FXニュース:今年の円高ドル安を更新

2024年9月13日
FXニュース:今年の円高ドル安を更新

 

東西FXニュース – 2024年9月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 欧ECBが追加利下げ決定
  • 欧連続利下げ予想は後退
  • 米PPIは強弱入り混じる
  • 米失業保険申請件数増加
  • 米大幅利下げの可能性も
  • 日経平均株価大幅に反落
  • 来週の米FOMCに注目が

今日2024年9月13日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の141円56銭付近から、円の高値でドルの安値の140円64銭付近の値幅約92銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円90〜91銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円71〜72銭付近の前東京終値比で約1円81銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の日本市場では一時140円64銭付近と、今年最大の円高ドル安の記録を更新した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の東京外国為替市場終了後の昨夕の英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.782%付近に上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いや日経平均株価の大幅上昇後に欧州主要株価指数にも上昇トレンドが見られたため、日欧株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られた影響があり、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時142円57銭付近の始値であった。

市場後半が同時進行中だった欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨夜21時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州新政策金利を発表し、これまでの4.25%から市場予想通りの3.65%へ0.25%の欧州追加利下げを決定したことでは欧州ユーロが円相場や対ドルでやや売られたものの、市場予想で優勢であったことでは織り込み済みの部分も多く市場の反応は限定的となり、欧州ユーロの買い戻しが入り始めた。

昨夜21時30分には、米国市場で最新米国経済指標の8月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) が発表され、前月比の前回0.1%は前回0.0%に下方修正されたが8月分は市場予想の0.1%を上回る0.2%の上昇率で、一方で前年同月比は前回の2.2%と前回下方修正の2.1%と市場予想の1.8%を下回る1.7%に鈍化したことでは、強弱が入り混じった。

天候条件などで価格変動の激しい食品やエネルギー除き物価基調を見る8月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) のコア指数も、前月比は前回の0.0%と前回下方修正の-0.2%と市場予想の0.2%を上回る0.3%にやや上振れしたが、前年同月比は前回の2.4%と前回下方修正の2.3%と市場予想の2.5%に対し2.4%と市場予想をやや下回ったことでは、強弱混合となっていた。

ただし、同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の22.7万件と前回修正の22.8万件に対し市場予想通りの23.0万件に増加しており、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の183.8万人と前回修正と市場予想の184.5万人に対し185.0万人とやや弱かったことでは、昨夜21時30分頃の発表時のドルは円相場で1分間の値幅を瞬時に142円13銭付近から142円62銭付近と広げた後に、その数分後の昨夜21時34分頃には一時142円53銭付近に買われてから昨夜21時41分頃には一時141円96銭付近に反落するなど、強弱混合を受けたやや方向感の定まらない値動きを見せていた。

一方、同時進行中の欧州市場では、昨夜21時45分頃から欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見が始まったが、市場の一部では欧州インフレ鈍化を背景とした次回10月の欧州中央銀行 (ECB) 理事会での連続利下げ予想が浮上していたことなどから発言が終わるまでは警戒感があり、昨夜21時50分頃にはイベントリスクにより世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響などがあり、先ほどの米国経済指標でも米国雇用市場がやや軟化していたこともあって米国債券価格上昇時の利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.651%付近にまで低下した影響ではドルの円相場での買い戻しは鈍かったが、クリスティーヌ・ラガルド総裁が次回の更なる欧州追加利下げについては、「今後のデータ次第」との姿勢を改めて強調したことや、欧州の賃金インフレ率は依然として高い状況にあり、それがサービス価格に影響を与えることへの警戒感も見せており、「欧州のサービスインフレは明らかに、極めて注意深い理解と監視を必要とする」と発言したことなどで、来月10月17日開催予定の次回の欧州中央銀行 (ECB) 理事会での欧州連続利下げ予想が後退し、主要通貨に対する欧州ユーロの買い戻しに影響を与えた。

