FXニュース: 中東情勢警戒リスク回避
2024年10月08日東西FXニュース – 2024年10月08日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ドル高後の利確調整進む
- 日米株価反落リスクオフ
- 世界的株安波及の円買い
- 今週米CPIイベント控え
- 来週欧州利下げ予想優勢
今日2024年10月8日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の148円19銭付近から、円の高値でドルの安値の147円34銭付近の値幅約85銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円59〜60銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円25〜26銭付近の前東京終値比で約66銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場の終了直後の昨夜17時35分頃の英国ロンドン外国為替市場では、先週金曜日の9月の米国雇用統計の上振れを受けて昨日早朝のアジア・オセアニア市場でドルは円相場で一時149円13銭付近と今年8月16日の日通し高値を記録した後であったため、高値圏からのドルの利益確定売りや持ち高調整が進んだことでは、ドルは円相場で一時148円6銭付近に反落していた。
また、英国ロンドン外国為替市場では、市場予想以上に堅調だった米国雇用統計を背景に、次回の2024年11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅予想では、0.5%の米国大幅利下げ予想値が0%に後退した一方で、0.25%の米国小幅利下げ予想値が確定値を超え、一部ではタカ派の米国金利据え置き予想が浮上したことでは、米国長期金利が上昇する一方で、金利に敏感な米国ダウ工業株30種平均先物 (Dow Jones Industrial Average Index Futures) が、前営業日に記録した史上最高値更新後の反落を見せ始めたことでは、時間帯の関係で欧米の全ての株取引が可能な大規模な金融街のシティがある英国ロンドン市場で、早期のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円の買いオーダーが入り始めていたことも為替相場に影響を与えていた。
ただし、米国重要経済指標である9月の米国雇用統計の大幅な上振れの影響による米国景気懸念緩和と米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待では、英国市場の時間外の米国債券取引でも世界的な安全資産の米国債売りがまだ続いていたことでは、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4%台に上昇しており、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードの円売りドル買いも入ったことでは、昨夜20時2分頃にドルは円相場で一時148円68銭付近に反発するなど、底堅い値動きも見せていた。
また、同時進行中だった欧州市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のメンバーである仏中央銀行のフランス銀行 (BdF / Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁が、イタリア紙のラ・レプブリカ (La Repubblica) のインタビュー記事で、今月10月17日の次回の理事会での欧州利下げの可能性について、「おそらく、そうなるだろう」と、欧州利下げの可能性を示唆したハト派発言が話題になったことから、欧州ユーロに対するドル買いが入った外貨影響も、対ドルの円相場に波及していた。
そのため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円27銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録して始まり、昨夜21時31分頃にも再び同じ一時148円27銭付近を再記録したが、先物から反落を見せていた米国主要株価三指数が米国ニューヨーク株式市場でも、利益確定売りや中東情勢への警戒感の持ち高調整などの影響もあり、更なる大幅な反落を始めたことでは、米国主要株価低下時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円買いが勢いを増したことでは、対ドルの円相場は昨夜22時47分頃に一時147円85銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、米国経済のソフトランディング期待の米国債売りの影響で、債券価格低下に伴う利回り上昇が続いており、昨夜21時頃には一時4.002%付近だった米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、昨夜23時15分頃には8月1日以来の一時4.032%付近に上昇するなど、高利回りの推移を続いていたため、債券利回りを受けた日米金利差トレードの円売りドル買いの影響ではドルは円相場で再び反発しており、深夜24時の世界最大規模の英国市場のロンドン・フィキシング (London Fixing) の主要取引通貨のドル需要のドル買いも入った後の深夜24時15分頃と24時19分頃にもドルは円相場で一時148円27銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を再記録した。
とはいえ、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が大幅反落の終値に向けたほか、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) も三指数が揃って反落の終値に向かった米国株式市場のトレンドを受けては、リスク回避のリスクオフによる低リスク通貨の円買い需要が続いていたことが抵抗要因となり、ドルは円相場で米国市場の高値の上抜けに失敗したことから、テクニカル分析的な二つの山のダブルトップ (Double top) の毛抜き天井を打つ形で反落を始めた。
また、米国株式市場では、今週木曜日の最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントが意識されており、最近の中東情勢を受けた原油先物高などを受けて、車社会の米国で今後のガゾリン価格などのインフレ警戒感も燻りっており、もしも米国インフレが市場予想以上の根強さを示す場合には、先週末の米国雇用が想定以上の堅調さを示した後では、更なる企業経営やローン金利などへの警戒感が高まるほか、景気要因のインフレ圧や来月の米国大統領選挙などのイベントリスクを控えた早期の利益確定やポジション調整も、前営業日にはダウが史上高値後ということなどもあり入りやすくなっていたことが米国主要株価の大幅な反落に影響を与えていた。
次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のミシェル・ボウマン理事が米国インフレへの警戒感を見せた後に特に修正をしていなかった一方で、次回のFOMC投票権を持たないFRB高官の米国ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁は「インフレ再燃の兆候は見られない」と発言したものの、先日の原油先物に続き、この日にも中東のドバイ原油現物が価格上昇を見せているなど、市場での反応は株価上昇後の利益確定トレンドになっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円27銭付近から、円の高値でドルの安値の147円85銭付近の値幅約42銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は148円18銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円70銭付近と比べると約52銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、既に1年以上が経過した中東情勢長期化への懸念を高めるニュース報道を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが入り、今朝7時59分頃に対ドルの円相場は一時147円56銭付近に上昇したが、すぐにドルの買い戻しも入り始めた。
