FXニュース:日米株価下落リスクオフ

2024年9月04日
ドル円チャート

 

東西FXニュース – 2024年9月4日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ISM製造業景況下振れ
  • 安全資産の欧米国債買い
  • 欧米長期金利低下の影響
  • 低リスク通貨円相場上昇
  • 日経平均株価が大幅下落
  • 欧ECB高官がハト派発言

今日2024年9月4日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の145円55銭付近から、円の高値でドルの安値の144円75銭付近の値幅約80銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円0〜1銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円95〜96銭付近の前東京終値比で約95銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場での日経平均株価の下落による株安リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いに続き、昨夕の日本市場終了後の欧州市場でも欧州主要株価のドイツの独DAX (Deutscher Aktien IndeX) が大幅な下落トレンドに向けたため、欧州ユーロに対しては世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルも買われていた影響が対ドル円相場に波及したため、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃に、米国の祝日連休明けの米国ニューヨーク外国為替市場が参入した時の対ドル円相場は一時146円17銭付近の始値で、昨夜21時22分頃にはドルは円相場で一時146円29銭付近と、昨夜から今朝までの米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。

しかし、昨夜の米国祝日連休明けの現地9月初めにあたる米国債券取引では、今週の複数の最新米国重要経済指標発表予定のイベントリスクを控えた安全資産の米国債買いの需要や新規ポジション形成のまとまった買いが入り、債券価格上昇に伴う利回り低下が起き始めたほか、この日の米国市場でも23時に最新米国重要経済指標の1つである米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) の8月の米国ISM製造業景況指数の発表予定が迫り、明日水曜日の7月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と、木曜日の米国ISM非製造業景況指数と米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計に続き、今週9月6日の金曜日には米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長も重視している米国雇用統計の発表イベント予定が意識されており、今月9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では米国中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国利下げ転換を始めるという市場予想の影響などもあって、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、昨夜21時20分頃の一時3.921%付近をピークに3.8%台に向けた大幅な急落を始めたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、ドルは円相場で反落を始めた。

昨夜22時45分には最新米国経済指標の8月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値の発表があり、前回の速報値の48.0と市場予想の48.1に対し47.9に下方修正されたことでも、世界的な安全資産の米国債が買われ、債券価格上昇に伴う利回り低下が続いた影響で、発表後の昨夜22時50分頃には米国長期金利は一時3.835%付近に低下したため、米国長期金利低下に伴う円買いドル売りが続いた。

昨夜23時には米国景気関連の最新米国重要経済指標の8月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 製造業景況指数の発表があり、前回の46.8よりは改善されたものの市場予想の47.5を下振れする47.2と、不景気と好景気と分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50を下回り続けた不景気寄りであったことでは米国景気懸念が燻り、更なる安全資産の米国債買いで米国長期金利は一時3,832%付近に低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りに加えて、低リスク通貨の円に対するドル売りも起き、発表時の昨夜23時頃にドルは円相場で一時145円11銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、同時発表された個別項目では、在庫指数の上昇した一方で新規受注指数が悪化するなど強弱が入り混じっていたほか、8月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) の米国ISM雇用指数が前回の43.4から46.0に回復したことを受けては、今週金曜日の最新米国雇用統計発表前の市場予想に影響を与えたことでは、ドルは円相場で昨夜23時0分頃の1分間の値動きの中で、先述の一時145円11銭付近から瞬時に一時145円68銭付近まで買い戻される瞬発力を見せた後に、145円55銭付近に戻すなど忙しい値動きを見せた。

ただし、昨夜23時に同じく発表されていた最新米国経済指標の7月の米国建設支出も、前月比は前回の-0.3%が前回0.0%に上方修正されたものの、市場予想の-0.1%を下回る前回修正前と同じマイナス圏の-0.3%に低下していたことを受けては、再びドル売りが入り、昨夜23時7分頃にはドルは円相場で一時145円15銭付近まで下げ戻したが、その後には米国長期金利低下後の反発の影響があり、午前1時5分頃に米国長期金利が一時3.858%付近に下げ幅を縮めたことを受けては、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの抵抗が入り、この時間のドルは円相場で一時145円92銭付近に買い戻された。