また、クリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見終了後には、イベントリスク経過後の安全資産の米国債の利益確定売りによる米国長期金利の反発と上昇があり、債券利回りを受けた日米金利差トレードでドルが円相場で買い戻されており、昨夜23時30分頃には米国長期金利は一時3.696%付近に上昇したため、昨夜23時55〜56分頃にかけてドルは円相場で一時142円66銭付近に上昇し、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

午前2時には米国ニューヨーク債券市場で米国30年債の入札があったが、この日の米国ニューヨーク株式市場では、日経平均株価大幅高の後の欧州主要株価指数のドイツの独DAX (Deutscher Aktien IndeX) や米国主要株価三指数も上昇トレンドであったことでは、欧米の株式市場からも世界的な安全資産の米国債売りが起きており、他の年度の米国債にも売りが波及し、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が午前2時20分頃の一時3.707%付近の市場ピークに向けた上昇を始めたこともあり、午前1時43分頃にもドルは円相場で一時142円66銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を再記録した。

しかし、昨日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ観測の報道に続き、毎回の様に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の後の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の記者会見で質問をしている米国経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) のニック・ティミラオス記者が、来週9月17〜18日開催の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国大幅利下げの可能性を否定しなかった記事が話題になっており、日米金利差縮小予想により高値を二度目に上抜けできなかったドルは、テクニカル分析的なダブルトップ (Double top) の二重天井を打って円相場で反落に転じた。

午前3時には最新米国経済指標の8月の米国月次財政収支が発表され、前回の-2437億ドルと市場予想の-3173億ドルを下回る-3801億ドルと、想定以上に赤字額が増えていたことへの警戒感もあり、上昇後の米国長期金利が安全資産の米国債の買い戻しの影響で反落して上昇幅を縮め始めると、時間外のナイトセッションの日経平均株価先物が反落後の大幅な下落を見せ始めたこともあり、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いに加え、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入ったことでは、ドルは円相場で反落後に低下を続けて、午前5時27分頃に一時141円72銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国ニューヨーク株式市場では、前述の米国主要株価三指数は上昇して終値をつけた後であり、米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅続伸の終値になっていたほか、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) も前日比で続伸して引けていたことでは、米国主要株価三指数が揃って続伸の終値を記録していたことでは、市場安値後のドルには米国ニューヨーク外国為替市場の終盤には買い戻しも混ざっていた。

米国ニューヨーク債券市場でも、今朝早朝の終値時点の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は3.675%付近と、一時の上昇幅は失ったものの前日比では+0.022上昇で終えていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円66銭付近から、円の高値でドルの安値の141円72銭付近の値幅約94銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は141円82銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の142円36銭付近と比べると約54銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時141円51銭付近の始値で、今朝9時2分頃の一時141円56銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、時間外のナイトセッションの先物から下落していた日経平均株価がプラス圏から始まった後に反落して大幅安に向けたため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフの国内第一安全資産の低リスク通貨の円買い需要が強く、今日の日本市場では対ドルの円相場が上昇を続けた。

今朝の日本市場の仲値決済では、来週の9月16日の月曜日が敬老の日で今週末は祝日連休の三連休になるため、日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日の今月15日分の決済を連休前の本日行う国内輸出企業のまとまった円買いドル売り需要があったことも、対ドルの円相場を押し上げた。

連休前の利益確定や持ち高調整の影響もあり、今日の日経平均株価は反落後も下落を続け、正午12時35頃の午後の部の開始直後に前日比で一時は387円17銭安の大幅安を記録したため、その後のやや買い戻しが鈍く再下落を見せていた午後13時34分頃に、低リスク通貨の円買いが強まり、対ドルの円相場は一時140円64銭付近に上昇し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、同時に今年最大の円高ドル安を更新した。

