FXニュース:米ADP雇用統計が上振れ
2024年10月03日東西FXニュース – 2024年10月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日銀早期利上げ予想後退
- 次回の米小幅利下げ予想
- 米景気好感長期金利上昇
- 日米株高時のリスクオン
- 政府と日銀関係者の発言
- 明日米雇用統計発表控え
今日2024年10月3日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円24銭付近から、円の高値でドルの安値の146円30銭付近の値幅約94銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円44〜45銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円1銭付近の前東京終値比で約2円43銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、前日に続いて日本政府の石破茂新首相が、「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」とハト派発言をしたことが話題になり、これは日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁に就任後の初面会時の言葉としてニュースになったが、植田和男総裁の反応も政策判断について「見極めるための時間は十分にある」と追加利上げを急がない姿勢を見せたことから、日銀の早期の追加利上げ予想が後退した。
その一方で、市場では次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の大幅利下げ予想値が後退し、小幅利下げ予想値が優勢さを保った推移を続けていたため、当面の間の日米金利差の拡大が継続する市場予想の影響などがあり、英国市場の時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.769%付近に上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いが進行し、昨夜20時43分頃にドルは円相場で一時144円88銭付近に上昇していた。
ただし、同時進行中だった欧州市場では、欧州連合 (EU / European Union) 加盟国の一部と地理的に近い中東情勢への懸念が、「数日以内にイスラエルが報復の可能性」などの世界ニュースを受けてまだ燻っていたことでは、世界的な安全資産である米国債買いの需要も時折入っていたことは、米国長期金利上昇のやや抵抗になる時間が点在していたが、世界的に流動性が高いドルは欧州ユーロに対する安全資産でもあったことや、欧州中央銀行(ECB / European Central Bank)の欧州追加利下げ予想の影響などではドルは下げ渋った。
そのため、英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円69銭付近の始値で、この時間の米国長期金利が一時3.766%付近に戻していたことでは、開場時の昨夜21時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した144円67銭付近が昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値となったが、その後には米国債券市場でも英国市場のトレンドを引き継いで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び上昇を続けたことでは、ドルも円相場で上昇を続けた。
明日の金曜日の米国雇用統計を控えた市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の二大責務である物価安定と雇用最大化のリスクバランスでは、最近は雇用最大化と物価安定の優先順が意識されて米国雇用関連の経済指標が市場で特に注目を集めているが、先行して昨夜21時15分に発表された米国雇用関連の最新米国重要経済指標の9月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計の前月比では、非農業部門の雇用者数が前回の9.9万人から前回10.3万人に上方修正された上で、市場予想の12.0万人を上回る14.3万人に上振れして増加したことから、市場予想以上の米国労働市場の底堅さが意識されて、昨夜21時15分の発表の瞬間にドルは円相場で瞬時に一時144円99銭付近に上昇した。
米国ニューヨーク債券市場でも、米国景気懸念の緩和により、安全資産の米国債売りが起きて米国長期金利が更なる上昇を続け、昨夜22時35分頃には一時3.812%付近に達したため、ドルは円だけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても買われて上昇し、外貨影響の波及も相まって、昨夜22時37分頃に一時145円68銭付近に上昇し、世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の夏季深夜のロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決め時間に向けた主要取引通貨のドル需要などあり、世界三大市場のうち英米の二大市場が重なるトレンド形成時間に、ドルの上昇トレンドを形成した。
昨夜22時頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の一人で、金融大手のゴールドマン・サックス元幹部でもある米国クリーブランド連邦準備銀行のベス・ハマック総裁の発言があり、深夜24時頃からは次回のFOMCメンバーのFRB高官達の中でも前回の大幅利下げ反対票でタカ派代表になったミシェル・ボウマン理事の発言があり、昨夜は金融システムの安定化について語っていたが、前日までの発言でも利下げに慎重なタカ派姿勢維持していると見られていたことに加えて、米国リッチモンド連邦準備銀行のトマス・バーキン総裁が、景気要因などを理由に挙げて、「米国インフレ率がFRBが目標とする2%に抑制されるまでに予想以上の時間がかかり、どこまで利下げできるか制限される可能性がある」とタカ派発言をしたニュースもあり、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートが中立金利に到達できるかどうかについては、「2025年下半期に向けての経済動向次第になる」と長期視野での見方を示したほか、今年年内に残り2回のFOMCでのトータルの米国利下げ幅は合計で0.5%を予想していることを示唆したことから、次回のFOMCでの0.25%の米国小幅利下げ予想がさらに有力視されたドル買いも入っていた。
