅な下落幅を縮めて、午後15時頃に3万7951円80銭の終値をつけ、前日比111円12銭安で大引けし、低リスク通貨の円も一時の上昇幅を縮めたことに加えて、午後からの欧州英国市場の参入後にも、世界的な安全資産の米国債の債券価格上昇後の利益確定売りの影響などで、債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国長期金利は夕方16時台には一時3.825%付近に上昇したため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いでも円相場は上げ幅を縮め、夕方16時51〜52分頃に一時146円22銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、イベントリスクの影響は続いており、欧州市場では中東情勢警戒でも世界的な安全資産の米国債の需要があったため、米国長期金利が上昇後にやや低下すると、市場高値後のドルには利益確定売りの抵抗が入ったほか、日本市場の終盤に向けた利益確定と持ち高調整の円の買い戻しでも円相場は下げ渋った。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円11〜13銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円50〜52銭付近の前東京終値比では約39銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債の入札予定に加えて、重要度の高い前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨の公開予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜23時に先日より下方修正の市場予想で注目されている米国労働省労働統計局 (BLS) の年次改定値の暫定値の発表予定があり、続いて今夜23時30分に米国週間原油在庫、26時に米国20年債の入札予定、27時に前回7月30〜31日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨と議事録が公開される予定である。

また、明日8月22日には、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の議事要旨も公表される予定があり、今週の8月23日金曜日には、日銀の植田和男総裁の要人発言予定と、世界的な注目度が話題になっている年次経済シンポジウムのジャクソンホール会議で米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定という、日米のイベントのイベントリスクを控えている。

日本市場だけでなく、世界市場でも夏休みのホリデー時期の市場流動性減少により、普段よりも値幅が大きく振れやすくなっており、ファンダメンタル・ニュースの影響などに加えて、債券利回りを受けた金利差トレードや、株式市場からの為替相場への影響などにも、引き続き注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円39〜41銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円43〜44銭付近と比較すると約4銭の小幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、今日の日経平均株価は大幅な反発で始まった時には、低リスク通貨の円が買われて主要通貨に対して上昇したが、午後には日経平均株価が下げ幅を縮めた影響では、今週のイベントを控えている低リスク通貨の円が利益確定で売られたことでは、円相場はドルだけでなく欧州ユーロに対しても上昇幅を縮めたことでは小幅域の東京終値になったほか、今夜19時台の欧州市場では現地実需もあり、小幅な円安ユーロ高にも転じている。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1113〜1.1115ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1086〜1.1088ドル付近と比較すると約0.27セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、米国利下げ予想や安全資産の米国債買いの影響などで米国長期金利低下時のドル売りの影響で主要通貨に対するドル下落が起き、欧州ユーロに対してもドルが下げたことから前東京終値比でもユーロ高ドル安になり、ドルに対しては欧州ユーロが続伸した。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円18〜24銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の190円44〜50銭付近と比べると約26銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、昨夜の欧米英主要株価の下落に続き、今日の日経平均株価も下げ幅は縮めた物の大幅安で大引けしていたことでは、主要通貨に対する低リスク通貨の円買いの影響が観測されており、欧州ユーロ同様にリスク市場に弱い英国ポンドも今日の円相場では前東京終値比で円高ポンド安の東京終値で終えていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月21日の日本時間(JST)19時30分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時30分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:30の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 146.05 〜 146.06 −0.45 (円高)
ユーロ/円 162.48 〜 162.50 +0.05 (円安)
ユーロ/ドル 1.1123 〜 1.1125 +0.0037 (ドル安)
英ポンド/円 190.38 〜 190.44 −0.06 (円高)
スイスフラン/円 170.86 〜 170.92 +0.40 (円安)
豪ドル/円 98.45 〜 98.49 −0.04 (円高)

注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。