FXニュース:欧政策金利の発表を控え

2024年9月12日
FXニュース:欧政策金利の発表を控え

 

東西FXニュース – 2024年9月12日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米CPI鈍化もコア上振れ
  • 米CPIスーパーコア加速
  • 米大幅利下げ予想が後退
  • 米主要株価三指数が上昇
  • 日銀追加利上げ発言続く
  • 日利上げペースは穏やか
  • 日経平均株価大幅に反発
  • 欧ECBの追加利下げ予想

今日2024年9月12日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の142円26銭付近から、円の安値でドルの高値の143円4銭付近の値幅約78銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円71〜72銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の141円34〜35銭付近の前東京終値比で約1円37銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の東京外国為替市場では、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の中川順子審議委員が追加利上げに積極的な発言をした影響で日米金利差縮小予想が高まったことに加えて、米国大統領選のテレビ討論会後の米国政治の先行き不透明感や昨夜の米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) 発表前のイベントリスクを控えていたドルは、世界的な安全資産の米国債買いの影響で米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利低下時の債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りや日経平均株価続落でも買われていた低リスク通貨の円に対して売られて、昨日の午後14時24分頃にドル円は一時140円71銭付近の今年最大の円高ドル安を記録したが、昨夜17時に日本市場が終了した後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、安値後のドルの買い戻しや高値後の円の利益確定売りの持ち高調整なども入り、ドルは円相場で反発を始めていた。

昨夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、同市場からは翌市場にあたる今夜この後に、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州ユーロの新政策金利と金融政策を発表するイベントを控えていたため、欧州追加利下げ予想が優勢であったことでは高値後の円だけでなく欧州ユーロなどに対するドル買いも入りドルは円相場で反発をしていたが、昨夕には米国小幅利下げ予想値が一時は確定値を下回って推移していたことや、最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) 発表前のイベントリスクでは、欧州英国市場でも世界的な安全資産の米国債買いが継続し、昨夕18時15分頃の時間外の米国債券取引でも米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時3.610%付近の昨年2023年6月以来のおよそ1年3カ月ぶりの今年の低利回りを記録したことでは、その後に米国長期金利が反発上昇を始めるまでは債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りの抵抗も入っていたことでは円相場でのドルの買い戻しはやや鈍く、昨夜21時頃の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時141円69銭付近の始値であった。

昨夜21時30分には、米国インフレ関連の最新米国重要経済指標の8月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表があり、前月比は前回と市場予想通りの0.2%の横ばいで、前年同月比は前回の2.9%と市場予想の2.6%を下回る2.5%の上昇率と2021年2月以来の低水準に鈍化したが、天候条件などで価格変動の激しい食品などを除き物価基調を見る重要指標のべ米国CPIコア指数では、前月比が前回と市場予想の0.2%を上回る0.3%に上振れするなどの米国インフレの根強さも見せ、前年同月比は前回と市場予想通りの3.2%の横ばいであったものの、米国CPIコアサービス価格は住居費と輸送サービス価格が上昇し前月7月の0.3%に対し0.4%と上昇率が加速し、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長も注目している住居費を除くコアサービス価格の米国CPIスーパーコア指数も前月比が前回7月の0.21%から8月には0.33%と上昇率が加速して新型コロナのパンデミック以前の平均値の0.19%の上昇率を上回っており、前年比でも米国インフレ鈍化傾向には根強さも見られたことでは米国大幅利下げ予想が後退し、米国小幅利下げ予想が再び確定値に向けて上昇したため、発表時の昨夜21時30分頃にドルは円相場で一時141円75銭付近から一時142円33銭付近に急伸した。

昨夜21時35分頃には、米国大幅利下げ予想の後退により、米国長期金利も一時3.687%付近に急伸し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いも入ったことでは、昨夜21時49分頃にドルは円相場で一時142円55銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国大幅利下げ予想の後退を受けて、米国主要株価指数の中でも企業への貸付金利などに敏感な米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が一時大幅に急落したことを受けては、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債が一時買い戻されたため、一時急上昇後の米国長期金利は昨夜23時50分頃には一時3.622%付近にまで急反落したことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いで対ドルの円相場が反発したため、昨夜23時50〜51分頃にドルは円相場で一時141円25銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、その後には米国株の買い戻しが入り始め、米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は大幅だった下げ幅を縮めて、小幅域からプラス圏に向けたことでは、低リスク通貨の円の利益確定売りも入り始めて、ドルが再び買い戻され始めた。

また、米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に米国10年債の入札を終えたこともあり米国長期金利が反発上昇し、米国主要株価指数の反発上昇の影響でも安全資産の米国債に利益確定売りや持ち高調整が入ったこともあり、午前2時35分頃には米国長期金利は一時3.679%付近に再上昇したことでも、ドルが円相場で買い戻された。

