FXニュース: 米英0.25%の追加利下げ
2024年11月08日東西FXニュース – 2024年11月08日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利低下ドル利確
- 英物価見通しが上方修正
- 米FOMC連続利下げ予想
- 米FRBパウエル議長発言
- 日経平均株価反発大引け
- 為替介入警戒感の円調整
- 欧市場対中関税影響警戒
今日2024年11月8日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の153円36銭付近から、円の高値でドルの安値の152円55銭付近の値幅約81銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円63〜64銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円0〜1銭付近の前東京終値比で約1円37銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場で為替介入警戒感の燻りもあり低リスク通貨の円が買い戻されたが、日本市場終了後の昨夜18時18分頃の英国ロンドン外国為替市場では、時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜20時30分頃の一時4.450%付近に向けた上昇を見せていたことでは債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの抵抗もあり、ドルは円相場で一時154円18銭付近に反発し、前東京終値比での小幅な円安ドル高への市場反転を見せていた時間があった。
しかし、昨夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が英国新政策金利を発表し、前回の5.00%から市場予想通りの4.75%に0.25%の英国小幅追加利下げを発表したが、同時発表の英国物価上昇率の見通しが上方修正されたことを受けては、今後の英国利下げペースはより穏やかになる市場予想が高まったことでは、英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利が発表を受けて一時4.6375%付近に上昇し、世界最大規模の英国ロンドン市場で主要取引通貨のドルに対して英国ポンドが買われた外貨影響が対ドル円相場にも波及したほか、午前4時の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) とその半時間後の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長発言のイベント時間に向けて高まっていたドルのイベントリスクに対し、日本政府の円安牽制発言を受けて海外市場では政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入の警戒感による利益確定と持ち高調整でも低リスク通貨の円が買い戻される値動きが出ていたため、イベントリスク回避で世界的な安全資産の米国債が買われ、債券価格上昇時の利回り低下の影響で米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が反落を始めると、英国ポンドや日本円などの主要通貨に対するドル売りが進んだ。
そのため、英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時153円76銭付近と154円台から下落した始値となった。
昨夜22時30分には複数の最新米国経済指標の発表があり、7〜9月第3期四半期米国非農業部門労働生産性の前期比の速報値は、前回の2.5%が前回2.1%に下方修正され市場予想の2.3%を下回る2.2%であったが、同四半期の米国単位労働コストの前期比年率の速報値は前回の0.4%が前回2.4%に大幅に上方修正された上で市場予想の1.0%を上回る1.9%と堅調であったことでは、昨夜22時33分頃にドルは円相場で一時153円78銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、同時発表された前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の21.6万件と前回修正の21.8万件に対し市場予想通りの22.1万件はやや強かったものの、前週分の米国失業保険継続受給者数が前回の186.2万人と前回修正の185.3万人と市場予想の187.5万人に対し189.2万人と弱かったことでは、イベントリスクの影響もあり、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りが再開した。
深夜24時の9月の米国卸売売上高の前月比は、前回マイナス圏だった-0.1%と市場予想の0.2%を上回る0.3%であったことではややドルの買い戻しも混ざったが、午前4時の米国新政策金利発表に向けたイベントリスクの高まりを受けて米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が4.4%台から4.3%台に急落していたため、債券利回りを受けた金利差縮小時のドル売りの影響が強く、ドルは円相場で深夜24時52分頃の一時152円85銭付近と152円台後半に向けた大幅な下落を続けていた。
午前4時頃には、前日より二日間の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が終了し、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国新政策金利と声明を発表し、前回4.75〜5.00%に対し市場予想で確定値超えの優勢であった通りの4.50〜4.75%へと0.25%の米国小幅利下げを今回は全委員一致で決定し、声明文には、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの目標誘導レンジの追加調整を検討するにあたり、「委員会は、今後もたらされるデータと変化する見通しと、リスクのバランスを慎重に評価する」と、慎重な姿勢を示しており、以前にあった「米国のインフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めている」とのフレーズが削除されていたことを受けては、米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ元大統領の次期復権が決まり、市場でもインフレ再燃懸念があったことでは発表時の午前4時には、米国長期金利低下を受けて一時152円85銭付近に低下していたドルが円相場で午前4時0分の1分間の値動きの中で瞬時に一時153円25銭付近に買い戻され、数分後の午前4時3分頃には一時153円32銭付近に反発した。
