FXニュース:欧ECB追加利下げ0.25%
2024年10月18日東西FXニュース – 2024年10月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米小売売上高が予想以上
- 米Phil製造業景気指数も
- 米新規失業保険数も改善
- ECBラガルド総裁の発言
- 欧DAXと米ダウが最高値
- 日報道と為替介入警戒感
今日2024年10月18日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の150円15銭付近から、円の高値でドルの安値の149円77銭付近の値幅約38銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円8〜10銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円76〜78銭付近の前東京終値比では約32銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨夜の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨夜18時に発表された最新欧州重要インフレ指標の9月の欧州消費者物価指数 (HICP/ 英語 : Harmonised Index of Consumer Prices / 米語 : Harmonized Index of Consumer Prices) 前年同月比の改定値が前回の速報値と市場予想の1.8%から1.7%に下方修正されるなど、欧州インフレ鈍化が意識されていた。
昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円52銭付近の始値であったが、同時進行中の欧州市場では、昨夜21時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州ユーロ圏の新政策金利と声明を発表し、市場予想で優勢であった通りに欧州新政策金利を0.25%追加利下げすることを決定し、これまでは3.65%だった欧州政策金利を3.40%に引き下げる今回の決定について、声明文では「欧州インフレ鈍化」と「欧州物価見通しは、最近の経済指標の下振れに影響を受ける」ことなどを要因として挙げており、欧州景気減速が過度のインフレ鈍化に繋がるリスクについても言及しており、今後の欧州利下げペースは「データ次第」としたものの、その後の昨夜21時45分頃からのクリスティーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見での発言のイベントに注目が移ったことでは、欧州追加利下げを受けて欧州ユーロが対ドルなどで売られた一方で、欧州市場ではイベントリスクに警戒した欧州ユーロの買い戻しの抵抗も混ざったことでは、昨夜21時30分には米国市場でも最新米国重要経済指標の発表イベントを控えていた時間であったため、イベントリスクの抵抗では、イベント前の昨夜21時28分頃にドルは円相場で一時149円50銭付近の昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、昨夜21時30分に発表された最新米国重要経済指標の9月の米国小売売上高の前月比は、前回の0.1%と市場予想の0.3%を上回る0.4%に上昇し、自動車を除くコアの前月比も前回の0.1%が前回0.2%に上方修正されたことに加えて市場予想の0.1%を上回る0.5%に上振れしたほか、同時発表だった10月の米国フィラデルフィア連邦準備銀行 (連銀) 製造業景気指数も前回の1.7と市場予想の3.0を大幅に上振れする10.3で、同じく発表された米国雇用関連の最新経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の25.8万件と前回修正と市場予想の26.0万件よりも改善された24.1万件であったことを受けては、前週分の米国失業保険継続受給者数だけは前回の186.1万人と前回修正の185.8万人と市場予想の186.5万人に対し186.7万人とやや弱かったものの、他の最新米国経済指標が軒並み前回を上回り市場予想を上振れしたため、発表時のドルは主要通貨に対して急伸し、ドル円も発表1分後の昨夜21時31分には一時150円8 銭付近の150円台に上昇するなど、好調な米国経済指標を受けた米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待の高まりにより、主要通貨に対してドルは一時全面高を記録した。
数ヶ月ぶりにドル円が一時150円台の大台に乗せた高値感では、ドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が一旦入り、また昨夜22時15分に発表された最新米国経済指標の9月の米国鉱工業生産の前月比が前回の0.8%が前回0.3%に下方修正された上で、市場予想の-0.2%を下回る-0.3%のマイナス圏であったことや、重要度は高くないものの同時発表だった9月の米国設備稼働率が前回の78.0%と前回下方修正と市場予想の77.8%をやや下回る77.5%であったことでは、昨夜22時39分頃にはドルは円相場で一時149円63銭付近まで下押ししたが、米国ニューヨーク債券市場では、先ほどの米国重要経済指標の上振れの方がより重視された米国景気懸念緩和による安全資産の米国債売りの影響が優勢で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇していたことでは、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが優勢であったことではドルは円相場で反発し、再び上昇トレンドになった。
また、同時進行中の欧州市場では、昨夜21時45分頃から欧州中央銀行 (ECB) 理事会後の定例記者会見でクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言が始まり、今回のECB理事会で二会合連続の欧州利下げを決定した理由として、「欧州経済が予想よりもやや弱い」ことから「成長に対するリスクが下振れ方向」にあることに対して、「欧州インフレのリスクは、恐らく、上方向ではなく、やや下方向」であることを指摘し、「現在の欧州金利水準は依然として制約的で、0.25% (25bp / 25 ベーシスポイント) の利下げを行っても、なお制約的であり続ける。中期的に2%の欧州インフレ目標を達成可能という確信を持てるまでは金融引き締めが必要であり、継続しなければならない。到達する時期はいずれ訪れるが、まだそこには至っていない」と、更なる欧州追加利下げを示唆するハト派寄りの発言があったことで、次回12月のECB理事会における欧州追加利下げ予想が上昇し、その一方で米国景気要因のインフレ圧なども意識されてより穏やかな米国利下げペースが市場予想で高まっていたドルに対する欧州ユーロ売り続いたことから、ユーロドルにおけるドル上昇の外貨影響の対ドル円相場への波及もあり、ドルは円相場で再び150円台に向けた再上昇を始めた。
