FXニュース: 今夜欧ECB新金利を控え
2024年10月17日東西FXニュース – 2024年10月17日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米欧英利下げ予想の違い
- 米ダウ工業株最高値更新
- 米株反発と日経平均反落
- 米小売売上高発表予定も
- 中不動産支援策予想以下
- 豪雇用統計が想定上振れ
今日2024年10月17日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の149円24銭付近から、円の安値でドルの高値の149円79銭付近の値幅約55銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円76〜78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円43〜44銭付近の前東京終値比では約33銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨夜の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州市場で中東情勢警戒や主要取引先の中国の景気刺激策の不透明感などを受けて欧州主要株価が下落した影響などで、世界的な安全資産である米国債が買われていたため、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利低下を受けた債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったことや、今夜この後の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州新政策金利発表のイベントを控えたイベントリスクと欧州追加利下げ予想の影響などで、欧州ユーロ主要国のドイツの独連邦債10年物の利回りが指標となる欧州長期金利も低下していたため、金利差トレードに加えての低リスク通貨の円買いが起きたことでは、昨夜20時51分頃にドルは円相場で一時149円14銭付近に売られていた。
その影響では、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円17銭付近の始値で、21時0分の1分間の値動きの中で瞬時に再記録した一時149円14付近が米国市場の円の高値でドルの安値となったが、米国株式市場では米国主要企業の第3四半期の株主向け決算報告シーズンが続いており、昨夜21時頃から公開された米国金融大手のモルガン・スタンレー (Morgan Stanley) の決算報告は、前日までに発表されていた好調な米国大手金融株に続き、収益154億ドルと純利益30億ドル、有形株主資本利益率(ROTCE / Return on Tangible Common Equity) 17.5%とウェルス及びインベストメント・マネジメント部門が過去最高の73億ドルの収益を記録するなど堅調であったことから、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待が再燃し、株主達を含む投資家心理がリスク選好のリスクオン (Risk-on) に傾いたことで、米国主要株価上昇に伴う投資実需のドル買いと、リスクオンの低リスク通貨の円売りに転じ始めた。
昨夜21時30分には最新米国経済指標の発表があり、9月の米国輸入物価指数の前月比は前回-0.3%が前回-0.2%に上方修正されたものの市場予想通りの-0.4%で、9月の米国輸出物価指数の前月比は前回の-0.7%と前回下方修正の-0.9%と市場予想の-0.4%よりも鈍化した-0.7%であったことでは、発表時には一時149円17銭付近のニューヨーク始値レベルに戻す時間もあったが、米国ニューヨーク株式市場で米国主要株価三指数が揃って上昇を始めいたことでは、ドルは底堅く反発上昇し、昨夜22時10分頃には一時149円54銭付近と、149円台後半に向けた上昇トレンドの推移を見せ始めていた。
また、今夜この後の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州追加利下げ予想が市場で優勢さを保つ中で、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) は次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では小幅利下げ予想が優勢で、一部のタカ派の金利据え置き予想も燻っていたことや、FRB高官達の発言を受けて米国インフレが根強さを見せる場合には今後の米国利下げペースは欧州と比較して穏やかなペースになる可能性が意識されていたが、昨日の午後に発表されていた英国インフレ指標の鈍化を受けては、欧州追加利下げ予想に加えて英国追加利下げ予想も高まったため、欧州ユーロや英国ポンドに対するドル買いの値動きも外貨影響のドル上昇圧として対ドル円相場に波及していた。
米国経済のソフトランディング期待が高まっていた米国ニューヨーク株式市場では、前日には反落していた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が反発後に大幅に上昇して史上最高値を更新したほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も反発上昇し、米国主要株価三指数が揃って高値の終値に向けたことで、米国主要株価上昇に伴うブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られて投資実需もあるドルが買われたほか、欧州英国通貨に対してもドルが上昇した外貨影響も対ドル円相場に波及し、米国ニューヨーク株式市場が終盤に向けていた午前4時10〜11分頃と午前4時25分頃に、ドルは円相場で一時149円80銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場でも、時差で先行していた欧州市場で世界的な安全資産の米国債が買われた影響では米国10年際の利回りが指標となる米国長期金利は深夜24時15分頃には一時は3.998%付近にまで低下していたが、その後には時差で先行していた欧州市場が終盤に向かうに連れて4%台に戻す形で反発しており、ドルが円相場で市場高値を記録した午前4時10分頃には、米国長期金利が一時4.022%付近に下げ幅を縮小していた。
