FXニュース:今夜の米CPI発表を控え

2024年10月10日
FXニュース:今夜の米CPI発表を控え

 

東西FXニュース – 2024年10月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ダウとS&P史上最高値
  • 米FOMC議事要旨タカ派
  • 日経平均株価が大幅続伸
  • 日銀副総裁がタカ派発言
  • 米長期金利一時4.08%に

今日2024年10月10日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の149円54銭付近から、円の高値でドルの安値の148円90銭付近の値幅約64銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円0〜1銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円55〜56銭付近の前東京終値比で約45銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円72銭付近の始値で、昨日のアジア株式市場に続いて昨夜の欧米株式市場でも主要株価の上昇を受けて、世界的な安全資産である米国債売りの影響で米国債券価格低下に伴う利回り上昇が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇トレンドであったことや、次回の米国小幅利下げ予想や一部の金利据え置き予想の影響もあり、開場後の昨夜21時6分頃の一時148円67銭付近が米国市場の円の高値でドルの安値の底値となり、ドルは円相場で上昇を続けた。

前市場でも先週金曜日に発表された米国重要経済指標の9月の米国雇用統計が市場予想を上振れした後の米国景気懸念の緩和と米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待の安全資産の米国債売りの影響が出ていたが、昨夕には次回2024年11月6〜7日にかけて開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅予想値が、0.25%の米国小幅利下げ予想値が市場で確定値と考えられている70%を超える86.1%付近で推移していた一方で、一部のタカ派の米国金利据え置き予想値が13.9%付近に上昇したことでも、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、債券利回りを受けた日米金利差トレードで低金利通貨の円を売り高金利通貨のドルを買う金利差額のスワップポイントで自動利益を獲得するFXトレードなどの影響が見られた。

また、市場後半が同時進行中だった欧州市場では、来週10月17日に開催予定の次回の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会を控えており、欧州追加利下げ予想の市場織り込み度が進んでいたが、昨夜にもECBの高官達の発言が市場で話題になり、仏中央銀行にあたるフランス銀行 (BdF / Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁が仏アンフォ・ラジオに出演し、来週の「欧州利下げの可能性は極めて高く、さらに言えば、これが最後になるわけではない。今後の利下げペースは、インフレとの闘いの進展次第」とハト派発言をしていた。

欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのスロバキア国立銀行のピーター・カジミール総裁は、「メディアの報道では欧州利下げが確実視されている。たが、私は良好な数字に基づき決断を下すことを完全には納得していない」と慎重な姿勢も示したものの、「次回のECB理事会での欧州利下げの可能性を排除することはできない」としており、ベルギー国立銀行のピエール・ウンシュ総裁も中東情勢への緊迫化がエネルギー価格を押し上げる可能性などへの警戒感を示し、「まずはさらに分析する必要がある」との慎重さは示したが「欧州利下げの可能性は排除しない」としており、ラトビア銀行のマーティン・カザークス総裁は、「経済が弱いため、欧州利下げは必要」という意見も述べていたことに加えて、ギリシャ銀行のヤニス・ストゥルナラス総裁は、「0.25%の欧州利下げをすぐ実施し、12月にもう一回実施したとしても、(政策金利は)依然として非常に制約的な領域にある」と年内に後2回の欧州追加利下げ実施の可能性があり得ると示唆したことも話題になり、来週のECB理事会を控えた欧州ユーロの持ち高調整や、米国長期金利上昇時の欧州ユーロ売りドル買いの為替相場への影響を与えており、外貨影響のドル上昇圧も対ドル円相場に波及していた。

先行していた欧州株式市場では、中国を主要取引先に持つ欧州の株が中国景気刺激策への期待感から上昇した影響や、来週の欧州追加利下げ予想による金利警戒感の緩和でも欧州主要株価が上昇し、昨日の日経平均株価上昇に続き、日本や欧州を主要取引先に持つ昨夜の米国ニューヨーク株式市場でも、前日から大幅な反発と上昇を見せていた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が大幅に続伸して史上最高値の更新に向けたほか、同じく上昇トレンドだった米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) も続伸して史上最高値の更新に向けており、世界的なハイテク企業比率の高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も大幅に続伸するなど、米国主要株価三指数が揃って高値で続伸したことで、欧米株価上昇時のブル・マーケット (Bull market / 強気市場) のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも安全資産の米国債が売られて米国長期金利が上昇を続けたほか、低リスク通貨の円が他の主要通貨に対しても売られやすくなり、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いだけでなく、欧州ユーロなどの主要通貨に対しても低リスク通貨の円が売られた影響が対ドル円相場に波及した。

