FXニュース: 米FRB議長利下げ急がず

2024年10月01日
FXニュース: 米FRB議長利下げ急がず

 

東西FXニュース – 2024年10月01日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小幅利下げ予想優勢に
  • 米シカゴPMI予想上振れ
  • 四半期末の英ロンフィク
  • 米パウエル議長発言影響
  • 日銀主な意見時間的余裕
  • 日経平均株価大幅に上昇
  • 欧追加利下げ予想高まる

今日2024年10月1日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円65銭付近から、円の安値でドルの高値の144円53銭付近の値幅約88銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円17銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円39〜40銭付近の前東京終値比で約1円78銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場後半の昨夜21時頃のから始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時142円55銭付近の始値であったが、この時間の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜21時頃の一時3.781%付近から昨夜21時20分頃の一時3.793%付近へと更なる上昇に向けていたため、昨夜21時0分の1分間の値動きの中で見せた一時142円54銭付近が昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値となり、債券利回りを受けた日米金利差トレードの円売りドル買いの影響などでドルは円相場で上昇した。

昨夜21時頃には同時進行中の欧州市場で欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新インフレ指標の9月の独消費者物価指 (CPI / Consumer Price Index) の速報値の発表があり、前月比は前回の-0.1%に対し市場予想通りの0.0%であったが、前年同月比は前回の1.9%と市場予想の1.7%を下回る1.6%に鈍化と下振れしたことに続き、昨夜22時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言を受けて欧州追加利下げ予想が高まり、昨夕の英国ロンドン外国為替市場でも次回の米国小幅利下げ予想が優勢に転じていた影響などもあり、欧州ユーロに対してもドルが買われた影響が円相場に波及した。

ただし、同時に世界的な安全資産でもある米国債も買われた影響では、米国債券価格上昇時の利回り低下の抵抗もあり、上昇していた米国長期金利が一時反落し、昨夜22時25分頃に一時3.761%付近まで下押ししたことは、ドルの円相場でのやや抵抗になった。

しかし、昨夜22時45分には、最新米国経済指標の9月の米国シカゴ購買部協会景気指数の発表があり、前回の46.1と市場予想の46.3を上回る46.6に上振れしたことを受けて、米国経済へのソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待もあり、米国長期金利が反発し再び上昇したため、ドルは円相場で143円台に上昇した。

また、昨夜は次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言の影響があり、昨夜21時50分頃から始まっていたミシェル・ボウマン理事の発言では、先週発表された最新米国重要インフレ経済指標の8月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数の米国PCEデフレーターの鈍化データの後にも、以前と同じ米国大幅利下げに慎重なタカ派姿勢が見られたことでもドルが買われた。

同時進行中だった世界最大規模の金価格の値決めなどがある英国ロンドン外国為替市場では、昨夜の9月末と四半期末の決算期の深夜24時のロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決め時間の主要取引通貨であるドル買いのフロー (Flow / 流れ) が観測された後であったこともあり、深夜24時台の45〜47分頃と55分頃の数分間に渡ってドルは円相場で一時143円36銭付近の推移を見せた。

ただし、午前1時頃からは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連邦準備銀行 (Federal Reserve Bank of Atlanta) のラファエル・ボスティック総裁の発言があり、今週金曜日に予定されている次回の米国雇用統計のイベントを前に、「米国労働市場が軟化すれば、0.50%の追加利下げの可能性を排除せず」とハト派発言があったことを受けては、ドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入ったほか、次回のFOMC投票権は持たないがFRB高官の米国シカゴ連銀連邦準備銀行 (Federal Reserve Bank of Chicago) のオースタン・グールスビー総裁もハト派寄りの発言をしたことで、その後の午前2時55分頃から予定されていたジェローム・パウエル議長の発言を前にしたイベントリスクの持ち高調整なども入り、発言直前の午前2時55分頃にドルは円相場で一時142円90銭付近まで下押しした。