ただし、市場終盤には利益確定売りや持ち高調整の抵抗も交えたことでは、市場高値後のドルも円相場でテクニカル分析的なダブルトップ (Double top) の毛抜き天井を二度目で上抜けできず、大台となる150円台手前のレジスタンスラインの抵抗が意識された売りサインとなってやや反落したが、ドルの底値は固く、149円台中盤付近までで下げ止まった。
米国主要株価三指数は前日比でダウが史上高値更新後も大幅高の終値をつけたほか、S&Pやナズダックも小幅高の終値をつけるなどの堅調であったが、米国ニューヨーク債券市場では、今朝早朝のニューヨーク債券市場の終値時点の米国長期金利は4.018%付近と、前営業日の終値時点よりも低下していたことはやや抵抗になっていた。
この安全資産買いの一因は、欧州市場だけでなく米国内にもあり、来月11月の米国大統領選挙の世論調査では、民主党候補のカマラ・ハリス現副大統領の支持率が共和党候補のドナルド・トランプ元大統領を小幅上回った一方で、米国大統領選の賭けサイトでは逆の当選予想率になるなど、米国政治懸念も影響を及ぼし、米国政治の先行き不透明感の懸念による安全資産の米国債買い入ったことに対して、中国などへの関税値上げなどを公約しているトランプ政策のインフレ警戒のドル買いが入るトランプ・トレードなども混在していた。
昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円14銭付近から、円の安値でドルの高値の149円80銭付近の値幅約66銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は149円64銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円20銭付近と比べると約44銭の円安ドル高をつけて終えていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝8時50分に今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の9月の日本貿易統計の発表があり、通関ベースの季調前では前回の-6953億円と前回下方修正の-7032億円と市場予想の-2376億円に対し-2943億円と市場予想ほどではないものの前回よりも大幅に赤字額が改善されており、通関ベースの季調済は前回の-5959億円と前回上方修正の-4720億円と市場予想の-5210億円に対し-1872億円と、前回と市場予想よりも赤字額が大幅に改善されていたことでは円の買い戻しが入り、今朝8時51分頃には対ドルの円相場は一時149円52銭付近に反発していた。
ただし、財務省の2024年度4〜9月の上半期の貿易統計速報では、今年の春から初夏にかけては最近よりも大幅な円安が進行していたため、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3兆1067億円の7期連続の赤字で、コンピューターを含む海外電算機類や医薬品の輸入額の増加が原因となっていたことでは、この時間の値動きは限られており、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円56銭付近の始値であった。
今日の東京株式市場では、日本企業の主要取引先である米国の主要株価上昇の影響では、今朝の東京株式市場では今日の日経平均株価はプラス圏から始まったが、アジア市場では中国の景気刺激策の不透明感によるアジア株売りの影響で中国・上海総合指数が下落した影響が波及し、日経平均株価も反落を始めたことでは、アジア株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による低リスク通貨の円買いが入り始めた。
また、時間帯が近いオセアニア市場では、今朝9時30分にオーストラリアの最新豪州雇用統計が発表され、9月の豪州新規雇用者数が前回の4.75万人と前回修正の4.26万人と市場予想の2.50万人を大幅に上回る6.41万人に上振れし、9月の豪州失業率も前回と市場予想の4.2%に対し前回修正と同じ4.1%に改善されたことを受けては、豪ドルが世界的に流動性の高いドルに対して買われた影響が対ドルの円相場に波及したため、アジア株式市場の低リスク通貨の円買いに加えての、他の主要通貨である豪ドルへのドル売りの外貨影響の波及などにより、今朝11時41分頃にドルは円相場で一時149円24銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今日の日本市場時間の時間外の米国債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は反発後に上昇していたことでは、市場安値後のドルには買い戻しが入り、ドルは円相場で反発上昇に向けた。
また、一時はより大幅な下落を見せていた今日の日経平均株価が、午後の株式市場の終盤の買い戻しで下げ幅を縮小したこともあり、低リスク通貨の円売りが入ったことでは、ドルは円相場で再び149円台後半に向けたが、再び利益確定の株売りの抵抗も交えたことでは、今日の日経平均株価は午後15時台に3万8911円19銭の終値と、前日比269円11銭安の大幅安で大引けしたことでは、この時間のドル円は149円台中盤付近に留まった。
とはいえ、午後からの欧州市場の参入では、今夜18時の最新欧州重要インフレ指標の9月の欧州消費者物価指数 (HICP/ 英語 : Harmonised Index of Consumer Prices / 米語 : Harmonized Index of Consumer Prices) の改定値に続き、今夜21時15分には欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利と声明の発表予定のイベントを控えており、今夜21時45分頃からはクリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見のイベントリスクがあり、欧州ユーロ売りでドルが買われた影響が対ドル円相場に波及したことでは、ドルは円相場で149円台後半に向けて上昇し、夕方の英国ロンドン外国為替市場の本格参入後の午後16時41分頃にドルは円相場で一時149円79銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今夜の欧州追加利下げ予想が市場で優勢である中で、今日の夕方にも金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回2024年11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利下げ幅の市場予想値が0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時92.1%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超えて推移を続けていた一方で、一部のタカ派の次回の米国金利据え置き予想値は一時7.9%付近とやや上昇した推移を見せていた。