しかし、米国市場で不景気寄りの最新米国重要景気指標の発表後の米国ニューヨーク株式市場では、先行していた日欧株価下落に続き、米国の祝日連休前には大幅上昇後の米国主要株価三指数の米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が反落して大幅な下落の終値に向けたほか、米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) もより大幅下落の大幅安の終値に向かい、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も下落に転じるなど、米国主要株価三指数が揃って下落の終値に向かったことを受けては、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフではドルからでも買える低リスク通貨の円買いや、世界的な安全資産の米国債が買われた影響で、今朝早朝までの米国ニューヨーク債券市場でも終値時点の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時3.833%付近と前営業日比-0.074に低下したため、対ドルの円相場が再び上昇した。

また、昨日の日本の経済財政諮問会議で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が、日銀が目標とする2%の物価見通しが実現すれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」すると追加利上げ方向維持について改めて発言したファンダメンタル・ニュースは欧米にも伝わっており、米国市場時間のナイトセッションの時間外の日経平均株価も下落するなど、日本の国内政策金利上昇への警戒感の日本株売り予約と低リスク通貨の円買いのリスクオフや、米国景気懸念の燻りで、米国大幅利下げの可能性も否定できないことでは、米国利下げ転換後の日米金利差縮小予想の影響などもあり、米国長期金利低下時の円買いドル売りの影響があり、株式市場と為替相場に影響を与えていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円29銭付近から、円の高値でドルの安値の145円11銭付近の値幅約1円18銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は145円44銭付近と、昨日の朝6時の世界市場の146円92銭付近と比べて約1円48銭の大幅な円高ドル安であったが、米国祝日連休前の米国市場の前営業日にあたる先週土曜日の朝6時頃の前ニューヨーク終値の146円17銭付近と比べると約73銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円37銭付近の始値で、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入り始めていた今朝9時13分頃の一時145円55銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、ナイトセッションの先物でも国内金利上昇への警戒感や日本企業の主要貿易先でもある米国主要株価の大幅な下落の影響もあり続落トレンドだった日経平均株価が、今日の東京株式市場で大幅な下落を見せたことでは、日米株価下落を受けたリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが強まり、円相場がドルや欧州ユーロなどの主要通貨に対して上昇し、今朝9時42分頃には対ドルの円相場は一時144円89銭付近と144円台に上昇したが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の円売りのドル実需では、今朝9時54分頃にはドル円は一時145円33銭付近に反発し、145円台に戻していた。

今朝10時49分頃と昼の12時3分頃と13時31分頃には、今日の日本市場の時間外の米国債券取引で米国長期金利が一時3.841%付近まで反発した影響もあり、世界的に流動性が高い基軸通貨でもあるドルは円相場で一時145円54銭付近まで買い戻される抵抗も交えたが、今朝の日本市場での高値を上抜けできないまま、今日の日経平均株価が更なる大幅下落を続け、東京株式市場終盤の午後14時15分頃には前日比で一時1792円7銭安の大幅安にまで下落し、その後にはやや下げ幅を縮めたものの、午後15時頃に今日の日経平均株価は3万7047円61銭の終値をつけ、前日比1638円70銭安の大幅安で大引けしたため、ドルや欧州ユーロなどの主要通貨に対するリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの影響が続き、午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場が参入後には、再び世界的な安全資産の米国債買いも入り、米国長期金利が更に低下して夕方16時53分頃の一時3.811%付近に向けて低下していたため、夕方16時31分頃にドルは円相場で一時144円75銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

今日の午後には、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) で、今月の9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国利下げ転換を始める市場予想値はトータル100%付近の推移を続けていたが、9月の米国利下げ幅の市場予想値では先述の米国景気懸念の燻りの影響などがあり、0.25%の米国小幅予想値が市場確定値と考えられている70%付近を更に下回る一時57%付近に低下した時間があった一方で、0.50%の米国大幅利下げ予想値の可能性も残るとして一時43%付近に上昇していた。

ただし、今夕の英国ロンドン外国市場では、その後に米国小幅利下げ予想値が一時61%付近に戻し、0.50%の米国大幅利下げ予想値も39%付近に低下したことでは、市場高値後の円の利益確定売りや市場安値後のドルの買い戻しなどの持ち高調整の抵抗も混ざり始めた。