円や主要通貨に対するドル買いが続いたほか、米国景気懸念の緩和と米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待から前日の中東情勢懸念の株売り後の買い戻しが入り、中東情勢への警戒感が燻っていたことでは米国主要株価三指数は小幅上昇の終値に向けたが、プラス圏に向けていたことでは低リスク通貨の円買い需要は弱く、また前述の日銀の早期の追加利上げ予想の後退による円売りの影響もあったことから、ドル円は145円台を上抜けて146円台に向かうという大幅な円安ドル高が進行した。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) の米国主要株価三指数が揃って前日比で小幅高の終値をつけ、安全資産の米国債買いの後の影響も残り、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は3.783%付近と、前日比で+0.051の上昇に向けていた。
米国株式市場終了後も続いていた米国ニューヨーク外国為替市場の終盤には主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数) は一時101.69付近に上昇し、今朝5時56分頃にドルは円相場で一時146円51銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円67銭付近から、円の安値でドルの高値の146円51銭付近の値幅約1円84銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円47銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の143円57銭付近と比べると約2円90銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
続いて始まった今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、今朝7時3分頃に一時146円28銭付近まで下押しした後には再びドル買いが続き、今朝7時31分頃にドルは円相場で一時146円88銭付近に上昇し、今朝早朝までの米国市場のドルの高値を上抜けた。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円57銭付近の始値であったが、今朝の米国主要株価三指数上昇の影響や、昨夜の日銀の早期の追加利上げ予想後退を受けた金利上昇警戒感緩和の日本株買いに加えて、今朝までに進行した円安を背景とした海外投資家達の日本株買いが入り、今日の東京株式市場で日経平均株価が大幅な上昇を見せて推移したため、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が更に売られて、円相場は147円台に向けて下落した。
日本市場では、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要もあったため円安ドル高が進行し、今朝10時8分頃にドルは円相場で一時147円24銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、続いては輸出企業の円買いドル売りも入り始めたことでは、一時147円台の市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めた。
また、明日の夜の最新米国雇用統計の発表イベントを控えたドルのイベントリスクも相まって、ポジション調整の円の買い戻しも入り、ドルは円相場で146円台に戻した。
ただし、午後15時頃には今日の日経平均株価が3万8,552円6銭の終値をつけ、前日比743円30銭高の大幅高で大引けしたことでは、リスクオンの低リスク通貨の円売りの影響は続いた。
しかし、今日は日本銀行 (日銀 / BoJ) の野口旭審議委員の発言もあり、今朝10時30分頃からの講演の挨拶時には「2%の物価安定の目標と整合的なマインドセットが社会全体で確立されるまでには、まだ相応の時間が必要だ。それまでは緩和的な金融環境を忍耐強く維持し続けることが重要と考える」と利上げを急がない姿勢が意識されていたが、午後14時30分頃からの記者会見では、今後の日本の金融政策について、「消費者物価の上昇率が賃金上昇を伴いながら2%近傍で安定しつつあることを慎重に見極めながら、金融緩和を徐々に調整していくことになる」と今後の追加利上げ方向の維持を改めて示唆したことでは円の買い戻しが起き、午後16時30分頃には一時146円30銭付近を記録したが、今後の追加利上げの考え方については、「今後のデータ次第、経済情勢次第としか言えず、いつやる、いつやらないは現状では答えられない。ようやく賃金が上がりつつある中で、消費者マインドが多少の値上げを十分耐えられるかどうかで、時間的な余裕もあるので十分見極めたい」とも述べていたことでは、夕方からの英国ロンドン外国為替市場参入後で、一時3.805%付近に戻した米国長期金利が今夜この後の一時3.812%付近に向けて再上昇を始めたことでは、ドルは円相場で底堅く推移した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円44〜45銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の144円1銭付近の前東京終値比で約2円43銭の大幅な円安ドル高になった。
