FXニュース:今夜米雇用統計発表控え
2024年11月01日東西FXニュース – 2024年11月01日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米PCE物価指数コア混合
- 米新規失業保険申請減少
- 米雇用コストは予想以下
- 日米欧株安時リスク回避
- 日銀影響日経平均千円安
- 欧消費者物価が予想以上
今日2024年11月1日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の151円87銭付近から、円の安値でドルの高値の152円65銭付近の値幅約78銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円61〜62銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の153円20〜23銭付近の前東京終値比では約59銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、昨日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合の今回の金利維持と共に発表された展望リポートに、「経済・物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と今後の追加利上げ方向も維持されたことに続き、植田和男総裁も「経済・物価見通しが実現していくとすれば、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と、改めて今後の追加利上げ方向を示唆し、以前の様に「時間的な余裕がある」と言わなかったことでは、市場では日銀の早期の追加利上げ予想による円買いが続き、昨夜17時32〜33分頃にかけてドルは円相場で一時151円92銭付近に下落した。
ただし、その後には米国大幅利下げ予想の後退と金利据え置き予想の復活を受けて、時間外の米国債券取引では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発し、昨夜18時30分頃に一時4.304%付近に再上昇するとドルの買い戻しが入り始めたが、昨夜19時20分頃に10月の欧州消費者物価指数(HICP) コア指数の速報値が市場予想を上回り、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州大幅利下げ予想が後退したことで金利上昇警戒感が出ていた欧州主要株価が軟調になり、世界的な安全資産でもある米国債買いの影響で米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起きて米国長期金利が一時4.275%付近に再反落したことはやや抵抗になり、抵抗後の昨夜21時頃の米国長期金利は一時4.286%付近で、この時間に参入した米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円72銭付近の始値になった。
昨夜21時30分には米国市場で最新米国重要経済指標の発表があり、9月の米国個人消費支出 (PCE / Personal consumption expenditures) の物価指標である9月の米国PCEデフレーターの前年同月比は、前回の2.2%と前回上方修正の2.3%に対し市場予想通りの2.1%に鈍化し、食品とエネルギーを除いて物価基調を見る重要インフレ指標の9月の米国PCEコア・デフレーターの前年同月比は、市場予想の2.6%を上回る前回と横ばいの2.7%と強弱混合であったが、9月の米国PCEコア・デフレーターも前月比では前回の0.1%と前回上方修正の0.2%に対し市場予想通りの0.3%であった。
一方、9月の米国個人消費支出 (PCE) は、前月比が前回の0.2%と前回上方修正の0.3%と市場予想の0.4%を上回る0.5%にやや上昇したが、9月の米国個人所得の前月比は前回の0.2%に対し市場予想通りの0.3%で、7〜9月第3四半期の米国単位労働コストの速報値の前期比年率も、前回と市場予想の0.9%をやや下回る0.8%で、これらの経済指標はいずれも市場予想を大幅には上振れや下振れをすることがなく、堅調な米国経済を背景に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の今後の米国利下げペースが以前の大幅利下げ時よりも穏やかなペースに鈍化する市場予想の継続に影響を与えた。
今夜の最新米国雇用統計の発表を控え、同時発表だった先行の米国雇用関連の経済指標も注目されたが、前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の22.7万件と前回修正の22.8万件と市場予想の23.0万件よりも堅調な21.6万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の189.7万人と市場予想の188.5万人よりも強い186.2万人に改善されたことを受けては、主要通貨に対するドル買いが勢いを増し、最新米国経済指標の同時発表時の昨夜21時30分頃には、ドルは円相場で一時152円98銭付近に買われ反発上昇していた。
米国ニューヨーク債券市場では、今夜の米国雇用統計を前に市場予想よりも堅調な週間の米国雇用関連の経済指標が出てきたことで、米国利下げペースの鈍化予想による金利先高感が意識され、昨夜22時50分頃や昨夜23時5分頃などに米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.331%付近でしばらく高止まりを見せると、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードの円売りドル買いが起き、昨夜23時4分頃にドルは円相場で一時153円5銭付近と一時153円台に反発上昇し、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国主要企業の決算報告シーズンの影響もあり企業ローンなどの金利に敏感になっていた米国ニューヨーク株式市場では、月末要因の利益確定や持ち高調整もあり欧州株式市場に続き米国株売りで反応したため、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が揃って大幅な続落に向けて下落したことを受けては、欧米主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産である米国債が買い戻されて債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が大きく反落し、午前2時35分頃に一時4.268%付近にまで低下すると、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りや、株価リスクオフの低リスク通貨の円買いの影響で、ドルは円相場で再び下落し、午前3時40分頃に一時151円83銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、昨夜22時45分頃に発表されていた10月の米国シカゴ購買部協会景気指数も、前回の46.6と市場予想の47.0を下振れする41.6で、今夜の米国雇用統計発表イベント前のイベントリスクの早期の利益確定や持ち高調整と様子見も影響を与え始めていた。
