FXニュース:今夜の米CPI発表を控え
2024年9月11日東西FXニュース – 2024年9月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利が大幅に低下
- 原油先物安でリスクオフ
- 日銀委員追加利上げ発言
- 日経平均株価が大幅続落
- 米大統領選討論ドル売り
- 年初の円高ドル安を記録
- 英月次GDP市場予想以下
今日2024年9月11日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の142円43銭付近から、円の高値でドルの安値の140円71銭付近の値幅約1円72銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円34〜35銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円65〜66銭付近の前東京終値比では約2円31銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の東京外国為替市場では、一時140円71銭付近の今年最大の円高ドル安を記録した。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、先週末の米国雇用統計発表後の米国経済のリセッション (Recession/ 景気後退) 懸念の緩和により、米国小幅利下げ予想が一時は市場で確定値と考えられている70%を上回って推移していた影響などで、昨夜17時15分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.726%付近に反発上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響で、昨夜17時19分頃にドルは円相場で一時143円71銭付近に買われたが、その後の英国ロンドン外国為替市場では、同時進行中の欧州株式市場の反落の影響や、石油輸出国機構 (OPEC / 米語 : Organization of the Petroleum Exporting Countries / 英語 : Organisation of the Petroleum Exporting Countries) が今年の世界石油需要を2カ月連続で下方修正したファンダメンタル・ニュースを受けて原油先物価格が急落を始めたため、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産である米国債買いが入り始めて、債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、上昇後の米国長期金利が反落を始めたため、債券利回りの日米金利差縮小を受けたドルの利益確定売りや低リスク通貨の円買いの持ち高調整で対ドルの円相場が反発上昇を始め、昨夜19時台にはドル円は前東京終値比で円高ドル安に転じ始めていた。
そのトレンドの影響があり、昨夜21時頃の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円12銭付近と昨日の東京終値時点よりも円高ドル安トレンドになっており、昨夜21時1〜3分頃の一時143円19銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となり、その後には米国長期金利の低下による日米金利差縮小時の円買いドル売りが続いたことで、ドルは円相場で下落を続けた。
東京外国為替市場と並ぶ世界三大市場の英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク外国為替市場の二大市場が並行する大きなトレンドの形成時間にも、先述の石油輸出国機構 (OPEC) の世界石油需要の連続下方修正を受けて、英国の北海ブレント先物が約4%安と2021年12月以来の安値に向けたほか、米国WTI (West Texas Intermediate) 原油先物も一時は5%以上の急落も見せて同じく約4%安の昨年2023年5月以来の安値に向けるなど、コモディティ (Commodity / 商品) 市場で原油先物価格が大幅な急落に向けていたため、世界的な安全資産である米国債買いによるリスク回避のリスクオフが続き、米国ニューヨーク債券市場では昨夜21時頃に一時3.722%付近だった米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、深夜24時55分頃には3.651%付近に大幅な下落を見せたため、米国長期金利低下に伴う日米金利差縮小時の円買いドル売りや低リスク通貨の円買いで円相場がドルだけでなく他の主要通貨に対しても上昇し、午前1時3分頃にドルは円相場で一時142円19銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、午前2時に米国ニューヨーク債券市場で米国3年債の入札があった影響では、他の年度の米国債にも影響が及び、午前2時10分頃に米国長期金利は一時3.669%付近に反発したことではドルの買い戻しの抵抗も入った。
しかし、同時進行中の米国ニューヨーク株式市場では、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸)への期待感では開場時には一時上昇して始まった米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が、先行していた欧州主要株価の反落の影響もあって反落し、前日比で一時は410ドル以上の大幅下落を見せたほか、大幅安の終値に向けたため、欧米株価下落時のリスク回避のリスクオフで安全資産の米国債が再び買われたことでは一時反発後の米国長期金利は再び反落し、米国ニューヨーク債券市場の終値時点の3.644%付近の前日比-0.056に向けて低下していたことでは、債券利回りの米国長期金利の低下に伴う日米金利差縮小時の金利差売買の円売りドル買いと低リスク通貨の円買いが続いたことでは、円相場でのドルの買い戻しは鈍かった。
とはいえ、米国主要株価三指数の一つの米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は大幅安の終値となったものの、米国リセッション懸念緩和やソフトランディング期待の米国株の買い戻しでは、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) は小幅高になっており、国際的な大手ハイテク企業比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前日比で大幅高の終値に向けたことでは、米国主要株価三指数のうちの二指数は上昇して終値をつけたことでは、米国市場ではドルの底値は堅かった。
また、低リスク通貨の円に対しては売られていたドルであるが、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の追加利下げ予想が優勢であったことなどもあり、米国市場では欧州ユーロに対しては世界的に流動性が高い安全資産でもあるドル買いが入っていた影響の波及も、今朝までの米国市場での円相場のドル売りにやや抵抗が入る一因となっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円19銭付近から、円の高値でドルの安値の142円19銭付近の値幅約1円0銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は142円44銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の143円18銭付近と比べると約74銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円23銭付近の始値で、今日の日本市場の時間外の米国債券取引で米国長期金利が一時3.656%付近まで反発した影響では、ドルは円相場で今朝10時21分頃には一時142円43銭付近に反発し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今日の東京株式市場では日経平均株価が続落を始めていたことによるリスク回避のリスクオフの国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの影響や、円高進行に警戒した国内輸出企業のまとまった円買いドル売りが入ったほか、その後の米国長期金利が再び反落して更なる低下に向けたことでは、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが再び入り始めて、ドルは円相場で再び下落を始めた。
