FXニュース:米FRBウォラー理事発言
2024年9月23日東西FXニュース – 2024年9月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 今後の米利下げ要因言及
- 米大幅利下げ予想値上昇
- 米長期金利が為替に影響
- 欧州中東情勢リスク回避
- 低リスク通貨の円買いも
- 欧英PMIが市場予想以下
今日2024年9月23日月曜日の日本の東京外国為替市場は秋分の日の振替休日で休場であったが、9時頃から17時頃までの日本市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の144円46銭付近から、円の高値でドルの安値の143円55銭付近の値幅約91銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は143円59〜61銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の143円68銭付近の前東京終値と比べると約9銭の小幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国新政策金利を4.75〜5.00%に0.5%の米国大幅利下げを決定後に、英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) が英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) で英国政策金利を5.0%の現状維持で据え置きし、先週金曜日には日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合が市場予想通りに0.25%程度の日本の政策金利を維持し、その後の植田和男総裁の記者会見の発言では、追加利上げを急がない慎重な姿勢が示されたことなどから、市場では当面の間の日米英の金利差が意識されて円がドルや英国ポンドなどの主要通貨に対して売られて下落したため、先週の東京外国為替市場終了後の先週金曜日の夜20時34分頃の英国ロンドン外国為替市場では対ドルの円相場は一時144円43銭付近であった。
先週金曜日の夜21時頃の英国ロンドン外国為替市場後半から時差で始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円22銭付近で、先週金曜日の夜20時50分頃の英国市場での時間外の米国債券取引でも一時3.740%付近に上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、中東情勢の世界ニュースに警戒した世界的な安全資産の米国債の安値買いの影響などがあり、先週金曜日の夜21時25分頃の一時3.722%付近に一時反落したことを受けては、144円台に上昇後のドルにも債券利回りを受けた金利差トレードの円買いドル売りが入り、先週金曜日の夜22時12分頃に一時143円46銭付近と米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、ドルのイベントリスク経過後の米国債売りが再開し、先週金曜日の深夜24時10分頃には米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時3.765%付近に反発上昇したことを受けては、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きたことに加えて、同時進行中だった世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場でも深夜24時頃のロンドン・フィキンシング (London Fixing) の金価格などの値決め時間に主要取引通貨であるドル買い需要があったことなどが影響し、深夜24時11分頃にドルは円相場で一時144円50銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、週末を控えた英国市場終盤に向けて市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたほか、この時間の米国ニューヨーク株式市場では、週末を控えた利益確定売りや持ち高調整の影響もあり、前営業日には史上最高値を記録後の米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が一時的な反落を見せており、同じく前営業日には大幅高だった世界的なハイテク企業株の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も反落の値動きを見せながら推移しており、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) も揃って反落の値動きを見せていた時間であったことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で再び安全資産の米国債買いやドルからでも買える低リスク通貨の円が買われたことでは、対ドルの円相場は143円台後半に向けた反発を見せ始めた。
また、先週土曜日の午前1時台には、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクリストファー・ウォラー理事が米国の経済専門チャンネルのCNBC (Consumer News and Business Channel) テレビに出演し、今月9月17〜18日のFOMCで0.5%の米国大幅利下げを支持した理由について、米国インフレ鈍化のデータが原因であり、米国労働市場の軟化懸念は原因ではないと、先日のジェローム・パウエル議長と同様の発言もしていたが、自身の懸念として、「私がやや懸念しているのは、米国インフレが予想以上に軟化しつつあることだ」と、FOMCで重視する米国インフレ関連の重要経済指標の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 価格指数の年率ベースの上昇率が、過去3カ月で目標の2%を下回る1.8%未満に留まっているとの見解から大幅利下げを決定し、米国労働市場の回復も目指した積極的な金融政策に踏み切ったことに言及し、自身の想定通りの進展をすれば、今年11月と12月に開かれる今後2回の年内のFOMCでも、それぞれ0.25%の小幅利下げを支持する可能性が高いと発言した。
さらに、クリストファー・ウォラー理事は、「米国労働市場のデータが想定外に軟化する場合や、或いは想定以上に米国インフレデータが鈍化を続ける場合には、より速いペースで行動する可能性もある」とハト派寄りの発言をしたが、その一方で、「もしも米国インフレが再燃すれば、米国利下げを見送る要因になり得る」とタカ派発言も付け加えてはいたが、米国雇用市場の想定外の軟化時には米国大幅利下げの可能性があることは市場ではすでに織り込み済の部分があったものの、目標以上の米国インフレ鈍化継続時にも米国大幅利下げの可能性があることでは、最近の米国インフレ鈍化傾向を受けて、次回11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国大幅利下げの可能性の市場予想値が上昇したため、米国政策金利は先週土曜日の午前1時50分頃の一時3.722%付近に向けて低下し、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の伴う円買いドル売りの影響もあり、先週土曜日の午前1時18分頃にはドルは円相場で一時143円65銭と上昇幅を縮めていた。
なお、金利先物市場のデータを基に米国フェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回2024年11月6〜7日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.50%の米国大幅利下げ予想値が51.5%付近に上昇し、一方で0.25%の米国小幅利下げ予想値は48.5%の劣勢に転じていた。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国大幅利下げ予想値の上昇を受けて、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が一時の反落後に反発上昇し、先週土曜日の早朝に42,063ドル36セントの終値をつけて前営業日比38ドル17セント高の小幅高に転じて続伸したことでは、米国株式市場からは安全資産の米国債の利益確定売りが入ったことでは、先週末の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りは3.744%に反発し、前営業日比+0.029の上昇で終えていたことでは、債券利回りを受けた日米金利差では低リスク通貨の円売りとドルの買い戻しも入ったが、米国主要株価三指数中の残りの二指数にあたる米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) は小幅安のままの終値に向けたことでは、一時144円台に反発後のドルは再び143円台後半へと上昇幅を縮めたが、前営業日比では大幅な円安ドル高になっていた。
このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の143円46銭付近から、円の安値でドルの高値の144円50銭付近の値幅約1円4銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は143円85銭付近と、米国市場の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の142円63銭付近と比べると約1円22銭の大幅な円安ドル高をつけて週末を迎えていた。
