FXニュース:米FRB議長がハト派発言
2024年8月26日東西FXニュース – 2024年8月26日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米政策調整の「時が来た」
- 米雇用市場支える利下げ
- 米長期金利低下でドル安
- 日米金利差縮小時の円高
- 米株上昇と日経平均下落
- 中東情勢懸念リスク回避
今日2024年8月26日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円44銭付近から、円の安値でドルの高値の144円22銭付近の値幅約78銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円90〜91銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円84〜85銭付近の前東京終値比では約1円94銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日の日本市場時間には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が、金融や株式市場の安定性を注視しながらも、慎重ながらも追加利上げを継続する方向性を示す要人発言があった。
その日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円3銭付近で、先週金曜日の夜23時頃から予定されていた世界的な注目を集めていた年次経済シンポジウムのジャクソンホール会議での米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言を控えたイベント前の利益確定と持ち高調整によるドルの買い戻しでは、先週金曜日の夜22時48分頃にドルは円相場で一時146円48銭付近にまで買い戻されて先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、先週金曜日の夜23時に発表された最新米国重要経済指標の7月の米国新築住宅販売件数が、年率換算件数は前回の61.7万件と前回上方修正の66.8万件と市場予想の62.3万件を上回る73.9万件に上昇し、前月比も前回のマイナス圏の-0.6%が前回0.3%に上方修正され市場予想の1.0%を上振れするプラス権の10.6%に改善されたことを受けては、イベントリスクの中でも、先週金曜日の夜23時頃のドル円は一時146円29銭付近に留まっていた。
しかし、先週金曜日の夜23時頃から始まった米国ワイオミング州ジャクソンホールでのジャクソンホール会議の講演では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言は、「米国の金融政策を調整する時が来た」と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での米国利下げ転換を示唆し、「米国のインフレ率が目標の2%への軌道にあるとの確信が強まった」ことを指摘し、今後の金融政策の「方向性は明確である」としたため、日本の利上げ方向に対する米国の利下げ方向の金融政策の方向性の違いが市場で意識されたほか、パウエル議長は物価安定と雇用最大化の2つのデュアル・マンデート (Dual mandate / 2つの責務) のリスクバランスについて、「米国のインフレリスクは減少した一方で、米国雇用市場の軟化リスクは増加している」ことに配慮し、「米国の労働市場がこれ以上減速することを歓迎しない」と、ハト派発言を繰り返したことで、米国利下げ予想が高まり、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが起きたほか、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、債券利回りを受けた金利差縮小により、主要通貨に対するドル売りが進み、ドルは円相場でライブ中継での発言中に145円台前半と1円以上も急落したほか、144円台に向けた更なる下落を始めた。
また、先週金曜日の夜21時頃からは米国カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムのジャクソンホール会議で開催されている米国ワイオミング州ジャクソンホールで、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁の発言もあり、その後の先週金曜日の夜22時台後半頃から話題になり始めた米国CNBCのテレビインタビューでは、今年年内に1回以上の米国利下げを支持するかどうかという質問に対し、「その可能性はある」と、ハト派の回答をしていた影響もあり、今月8月30日には最新米国重要経済指標の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数の米国PCEデフレーターのデータの発表予定などを控えているが、今後のデータ次第では追加利下げの可能性があることや、大幅利下げの可能性も否定できなくなったことから、前述のパウエル議長のハト派発言の影響もあり、先週金曜日の夜21時過ぎには一時3.855%付近で推移していた米国長期金利は、先週金曜日の夜23時45分頃のパウエル議長の発言後に一時3.800%付近に急落した後にも、先週土曜日の午前5時45分頃の一時3.797%付近に向けた低下を続けていたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小や主要通貨との金利差トレードによるドル売りが続き、先週土曜日の午前4時37分頃にドルは円相場で一時144円5銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、米国長期金利の低下によるドル売りの影響で、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対するドル指数のドルインデックスも、一時100.60付近と昨年2023年7月27日以来の低水準を記録した。
一方、米国政策金利の利下げ予想による金利警戒感の緩和からは、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が前営業日比で大幅高になり、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も上昇の終値に向かうなど、米国主要株価三指数が揃って高騰したことを受けては、米国株式市場からはブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) では低リスク通貨の円が売られて、米国主要株価指数の今年の最高値を視野に入れた投資用のドル需要などがあったことでは、市場安値後のドルには買い戻しも入り、株引け後の米国ニューヨーク外国為替市場終盤の午前5時56分頃にはドルは円相場で一時144円40銭付近に買い戻されていた。
ただし、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、終値時点でも3.810%付近と前営業日比-0.044に低下して引けており、日米金利差縮小時の円高ドル安は、今後の日米の金融政策の方向性の違いによる金利差予想の影響もあって大幅になっていた。
このため、先週金曜日の夜から先週土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円48銭付近から、円の高値でドルの安値の144円5銭付近の値幅2円43銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は144円33銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の146円25銭付近と比べて約1円92銭の大幅な円高ドル安をつけて先週末を迎えていた。
