FXニュース:米消費者物価指数を控え
2024年11月13日東西FXニュース – 2024年11月13日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米政治インフレ圧を警戒
- 米金利警戒ダウ株価反落
- 日経平均株価続落大幅安
- 米長期金利上昇4.45%
- 年初ユーロ安ドル高更新
- 英長期金利一時4.58%
今日2024年11月13日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の154円54銭付近から、円の安値でドルの高値の155円15銭付近の値幅約61銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円12〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の153円78〜79銭付近の前東京終値比で約1円34銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨夜の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、次期トランプ政権に関するニュース報道が続く中で、アメリカ・ファーストの米国関税強化案や移民政策と財政案などから米国インフレ再燃が警戒された米国債売りが続き、時間外の米国債券取引では米国政策金利の先高観の影響もあり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.3%台に乗せた上昇を続け、債券利回りを受けた金利差トレードによりトランプ・トレードのドル買いが勢いを増し、昨夜18時41分頃にはドルは円相場で一時154円17銭付近と154円台に上昇していた。
また、昨夜の欧州市場では、欧州ユーロ圏主要国のドイツの政治懸念に加えて、昨夜19時に発表された最新欧州経済指標で、ドイツの11月の独ZEW (ドイツ語:Zentrum für Europäische Wirtschaftsforschung / 英語:Center for European Economic Research / 欧州経済研究センター) 景況感調査の期待指数が前回の13.1と市場予想の13.0を大幅に下回る7.4に下振れしたほか、同時発表だった欧州ユーロ圏総合の11月の欧州ZEW景況感調査も前回の20.1から12.5に悪化したことを受けた欧州景気懸念の欧州ユーロ売りでも世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが買われたことから、他の主要通貨であるユーロドルでもユーロ安ドル高が進行していた影響が円相場に波及した。
そのため、欧州英国市場の後半から時差で始まった昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円7銭付近の始値で、この昨夜22時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時154円5銭付近が昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値となり、米国長期金利の上昇トレンドが続いたため、その後のドルは円相場で上昇を続けた。
深夜24時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国リッチモンド連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁の発言があり、「価格には敏感だが高い購買力がある米国消費者に、より生産的で価値が高い米国労働市場が重なり、米国経済を良好な状態に導いた」と米国経済と労働市場の堅調さを指摘し、前回のFOMCでは米国小幅利下げを支持したことを表明したが、FRBは「米国経済が今後、どう展開しても適切に対応できる状態にある」とした上で、次期トランプ政権に向けた今後の米国経済のシナリオについては、自身は2つのシナリオを想定していると語り、1つは市場予想でも優勢になっていた米国大統領選挙後の政治不透明感が解消されて米国企業が投資や雇用を再開した場合の米国インフレの上振れリスクを警戒するシナリオで、もう1つは購買力低下による利幅縮小に対応した企業が人員を削減して雇用リスクが上昇するシナリオであるが、移民政策により人手不足で米国雇用市場で賃金インフレが再燃する可能性もあることから、米国の価格安定化と雇用最大化のFRBの二大責務のリスクバランスを想定した発言をしていたが、市場反応ではトランプ政権でのインフレ再燃警戒のドル買いのトレンドが続いた。
昨夜が米国祝日連休明けだった米国ニューヨーク債券市場では、トランプ・トレードの米国債券売りとドル買いが再燃し、午前2時45分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.445%付近の高利回りに上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いが勢いを増した午前2時41分頃に、ドルは円相場で一時154円92銭付近と今年7月下旬以来の円安ドル高が進行し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。
同じく、午前2時台には、ユーロドルも一時1.06を割り込んだ一時1.05975ドル付近に売られて、この時点での今年最大のユーロ安ドル高の記録を更新したほか、欧州市場と同様に米国関税強化の影響が懸念される中国を主要取引先に持つオーストラリアの豪ドルに対してもドル高になっており、また、昨夜発表された国際労働機関 (ILO / International Labor Organization) 方式の9月の英国失業率が4.3%と前回の4.0%と市場予想の4.1%よりも悪化した英国ポンドも世界的に流動性が高いドルに対して売られていたことなどから、円相場だけでなく主要通貨全般に対するドル指数も一時106.18に上昇し、一時ドル全面高となって今年5月1日以来の高値を記録していた外貨影響も対ドル円相場に波及していた。
ただし、米国政策金利の先高感への警戒からは、前日に史上最高値を記録後に続伸して始まっていた米国主要株価三指数が反落を始めており、米国主要株価三指数の中でも特に金利に敏感な米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) は大幅な反落の終値に向けたほか、反落後にも反発して下げ幅を縮めた米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も小幅安の終値に向けたことを受けては、米国主要株価三指数の反落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買い戻される抵抗もあったことでは、海外市場時間をターゲットにした日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒感も燻っていたため、ドル円は155円を上抜ける前にやや上昇幅を縮め始めた。
また、第2次トランプ政権発足は来年1月からであるため、今夜この後に最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表予定のイベントを控えていることでは、今年年内の米国利下げはデータ次第であることが意識され、米国市場の終盤には市場高値後のドルには利益確定と持ち高調整の調整もやや入っていた。
しかし、午前6時台には米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁の発言も話題になり、「インフレ面で驚くようなことが起こらない限りは見通しが劇的に変わることはないだろう」としたものの、「インフレが予想外の上振れを見せれば、米国利下げを一時停止する可能性はある」とインフレ再燃が米国利下げ鈍化の金利据え置き要因になり得ることを警戒したインフレリスクに関する発言があった一方で、「今年の12月までにはそれほど時間がないので、米国労働市場が実際に過熱するとは考えにくい」と雇用リスクに関しては警戒感を見せなかったことでも、市場では今夜この後の米国インフレデータ次第では次回の米国金利据え置き予想に影響を与えることが意識された。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円5銭付近から、円の安値でドルの高値の154円92銭付近の値幅約87銭で、今朝7時頃のドル円のニューヨーク終値は154円61銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値相当時間の152円72銭付近と比べると約89銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時154円65銭付近の始値であったが、今朝までの米国主要株価三指数の反落に続き、東京株式市場でも今日の日経平均株価が下落し、前日比で大幅安に向けたことを受けては、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻されたことでは対ドルの円相場が一時反発し、今朝11時2分頃に一時154円54銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、日本市場時間の時間外の米国債券取引でもトランプ・トレードの米国債売りのトレンドが再開して米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、午後15時6〜9分頃と14分頃などに米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.450%付近と更なる高利回りを記録して高止まりしたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いが強まり、午後15時42分頃にドルは円相場で一時155円15銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、今年7月以来の155円台の円安ドル高になった。
