FXニュース:米政策金利低下予想影響

2024年8月28日
FXニュース:米政策金利低下予想影響

 

東西FXニュース – 2024年8月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米2年債利回り入札低下
  • ドル指数一時年内最安値
  • 日銀副総裁の発言の影響
  • 米エヌビディア決算控え
  • 英BoE追加利下げ慎重か

今日2024年8月28日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円91銭付近から、円の安値でドルの高値の144円60銭付近の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円55〜56銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円0〜2銭付近の前東京終値比で約45銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の8月23日金曜日の年次経済シンポジウムのジャクソンホール会議において、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長が「米国金融政策を調整する時が来た」と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で の米国利下げ転換を示唆するハト派発言をした影響で一時は米国大幅利下げ予想が上昇してドル安になったが、週明けには米国景気指標上振れの影響や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言の慎重な影響などで、米国小幅利下げ予想が一時は再び確定値を超えて上昇したため、昨日の日本市場と昨夕の祝日連休明け英国ロンドン外国為替市場の前半には先週末に売られ過ぎたドルの買い戻しなどの調整が進んだが、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円53銭付近と、再び調整後のドル売りが再開していた。

この原因は、欧米市場では今年9月の米国利下げ転換の要因として、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長が米国インフレリスクと米国雇用のリスクバランスにおいて、以前はインフレ再燃リスクだったものから、米国雇用市場の軟化を注視してきたことについて発言していたため、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の前に発表予定の次の最新米国雇用統計でも下振れなどが起きれば、大幅な米国利下げや年内の追加利下げの可能性を否定できない点が欧米市場で注目されてきたことで、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今年9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国連邦準備制度理事会 (FRB) の今年9月の米国利下げ予想の利下げ幅予想は、今日に向けて0.25%の小幅利下げ予想値が63.5%付近に低下して再び市場で確定値と考えられる70%を下回り始めた一方で、0.50%の米国大幅利下げ予想値は36.5%付近に向けて上昇していたことや、データ次第での年内の米国追加利下げ予想値が増えてきた影響などが挙げられた。

ただし、米国債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、債券価格上昇後の利益確定売りや持ち高調整の影響も続き、昨夜21時45分頃の一時3.869%付近に向けて上昇をしていた時間には、債券利回りを受けた日米金利差トレードの円売りドル買いによる抵抗があり、昨夜21時30〜31分頃にはドルは円相場で一時144円60銭付近と、昨夜の米国市場での円の安値でドルの高値を記録していた。

市場では米国の住宅インフレとサービスインフレが最も根強いと考えられてきたが、サービスインフレ圧は米国労働市場軟化時には減少するため、昨夜は米国住宅関連の最新経済指標の発表が注目されており、昨夜22時に発表された最新米国経済指標の4〜6月の第2四半期の米国住宅価格指数の前期比が前回の1.1%に対し0.9%に鈍化したほか、6月の米国住宅価格指数の前月比も前回の0.0%と市場予想の0.1%を下回るマイナス圏の-0.1%に転じたことでは、再びドルが売られて昨夜22時4分頃にドル円は一時144円27銭付近に低下したものの、同時発表でより重要度が高いと考えられている6月の米国S&Pコア・ロジック・ケース・シラー住宅価格指数 (Standard and Poor’s CoreLogic Case-Shiller Home Price Indices) の前年同月比は、前回の6.8%と前回修正の6.9%と市場予想の6.0%に対し6.5%と、前回よりは低下したものの市場予想よりも高かったことでは、この時間にはまだドルはやや下げ渋っていた。

また、昨夜23時に発表された米国景気関連のコンファレンス・ボードの8月の米国消費者信頼感指数は、前回の100.3と前回上方修正の101.9と市場予想の100.7を上回る103.3に上振れしたことでは、発表時にドルは円相場で一時144円50銭付近に買い戻されたが、ほぼ同時発表だった8月の米国リッチモンド連銀製造業指数は前回の-17を下回るマイナス圏の-19に悪化したことを受けては、米国景気懸念が再燃し、世界的な安全資産でもある米国債に再び買いが入ったことで、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下を始めたことでは、主要通貨との金利差売買で円買いドル売りの勢いが増した。