しかし、午前2時55分頃から全米企業エコノミスト協会 (NABE / National Association for Business Economics) の年次会合の講演で始まった次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の中でも市場への影響力が最も強いジェローム・パウエル議長の発言は、米国経済は、「総じて経済は堅調だ」と楽観的で、「我々は予め決まった道を進んでいるのではない」と今後のデータ次第であることは強調したが、「この先、米国経済がおおむね想定通りに進展すれば、金融政策は時間とともに、より中立のスタンスへと移行するだろう」と、米国経済が予想通りに進展すれば、年内2回のFOMCでは、0.25%ずつの2回の米国小幅利下げを「時間をかけて」予想できるとし、急速な大幅連続利下げに否定的であったほか、今年年内に2回以上の米国追加利下げ予想も牽制したタカ派寄りの発言と市場では受け止められて、次回の米国大幅利下げ予想が更に後退し、ドルが円だけではなく他の主要通貨にも買われて上昇した影響が波及したため、ジェローム・パウエル議長の発言後の午前3時29分頃にドルは円相場で一時143円91銭付近に上昇し、昨夜から今朝までの米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

市場高値後には利益確定や持ち高調整の抵抗も混ざったが、次回の米国大幅利下げ予想が大幅に後退し、米国小幅利下げ予想が高まったことでは、午前4時25分頃には米国ニューヨーク債券市場で米国長期金利は一時3.808%付近に上昇したため、午前4時33〜34分頃にもドルは円相場で一時143円90銭付近の高止まりを見せたが、米国大幅利下げ予想の後退を受けて一部の株価が上昇幅を縮めるなどの影響もあり、二度目で上抜けできなかったことでは、テクニカル分析的なダブルトップ (Double top) の毛抜き天井の売りサインになったことでは、利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り、ドルはやや上昇幅を縮めた。

一方、四半期末の米国ニューヨーク株式市場では、米国経済のソフトランディング期待の影響が続いていたことでは、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は小幅ながらも続伸し、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も小幅高の終値と、米国主要株価三指数が揃って小幅高の終値をつけたことでは低リスク通貨の円売りが入った。

また、安全資産の米国債売りの影響が残り、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は3.781%付近と、一時の上昇幅は縮めたものの前日比で+0.031上昇して引けたことでは、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響も続いていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の142円54銭付近から、円の安値でドルの高値の143円91銭付近の値幅約1円37銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円63銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の142円21銭付近と比べると約1円42銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、午前8時50分には、前回9月19〜20日開催分の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合における主な意見の公表があり、以前にも金融資本市場が不安定な状況で「利上げすることはない」との意見が話題になったが、「現時点では、本格的な引き締め政策への転換を連想させるような追加的な政策金利の変更は望ましくない」との意見や、「最近の円安修正に伴って、輸入物価上昇による物価上振れリスクも減少しているので、見極めるための時間的余裕はある」など、追加利上げを急がない意見が目立ち、市場では時間をかけた利下げ方向の米国と時間をかけた利上げ方向の日本との当面の間の日米金利差予想を受けた調整の円売りドル買いが起きた。

同時発表だった7〜9月第3四半期日銀短観では、重要指標である日本の四半期大企業製造業業況判断が前回と市場予想通りの13の横ばいで、四半期大企業製造業先行きも市場予想を上回る前回横ばいの14で、四半期大企業非製造業業況判断は前回の33と市場予想の32を上回る34に上振れするなど堅調であったものの四半期大企業非製造業先行きでは前回の27よりは上昇したものの市場予想の30には届かない28で、四半期大企業全産業設備投資の前年度比は、利上げの影響もあり前回の11.1%と市場予想の11.9%に対して10.6%に留まった。

同じく発表された8月の日本失業率は、前回の2.7%と市場予想の2.6%よりも堅調な2.5%に失業率が低下したが、欧米と比較すると日本の完全雇用に近い状態や賃上げなどの影響もあり、8月の日本有効求人倍率は、前回と市場予想の1.24に対し1.23であった。

