FXニュース:米雇用統計は強弱混合に

2024年9月09日
FXニュース:米雇用統計は強弱混合に

 

東西FXニュース – 2024年9月9日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米失業率は予想通り低下
  • 米NFP雇用者数が下振れ
  • 米平均時給は想定上振れ
  • 米FRB理事のハト派発言
  • 米景気経済の軟着陸期待
  • 日米株価下落時の円買い
  • 米小幅利下げ予想値上昇

今日2024年9月9日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の141円42銭付近から、円の安値でドルの高値の143円35銭付近の値幅約1円93銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円14〜15銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の142円50〜51銭付近の前東京終値比では約64銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円6銭付近の始値であったが、先週金曜日の夜21時30分に発表された最新米国重要経済指標の8月の米国雇用統計で米国失業率が前回の4.3%に対し市場予想通りの4.2%に低下したことを受けては、米国雇用市場の大幅な軟化への警戒感がやや緩和されたことでは、発表時の21時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で瞬時144円2銭付近に上昇し、先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を瞬時記録したが、8月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比が前回の11.4万人が8.9万人に下方修正されたほか、市場予想の16.0万人を下回る14.2万人であったことではドルは円相場ですぐに反落を始め、米国雇用市場の減速感を受けた米国利下げ予想が高まりにより、米国債券市場で安全資産の米国債が買われた影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、発表前は一時3.704%付近で推移していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.685%付近に向け急落したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いと市場高値後のドルの利益確定売りなどで、先週金曜日の21時32分頃にはドルは円相場で一時141円98銭付近に反落した。

ただし、同時発表されていた8月の米国平均時給は、前月比が前回の0.2%と市場予想の0.3%を上回る0.4%上昇し、前年同月比も前回の3.6%と市場予想の3.7%を上回る3.8%に上振れしたため、最近の米国景気指標が好景気寄りであった影響などもあり、8月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP) も前回分は下方修正されたものの今回分は市場予想には届かなかったものの前回よりは改善されてきていたが意識され、米国雇用市場の大幅な軟化への懸念が市場でやや緩和されたことでは、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) に向けた期待感が継続し、価格上昇後の安全資産の米国債には利益確定売りが入り始めて低下後の米国長期金利は反発上昇し、先週金曜日の夜22時40分頃には一時3.753%付近に上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードでは日米金利差拡大時の円売りドル買いが起き、先週金曜日の夜22時47分頃にはドルは円相場で一時143円89銭付近に買い戻された。

また、先週金曜日の夜21時45分頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ニューヨーク連邦銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の講演での発言が始まり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の2大責務である「物価の安定と雇用の最大化」に向けた「著しい進展」があったとして、リスクバランスは「均衡」してきたことから、「インフレが目標の2%に向かう道筋である現在は、米国政策金利のフェデラルファンド (FF / Federal Funds) レート誘導目標を引き下げることによって、金融政策スタンスの引き締め度合いを緩める方向に調整するのが適切になった」と米国利下げを示唆したものの、講演後の司会者との対談では、米国雇用統計についてはもっと詳細に内容を見極めたいと慎重さも示し、「データや見通し、目標達成に対するリスクの変化にもよるが」、経済活動を促進も抑制もしない中立的なスタンスの金融政策には、「時間をかけて」シフトしていくことは可能だと発言したことや、講演後に欧米の記者団に利下げ幅について、「現時点では、個人的な見解は持っていない」と語っていたことでも、今月9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での一部の米国大幅利下げ予想値が減少し、このファンダメンタル・ニュースが欧米市場のメディアで話題になった先週金曜日の夜22時台の米国長期金利上昇に影響を及ぼしていた。