午前2時には、米国ニューヨーク債券市場で米国2年債の入札が行われたが、米国利下げ予想の影響もあり、米国政策金利の影響を受けやすい米国2年債が買われたことで利回りが低下し、他の種類の米国債全般の利回りにも低下の影響が波及したため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利にも低下が続き、午前3時20分頃には一時3.829%付近の低利回りになり、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、午前3時48分頃にはドルは円相場で一時143円91銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、中東情勢への警戒感による地政学的リスク回避でも低リスク通貨の円が買われていたほか、世界的な安全資産でもある米国債が買われたことも影響を及ぼしていた。

昨夜の欧州市場では、アフリカの産油国リビアが石油生産と輸出停止を発表したニュースをきっかけとしたコモディティ市場での原油先物価格の上昇時には、島国の日本の貿易コスト増加による赤字リスク増加でやや低リスク通貨の円がやや売られたが、米国市場ではコモディティの米国ニューヨーク原油は今朝早朝の終値時点でバレル75ドル57セントの終値と+0.04の小幅な上昇率であったことでは影響は減っていた。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、前営業日には大幅安だった米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が米国利下げ予想を受けて反発上昇して小幅高の終値に向けたことや、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も前日は小幅安だったものが小幅高の終値に転じ、米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は小幅高の続伸の終値と、米国主要株価三指数が揃って上昇したことは低リスク通貨の円売りに影響を及ぼしたものの、いずれも小幅高の範囲であったことでは影響は限られた。

今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りは3.825%付近と、前営業日比では+0.009の小幅上昇を見せたものの、長期的には米国利下げ予想の影響で低下トレンドであったことから、米国長期金利低下時のドル売りの影響は続き、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の今朝6時頃にも、ドルは円相場で一時143円91銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を再記録していた。

また、昨夜から今朝までの米国市場では、主要通貨へのドル指数のドルインデックスも一時は昨年7月20日以来の100.51と、今年の最安値を記録していた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円60銭付近から、円の高値でドルの安値の143円91銭付近の値幅69銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円91銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円50銭付近と比べて約59銭の円高ドル安をつけていた。

このトレンドを受け継いだ今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、今朝早朝には米国利下げ予想の影響でドルは円相場で一時143円68銭付近にまで低下したが、その後には世界的に流動性が高いドルには安値圏からの買い戻しが入り始めた。

そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円97銭付近であったが、米国利下げ予想で小幅利下げ予想値が再び確定値を下回った影響では、今朝9時2分頃にドルは円相場で一時143円91銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝までの米国市場のドルの安値である143円91銭付近からは、再びドルの買い戻しが入り始めたほか、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需のドル買い需要もあり、ドルは円相場で昨夜の前東京終値比で大幅になっていた下げ幅を縮め始めた。

また、今朝10時30分頃から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の氷見野良三副総裁の発言があり、先月7月の日銀金融政策決定会合で追加利上げを決定した後の日経平均株価の史上最大の暴落などの不安定さを見せた金融市場について、「当面は、その動向を極めて高い緊張感を持って注視していくというのが、私どもとしてまずやるべき最初の仕事と考えている」と指摘し、金融政策の決定に影響を与える日銀の経済と物価の見通しが実現する確度についても、「内外の金融資本市場の動向が影響を与えることも、もちろんある」と慎重な意見を述べたニュースが話題になったことも、当面の間の日米金利差予想に影響を与えた円売りドル買いに繋がり、発言後にはドルは円相場で一時144円37銭付近に上昇したが、金融市場が安定し、「経済・物価見通し実現の確度が高まれば、金融緩和の度合い調整が基本姿勢」と、追加利上げ方向を維持する姿勢を示しことでは、対ドルの円相場は一時144円10銭付近に反発した。