午前4時30分頃から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後のライブ中継の定例記者会見で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言が始まったが、「短期的には、米国大統領選は我々の金融政策に影響しない」としたものの、「予め、決められたコースがあるというわけではなく、最新データを分析し、会合毎に決めていく」と、今後の米国利下げペースはデータ次第であるという慎重な姿勢を強調したことでは、午前4時43分頃にもドルは円相場で一時153円47銭付近に買い戻された。
しかし、米国のバンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関のアナリストなどが次回12月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) における米国連続小幅利下げの可能性を指摘しており、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は午前5時台に一時4.326%付近に低下し、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールも、来月12月17〜18日に開催が予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値が今日に向けて一時74.7%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた優勢になっており、次回の米国金利据え置き予想値は一時25.3%付近の劣勢に向けたことでは、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが再び入った影響では、午前5時14分頃にドルは円相場で一時152円69銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、米国ニューヨーク株式市場では、前日には米国大統領選挙での敗者復活を受けた2016年11月のトランプ・ラリー (Trump rally) を彷彿させる米国株買い起きたが、この日にはその後の利益確定や持ち高調整が進み、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が小幅ながらも反落した小幅安の終値をつけたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) は小幅高で、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) のみ大幅続伸の終値をつけており、前日までのトランプ・トレードの後のドルの利益確定売りや主要通貨に対する持ち高調整も入っていたことでは、小幅ながらも米国利下げ後であったことや、今週末には米国では祝日連休の予定も控えているため、市場安値後のショートカバーのドルの買い戻しはやや重いものとなっていた。
米国ニューヨーク債券市場では、今朝のニューヨーク終値の頃の米国10年債の利回りは一時4.342%付近と、昨夜20時30分頃の一時4.450%付近のピーク時から大幅な下落を見せており、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りの影響が、対ドルの円相場にも前日比での大幅な円高ドル安として為替相場に波及していた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の153円78銭付近から、円の高値でドルの安値の152円69銭付近の値幅約1円9銭で、今朝7時頃のドル円のニューヨーク終値は152円94銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円63銭付近と比べると約1円69銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時30分には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標が発表され、9月の日本全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は前回の-1.9%と市場予想の-2.1%を上回る-1.1%であった。
今朝8時50分の日本最新経済指標の前週分の対外対内証券売買契約等の状況は、対外中長期債が前回の-8896億円と前回上方修正の-8971億円に対し-4兆4579億円に大幅な減少を見せた一方で、対内株式は前回の80億円と前回上方修正の103億円を大幅に上回る1394億円に増加した。一方で、同時発表の10月の日本の外貨準備高は、前回の1兆2549億ドルに対し1兆2390億ドルであった。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時153円17銭付近の始値であったが、今朝の日本市場の仲値決済では、今週末の米国祝日連休を控え、週末にあたる10日分を今日決済する日本企業が多く、今日が実質的な5と10が付く日本の貿易企業の決済日が集中しやすい五十日にあたることから、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、仲値決済後の今朝10時31分頃にはドルは円相場で一時153円36銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今朝も日本政府の加藤勝信財務相が、「行き過ぎた動きには、適切な対応」などと円安牽制の口先介入を続けており、為替介入警戒感のよる円の買い戻しが入り始めたほか、今朝の東京株式市場では下落していた前日比から大幅高で始まった今日の日経平均株価が、時間帯が近いアジア株式市場で米国の対中関税強化への警戒感などで中国株や香港株が丁重になった影響の波及などもあり、大幅な上昇幅を縮めると、世界的な安全資産の米国債買いの影響で一時は反発していた米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が再びマイナス圏で低下を始めた影響もあり、低リスク通貨の円買いが強まり、午後13時17分頃に対ドル円相場は一時152円55銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、今日の日経平均株価は上昇幅を失っていたが、市場終盤には反発し、午後15時30分には3万9500円37銭の終値をつけ、前日比118円96銭高での大幅高で大引けしたことでは、市場高値後の円の利益確定売りとドルの買い戻しも入ったことでは、午後15時20分頃にはドルは円相場で一時152円95銭付近への反発も見せた。
とはいえ、夕方からの欧州市場が参入すると、世界的な安全資産の米国債買いの影響で、米国10年債の利回りが午後16時台終盤には一時4.326%付近と更なる低下に向けたため、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りや持ち高調整が再び優勢になり、英国冬時間で東京終値頃から参入の英国ロンドン外国為替市場でもドル売りが始まった時に今夜17時の東京終値を迎えた。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円63〜64銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の154円0〜1銭付近の前東京終値比では約1円37銭の大幅な円高ドル安になった。