しかし、深夜24時頃からは、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクリストファー・ウォラー理事の発言があり、米国大学での講演において、「米国労働市場は引き続き軟化はしているが、悪化はしていないことを示している」としており、米国経済がリセッション (Recession / 景気後退) に向かっている兆候は見られないが、「リスクバランスは、2大責務の雇用側にシフトしている」、「これに応じた政策調整が必要だ」、「現在入手可能な一連のデータは、もはや辛抱強さを求めるものではなく、行動を必要とする内容だ」とし、「次回会合で、米国利下げプロセスを始めることは重要」とのハト派寄りの内容があったほか、大幅利下げの可能性についても、自分自身は「オープンマインド」で、「データがもっと大幅な利下げの必要性を示唆する場合は、それも私は支持する」ことや、「データが連続利下げを裏付けるなら、それが適切だろうと私は考えている」とのハト派発言があり、大幅利下げや追加利下げの可能性が市場で再び意識されたことでは、米国ニューヨーク債券市場では、一時反発後の米国長期金利が深夜24時20分頃の一時3.663%付近と昨年6月以来の低利回りに向けて大きく反落し、このハト派寄りの講演内容の事前原稿が公開された深夜24時頃には、ドルは円相場で一時141円76銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。

また、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場で、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が米国利下げ予想を受けた一時的な反発上昇後に反落し、大幅続落の終値に向け始めていたほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も小幅続落の終値に向かい、国際的なハイテク企業比率の多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も大幅安の終値に向けていたことでも、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも、ドルからでも買える安全資産の米国債買いの影響による米国長期金利低下と、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードも相まった低リスク通貨の円買いが起きていたことも、為替相場に影響を与えていた。

とはいえ、クリストファー・ウォラー理事が指摘していた様に、「米国経済がリセッション (Recession / 景気後退) に向かっている兆候は見られない」ことを受けては、先行していた欧州市場で4~6月の第2四半期期の欧州ユーロ圏総合の実質域内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値が速報値から下方修正されていたことなどと比較すると、欧州長期債利回りも低下しており、欧米の主要株価の下落を受けたリスク回避のリスクオフでは、欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどに対しては世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルが買い戻された影響の波及では、円相場や主要通貨に対してドルは反発し、米国長期金利も一時の大幅な下げ幅は縮め始めていた。

米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、ドルのイベントリスクの緩和もあり、週末を控えた利益確定や持ち高調整後の先週土曜日の早朝の終値時点は3.710%付近と、前営業日比では-0.018低下したものの再び3.7%台と、一時の3.6%台の大幅な下げ幅からはやや回復傾向を見せていたことでも、一時141円台の市場安値後のドルには買い戻しが入り、円相場でも142円台で推移していた。

このため、先週金曜日の夜から先週土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円2銭付近から、円の高値でドルの安値の141円76銭付近の値幅約2円26銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は142円30銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の143円41銭付近と比べると約1円11銭の円高ドル安をつけて、世界市場の週末を迎えていた。

今朝早朝の週明けの今朝早朝のシンガポールなどのアジアとニュージーランドやオーストラリアなどのオセアニア市場時間の今朝7時9分頃にも、ドルは円相場で一時141円94銭付近にまで買われたが、再び142円台に向けてイベントリスク経過後のドルが主要通貨に対して買い戻される底固い値動きを繰り返した。

今朝8時50分には日本の最新重要経済指標の発表があり、4〜6月の第2四半期の日本国内実質国内総生産 (GDP) の改定値は、前期比が前回の速報値と市場予想の0.8%にやや届かない0.7%で、年率換算も前回の3.1%と市場予想の3.2%を下回る2.9%に下方修正されたことも、高値後の円の利益確定売りや持ち高調整に影響を及ぼしていた。

同時発表だった7月の日本の国際収支の貿易収支も、前回の5563億円の黒字から市場予想の-4276億円を下回る-4827億円の赤字転換となったことも円売りに影響を及ぼした。

そのため、今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円49銭付近の始値であったが、日本市場でも今朝9時7分頃にはドルは円相場で一時141円42銭付近まで売られて、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、再び142円台に反発する値動きを繰り返した。

また、先週末の米国主要株価三指数下落の影響などもあり、週明けの東京株式市場でも株売りが起き、今朝の一時141円台の円高を受けては、円安時に買った日本株を円高時に利益確定売りして為替利益を獲得する海外投資家達の日本株売りもあり、今日の日経平均株価は今朝9時50分頃には前営業日の前終値比では一時1061円73銭安にまで大幅な下落を見せたが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いやドルの買い戻しが進んだことでは、ドルは円相場で142円台後半と前東京終値比では円安ドル高に転じ始めたため、日経平均株価は今朝の円高時の大幅な下げ幅を縮め始めた。