今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円71銭付近の始値であったが、今朝の東京株式市場で日経平均株価が前日比で一時700円高を記録後に一時利益確定売りなどで下押しすると低リスク通貨の円買いの抵抗が入り、今朝の日本時間の時間外の米国債券取引で米国債が買われた影響もあり、米10年債利回りが指標の米国長期金利が一時3.775%付近に低下したため、ドルも円相場で上昇幅を縮めて、午前11時5分頃に一時143円65銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝の日銀の主な意見で追加利上げが急がない金融市場に配慮した姿勢を受けては、日経平均株価は再び大幅に上昇し、午後15時頃に3万8651円97銭の終値をつけて、前日比732円42銭高の大幅高で大引けしたことを受けては、再び低リスク通貨の縁が売られてドルが円相場で144円台に上昇し、この時間の米国長期金利も反発上昇していたこともあり、午後からの欧州市場の参入も相まって、午後15時58分頃にはドルは円相場で一時144円53銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗に加えて、英国ロンドン外国為替市場が参入すると、今日から10月で新四半期開始時の新規ポジションの米国債買いが入り、米国債券価格上昇時の利回り低下が起きたことでは、午後16時20分頃の一時3.764%付近に向けて米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が低下したため、日本市場の終盤に向けた利益確定売りや持ち高調整の円の買い戻しの抵抗が入ったことでは、午後16時20分頃にドル円は一時143円88銭付近まで下押ししたが、米国大幅利下げ予想の大幅な後退を受けては、ドルは円相場で再び一時144円台前半に戻した。

今日の夕方には、金利先物市場のデータを基に米国フェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールで、次回2024年11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) においての米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.50%の米国大幅利下げ予想値が35.3%付近に減退し、一方で0.25%の米国小幅利下げ予想値は64.7%付近に上昇して優勢さを保っていた。

このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の142円39〜40銭付近の前東京終値比では約1円78銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本市場の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に9月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と、今夜23時に最新米国重要経済指標の9月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 製造業景況指数と8月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と8月の米国建設支出が同時発表され、深夜24時頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官のラファエル・ボスティック総裁の発言予定と、深夜24時10分頃から同じく次回の投票権を有するFRBのリサ・クック理事の発言予定などを控えている。

また、今週は最新米国重要経済指標の発表が続き、今週金曜日にじゃ米国雇用統計発表予定のイベントを控えていることや、世界情勢のニュースと債券と株式市場および外貨影響なども引き続き注視されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円24銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円11〜13銭付近の前東京終値と比較すると約1円13銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、日経平均株価の大幅な反発上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りで、欧州ユーロや英国ポンドが買われやすくなっていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1115ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1173〜1.1175ドル付近の前東京終値と比較すると約0.58セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州追加利下げ予想による欧州ユーロ売りの影響があったほか、米国大幅利下げ予想の後退を受けてドルが円相場で大幅な上昇を見せた外貨影響も波及した。

ただし、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスとドイツと欧州ユーロ圏総合の9月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回の速報値と市場予想よりもやや上方修正されたものの、景気ボーダーラインの50以下に留まった。

また、今夜18時の欧州ユーロ圏総合の最新重要インフレ指標の9月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語 : Harmonised Index of Consumer Prices / 米語 : Harmonized Index of Consumer Prices) の速報値は、前年同月比が前回の2.2%から市場予想通りの1.8%に鈍化し、欧州HICPコア指数の前年同月比も前回の2.8%に対し市場予想通り2.7%に鈍化した。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は192円24〜25銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の190円75〜81銭付近の前東京終値比では約1円49銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、日銀の追加利上げを急がない姿勢が意識され、日英金利差予想が影響を及ぼした。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月1日の日本時間(JST)20時7分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時7分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 20:07の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 143.71 〜 143.72 +1.32 (円安)
ユーロ/円 159.48 〜 159.50 +0.37 (円安)
ユーロ/ドル 1.1096 〜 1.1098 −0.0077 (ドル高)
英ポンド/円 191.53 〜 191.59 +0.78 (円安)
スイスフラン/円 169.81 〜 169.87 +0.90 (円安)
豪ドル/円 99.27 〜 99.31 +0.60 (円安)

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