今日の夕方の欧州市場では、欧州主要株価の独DAXが前日比で更に下落して始まったため、欧州ユーロからは低リスク通貨の円でなく、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルが安値で買い戻された影響も対ドル円相場に影響が波及した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円0〜1銭付近で、日本市場の前営業日同時刻の昨夜17時の145円95〜96銭付近の前東京終値比では約95銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標などの発表予定があり、日本時間での経済市場カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に7月の米国貿易収支、今夜23時に7月の米国雇用動態調査(JOLTS)求人件数と 7月の米国製造業新規受注、27時に米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) などが発表される予定である。

また、今週金曜日の米国雇用統計発表などのドルのイベントに向けた持ち高調整だけでなく、イベントリスクのドルの様子見の買い控えなども入り始めている。

なお、今夜22時45分には、米国と地理的に近い北米カナダ銀行の政策金利の発表予定もあり、過去に米国金利予想に影響を与えた経緯があることにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円30〜31銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円35〜37銭付近の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、日米欧主要株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いで、リスク市場に弱い欧州ユーロに対してリスク市場に強い円やドルが買われやすかった。

また、昨夜の欧州英国市場でも話題になった日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁の発言を受けた追加利上げ予想による日欧金利差予想でも円が買われたが、今日の午後の欧州市場の現地朝には、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のピエロ・シポローネ (イタリアの経済学者でチロポーネとも発音されるPiero Cipollone) 専務理事が、フランスの新聞「ル・モンド (Le Monde) 」のインタビューで、「我々の金融政策は欧州ユーロ圏のインフレ率が引き続き鈍化していることからは追加利下げが可能」であり、「我々のスタンスには景気抑制的になり過ぎる現実的なリスクがある」と、欧州追加利下げの可能性を示唆するハト派発言をしており、同氏は以前からもハト派寄りで知られていた人物であったものの、今月9月11〜12日に開催予定の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のイベントを控えたブラックアウト期間前の発言として話題になっていた。

その影響もあり、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1054〜1.1055ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1055〜1.1056ドル付近の前東京終値比で約0.01セントの小幅なユーロ安ドル高だった。

また、今日の夕方に発表された最新欧州経済指標の欧州ユーロ圏主要国ドイツと欧州ユーロ圏総合の8月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想以下であった。

ただし、今夜18時の日本市場終了後の欧州市場で発表された欧州ユーロ圏総合の7月の欧州卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比と前年同月比ともに前回と市場予想を上回っていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円12〜18銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円51〜57銭付近の前東京終値と比べて約1円45銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロと同様にリスク市場に弱いと考えられている英国ポンドや豪ドルも、日米欧英の主要株価指数の下落を受けたリスク回避のリスクオフでは、リスク市場に強いと考えられている低リスク通貨の円や世界的な流動性の高さから欧州英国通貨に対する安全資産でもあるドルに対して売られやすくなり、基軸通貨のドルからも低リスク通貨の円買いが続いた影響で、今日の東京終値時にも前東京終値比で大幅な円安ポンド高になった。

欧州と経済圏が近い英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) にも、将来的な追加利下げに向かう市場予想があることでは、昨日の日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁の追加利上げ方向維持を再認識させるタカ派発言を受けて、日本と米国や欧州と英の金融政策の方向性の違いの市場予想も為替相場に影響を及ぼしていた。

ただし、今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の8月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の53.3を上回る53.7に上方修正されたことでは、今夜17時の東京終値の後の英国ポンドは円相場でやや下げ幅を縮めている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月4日の日本時間(JST)19時51分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時51分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:51の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 145.13 〜 145.14 −0.82 (円高)
ユーロ/円 160.39 〜 160.40 −0.96 (円高)
ユーロ/ドル 1.1050 〜 1.1052 −0.0005 (ドル高)
英ポンド/円 190.37 〜 190.43 −1.14 (円高)
スイスフラン/円 170.72 〜 170.78 −0.34 (円高)
豪ドル/円 97.45 〜 97.49 −1.04 (円高)

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