週明けのアジア・オセアニア市場時間の今朝7時25分頃には、世界的に流動性が高いドルは円相場で一時144円35銭付近にまで買い戻されたものの、週末中からの中東情勢懸念のニュースの影響などもあり、世界的な安全資産の米国債が時間外から買われたことで米国長期金利がさらなる低下を見せ始め、債券利回りを受けた日米金利差縮小による円買いドル売りに加えて、地政学リスク回避で低リスク通貨の円が買われたことから、今朝8時18分頃にはドルは円相場で一時143円56銭付近と143円台に下落していた。
その影響もあり、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円92銭付近の始値であったが、今朝の東京株式市場では国内金利上昇への警戒感や、円安時に買った日本株を円高時に利益確定する海外投資家の日本株売りや、トヨタなどの輸出企業の円高時の減益を見込んだ株売りなどの影響があり、今朝の日経平均株価が大幅な下落を見せたため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたほか、時間外の債券市場では今朝の中東情勢への警戒感でも世界的な安全資産の米国債買いによる債券価格上昇時の利回り低下の影響で下げていた米国長期金利が、今朝9時36分頃には一時3.778%付近にまで大幅に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りと低リスク通貨の円買いの勢いが強まった。
また、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) では、今年9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が9月に米国利下げを開始する予想値は以前からも100%付近に達して推移しいたが、今日の米国利下げ幅の市場予想値では、0.25%の米国小幅利下げ予想値が61.5%付近に低下した一方で、0.5%の米国大幅利下げ予想値は38.5%付近に上昇したことも、日米金利差縮小予想の円買いドル売りの一因となっていた。
そこに、今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも、輸出企業のまとまったドル売りが入ったことも重なったため、今朝9時55分頃にドルは円相場で一時143円44銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場安値後のドルには買い戻しも入り始めたものの、今日の午後からの欧州市場では、世界最大の英国ロンドン外国為替市場がサマー・バンクホリデー (Summer Bank Holiday) の祝日連休の休場予定で、市場流動性の減少だけでなく基軸通貨のドルによる世界最大規模の金価格の値決めなどのドル実需が減少することではドルの買い戻しはやや鈍く、日本市場で日経平均株価が大幅な下落幅を安値の株の買い戻しなどでやや縮めた時間に、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定と持ち高調整が入り、午後14時46〜47分頃の一時144円22銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、午後15時頃には、今日の日経平均株価が3万8110円22銭の終値と、前営業日比254円5銭安の大幅安で大引けしたことでは、再び日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が主要通貨に対して買われた影響では、ドルは円相場で再び143円台に下落した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円90〜91銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の145円84〜85銭付近の前東京終値比で約1円94銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分頃から7月の米国耐久財受注の発表予定がある。
また、日本や欧米の債券利回りを受けた金利差トレードや、世界の株式市場の為替相場への影響などにも引き続き注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円90〜92銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の162円15〜26銭付近の前東京終値と比較して約1円25銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧米の利下げ方向に対して、日銀の利上げ方向の方向性が欧州ユーロに対しても意識されたほか、欧州と比較的地理的に近い中東情勢への懸念や日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円買いが起き、リスク市場に弱いと考えられている欧州ユーロに対しても円相場が大幅に上昇した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1180〜1.1182ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1118〜1.1120ドルドル付近の前東京終値と比較すると約0.62セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、米国長期金利低下を受けた主要通貨に対するドル売りの影響で、先週末にもドルは欧州ユーロに対しても下げるなど一時全面安を記録していたが、今日の日本市場でも前述の円に対するドル下落の影響が他の主要通貨である欧州ユーロなどにも波及していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円85〜91銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の191円23〜29銭付近の前東京終値と比べると約1円38銭の大幅な円高ポンド安であった。
先週金曜日の深夜24時頃からは、ジャクソンホール会議で英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁も発言したが、米国ほどのハト派発言はなかったものの、欧州ユーロや英国ポンドも利下げ方向が予想されていることに対し、日銀には追加利上げ継続の市場予想が出ていることが影響を及ぼしたほか、週末の中東情勢警戒感と今日の日経平均株価下落時の低リスク通貨の円買いに加えて、ドルやユーロなどの主要通貨に対する円高の影響の波及でポンド円も大幅な円高の東京終値になった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月26日の日本時間(JST)19時43分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時43分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:43の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.06 〜 144.08 | −1.78 (円高) |
ユーロ/円 | 160.97 〜 160.99 | −1.18 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1173 〜 1.1174 | +0.0055 (ドル安) |
英ポンド/円 | 190.02 〜 190.08 | −1.21 (円高) |
スイスフラン/円 | 170.19 〜 170.25 | −1.15 (円高) |
豪ドル/円 | 97.57 〜 97.61 | −0.47 (円高) |
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