米国ニューヨーク債券市場では、欧州市場と英国市場が終了後にも米国市場でのリスクオンを受けた米国長期金利の上昇が続き、午前2時45分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.079%付近に上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが続いていた。

昨夜には米国内の産油地域を持つテキサス州の米国ダラス連邦準備銀行のロリー・ローガン総裁の発言もあり、「米国インフレの上振れリスクが依然現実的で、経済見通しを巡ってはかなりの不確実性がある中で、今後はより緩やかな米国利下げが適切」とのタカ派寄りの発言が話題にあがっていた。

午前3時には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が、前回9月17〜18日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨を公開し、先月の0.5%の米国大幅利下げ決定を発表した時点では、大多数の当局者が0.5%の大幅利下げを支持し、0.25%の小幅利下げ支持の反対票を投じていたのはタカ派のミシェル・ボウマン理事1名だけであったことが知られていたが、今回の議事要旨の内容では、「一部の当局者が0.25%の利下げを支持した」と、実は複数のメンバーから慎重な意見が挙がっていたことが明らかになったことで、タカ派寄りの内容であったことも、次回のより小幅な米国利下げ幅に影響を与えたことでも、当面の間の日米金利差拡大が続く可能性から市場予想に影響を与え、午前3時59分頃から4時0分頃にかけてドルは円相場で一時149円36銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

今夜この後の最新米国重要インフレ指標の9月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えたイベントリスクでは、市場高値後のドルには利益確定と持ち高調整の抵抗も混ざったが、外国為替市場よりも早く終値を迎える今朝早朝までの米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の上昇が続き、史上高値を更新した米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅高の終値をつけ、同じく史上高値を記録した米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) も前日比で高値の終値になり、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日比の大幅高で続伸して引けていたため、米国主要株価三指数が揃って高値の終値をつけた安心感から、米国株式市場からのリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りと安全資産の米国債売りの為替相場への影響は続き、午前5時11〜16分頃と5時20〜24分頃と5時30〜37分頃にかけてドルは円相場で一時149円35銭付近の市場高値圏で高止まりを続けていた。

市場終盤には今夜の米国消費者物価指数発表イベントを控えた利益確定と持ち高調整の抵抗が再び入り始めたが、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の148円67銭付近から、円の安値でドルの高値の149円36銭付近の値幅約69銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は149円31銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円20銭付近と比べると約1円11銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも今夜のイベントを控えた高値のドルの利益確定と持ち高調整が先行したほか、今朝8時50分には日本の最新経済指標の9月国内企業物価指数が発表され、前月比は前回の-0.2%と市場予想の-0.3%を上回る0.0%で、前年同月比も前回の2.5%と前回上方修正の2.6%と市場予想の2.3%を上振れする2.8%に上昇した。

そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円16銭付近の始値で、今朝9時25分頃にドル円は一時149円0銭付近に下押ししたものの、今朝の日本市場では今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトービ) であったことでは、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢で、今朝9時55分の仲値決済前の今朝9時54分頃には、ドルは円相場で一時149円29銭付近に買い戻されて反発した。