ただし、今夜この後の米国市場でも、米国景気関連の最新米国重要経済指標の米国小売売上高などの発表予定のイベントも控えていることでは、日本市場の終盤には市場高値後のドルの利益確定や持ち高調整と、様子見の値動きもやや混じった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円76〜78銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の149円43〜44銭付近の前東京終値比で約33銭の円安ドル高になった。
今夜この後には、欧州市場の今夜21時15分の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州新政策金利と声明発表とその30分後のラガルド総裁の要人発言と共に、米国市場でも最新米国重要経済指標の発表予定と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定と米国主要株の決算報告予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要景気指標の9月の米国小売売上高と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数と、10月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜22時15分に9月の米国鉱工業生産と9月の米国設備稼働率、今夜23時に10月の全米住宅建設業者協会(NAHB / National Association of Home Builders)住宅市場指数、深夜24時に週間の米国原油在庫、深夜24時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権は持たないもののFRB高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言予定、29時に8月の対米証券投資と、米国株式市場の株引け後の時間になると伝えられているが、日本でもネトフリとしてお馴染みの米国ストリーミングサービス大手のネットフリックス (Netflix) 社の決算報告なども予定されている。
また、中東情勢などの世界ニュースの為替相場への影響なども、世界のFXトレーダー達には引き続き注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円55〜57銭付近で、昨夜17時の162円61〜62銭付近と比較すると約6銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今夜この後の欧州中央銀行 (ECB) 理事会を控えたイベントリスクや欧州追加利下げ予想のドルに対する欧州ユーロ売りの影響が波及したほか、今日の日経平均株価が大幅安になったことでも、低リスク通貨の円が欧州ユーロに対して買われやすかった。
また、今日の日本市場終了後の欧州市場では、今夜18時に最新欧州重要インフレ指標の9月の欧州消費者物価指数 (HICP) 改定値の発表があり、前年同月比は前回の速報値と市場予想の1.8%から下方修正された1.7%に低下したが、天候条件などで変動の激しい食品などを除き物価基調を見る同月の欧州HICPコア指数は前回と市場予想通りの2.7%であった。
ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0853〜1.0854ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0882〜1.0883ドル付近と比較すると約0.29セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、今夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会では欧州追加利下げ予想が市場予想で優勢で、米国追加利下げペースよりも穏やかになる可能性から、昨日に続き欧州ユーロ売りドル買いが続いたほか、今夜この後のイベントリスクによる欧州ユーロの買い控えなども影響を及ぼしていたが、今夜は米国重要景気指標の発表もあることでは様子見も混ざっていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は194円45〜51銭付近と、昨夜17時の194円21〜27銭付近と比較すると約24銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨日の英国インフレ指標の鈍化では、昨夕には英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の英国追加利下げ予想が上昇していたが、今夕の欧州追加利下げ予想を受けて欧州経済圏付近の金利警戒感が緩和された欧州と英国株式市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツとフランスと英国の主要株価が上昇したため、欧州ユーロよりもイベントリスクが遠い英国ポンドは円相場では前日比で円安ポンド高に買い戻されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月17日の日本時間(JST)19時55分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.58 〜 149.60 | +0.15 (円安) |
ユーロ/円 | 162.46 〜 162.48 | −0.15 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0860 〜 1.0862 | −0.0022 (ドル高) |
英ポンド/円 | 194.50 〜 194.56 | +0.29 (円安) |
スイスフラン/円 | 173.15 〜 173.21 | −0.11 (円高) |
豪ドル/円 | 100.13 〜 100.17 | +0.14 (円安) |
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