FXニュース:米PCEデフレーター控え
2024年8月30日東西FXニュース – 2024年8月30日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米GDP改定値が上方修正
- 米新規失業保険申請減少
- 米大幅利下げ予想が後退
- 米経済指標で軟着陸期待
- 日経平均株価が大幅高に
- 欧物価鈍化で利下げ予想
今日2024年8月30日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の144円65銭付近から、円の安値でドルの高値の145円9銭付近の値幅約44銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円92〜93銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円72〜73銭付近の前東京終値比で約20銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から時差で始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円59銭付近の始値であったが、昨夜21時30分の最新米国重要経済指標の4〜6月の第2四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値を含む複数の米国経済指標の発表直前のイベントリスクではドルは円相場で瞬時に一時144円52銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したものの、昨夜21時30分の発表を受けては、市場予想以上に好調だった米国経済指標によりわずか1分間の値動きの中でドルは円相場で瞬時に145円21銭付近に反発上昇した。
昨夜21時30分に同時発表された経済指標に中でも最も重要度が高い最新米国重要経済指標の4〜6月の第2四半期の米国実質国内総生産 (GDP) の改定値は、前回の速報値と市場予想の2.8%を上回る3.0%に上方修正されたほか、同四半期の米国GDP個人消費の改定値も前期比年率が前回の速報値の2.3%と市場予想の2.2%を上振れする2.9%に上方修正された。
同四半期の米国コア個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) の改定値は、前期比年率が前回の速報値と市場予想の2.9%に対し2.8%に下方修正されたが、同時発表だった米国雇用市場関連の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回と市場予想の23.2万件と前回修正の23.3万件に対し23.1万件に改善されたことに加えて、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の186.3万人と前回修正の185.5万人と市場予想の187.0万人に対し186.8万人と市場予想ほどの悪化を見せなかったことでは米国雇用市場の堅調さを示し、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待が高まったほか、米国雇用市場軟化を背景とした大幅利下げ予想や追加利下げ予想がやや後退した。
米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産でもある米国債が売られた影響で債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜22時15分頃の一時3.879%付近に向け上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードでは日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きたほか、欧州ユーロ圏主要国のドイツのインフレ鈍化を受けて欧州ユーロの年内の追加利下げの可能性が意識されていた欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが買われた影響が対ドルの円相場に波及し、昨夜22時11分頃にはドルは円相場で一時145円50銭付近に上昇した。
ただし、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の7月の米国住宅販売保留指数は、前月比が前回の4.8%と市場予想の0.2%を下回るマイナス圏の-5.5%に低下したことではドルは円相場で昨夜23時9分頃に一時145円18銭付近に下押しする抵抗が混ざったが、前年同月比では前回の-7.8%と市場予想の-2.0%に対し-4.6%と、市場予想には届かなかったものの前回よりは下げ幅を縮小していたことでは一時的な抵抗に留まった。
米国ニューヨーク債券市場では、月末を控えた利益確定や持ち高調整の影響もあって、米国長期金利は再び上昇を続け、昨夜23時55分頃の一時3.877%付近の昨夜の米国債券市場での米国10年債の利回りのピークに向けて上昇中で、債券利回りを受けた金利さトレードのドル買いと共に、同時進行中だった世界最大規模の英国ロンドン市場では深夜24時頃のロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決め時間に向けた月末決算日を前にした主要取引通貨のドル需要もあった時間であったことから、昨夜23時44分頃にはドルは円相場で一時145円56銭付近の昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、深夜のロンドン・フィキシングを過ぎると月末要因のドル需要がやや減少したことや、午前2時の米国ニューヨーク債券市場では米国7年債の入札が行われたため、他の年度の米国債買いの影響が波及したことでは、米国10年債の利回りも今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の3.862%付近に向けて上昇幅を縮小して行ったが、前日比では+0.025と上昇幅は残す推移を見せていた。
しかし、米国ニューヨーク外国為替市場よりも1時間ほど早い終値を迎える米国ニューヨーク株式市場では、前日に大幅安だった米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が小幅ながらも続落の終値に向けたことや、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も小幅安の終値に向かい、前日は大幅安だった米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は大幅高に反発したものの、米国主要株価三指数中の二指数が下げていたことでは、市場高値後のドルの利益確定売りと持ち高調整の円買いや月末を控えた持ち高調整に加えて、一部の米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いも入ったことでは、米国市場終盤に向けて対ドルの円相場は144円台後半に向けた抵抗も見せ始めた。