今日の夕方の日本市場の終盤には、金利先物市場のデータを基に米国フェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールは、次回2024年11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) における米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値を、0.50%の米国大幅利下げ予想値が36.1%付近で0.25%の米国小幅利下げ予想値が63.9%付近の推移を続けていたが、今夜その後の英国市場では0.50%の米国大幅利下げ予想値は35.2%付近に低下した一方で、0.25%の米国小幅利下げ予想値は64.8%付近に上昇しており、今夜18時30分頃にはドルは円相場で一時146円98銭付近に再上昇している。
今夜この後の米国市場でも、最新米国重要経済指標の発表予定と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本市場の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時30分に9月の米国チャレンジャー人員削減数、今夜21時30分に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、今夜22時45分に9月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値、そして今夜23時に最新米国重要経済指標の9月の全米サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management / 旧名 : 全米供給管理協会) 非製造業景況指数の発表があり、同時刻に8月の米国製造業新規受注と、その後の今夜23時40分頃から米国アトランタ連邦準備銀行のラファエル・ボスティック総裁の発言予定などを控えている。
今週は最新米国重要経済指標の発表が相次いでいるが、明日の金曜日には市場ではメインイベント級の注目度を集めている最新の9月の米国雇用統計の発表イベントの予定を控えている。
また、中東情勢などの世界情勢のニュースや債券と株式市場および外貨影響なども引き続き、世界FX市場では注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円57〜59銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の夜の159円39〜40銭付近の前東京終値と比較すると約2円18銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日銀の早期の追加利上げ予想の後退や、今日の日経平均株価の大幅上昇を受けたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが円相場で上昇した。
また、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの9月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が前回の市場予想の48.3から49.6に上方修正されたほか、その後のドイツの同月の独サービスPMIは50.6の横ばいであったものの、今夜17時に発表された欧州ユーロ圏総合の9月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の50.5を上回る51.4に上方修正されたことも好感された。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1031〜1.1033ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1067ドル付近の前東京終値と比較すると約0.36セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、昨日に続き、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州追加利下げ予想による欧州ユーロ売りの影響があり欧州長期金利が低下していた時に、昨夜の最新米国重要経済指標が上振れしたことで米国長期金利が上昇したことから、欧米金利差のユーロ安ドル高になった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は192円55〜61銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円35〜41銭付近の前東京終値比では約1円20銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州ユーロと同様に、昨夜の日銀の早期の追加利上げ予想の後退や、今日の日経平均株価大幅高のリスクオンの低リスク通貨の円売りで英国ポンドが円相場で上昇したが、欧州ユーロほどの上げ幅にならなかった理由は、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁が「より積極的な利下げの可能性を指摘」したというハト派寄りの観測記事が英国新聞のガーディアン紙 (The Gardian) に掲載された市場反応があった。
また、今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の9月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回の速報値と市場予想の52.8を下回る52.4に下方修正されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月3日の日本時間(JST)20時0分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.85 〜 146.86 | +2.84 (円安) |
ユーロ/円 | 162.18 〜 162.19 | +2.79 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1043 〜 1.1045 | −0.0024 (ドル高) |
英ポンド/円 | 192.60 〜 192.66 | +1.25 (円安) |
スイスフラン/円 | 172.67 〜 172.73 | +2.34 (円安) |
豪ドル/円 | 100.51 〜 100.55 | +1.16 (円安) |
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