今日の日経平均株価は午後にはさらに下げ幅を縮めたため、低リスク通貨の円売りドル買いが入ったことに加えて、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では米国経済のソフトランディングへの期待感もあり、米国長期金利が反発上昇しており、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り、ドルは円相場で143円台に向けて上昇した。

午後15時頃に今日の日経平均株価は、3万6215円75銭の終値をつけ、前営業日比175円72銭安で大引けしたことでは、低リスク通貨の円買いの抵抗もやや混ざっていた。

しかし、午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入後には、米国長期金利が再び上昇したことや、米国金利先物のデータを基にして米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今月9月17〜18日開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) において米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国利下げを開始する市場予想値はトータル100%付近の推移を続けているが、今日の9月の米国利下げ幅の市場予想値では、0.25%の米国小幅予想値が前営業日同時刻の一時57.0%付近から75.0%上昇して市場で確定値と考えられている70%を上回った一方で、0.50%の米国大幅利下げ予想値は25.0%付近に低下したことや、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が日本の株式市場が不安定な時に追加利上げを急がない姿勢も意識されたことなどが、当面の間の日米金利差予想による円売りドル買いに影響を及ぼしており、午後16時16分頃にドルは円相場で一時143円35銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、今日の午後には米国主要株価の先物価格が上昇していたことでも、投資用のドルが買い戻される値動きなども入っていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円14〜15銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の142円50〜51銭付近の前東京終値比で約64銭の円安ドル高になった。

また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利が17時55分頃には一時3.764%付近に上昇を続けて高止まりしていたため、今夜18時台にはドルは円相場で143円台後半に向けて上昇し、今夜19時40分頃には一時143円78銭付近にもドルは円相場で買われている。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標などの発表予定があり、日本時間の経済市場カレンダーのスケジュールは、今夜23時に7月の米国卸売売上高と、28時に7月の米国消費者信用残高などが発表される予定である。

また、今週の9月11日の水曜日には、最新米国重要インフレ指標である8月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表予定のイベントを控えている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円30〜32銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の158円42〜44銭付近の前東京終値比で約12銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、先週末の欧米主要株価下落時のリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円が買われていたほか、今日の日経平均株価が今朝の一時の大幅な下げ幅を縮小後にも安値で大引けしていたことでは、リスク市場に弱い欧州ユーロは円相場では売られやすかった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1058〜1.1060ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1116〜1.1118ドル付近の前東京終値比で約0.58セントのユーロ安ドル高だった。

主な要因は、米国雇用統計発表イベント後のドルの買い戻しや、先週金曜日に下方修正された欧州景気指標と比較した米国景気の底固さでは、欧州長期金利も低下していたため、日米欧株価下落時のリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円だけでなくドルも欧州ユーロに対する安全資産として買い戻されており、今日のユーロドルの為替相場に影響を及ぼしていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は187円54〜60銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の187円85〜91銭付近の前東京終値と比べて約31銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、欧州主要株価や日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われた際には、英国ポンドも円相場で売られて円相場で下落したが、先週末の英国株式市場での英国主要株価指数FTSE 100 (Financial Times Stock Exchange 100 Index) は前日比で小幅高の終値で引けていたことや、今日の日経平均株価が下げ幅を縮めた後に米国株価先物にも買い戻しが見られたことなどでは、低リスク通貨の円の利益確定売りの英国ポンドの買い戻しも入り、今夜19時台の英国ロンドン外国市場では前東京終値比では小幅な円安ポンド高にも転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月9日の日本時間(JST)19時55分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:55の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 143.68 〜 143.69 +1.18 (円安)
ユーロ/円 158.63 〜 158.64 −0.21 (円高)
ユーロ/ドル 1.1040 〜 1.1042 −0.0076 (ドル高)
英ポンド/円 187.89 〜 187.95 +0.04 (円安)
スイスフラン/円 169.24 〜 169.30 −0.01 (円高)
豪ドル/円 95.53 〜 95.57 −0.45 (円高)

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