ただし、昨夜には次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国リッチモンド連邦銀行のトーマス・バーキン総裁が、「米国のインフレは鈍化したものの、まだ道半ば」と発言したことや、同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国アトランタ連邦銀行のラファエル・ボスティック総裁が更なるデータを注視している旨のやや慎重な姿勢を示していたことでは、米国ニューヨーク外国為替市場の終盤に向けたドル円は145円台を時折タッチする様な144円台後半の推移も見せていた。
米国市場の終盤には、翌市場にあたる今夜この後に、最新米国重要インフレ指標である7月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターなどの重要データの発表予定を控えていたことではイベント前の持ち高調整が進むと共にイベントリスクの様子見のドルの買い控えなどもやや混ざり始めた。
なお、米国金利先物のデータを基にして米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今年9月17〜18日開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国利下げ転換を開始する市場予想値は、今日の時点でも全体的には合計100%付近の推移を続けているが、9月の米国利下げ幅の市場予想値は、0.25%の小幅利下げ予想値が前日の63.5%付近から67.5%付近に上昇した一方で、0.50%の大幅利下げ予想値は前日の36.5%付近から32.5%付近にやや後退した推移を見せていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円52銭付近から、円の安値でドルの高値の145円56銭付近の値幅約1円4銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円95銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円49銭付近と比べて約46銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の8時30分には、今日の日本市場に先行して日本の雇用市場関連の最新経済指標の発表があり、7月の日本失業率は、前回と市場予想の2.5%に対し2.7%に上昇したが、7月の日本有効求人倍率は前回と市場予想の1.23を上回る1.24であったことでは強弱混合であったが、世界市場では完全雇用に近い様な低失業率であったことや、同時発表だった8月の日本東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品を除くCPIコア指数の前年同月比が前回と市場予想の2.2%を上回る2.4%に上昇したことでは、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げの可能性もやや意識され、発表時には瞬時の円買いで対ドルの円相場が一時144円82銭付近に上昇した。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円89銭付近の始値で、今日の日本市場は30日で5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」で日本の貿易企業の決済日と月末の決算日が集中しやすかった影響では、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた国内輸出企業の円建て決算用の円買いドル売りの需要があり、今朝9時54分頃にドルは円相場で一時144円65銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、東京株式市場では、今朝には一時は日銀の追加利上げの可能性が意識されて前日比でやや下げてから始まっていた今日の日経平均株価が、日本企業の主要取引先である米国の米国実質国内総生産 (GDP) の改定値が市場予想以上に好調で上方修正されていた昨夜の重要経済指標発表後の影響などがあり、日経平均株価の反発上昇後に前日比の大幅高に向けた大きな上昇を見せ始めたことでは、市場高値後の円の利益確定売りとドルの買い戻しに加えて、日本株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円売りが入り始めたことでは、ドルは円相場で反発後に上昇を始めた。
また、日本市場時間の時間外の米国債券取引でも、世界的な安全資産でもある米国債売りが入ったこともあり、米国10年債の利回りが再び一時3.872%付近に上昇したことでも、債券利回りを受けた金利差売買で日米金利差拡大時の円売りドル買いが入っていた。
今日の日経平均株価は、月末要因の利益確定売りやポジション調整などの一時抵抗を交えながらも上昇し、午後15時頃には3万8,647円75銭の終値をつけて前日比で285円22銭高の大幅高で大引けしたため、リスクオンの低リスク通貨の円売りの影響が続き、午後15時32分頃にドルは円相場で一時145円9銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、午後からは欧州市場と英国ロンドン外国為替市場も参入し、今夜この後には米国のインフレ関連の最新米国重要経済指標の7月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターの発表予定のイベントを控えていることではイベント前の持ち高調整はやや抵抗になり、日本市場終盤にはドル円は一時144円台後半に戻す時間もあった。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円92〜93銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の144円72〜73銭付近の前東京終値比では約20銭の円安ドル高になった。