昨夜23時に発表された最新米国経済指標の10月の全米住宅建設業者協会(NAHB / National Association of Home Builders)住宅市場指数が前回の41と市場予想の42を上回る43と堅調であったことも、再び主要通貨に対してドルが買われる一因となった。
欧州追加利下げ予想を受けては、欧州株式市場における金利警戒感の緩和により欧州ユーロ圏主要国ドイツの主要株価指数である独DAX (Deutscher Aktien-indeX) が上昇して史上最高値を記録したほか、米国ニューヨーク株式市場でも、最近の米国主要企業の好調な決算報告に続き、米国重要景気指標の上振れによる米国景気懸念緩和を受けた米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が大幅続伸して史上最高値の連日更新に向けたため、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りドル買いの影響が為替相場に影響を及ぼしたため、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債に利回りが指標となる米国長期金利は午前3時台に一時4.103%付近や午前5時台には一時4.104%付近に上昇しており、米国ニューヨーク株式市場終盤の午前4時13〜14分頃にはドルは円相場も一時150円32銭付近と、今年8月以来の円安ドル高が進行し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、米国景気懸念緩和とソフトランディング期待の一方で、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回2024年11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は、今日の時点でも0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時88.7%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた推移を続けている一方で、一部のタカ派の次回の米国金利据え置き予想値は一時11.3%付近に再上昇した影響では、決算報告シーズンの米国株式市場では、米国主要株価三指数の中では前述の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と世界的な国際ハイテク企業比率の多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前日比で高値の終値をつけたものの、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) は前日比で僅かではあるが小幅安の終値に向けたことでは、市場高値後のドルにはやや利益確定売りや持ち高調整も混ざった。
その影響もあり、今朝6時頃の米国債券市場では、午前3〜5時台などには一時4.100%付近を超えていた米国長期金利も、一時4.096%付近にやや戻していた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円50銭付近から、円の安値でドルの高値の150円32銭付近の値幅約82銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は150円21銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円64銭付近と比べると約57銭の円安ドル高をつけていた。
なお、米国株式市場は為替市場よりも早く終わるため、株引け後の今朝早朝の時間に米国ネットフリックス (Netflix) 社が第3四半期決算報告を発表し、売上高と一株あたりの純利益(EPS / Earnings Per Share)は、ともに市場予想を上回っていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間でもある今朝8時30分には、今日の日本市場に先行して、国内インフレ関連の最新日本重要経済指標の9月の全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が発表され、前年同月比は前回の3.0%に対し市場予想通りの2.5%に鈍化したが、天候条件などで価格変動の激しい生鮮食料品などを除き物価基調を見る同月の日本CPIコア指数の前年同月比では前回の2.8%と市場予想の2.3%に対し2.4%で、生鮮食料品とエネルギー除く同月の日本CPIコアコア指数の前年同月比も前回と市場予想の2.0%に対し2.1%と、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の2%のインフレ目標値に近かった。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時150円0銭付近の始値で、同時刻の東京株式市場で今朝の日経平均株価が大幅高で始まった影響を受けては、日米株価上昇時の低リスク通貨の円売りドル買いの影響があり、今朝9時1分頃にドルは円相場で一時150円15銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今朝のニュースでは、日本政府の三村淳財務官が、「投機的な動きも含めて、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視していく」と、日本政府と日銀の為替介入を意識させる円安牽制の口先介入の発言をしたことが市場で話題になり、一時150円台からの利益確定のドル売りによる円の買い戻しの抵抗が入り始めた。
また、今月の20日は週末休みにあたるため、今日が実質的な日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび)」であることも影響し、今朝の一時150円台の円安ドル高を受けて、日系輸出企業のまとまった円買いドル売りが優勢になったことも重なったため、今朝9時55分の仲値決済の値決め時間に一時149円89銭付近を瞬時記録するなど、ドルは円相場で一時149円台後半に下げ始めた。