また、今日の午後の時点には、米国金利先物のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールで、来週の9月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値が、0.25%の米国小幅予想値が前日の87.0%付近から57.0%付近に低下し、市場で確定値と考えられている70%を下回った一方で、0.50%の米国大幅利下げ予想値は前日の13.0%付近から43.0%付近に上昇した影響で、今日の日本市場の時間外の米国債券取引では米国長期金利が低下しており、日米金利差縮小時の円買いドル売りだけでなく日米金利差縮小予想の円買いドル売りが、低リスク通貨の円買いに乗じたことも、今年最大の円高ドル安の為替相場に影響を及ぼしていた。

今日の昼の13時30分に発表された日本の最新経済指標の7月鉱工業生産の確報値が、前月比と前年同月比ともに前回よりも上昇していたことも円買いの一因となっていた。

ただし、年内最大の円高ドル安の後には、高値の円の利益確定売りや安値のドルの買い戻しの抵抗も入り始めたことに加え、午後14時頃には大幅下落後の日経平均株価も安値の株の買い戻しで反発して下げ幅を縮め始めたことでは、低リスク通貨の円にも利益確定売りが波及したことでは、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入による主要取引通貨のドル需要もあり、ドルは円相場で午後16時18分頃には一時141円41銭付近に買い戻された。

とはいえ、午後15時頃には、今日の日経平均株価は3万6581円76銭の終値をつけ、一時のより大幅な下げ幅は縮小したが、前日比251円51銭安の大幅安で大引けしていた。

また、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベントリスクが意識される中で、米国小幅利下げ予想値が確定値を割り込み、米国大幅利下げ予想値が増えたことでは、米国長期金利が一時の反発後に再び低下しており、今夜17時15分頃の一時3.627付近に向けた低下トレンドになったことでは、再びドルが円相場などで売られて下落した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円90〜91銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の142円71〜72銭付近の前東京終値比では約1円81銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標などの発表予定があり、日本時間の経済市場カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に8月の米国輸入物価指数と米国輸出物価指数が発表される予定で、今夜23時には9月の米国ミシガン大学消費者態度指数の発表も控えている。

なお、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えた発言自粛のブラックアウト期間に入っている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は156円29〜30銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円9〜10銭付近の前東京終値比で約80銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会が市場予想通りに追加利下げを発表したことに対し、日本銀行 (日銀 / BoJ) には追加利上げ観測があり、日欧の金融政策の方向性の違いが意識されたことに加えて、日経平均株価の大幅な反落を受けた低リスク通貨の円買いの影響もあり、リスク市場に弱い欧州ユーロに対して円相場が上昇したが、欧州の連続利下げ予想の後退では、今日の東京終値時点では前東京終値比では大幅域にはなっていなかった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1091〜1.1093ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1006〜1.1008ドル付近の前東京終値比で約0.85セントのユーロ高ドル安だった。

主な要因は、昨夜に欧州中央銀行 (ECB) が欧州小幅利下げを発表後に、次回の連続での欧州の追加利下げ予想が後退したことを受けてイベント後の欧州ユーロが買い戻されたほか、米国大幅利下げの可能性を否定できないことから米国長期金利低下時のドル売りの影響があり、また今年最大の円高ドル安の外貨影響が、他の主要通貨であるユーロドルにもドル安方向への圧力として波及していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は185円25〜31銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の185円93〜99銭付近の前東京終値と比べて約98銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今日の日経平均株価の大幅な反落を受けたリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われて主要通貨に対して上昇しており、ドルや欧州ユーロと同様に英国ポンドも円相場で売られて下落した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月13日の日本時間(JST)19時54分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時54分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:54の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 140.56 〜 140.57 −2.15 (円高)
ユーロ/円 155.91 〜 155.92 −1.18 (円高)
ユーロ/ドル 1.1088 〜 1.1092 +0.0082 (ドル安)
英ポンド/円 184.55 〜 184.61 −1.38 (円高)
スイスフラン/円 165.73 〜 165.79 −1.27 (円高)
豪ドル/円 94.26 〜 94.30 −0.79 (円高)

注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。