今朝早朝までの米国主要株価三指数の上昇と続伸を受けては、米国を主要取引先に持つ日本企業の株が円安を背景とした海外投資家の資金流入でも買われやすくなっており、今朝の東京株式市場では今日の日経平均株価は大幅に上昇して始まったことも、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られやすかったこともあり、今日の午後15時に今日の日経平均株価が今朝の大幅な上昇幅は午後には利益確定で縮めたものの3万9380円89銭の終値をつけ、前日比102円93銭高の大幅高で大引けしたことを受けて低リスク通貨の円売りの影響が続いたほか、午後からの欧州市場の参入を受けて時間外の米国債券取引でも世界的な安全資産の米国債売りが起き始めて、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が今日の夕方の一時4.080%台に向けた更なる上昇を始めた債券利回りの日米金利差拡大時の影響の円売りドル買いで、午後15時34分頃にドルは円相場で一時149円54銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、市場高値後のドルには今夜の米国消費者物価指数発表のイベントリスクを控えた利益確定と持ち高調整の抵抗が入り始めたほか、今日の夕方16時台の国内ニュースでは、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の氷見野良三副総裁の発言が話題になり、「慎重に今後のデータを評価し見通しを見て、会合毎にリスクバランスを見ていくわけで、最初からコースが決まっているわけではない」と説明した上で、今年の春闘の賃上げの価格転嫁や来年の賃金動向に関する情報などが重要になり得ると指摘したが、日本の実質金利は「明らかにかなり低い水準にある」とタカ派寄りの発言があったことに加えて、「7月の展望レポートで示された経済活動と物価の見通しが達成されれば、それに応じて追加利上げを行う」とのタカ派発言を受けた市場では、日銀の追加利上げ予想が再び意識された円買いが起きて円相場が反発し、午後16時45分頃に対ドル円相場は一時148円90銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

一方、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後にも米国長期金利の上昇は続き、今夜この後の17時15分頃の一時4.089%付近に向けて更に上昇していたことでは、ドルは円相場で底堅い値動きも見せた。

なお、今日の夕方の時点の金利先物市場のデータを基に米国フェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回の2024年11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.25%の米国小幅利下げ予想値は82.8%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた推移を続ける一方で、一部のタカ派の次回の米国金利据え置き予想値は昨夕の13.9%付近から17.2%付近に増加した。

そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円0〜1銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の148円55〜56銭付近の前東京終値比では約45銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表イベントと、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言予定と米国債の入札予定などを控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要インフレ指標の9月の米国消費者物価指数 (CPI) と米国CPIコア指数の発表イベントがあり、同時に米国雇用市場関連の最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数も発表されるイベント時間があり、続いて今夜22時15分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのリサ・クック理事の発言予定と、今夜23時30分頃から同じく次回のFOMC投票権を有するFRBの米国リッチモンド連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁の発言予定、深夜24時頃からは同じくFOMC投票権を有するFRBの米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定、そして、26時に米国30年債の入札などが予定されている。

また、引き続き、中東情勢などの世界ニュースの為替相場への影響や、債券市場や株式市場と原油価格ならびに外貨影響などにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円98〜99銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の162円79〜80銭付近の前東京終値と比較すると約19銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨日に続き、今日も日米株価上昇によるリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られやすく、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドに対しても円安の東京終値をつけた。

また、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の8月の独小売売上高は、前月比が前回の1.5%から1.6%に上昇し、前年同月比も前回の1.8%を上回る2.4%に上昇していた。

ただし、今日の夕方の日銀副総裁のタカ派発言を受けた円の買い戻しの影響を受けては、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、来週の欧州追加利下げ予想の影響もあり、今夜19時台には小幅な円高ユーロ安に転じる時間もあった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0935〜1.0937ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0957〜1.0959ドル付近の前東京終値と比較すると約0.22セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨日に続いて米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いの影響があったことに加えて、来週の欧州中央銀行 (ECB) 理事会を控えた高官達の発言を受けた欧州追加利下げ予想が影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は194円93〜99銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の194円30〜36銭付近の前東京終値比では約63銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、前日に続き、日米欧株価上昇を受けたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りでは、ドルや欧州ユーロだけでなく英国ポンドも買われやすかった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月10日の日本時間(JST)19時48分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時48分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:48の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 148.82 〜 148.83 +0.27 (円安)
ユーロ/円 162.73 〜 162.75 −0.06 (円高)
ユーロ/ドル 1.0934 〜 1.0935 −0.0023 (ドル高)
英ポンド/円 194.57 〜 194.63 +0.27 (円安)
スイスフラン/円 173.23 〜 173.29 −0.05 (円高)
豪ドル/円 100.06 〜 100.10 +0.12 (円安)

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