また、その後の英国ロンドン外国為替市場でも、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の低下に伴うドル売りが続き、今夜18時25分頃に米国長期金利が一時4.295%付近に低下して4.3%台を割り込むと、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、今夜19時7分頃と20時1分頃には一時152円14銭付近の円高ドル安の進行も観測されている。
なお、今夜20時頃の英国ロンドン外国為替市場では、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールは、次回12月18日発表予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時71.3%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた優勢な推移を続ける一方で、次回の米国金利据え置き予想値は一時28.7%付近で推移している。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜24時に11月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表される予定である。また、世界政治のニュースや中東情勢、債券・株式・原油などのコモディティ市場からの影響もFXトレーダー達に注視されており、米国市場では11月11日の月曜日は退役軍人の日にあたるベテランズ・デー (Veterans Day) の米国連邦祝日にあたるため、祝日連休の週末を控えたポジション調整にもやや注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円50〜51銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の165円60〜61銭付近と比べると約10銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、米国長期金利低下受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りで大幅な円高ドル安に転じた外貨影響がユーロ円相場にも円高ユーロ安として波及したほか、欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治懸念の影響や、米国の対中関税強化予想により、欧州連合の主要取引である中国が欧州市場への輸出拡大を増やす懸念もあり、今日の中国株や香港株が軟調であった影響から今夕の欧州主要株価が低下して始まり、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産の米国債買いによる米国債の利回り低下とともに、低リスク通貨の円買いも入りやすかった影響で、今夕の欧州市場でもユーロ円相場は円高ユーロ安に向けていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0776〜1.0778ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0752〜1.0753ドル付近と比べると約0.24セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、世界的な安全資産の米国債買いで、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が低下したため、主要通貨に対するドル売りの影響では欧州ユーロも買い戻されていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は197円83〜89銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の199円11〜17銭付近と比べると約1円28銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、昨夜の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英中銀金融政策委員会 (MPC) がこれまでの5.00%から市場予想通りに4.75%に英国小幅利下げを発表後、同時発表の英国物価見通し上昇率の上方修正を受けては今後の穏やかな英国利下げペース予想により英国長期金利が一時上昇し、対ドルなどで英国ポンドが買われたが、今後の英国利下げ予想が継続することに対して、日本政府の円安牽制を受けた為替介入警戒感による低リスク通貨の円の買い戻しが入ったほか、昨夜は一時4.6%台に上昇した後の英国長期金利が反落し、今日の午後には一時4.5%台に低下したことでは、債券利回りを受けた英国長期金利低下時の英国ポンドの利益確定売りや持ち高調整売りが進み、大幅な円高ポンド安に転じた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年11月8日の日本時間(JST)20時26分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時26分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、先週末の2024年11月3日に米国でもサマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の夏時間が終了し、今週の世界市場は欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間の時差になっている。
通貨ペア | JST 20:26の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.25 〜 152.27 | −1.75 (円高) |
ユーロ/円 | 164.33 〜 164.35 | −1.27 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0792 〜 1.0796 | +0.0040 (ドル安) |
英ポンド/円 | 197.49 〜 197.55 | −1.62 (円高) |
スイスフラン/円 | 174.90 〜 174.96 | −1.06 (円高) |
豪ドル/円 | 101.11 〜 101.15 | −0.87 (円高) |
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