今朝8時30分に発表された日本の最新経済指標の8月の毎月勤労統計調査では、現金給与総額の前年同月比は、前回の3.6%は前回3.4%に下方修正されたものの市場予想の2.9%を上回る3.0%上昇したが、物価変動の影響を除いた実質賃金では前年同月比で3カ月ぶりのマイナスとなる−0.6%になった一方で、賞与などを除く定期給与の実質マイナス幅は2カ月連続で縮小した−0.5%となり、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が目標とする賃金上昇を伴う2%のインフレ目標が市場ではやや意識されたことでは、円相場も底堅い推移を見せた。
同時発表の8月の日本の最新経済指標の全世帯家計調査の消費支出の前年同月比も、前回の0.1%と市場予想の-2.6%に対し-1.9%と、前回よりは節約傾向が見られたものの市場予想ほどは低下していなかった。
今朝8時50分には8月の日本の国際収支の経常収支が発表され、季調前は前回の3兆1930億円と市場予想の2兆9210億円を上回る3兆8036億円で、季調済も前回の2兆8029億円と市場予想の2兆4190億円を上振れする3兆165億円に増加し、貿易収支も前回の-4827億円と市場予想の-5324億円に対し-3779億円と赤字額が減少するなど、市場予想よりも堅調さを見せた。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円13銭付近の始値で、9時0〜1分にかけた値動きの中で見せた一時148円19銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、対ドルの円相場が上昇を始めた。
また、中東情勢長期化のニュースを受けた地政学リスクの高まりの影響もあり、今日の東京株式市場でも日経平均株価が大幅な反落を見せて始まったこともあり、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスクの円買いが入ったほか、日本市場と時間帯が近いアジア・オセアニア市場でも、オーストラリアの主要取引先でもある香港の香港ハンセン株価指数 (Hong Kong Hang Seng Index) が前日比で−9.41%の暴落に近い大幅下落を見せるなど、世界的なリスク回避のリスクオフが一時高まったことで、リスク市場に弱い豪ドルなどからも低リスク通貨の円が買われた外貨影響が、対ドル円相場にも波及した。
午後15時頃には、今日の日経平均株価は3万8937円54銭の終値をつけ、前日比395円20銭安の大幅安で大引けしたことで、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が欧州ユーロや英国ポンドなどに対しても買われやすいリスク回避のリスクオフ市場となっていた。
そこに、午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場が本格参入したため、欧州連合 (EU / European Union) 加盟国と地理的な近さもあり、イスラエルが先日のイランによるミサイル攻撃に対する報復に動くとの観測報道もあった影響もあり、欧州や英国の主要株価も下落を見せたことから、中東情勢警戒の地政学リスク回避の低リスク通貨の円買いが強まったほか、日本市場終盤の円の買い戻しも相まって、午後16時47分には対ドルの円相場がさらに上昇し、一時147円34銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、欧州ユーロや英国ポンドに対しては、低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性が高いドルは安全資産でもあるため、中東情勢への米国関与では上値は重いものの主要取引通貨のドルの買い戻しも入り始めたことでは、ドルは円相場で反発も始めていたが、世界的な安全資産の米国債にも買いが入ったことでは、米国長期金利がやや反落していたことでは、ドルの買い戻しはやや鈍かったが、米国長期金利が下げ渋ると買い戻しが入り始めた。
なお、今日の夕方には、金利先物市場のデータを基に米国フェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回2024年11月6〜7日に開催される米国連邦公開市場委員会 (FOMC) において、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.50%の米国大幅利下げ予想値は0%付近の後に圏外になり、0.25%の米国小幅利下げ予想値は88.7%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超えて推移を続けており、一部のタカ派の次回の金利据え置き予想値は昨日の3.0%付近から11.3%付近に増加していた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円59〜60銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の148円25〜26銭付近の前東京終値比では約66銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定や米国債券入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に8月の米国貿易収支、25時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国アトランタ連邦準備銀行のラファエル・ボスティック総裁の発言予定、26時に米国3年債の入札予定、29時に次回のFOMC投票権は持たないもののFRB高官の米国ボストン連邦準備銀行のスーザン・コリンズ総裁の発言予定などを控えている。
引き続き、中東情勢などの世界ニュースの影響や、債券市場や株式市場および外貨影響などにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円28〜29銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の162円62〜64銭付近の前東京終値と比較すると約34銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、中東情勢警戒感などで世界的な株価下落のリスク回避のリスクオフ市場では、低リスク通貨の円が主要通貨に対して買われやすい一方で、欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルは売られやすかった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0992〜1.0996ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0969〜1.0971ドル付近の前東京終値と比較すると約0.23セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、先週末の米国雇用統計上振れ後の高値圏からの利益確定や持ち高調整により、この時間のドルは円相場で反落したほか、欧州ユーロに対しても反落を見せていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は193円41〜47銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の194円34〜40銭付近の前東京終値比では約93銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロと同様に、中東情勢を受けた欧州周辺の地政学的リスク回避のリスクオフでは、英国ポンドに対しても低リスク通貨の円が反発上昇した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月8日の日本時間(JST)19時50分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.97 〜 147.98 | −0.28 (円高) |
ユーロ/円 | 162.53 〜 162.54 | −0.09 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0982 〜 1.0984 | +0.0013 (ドル安) |
英ポンド/円 | 193.77 〜 193.83 | −0.57 (円高) |
スイスフラン/円 | 172.67 〜 172.73 | −0.18 (円高) |
豪ドル/円 | 99.57 〜 99.61 | −1.12 (円高) |
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