米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は反発上昇後にプラス圏の大幅高の終値をつけ、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) は小幅高の終値と続伸し、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日比で大幅続伸の終値をつけたことでは、米国主要株価三指数が揃って上昇の終値を記録後の今朝5時10分頃には、ドルは円相場で一時142円46銭付近に買い戻されていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円55銭付近から、円の高値でドルの安値の141円25銭付近の値幅約1円30銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は142円36銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の142円44銭付近と比べると約8銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円64銭付近の始値であったが、今朝早朝までの米国主要株価三指数上昇の影響で今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価が大幅に上昇して始まり低リスク通貨の円売りが入ったほか、米国大幅利下げ予想の後退により時間外の米国債券取引で米国長期金利上昇時のドル買いが入り、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要もあった今朝9時31分頃にドルは円相場で一時142円95銭付近に上昇し、前東京終値比で大幅な円安ドル高に転じ始めた。

ただし、今朝10時頃から日本銀行 (日銀 / BoJ) の田村直樹審議委員の発言があり、昨日の中川順子審議委員に続き、田村直樹審議委員も岡山県の金融経済懇談会の挨拶での発言において、「2026年度までの見通し期間の後半には、少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価安定の目標を持続的・安定的に達成する上で必要」と、再び追加利上げに前向きな姿勢を示したとのニュース報道をきっかけに、円買いドル売りが起きて円相場が反発したことでは、今朝10時14分頃に対ドルの円相場は一時142円26銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、田村直樹審議委員は、「次の利上げは、欧米とは異なり、ゆっくりしたペースになる可能性が高い」と、金融市場に配慮したややハト派的な発言も含めたことでは、当面の間の金利上昇への警戒感は緩和され、今朝からの日経平均株価の大幅な上昇が続き、午後15時に3万6833円27銭の終値をつけ、前日比1213円50銭高の大幅高で大引けし、日米主要株価上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が市場高値後の利益確定売りも相まって再び売られたほか、午後からの欧州英国市場参入後も米国長期金利上昇時の円売りドル買いの影響が続いたことではドルは円相場で再び上昇し、午後16時28分頃にドルは円相場で一時143円4銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

今日の午後には、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) では、来週の9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅予想値が前日同時刻には87.0%付近に上昇して市場で確定値と考えられている70%を上回った一方で、0.50%の米国大幅利下げ予想値は一時13.0%付近に後退した影響でも、米国長期金利上昇に伴う円売りドル買いが入った。

また、今夜21時15分に欧州中央銀行 (ECB) の欧州新政策金利発表のイベントと、その後の今夜21時45分頃からクリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見を控えており、欧州ユーロのイベントリスクや持ち高調整も対ドルで入っていた影響が、対ドルの円相場にも波及していた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円71〜72銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の141円34〜35銭付近の前東京終値比では約1円37銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標などの発表予定があるほか、米国債の入札予定を控えており、日本時間の経済市場カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に8月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) と、 前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、26時に米国30年債の入札予定と、27時に8月の米国月次財政収支の発表予定などを控えている。

なお、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えた発言自粛のブラックアウト期間に入っている。

欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は157円9〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円2〜4銭付近の前東京終値比で約1円7銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨日はドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドに対しても一時は大幅な円高が進行したが、今日は日経平均株価の大幅上昇を受けた低リスク通貨の円売りや、高値後の円の利益確定売りの影響で、欧州ユーロが円相場で買い戻されていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1006〜1.1008ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1038〜1.1040ドル付近の前東京終値比で約0.32セントのユーロ安ドル高だった。

主な要因は、欧州インフレと比較して米国インフレには一部の根強さが見られたことで米国大幅利下げ予想が後退し、米国長期金利上昇時のドル買いがあった一方で、今夜この後の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のイベントリスクが近づく中で、欧州新政策金利には追加利下げ予想が市場で優勢であったことなどが為替相場に影響を及ぼしていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は185円93〜99銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の184円84〜90銭付近の前東京終値と比べて約1円9銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の日経平均株価の大幅上昇を受けたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、欧州ユーロ同様にリスク選好市場で買われやすい英国ポンドが買われ、昨日の大幅な下落後の買い戻しが進んだことや、ドルや欧州ユーロに対する円売りの波及もあり、今日の東京終値では英国ポンドも円相場で前日比の大幅高に転じていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月12日の日本時間(JST)19時28分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時28分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:28の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 142.75 〜 142.76 +1.41 (円安)
ユーロ/円 157.29 〜 157.31 +1.27 (円安)
ユーロ/ドル 1.1017 〜 1.1019 −0.0021 (ドル高)
英ポンド/円 186.39 〜 186.45 +1.55 (円安)
スイスフラン/円 166.99 〜 167.05 −0.14 (円高)
豪ドル/円 95.28 〜 95.32 +1.12 (円安)

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