英国市場から時差が1〜2時間先行している午後からの欧州市場の参入でも、前日に次期の第2次ドナルド・トランプ政権で共和党勢力が米国上下両院で優勢になるトリプルレッド (Triple Red) への警戒感に続き、ドナルド・トランプ陣営の経済顧問を務め、以前に「トランプはドル安を志向しない」と発言していたことのあるスコット・ベッセントが次期の米国財務長官の有力候補になったニュースへの警戒感のドル買いが入ったほか、今日の夕方の英国ロンドン外国為替市場の本格参入時には、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回12月17〜18日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値が、0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時62.4%付近に低下し、市場で確定値と考えられている70%を下回り続けていた一方で、次回の米国金利据え置き予想値は一時37.6%付近に上昇していた。
ただし、第2次トランプ政権前の今年年内の米国利下げ予想に関しては、今夜この後の米国インフレデータが影響を及ぼす可能性からは、日本市場終盤の利益確定と持ち高調整も同時に進んでいた今夜17時の東京終値時点では、今日の日本市場のドルの高値は円相場では上抜けなかったが、東京終値後の今夜17時30分頃にはドル円は一時155円24銭付近まで買われて今日の日本市場の円相場でのドルの市場高値を更新したが、その前の今夜17時に今日の東京終値をつけていた。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円12〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の153円78〜79銭付近の前東京終値比では約1円34銭の大幅な円安ドル高になった。
しかし、今夜17時30分頃に一時155円24銭付近に上昇後のドルは円相場で、今夜この後の米国重要インフレ指標の10月の米国消費者物価指数 (CPI) 発表のイベントリスクによる利益確定や持ち高調整の抵抗も交えており、世界的な安全資産の米国債の買い戻しもやや入っていることでは、イベント前の様子見姿勢が入ってきている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定を控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に米国インフレ関連の最新米国重要経済指標の 10月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントがあり、続いて、今夜23時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定と、28時に10月の米国月次財政収支の発表予定などを控えている。
また、明日の夜には次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の中でも市場影響力が最も強いジェローム・パウエル議長の要人発言予定のイベントも控えていることなど注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円48〜49銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の163円47〜48銭付近と比べると約1円1銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、米国長期金利上昇を受けた日米金利差拡大により大幅な円安ドル高が進行した影響が他の主要通貨にも波及し、昨日の円高ユーロ安から円安ユーロ高に転じていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0602〜1.0604ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0628〜1.0630ドル付近と比べると約0.26セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治懸念や昨夜の欧州経済指標悪化を受けた欧州ユーロ買いの一方で、米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いがあり、今朝までの米国市場でもユーロドルは今年最大のユーロ安ドル高を更新したが、今日の東京終値直後の今夜17時9分頃にもユーロドルは一時1.05934ドル付近と、今年最大のユーロ安ドル高の再更新しており、その直前に今日のこの東京終値をつけていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は197円56〜62銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の197円2〜8銭付近と比べると約54銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨夜の9月分と10月分の英国失業率では、先述の国際労働機関 (ILO) 方式の9月分が悪化していた一方で、10月分の英国失業率は横ばいの4.7%でとなっており、10月の英国失業保険申請件数は前回の2.79万件が前回1.01万件に上方修正されるなど強弱が入り混じっていたことでは、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の今後の穏やかな英国利下げペースの市場予想を変えるほどの影響がない可能性が指摘され、今日の夕方の英国ロンドン外国為替市場の本格参入後の今夜17時15分頃には、米国と文化的な共通点のある英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利も一時4.583%付近に上昇し、債券利回りを受けた日英金利差トレードの円売りポンド買いの影響が日米金利差拡大時の円売りドル買いに続いて入ったことが、今日の夕方のポンド円相場に影響を及ぼした。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年11月13日の日本時間(JST)20時38分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時38分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間が終了し、今週の世界市場では欧州市場と英国市場と共に、米国市場も冬時間の日本との時差となっている。
通貨ペア | JST 20:38の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 154.91 〜 154.93 | +1.13 (円安) |
ユーロ/円 | 164.41 〜 164.43 | +0.94 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0613 〜 1.0617 | −0.0015 (ドル高) |
英ポンド/円 | 197.35 〜 197.41 | +0.33 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.37 〜 175.43 | +0.93 (円安) |
豪ドル/円 | 101.04 〜 101.08 | +0.34 (円安) |
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