この一因には、日本時間の今朝10時から米国大統領候補者のテレビ討論会があり、ハリス副大統領とトランプ前大統領の初の直接対決のイベントが始まったことも、米国政治のイベントリスク回避の安全資産の米国債買いやドルの持ち高調整に影響を及ぼし始めていた。
日本市場でも、今日は日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の中川順子審議委員が、今朝10時30分頃から秋田県の金融経済懇談会の挨拶での発言と、午後14時からの記者会見での再発言の日米のイベントを控えていた時間であったことでも、日銀の追加利上げに関する発言に警戒した持ち高調整のドル売りや低リスク通貨の円買いに影響を与えていた。
午後14時頃からの記者会見では、中川順子日銀審議委員が追加利上げに積極的な発言をしたとのニュース報道をきっかけに、金利上昇への警戒感から既に下落トレンドであった今日の日経平均株価は更に下落幅を広げて大幅な急落を見せたため、今日の円高基調を受けて円安時に買った日本株を円高時に利益確定売りして利益額を増やす戦略的な海外投資家達の日本株売りも続いたため、日本株価大幅下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの勢いが増し、円相場はドルや主要通貨に対する上昇幅を拡大し、午後14時24分頃にドル円は一時140円71銭付近に円相場が急伸し、今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録し、今年最大の円高ドル安を更新した。
午後14時30分頃には、今日の日経平均株価は前日比で一時890円以上も大幅に急落した後、市場終盤の買い戻しの抵抗があったことでは、年内最大の高値後の円にも利益確定売りの抵抗が混ざったものの、午後15時頃には日経平均株価は3万5619円77銭の終値をつけ、前日比539円39銭安の大幅安と連日で続落して大引けしたことでは、低リスク通貨としての円買い需要の影響も続き、ドルの買い戻し幅は限られた。
また、今日の米国大統領選候補のテレビ討論会の後には、人気歌手でインフルエンサーでもあるテイラー・スウィフトが、「今年11月の米国大統領選挙で民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と民主党の副大統領候補のティム・ウォルズに投票する」と支持を公式にするなど、世論でもカマラ・ハリス副大統領がドナルド・トランプ元大統領よりも優位になったとの受け止め方や話題が広がっており、これまでトランプの財政拡張案を見込んでいた一部の投資家の間でもイベントリスクの米国債買いでドルが売られる値動きが入っていた。
午後からは欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入があったが、今日の日本市場の時間外の米国債券取引では、世界的な安全資産の米国債買いが続いた影響に加えて、今夜この後の米国市場では最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えており、鈍化の市場予想が優勢であったことや米国政治要因などのイベントリスクの影響もあり、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) で、今月9月17〜18日開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国利下げを始める市場予想値はトータル100%付近の推移を続けていたが、9月の米国利下げ幅の市場予想値では0.25%の米国小幅予想値が一時63.0%付近に低下して市場で確定値と考えられている70%を下回り、その一方で0.50%の米国大幅利下げ予想値が37.0%付近に上昇した影響でも、今日の日銀の中川順子審議委員の追加利上げに積極的な姿勢とのニュース報道を受けた日米金利差縮小予想の円買いドル売りの為替相場に影響を及ぼしており、前東京終値比で大幅な円高ドル安となっていた。
今日の日本市場終盤の夕方16時48分頃には、米国長期金利は一時3.610%付近と昨年2023年6月以来のおよそ1年3カ月ぶりの低利回りを記録していた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円34〜35銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の143円65〜66銭付近の前東京終値比では約2円31銭と大幅な円高ドル安になっていた。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標などの発表予定があるほか、米国債の入札予定を控えており、日本時間の経済市場カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要インフレ指標である8月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベント予定があり、続いて、今夜23時30分に週間米国原油在庫と、26時に米国10年債の入札予定を控えている。
また、明日9月12日の木曜日の夜には、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が、欧州新政策金利を発表する欧州ユーロのビッグイベントも控えているイベントリスクの影響もあり、追加利下げ予想が市場で優勢の欧州ユーロに対しても、日銀の追加利上げ予想の影響もあって日経平均株価下落のリスク回避のリスクオフも相まって低リスク通貨の円買いがあり、ユーロ円でも今日の日本市場では大幅な円高ユーロ安が進行した主な要因となっていた。
そのため、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は156円2〜4銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の158円52〜53銭付近の前東京終値比で約2円50銭の円高ユーロ安であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1038〜1.1040ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1035〜1.1037ドル付近の前東京終値比で約0.03セントの小幅なユーロ高ドル安だった。
主な要因は、米国長期金利低下によるドル売りがあった一方で、世界的に流動性が高いドルは欧州ユーロに対しては安全資産でもあるため、日経平均株価下落時の低リスク通貨の円売りでは欧州ユーロが円相場でより大幅に下落していたことでは小幅域に相殺されていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は184円84〜90銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の188円4〜10銭付近の前東京終値と比べて約3円20銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国重要経済指標の7月の英国月次国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) が、前月比で市場予想の0.2%を下回る前回横ばいの0.0%に留まったことで、欧州ユーロと同様に日経平均株価の大幅安などを受けて低リスク通貨に対してリスク市場で売られやすい英国ポンドは、更に売られて欧州ユーロよりも大幅な円高ポンド安に下落していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月11日の日本時間(JST)20時2分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時2分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:02の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 141.51 〜 141.52 | −2.14 (円高) |
ユーロ/円 | 156.39 〜 156.41 | −2.13 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1050 〜 1.1052 | +0.0015 (ドル安) |
英ポンド/円 | 185.26 〜 185.32 | −2.78 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.29 〜 167.35 | −1.90 (円高) |
豪ドル/円 | 94.41 〜 94.45 | −1.24 (円高) |
注意:
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