週が明けた今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、オセアニア市場の主要取引先でもある欧州ユーロ圏主要国のドイツで、先週末のドイツ東部の州選挙で、オラフ・ショルツ首相の社会民主党(SPD / ドイツ語:Sozialdemokratische Partei Deutschlands / 英語:Social Democratic Party of Germany)が、独極右ポピュリズム政党のドイツのための選択肢(AfD / ドイツ語:Alternative für Deutschland / 英語:Alternative for Germany)に対し、接戦ながらも第1党として勝利を収めた世界ニュースが入ったことなどで、低リスク通貨の円売りが先行したことでは、ドルは円相場で再び144円台に乗せていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続く今日の日本市場は、昨日の9月22日の「秋分の日」の国民の祝日が日曜日であったことから、翌月曜日にあたる今日が振替休日で休場であったが、今朝9時頃の今日の東京外国為替市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場は一時144円8銭付近で、東京株式市場も休場ではあったが世界市場で時間外の日経平均先物が上昇していた時間であったこともあり、低リスク通貨の円売りが先行したことでは、今朝10時25分頃にドルは円相場で一時144円46銭付近の今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、先週末の米国市場で記録した一時144円50銭の手前付近がテクニカル分析的なレジスタンスラインとして意識されたほか、その後の今朝10時32分頃と今朝11時5分頃の一時144円45銭付近の高値圏を二度目に上抜けできなかったことでは、ダブルトップ (Double top) の二つの山の毛抜き天井の売りサインとなったことでは、日本市場が休場中でファンダメンタルズ・ニュースの影響が少なかったこともあり、高値圏を記録後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り、ドルは円相場で反落を始めた。
また、午後からの欧州市場の参入を受けては、今日の午後15時台の時間外の米国債券取引で一時3.766%付近にまで上昇していた米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が、欧州連合 (EU / European Union) と地理的に遠くない中東情勢懸念のニュースの影響を受けた地政学的リスク回避で世界的な安全資産の米国債が再び買われた影響があり、米国債価格上昇に伴う利回り低下が起きて上昇後の米国長期金利が反落し、英国ロンドン外国為替市場の本格参入後の午後16時20分頃には、前ニューヨーク債券市場の終値時点からマイナス圏にあたる3.740%付近に低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りや低リスク通貨の円買いの影響があり、午後16時45分頃にドルは円相場で一時143円55銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、英国市場では、先週末のウォラー理事の発言の影響があった今日の日本時間の午後の時点では次回の米国大幅利下げ予想がやや優勢であったが、今日の夕方には、フェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回11月6〜7日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.50%の米国大幅利下げ予想値が49.5%付近に低下してきており、一方で0.25%の米国小幅利下げ予想値は50.5%のやや優勢に戻していたことでは、下落後のドルの買い戻しもやや混ざっていたことでは、この時間には円相場では小幅域に留まっていた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は143円59〜61銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の143円68銭付近の前東京終値と比べると約9銭の小幅な円高ドル安になっていた。
今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官の発言予定や最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本市場の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜21時に次回のFOMC投票権を持つ米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁の発言予定と、今夜22時45分に 9月の製造業とサービス部門と総合の米国購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) の速報値の発表予定などを控えている。
また、世界ニュースや欧米の債券市場と株式市場の動向や、外貨影響なども引き続き注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値相当時間は159円39〜41銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の160円35〜36銭付近の前東京終値と比較すると約96銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州では中東情勢悪化のニュースを受けた地政学的リスク回避があり、世界的な安全資産の米国債買いや、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドル買いがあったほか、低リスク通貨の円が買われた影響が為替相場に影響を及ぼした。
このため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値相当時間は1.1100〜1.1104ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1163〜1.1164ドル付近の前東京終値と比較すると約0.63セントのユーロ安ドル高であった。
また、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標では、午後16時15分のフランスの9月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が前回の43.9と市場予想の44.3に対し44.0と前回よりはやや改善したものの市場予想には届かず、9月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の55.0と市場予想の52.5を下回る48.3に悪化し、続いて午後16時30分のドイツの9月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の42.4と市場予想の42.3を下振れする40.3に低下し、9月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の51.2と市場予想の51.0を下回る50.6に悪化し、今夜17時の欧州ユーロ圏総合の9月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の45.8と市場予想の45.6以下の44.8で、9月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の52.9と市場予想の52.1を下回る50.5に低下したことでも欧州景気懸念が燻り、地政学リスクに加えた今日の欧州ユーロ売りの一因となった。
欧州と地理的に経済圏が近い英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値相当時間は190円44〜50銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の191円28〜34銭付近の前東京終値と比べると約84銭の円高ポンド安であった。
なお、今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の9月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も、前回と市場予想の52.5を下回る51.5で、9月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の53.7と市場予想の53.5を下回る52.8であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月23日の日本時間(JST)20時7分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時7分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:07の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 143.24 〜 143.25 | −0.44 (円高) |
ユーロ/円 | 159.25 〜 159.26 | −1.10 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1116 〜 1.1118 | −0.0047 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.60 〜 190.66 | −0.68 (円高) |
スイスフラン/円 | 168.71 〜 168.77 | −0.74 (円高) |
豪ドル/円 | 97.76 〜 97.80 | −0.15 (円高) |
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