ただし、今夜17時頃の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時頃にドル円は一時145円15銭付近と、再び145円台になる様な値動きも見せている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定のイベントなどを控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新重要経済指標の7月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターの発表と共に、最新米国経済指標の7月の米国個人消費支出 (PCE) と同月の米国個人所得なども発表されるイベント時間があり、続いて今夜22時45分に8月の米国シカゴ購買部協会景気指数と、今夜23時の8月の米国ミシガン大学消費者態度指数の発表などを控えている。
また、今日は月末要因に加え、中東情勢などを含む世界情勢のファンダメンタル・ニュースの影響や国債利回りの変動を受けた金利差トレードの影響と、世界株式市場の為替相場への影響なども引き続きFXトレーダー達に注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円61〜63銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円4〜6銭付近の前東京終値と比較して約43銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、利上げ方向の日銀に対し利下げ方向の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の日欧の金融政策の方向性の違いは前日にも意識されていたが、昨夜21時の欧州市場で発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新インフレ指標の8月の独消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の速報値が、前月比は前回の0.3%と鈍化の市場予想の0.1%を更に下回るマイナス圏の-0.1%に低下し、前年同月比も前回の2.3%と市場予想の2.1%を下振れする1.9%に鈍化したため、欧州中央銀行 (ECB) の年内の追加利下げ予想の高まりにより、欧州ユーロが円に対して売られたほか、データ次第では年内1回までの米国利下げの可能性もあるドルに対しても売られていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1081〜1.1083ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1127〜1.1128ドル付近の前東京終値と比較すると約0.46セントのユーロ安ドル高であった。
なお、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要インフレ指標の8月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語 : Harmonised Index of Consumer Prices / 米語 : Harmonized Index of Consumer Prices) の速報値も、前年同月比が前回の2.6%に対し市場予想通りの2.2%に鈍化したほか、同月の欧州HICPコア指数も前回の2.9%に対し市場予想通りの2.8%に鈍化した。
一方、今夜18時に同時発表された欧州ユーロ圏総合の7月の欧州失業率は、前回と市場予想の6.5%に対し6.4%とやや改善されていたが、欧州連合 (EU / European Union) のシェンゲン協定加盟国の経済圏では労働者達の国を超えた移動が容易なため、先行して今日の午後16時55分に発表されていた欧州ユーロ圏の主要国ドイツの8月の独失業者数の前月比で前回の1.80万人と前回修正の1.70万人と市場予想の1.60万人に対し0.20万人と大幅な改善を見せた割には、ドイツの8月の独失業率は前回と市場予想と横ばいの6.0%に留まっていた後に発表されたことでは、全体的な欧州雇用市場はやや堅調さを示していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円14〜20銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円19〜25銭付近の前東京終値と比べて約5銭の小幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、英国では不動産価格高騰後で住宅インフレが根強いが、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の8月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比は、前回の0.3%と市場予想の0.2%を下振れするマイナス圏の-0.2%に転じたことから、利上げ方向を維持した日銀に対して英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) は追加利下げに慎重であるという市場予想が出ていたものの、今後の利下げ方向が再び意識されたことでは、前東京終値に続き小幅ながらもやや円高ポンド安の東京終値をつけていた。
ただし、今夜その後の19時台の英国ロンドン外国為替市場では、月末要因の英国ポンドの買い戻しの影響などもあり、小幅な円安ポンド高や横ばいレンジ圏付近にも転じている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月30日の日本時間(JST)19時38分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時38分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:38の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.18 〜 145.19 | +0.46 (円安) |
ユーロ/円 | 160.79 〜 160.80 | −0.25 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1074 〜 1.1076 | −0.0053 (ドル高) |
英ポンド/円 | 191.19 〜 191.25 | ±0.00 (レンジ) |
スイスフラン/円 | 171.05 〜 171.11 | −0.76 (円高) |
豪ドル/円 | 98.68 〜 98.72 | +0.15 (円安) |
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