米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産でもある米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、今朝5時台には一時4.289%付近に反発していたことでは、市場安値後のドルには買い戻しが入り、152円台に反発したものの、昨日の日銀影響の円高進行の影響に加えて、イベント経過後の低リスク通貨の円に対してイベントリスクが高まっていたドルは円相場で前日同時刻比では大幅な円高ドル安のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の153円5銭付近から、円の高値でドルの安値の151円83銭付近の値幅約1円22銭で、今朝6時頃の米国夏時間のニューヨーク終値は152円3銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の153円42銭付近と比べると約1円39銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、米国新興ネット・ニュースメディアのアクシオス (Axios) が、イスラエル関係者筋の情報リークとして、来週11月5日の米国大統領選挙日の前に、イランがイラク領内からイスラエルを攻撃する準備をしていると報じたニュースが話題になり、コモディティ (Commodity / 商品先物) 市場では中東情勢に警戒し、米国WTI (West Texas Intermediate) 原油先物価格が上昇した一方で、安全資産買いが起き、今朝8時44分頃に米国長期金利が一時4.286%付近に下落して始まったことを受けては、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りと、地政学的リスク回避でも低リスク通貨の円が買われた影響では、今朝8時43分頃に対ドルの円相場は一時151円78銭付近の高値をつけていた。
その影響もあり、今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間に続いて今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円98銭付近の始値で、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いに続いては、昨日の植田和男総裁の発言の影響があり、日銀の今後の追加利上げ予想の影響に警戒した国内輸出企業の円買いドル売りが入り、今朝9時54分頃にドルは円相場で一時151円87銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、昨夜から今朝早朝までの欧米主要株価下落の影響に加えて、昨日の日銀総裁のタカ派寄りの発言を受けた今後の日銀の追加利上げ予想の影響では、今朝の東京株式市場では日経平均株価が大幅に続落して始まり、今朝の一時151円台の大幅な円高を受けた海外投資家達が以前の円安時に買った日本株を今朝の円高時に利益確定売りして株価だけでなく為替差益でも取引利益を増やす戦略を好んでいる影響などもあり、今日の日経平均株価が大幅安になった影響でも、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われていた。
しかし、最近の米国経済指標を受けた米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待は世界市場でも継続しており、一時低下後の米国長期金利が一時反発上昇したことでは、ドルの買い戻しも入り始めたほか、再反落した米国長期金利が底堅さを見せて再び反発を始めた影響もあり、今夜の米国雇用統計のイベントを控えた持ち高調整や様子見の抵抗がある中でも、午後14時53分頃にはドルは円相場で一時152円65銭付近に反発し、今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録していた。
ただし、日銀の今後の追加利上げ予想への金利警戒感から大幅な下落を今朝から続けていた今日の日経平均株価が、世界的な米国企業であるマイクロソフト (Microsoft) 社の供給不足での先行き予想が悪化した米国ハイテク株下落の影響もあり、日本の半導体株なども大幅に下落した影響があり、東京株式市場終盤の午後14時55分頃には、前日比で一時1082円以上の暴落を見せたほか、午後15時台に3万8053円67銭の終値をつけて前日比1027円58銭安の大幅安で続落したことを受けては、再び日本株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円の買いが起き、対ドルの円相場は午後16時36分頃に一時152円20銭付近に反発していた。
欧州冬時間で夕方からの参入になった欧州市場では、ドルの買い戻しも入り始めて、ドルは円相場で反発したが、世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場は今週からの英国冬時間には東京終値の17時頃からの参入に遅れているため、英国市場の主要取引通貨のドルの買い戻しが入り始めた直後に、今日の東京終値を迎えた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円61〜62銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の153円20〜23銭付近の前東京終値比では約59銭の円高ドル安になった。
