FXニュース:米長期金利反発時の影響
2024年9月10日東西FXニュース – 2024年9月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米国景気後退懸念が緩和
- 米国主要株価三指数上昇
- 日経平均株価は小幅安に
- 欧ECBの追加利下げ予想
- 英失業保険申請数が改善
今日2024年9月10日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円4銭付近から、円の安値でドルの高値の143円66銭付近の値幅約62銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円65〜66銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円14〜15銭付近の前東京終値比では約51銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、先週の米国雇用統計発表後に米国リセッション (Recession/ 景気後退) 懸念が緩和され、米国大幅利下げ予想の後退と共に米国小幅利下げ予想が確定値を超えて上昇した影響などで、世界的な安全資産である米国債が売られて債券価格低下に伴う利回り上昇で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発上昇したため、一時3.764%付近に上昇した米国債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが、先週の米国雇用統計発表前に進行していた円高ドル安後の円の利益確定売りとドルの持ち高調整買いと重なったほか、欧州市場で欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の追加利下げ予想が優勢であった欧州ユーロ売りの影響などもあり、昨夜20時30分頃にはドルは円相場で一時143円80銭付近に買われ、英国市場および世界市場の日通しの円の安値でドルの高値を記録し、前東京終値比で円安ドル高基調のトレンドに転じていた。
昨日の午後から米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) では、今月9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国利下げを始める市場予想値はトータル100%付近の推移を続けており、9月の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅予想値が一時75.0%付近に上昇し、市場で確定値と考えられている70%を上回り、一方で0.50%の米国大幅利下げ予想値が25.0%付近に低下したことが話題になっており、また、最近の円高を受けて日経平均株価が続落するなど金融市場が不安定な状態では日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) は追加利上げを急がない姿勢が市場で意識されていたことも、当面の間の日米金利差予想に影響を及ぼしていた。
利回り一時上昇後の米国長期金利は、世界的な安全資産でもある米国債需要もあったことでは、安値からの米国債買いの影響で債券価格反発に伴う利回り反落の影響で上昇幅を縮め始めたため、高値後のドルには利益確定売りの抵抗も入り始めていたことでは、英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円61銭付近の始値であった。
ただし、昨夜21時頃の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は反落後にもまだ一時3.755%付近と、前ニューヨーク終値時点の3.710%付近よりも高水準で推移していたことでは、日米の債券利回りを受けた金利差トレードでは日米金利差の円売りドル買いの影響が続き、昨夜21時2分頃にドルは一時143円70銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、昨日の午後に米国主要株価の先物価格が上昇していたが、昨夜の米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が米国利下げ予想を受けて反発上昇して大幅高になったほか、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸)への期待感による米国主要株価の買い戻しなどの影響もあり、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も上昇し、国際的なハイテク企業比率の多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も大幅高の終値に向けて反発上昇していたことでも、以前の日米株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で買われていた安全資産の米国債や低リスク通貨の円が利益確定売りされる巻き戻しのリスク選好のリスクオン (Risk-on) で投資需要もあるドルが買い戻されていた。
昨夜23時には最新米国経済指標の7月の米国卸売売上高の発表があり、前回マイナス圏だった-0.6%が前回-0.3%に上方修正された上で、今回プラス圏の1.1%に改善されたことも、過度な米国景気懸念を緩和し、最近好景気寄りだった米国景気指標と合わせた米国主要株価の買い戻しに繋がっていた。
しかし、昨夜23時35分頃の米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産でもある米国債買いの需要を受けて、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時3.719%付近と反落後の低下を続けており、前ニューヨーク終値時点の3.710%付近に近づいて上昇幅を失った影響では、英国ロンドン外国為替市場では日通し高値を記録後のドルの利益確定売りや持ち高調整も続いていたことでは、深夜頃の欧州市場終盤の利益確定と持ち高調整の高まりの影響などもあり、昨夜23時36分頃にドルは円相場で一時142円65銭付近の昨夜の米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、欧州本土市場よりもやや時差遅れの英国ロンドン外国為替市場では、深夜のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた主要取引通貨のドル需要があったほか、米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数が揃って上昇の終値になったため、前営業日比で大幅高の米国主要株価二指数を受けたブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオンが続いたことでは、市場安値後のドルの買い戻しでドルは円相場で反発し、再び143円台前半に向けて戻していた。
今朝4時には最新米国経済指標の7月消費者信用残高が発表され、前月比は前回の89.3億ドルと前回下方修正の52.3億ドルと市場予想の124.5億ドルを大幅に上回る254.5億ドルに上昇するなど2022年11月以来の今年最大の増加幅を示し、米国消費者のクレジットカード残高の急増と共に米国消費者マインドの強さを反映していた。
先週末の米国雇用統計発表後に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事などが指摘していた様に、「米国経済がリセッション (Recession / 景気後退) に向かっている兆候は見られない」ことを受けては、米国株式市場で米国主要株価三指数が揃って高値をつけて引けた後にも、うち二指数は大幅高であった影響などが残り、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の今朝5時59分頃には、ドルは円相場で一時143円21銭付近に買い戻されていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円70銭付近から、円の高値でドルの安値の142円65銭付近の値幅約1円5銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円18銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の142円30銭付近と比べると約88銭の円安ドル高をつけていた。