午後14時頃からも氷見野良三副総裁の再発言予定があったため、今日の東京株式市場では、更なる追加利上げに関する発言が出ないかを警戒していたこともあり、午後14時過ぎまでは今日の日経平均株価は前日比でマイナス圏だった時間が多く見られていたが、午後14時半頃からは前日比でプラス圏の推移に転じ、午後15時頃に今日の日経平均株価は3万8371円76銭の終値をつけ、前日比83円14銭高で大引けすると、一時の日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで買われていた低リスク通貨の円売りが増えたほか、午後からの欧州市場の参入で米国長期金利が一時3.834%付近に反発した影響があり、午後15時51分頃にドルは円相場で一時144円60銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、昨夜の前東京終値比の下げ幅を小幅域へと縮めていた。

ただし、時間外の米国債券市場では、米国利下げ予想の影響に加えての世界的な安全資産としての米国債の需要はあり、上昇後の米国長期金利が小幅ながらもやや反落を見せ始めると、日本市場時間の高値後のドルには利益確定売りと持ち高調整の抵抗が入り始めた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円55〜56銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の145円0〜2銭付近の前東京終値比では約45銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債の入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜23時30分に週間米国原油在庫、26時に米国5年債の入札予定、そして、明日の早朝の米国ニューヨーク株式市場の株引け後の時間になる予定であるが、米国エヌビディア (NVIDIA) の決算報告予定が注目されている。

また、中東などの世界情勢のニュースに加えて、国債利回りを受けた日米金利差トレードの影響や、世界の株式市場の為替相場へのリスクオフ (Risk-off) やリスクオン (Risk-on) などの影響にも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円26〜27銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円86〜87銭付近の前東京終値と比較して約60銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、主要通貨の中でも基軸通貨でもあるドルの対する円高ドル安の影響が、ユーロ円でも円相場の上昇圧として波及したほか、利下げ方向の欧米に対して利上げ方向維持の日本円は、中東情勢への警戒感などでも欧州ユーロに対して低リスク通貨の円が買われていた影響などもあり、今日の東京終値は前日比で円高ユーロ安になっていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1156〜1.1158ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1161〜1.1163ドル付近の前東京終値と比較すると約0.05セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨夜から今朝までの米国市場では、主要通貨へのドル売りの影響でドルインデックスが一時100.51と昨年2023年7月20日以来の今年最大の低水準を記録した影響もあり、今朝早朝のニューヨーク終値時点では前日同時刻比のユーロ高ドル安になっていたが、今日の日本市場では円相場でドルの買い戻しが進んだ影響があり、今夜の東京終値時点でのユーロドルは前日同時刻比で小幅ながらもユーロ安ドル高に転じていた。

なお、昨夜に発表された8月の米国消費者信頼感指数は市場予想を上振れした103.3であったが、今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの8月の仏消費者信頼感指数は前回の91に対し市場予想通りの92に留まっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円24〜30銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円40〜46銭付近の前東京終値と比べると約16銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、主要通貨のドルや欧州ユーロに前日比で円高になっていた外貨影響がポンド円にも波及したほか、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が追加利下げに慎重であるという市場予想があった影響では、ドルやユーロよりも小幅安になった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月28日の日本時間(JST)19時39分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時39分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:39の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 144.40 〜 144.41 −0.60 (円高)
ユーロ/円 160.68 〜 160.70 −1.18 (円高)
ユーロ/ドル 1.1126 〜 1.1128 −0.0035 (ドル高)
英ポンド/円 190.82 〜 190.88 −0.58 (円高)
スイスフラン/円 171.23 〜 171.29 +0.18 (円安)
豪ドル/円 97.98 〜 98.02 −0.20 (円高)

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