一方、円安時に日本株を買い、円高時に利益確定の株売りと為替差益で利益を上げる投資戦略を持つ海外投資家達が、今朝の一時150円台の円安から為替介入警戒感の燻りもあり149円台の円高方向になったことから、今朝は大幅高だった日本株に利益確定売を入れ始めた影響などがあり、日経平均株価が今朝の上昇幅を失い、昼下がりの午後の部で13時45分頃などに一時マイナス圏に転じた影響では、日本株価反落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが起き、午後14時5〜7分頃の数分間にかけて、ドルは円相場で一時149円77銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、時間外の債券市場では米国長期金利が下げ渋って反発上昇に向けていたことでは、ドルは円相場で底堅く反発を開始した。
日本企業の主要取引先である米国主要株価が今朝の終値でも総合的には堅調であった影響も残り、その後には日経平均株価も反発してプラス圏に戻し、午後15時に3万8981円75銭の終値をつけて前日比70円56銭高で大引けすると、低リスク通貨の円の利益確定売りが入った。
午後からの欧州市場の参入が始まった午後15時には、最新英国景気指標の9月の英国小売売上高の発表もあり、前月比は前回の1.0%と市場予想の-0.3%を上回る0.3%で、前年同月比も前回の2.5%と前回修正の2.3%と市場予想の3.2%を上振れする3.9%と堅調で、自動車を除く同月のコアは、前月比は前回の1.1%は下回ったが市場予想の-0.3%を上回るプラス圏の0.3%で、前年同月比が前回の2.3%と前回修正の2.2%と市場予想の3.2%を上回る4.0%であったことでは、英国ポンドが一時上昇した外貨影響も波及した。
日本市場終盤で英国ロンドン外国為替市場の本格参入後の夕方16時58分頃には、米国長期金利上昇による債券利回りを受けた日米金利差トレードの影響もあり、ドルは円相場で一時150円14銭付近と、再び150円台に乗せていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円8〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の149円76〜78銭付近の前東京終値比で約32銭の円安ドル高になった。
今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜17時4分頃にドルは円相場で一時150円16銭付近と、日本市場の高値をやや上抜けたが、今日の日本政府の発言を受けて、日本市場終了後の海外市場を狙った為替介入への警戒感があったことでは、150円台の高値後のドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整が入り始めたことでは、今夜19時過ぎには、一部報道が関係者筋の情報として、日本銀行 (日銀 / BoJ) が今後の追加利上げの可能性について、「排除せず」としていることが伝えられたことが市場で話題になり、今夜19時10分頃には対ドルの円相場が一時149円58銭付近に一時反発したが、「日銀 (BoJ) は今月利上げの必要性乏しいとの認識」を示した一方で「今後は排除せず」としていたというニュースであったことでは、当面の間の日米金利差予想の影響もあり、ドルは円相場で今夜19時30分頃には一時149円98銭付近と、下げ幅を戻して反発している。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に9月の米国住宅着工件数と9月の米国建設許可件数などが発表される予定である。
また、米国主要企業の決算報告シーズンの影響や、中東情勢などの世界ニュースの為替相場への影響なども、世界のFXトレーダー達が引き続き注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円70〜72銭付近で、昨夜17時の162円55〜57銭付近と比較すると約15銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のイベント後でイベントリスクがなくなったことで、今朝までの欧米主要株価上昇を受けたリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響や、今日の日経平均株価が一時の反落後にも高値で引けていたこともあり、今日はイベントリスクのあった前日比では円安ユーロ高の東京終値をつけていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0840〜1.0841ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0853〜1.0854ドル付近と比較すると約0.13セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、次回にも欧州追加利下げ予想が高まったことでは、米国追加利下げペースは穏やかになる可能性から、ドルに対しては欧州ユーロ売りドル買いの影響が残っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は195円89〜95銭付近と、昨夜17時の194円45〜51銭付近と比較すると約1円44銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、前述の今日の午後15時の9月の英国小売売上高の上振れを受けて、英国ポンドがドルや円相場で上昇した影響が東京終値時点でも見られていた。前日には、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) による英国追加利下げ予想が影響を及ぼしていたが、今夜は景気要因のインフレ圧が意識される中でポンドが買い戻されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月18日の日本時間(JST)20時15分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時15分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:15の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.99 〜 150.00 | +0.23 (円安) |
ユーロ/円 | 162.62 〜 162.64 | +0.07 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0841 〜 1.0843 | −0.0012 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.65 〜 195.71 | +1.20 (円安) |
スイスフラン/円 | 173.11 〜 173.17 | +0.05 (円安) |
豪ドル/円 | 100.67 〜 100.71 | +0.64 (円安) |
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