その後の今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円19銭付近の始値であったが、今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であった影響もあり、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったほか、今朝までの米国主要株価三指数の上昇を受けて、米国企業を主要取引先に持つ日本企業の株などが買い戻されたことでは、今朝の東京株式市場でも日経平均株価が前日比で大幅に上昇して始まり、早期の利益確定売りなどの抵抗で今朝9時15分頃から9時40分過ぎ頃までは一時的に前日比でマイナス圏に転じたものの、その後には再び反発してプラス圏に戻し、今朝10時40分頃には日経平均株価が一時は前日比で大幅高を記録したことでは、今朝10時37分頃にドルは円相場で一時143円54銭付近に買われていた。
ただし、上昇後の日経平均株価には、日本銀行 (日銀 / BoJ) の追加利上げへの警戒感なども燻り、再び早期の利益確定売りが入り、午後には上昇幅を失くし、再びマイナス圏に向けていたことを受けては、再び低リスク通貨の円の買い戻しも入ったことなどでは、日本市場時間の時間外の米国債券取引でも上昇後の安全資産の米国10年債の利回りも上昇幅を一時失ったため、米国長期金利低下に伴う円買いドル売りの抵抗もあり、午後14時34〜38分頃にかけての数分間、午後14時36分をピークに対ドルの円相場は一時143円4銭付近に反発し、今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国景気後退懸念が緩和していたドルの底値は低リスク通貨の円に対しても固く、米国長期金利が再び上昇に向け始めたほか、数分もかけても下抜けできなかった底値からは反発と上昇に転じた。
一方、今日の日経平均株価は、午後15時頃には3万6159円16銭の終値をつけ、前日比56円59銭安のマイナス圏の小幅安で大引けしたことでは、日本の株式市場からの低リスク通貨の円買い需要が続いていたことでは、この時間のドルの買い戻しにはやや抵抗が混ざっていたが、午後からの欧州市場に続く英国ロンドン外国為替市場の参入があり、今日の午後15時に発表された8月の英国失業保険申請件数が大幅に改善されるなど、英国市場での世界的な安全資産の米国債売りが続いたことで、今夜17時頃には米国長期金利が再び一時3.727%付近に上昇したことを受けては、債券利回りを受けた円売りドル買いが再び勢いを増し、今夜17時頃の東京終値直前の17時0分の1分間の値動きの中で、ドルは円相場で一時143円66銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
なお、今夜17時頃のフェドウオッチ (FedWatch) でも、今月9月17〜18日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.25%の米国小幅予想値が73.0%付近と市場確定値の70%を上回り続けて推移しており、一方の0.50%の米国大幅利下げ予想値は27.0%付近に留まり続けていたことも、当面の間の日米金利差予想に影響を与えていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円65〜66銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の143円14〜15銭付近の前東京終値比で約51銭の円安ドル高になった。
ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、上昇後の米国長期金利が再び上昇幅を失ってきたこともあり、ドルの利益確定売りや低リスク通貨の円の買いの反発も入り、今夜19時台には前日比で小幅域の円安から円高への市場転換なども見せている。今夜この後の米国市場では、特に重要度が高い最新米国経済指標などの発表予定はないものの米国債の入札予定を控えており、日本時間の経済市場カレンダーのスケジュールでは、26時0分に米国3年債の入札予定がある。
また、明日9月11日水曜日の夜には、最新米国重要経済指標でインフレ指標である8月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表予定のイベントなども控えている。
欧州市場でも、今週の9月12日木曜日の夜に、欧州中央銀行 (ECB) 理事会が欧州新政策金利を発表するイベントを控えている。
欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円52〜53銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の158円30〜32銭付近の前東京終値比で約22銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、米国主要株価三指数上昇に伴うリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が利益確定や持ち高調整で売られて、主要通貨のドルに対して円安に転じた影響が他の主要通貨である欧州ユーロに波及したほか、前日には大幅安だった日経平均株価も今日は一時大幅高を記録後に利益確定後も小幅安に留まっていたことなどでは、低リスク通貨の円買いの需要がやや弱まっていた。
ただし、その後の今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利上昇後の反落を受けたドル売りで円が買われた影響の波及などで、円高ユーロ安にも転じている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1035〜1.1037ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1058〜1.1060ドル付近の前東京終値比で約0.23セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、米国雇用統計発表後の米国景気減速懸念の緩和による主要通貨に対するドルの買い戻しの影響があったことに加えて、今週の欧州中央銀行 (ECB) 理事会では、欧州追加利下げ予想が優勢であることも、米国大幅利下げ予想の後退により米国小幅利下げ予想が優勢になっていたドルとの欧米金利差が意識され、米国長期金利の反発上昇を受けては、円高でなく欧州ユーロや英国ポンドに対してもドルが買われていた。
また、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新インフレ指標の8月独消費者物価指数 (CPI) 改定値は、前月比が前回と市場予想通りのマイナス圏の-0.1%に留まり、前年同月比も前回と市場予想一致の1.9%の上昇率のままであった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円4〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の187円54〜60銭付近の前東京終値と比べて約50銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の8月の英国失業保険申請件数が前回の13.50万件と前回修正の10.23万件に対し2.37万件と大幅に改善された。
同時発表の8月の英国失業率は前回と同じ4.7%であったものの、前回分が4.6%に修正されており、7月の英国失業率 (ILO方式) も前回の4.2%に対して市場予想通りの4.1%だった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月10日の日本時間(JST)19時50分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 143.10 〜 143.11 | −0.04 (円高) |
ユーロ/円 | 157.95 〜 157.97 | −0.35 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1037 〜 1.1038 | −0.0021 (ドル高) |
英ポンド/円 | 187.39 〜 187.45 | +0.15 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.77 〜 168.83 | −0.35 (円高) |
豪ドル/円 | 95.37 〜 95.41 | −0.06 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。