なお、今夜の最新米国雇用統計発表イベントを控えたイベントリスクがある中でも、今夜17時55分頃の英国市場では、米国長期金利が一時4.305%付近に再上昇した影響から、今夜19時8分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時152円84銭付近に買い戻されて、前東京終値比で円安ドル高への市場反転も見せているが、今夜この後の最新米国雇用統計の発表が注目を集めており、米国でのハリケーンやストライキの影響などが懸念される一方で、最近の米国経済指標を受けた米国経済のソフトランディング期待や今後の米国利下げペースへの市場予想に影響を与える可能性が意識されている。
なお、今夜19時頃には、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、来週の11月6〜7日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値は一時93.2%付近と市場で確定値と考えられている70%超えの優勢な推移を続ける一方で、一部のタカ派の次回の米国金利据え置き予想値が一時6.8%付近に上昇している。
今夜この後の米国市場では最新米国重要経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に世界的注目度を集めている10月の米国雇用統計の10月の米国非農業部門雇用者数 (NFP / Non-Farm Payrolls) と米国失業率と米国平均時給と米国製造業雇用者数などが同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜22時45分に10月の米国製造業購買担当者景気指数と、今夜23時には重要景気指標の10月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 製造業景況指数と、9月の米国建設支出なども発表される予定である。
また、来週には米国大統領選と米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベントも控えており、11月には日本の特別国会などの世界の政治影響や、中東情勢などの世界ニュースに加え、決算報告期の米国株式・債券・コモディティなどの市場の為替相場への影響なども、世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円83〜85銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の165円32〜34銭付近と比較すると約51銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜の欧州物価指標が市場予想を上回ったことや、最近は欧州経済にもソフトランディングの可能性が指摘されていたこともあり、欧州大幅利下げ予想が後退し、主要通貨に対する欧州ユーロの買い戻しが起きたことが、今日のユーロ円相場の東京終値に影響を及ぼしていた。
その影響があり、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0865〜1.0866ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0859〜1.0861ドル付近と比較すると約0.06セントのユーロ高ドル安であった。
また、今日の東京終値時点では、今夜の米国重要経済指標の米国雇用統計の発表を控えたドルのイベントリスクの影響もあった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は196円76〜82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の197円79〜85銭付近と比較すると約1円3銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、昨日の日銀の追加利上げ予想を受けては英国ポンドも円相場で売られて下落していたが、昨夜の英国市場では、前日の英国新政権の増税案を含む予算案を受けて、英国政府による借り入れと英国債発行数増加の市場予想が浮上したほか、金利先高感が出たことでは、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の今後の英国利下げペースも米国同様に緩やかになる可能性が指摘され、英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利が一時4.5%台と年初の高利回りを記録したことでは英国ポンドの買い戻しも入ったが、昨夜の月末要因や欧米株価下落を受けては再び英国ポンド売りの影響が出た後であったことでは前日同時刻比で大幅な円高ポンド安の東京終値になったが、今夜その後の18時台の英国ロンドン外国為替市場では、英国ポンドは一時197円台前半に買い戻されて下げ幅を縮小している。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年11月1日の日本時間(JST)20時44分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時44分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場では11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日が米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) になるため、2024年11月3日まではまだ米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっており、今週の世界市場では、欧州市場と英国市場はすでに冬時間であるが、米国市場はまだ米国夏時間である。)
通貨ペア | JST 20:44の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.72 〜 152.73 | +0.52 (円安) |
ユーロ/円 | 165.93 〜 165.95 | +0.61 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0863 〜 1.0865 | +0.0004 (ドル安) |
英ポンド/円 | 197.27 〜 197.33 | −0.52 (円高) |
スイスフラン/円 | 176.02 〜 176.08 | +0.13 (円安) |
豪ドル/円 | 100.23 〜 100.27 | +0.19 (円安) |
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