FXニュース:日銀追加利上げ予想影響
2024年11月29日東西FXニュース – 2024年11月29日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 東京消費者物価指数上昇
- 日経平均株価が大幅反落
- 輸出企業月末決算円買い
- 米休暇時期の流動性低下
- 欧消費者物価指数の発表
今日2024年11月29日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の151円20銭付近から、円の高値でドルの安値の149円53銭付近の値幅約1円67銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円1銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円79銭付近の前東京終値比では約1円78銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、同時進行していた欧州市場でウクライナ情勢のニュースを受けて欧州ユーロに対し世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルが一時買われたほか、英国ロイター通信 (Reuters) などがメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が米国のドナルド・トランプ次期大統領との電話会談は「友好的で、良好な関係を維持することで合意した」と発言したニュースが話題になり、電話協議前にはメキシコからの全輸入品に対し25%の米国関税引き上げに対する報復関税の姿勢を見せていた問題への緊張緩和によりメキシコペソが円相場で反発すると共に、メキシコへの米国関税強化案の理由として挙げられていた不法移民や違法薬物の流入について協議したことが明らかになり、中国を主要取引先に持つ欧州市場でも交渉次第では米国関税強化案を過剰に警戒する必要はないのではないかという思惑が浮上し、同時に米国政府が検討中の追加の対中半導体規制も以前に警戒されていたほどは厳しい措置にはならない見通しとの報道があったことで、欧州主要株価が大幅高に向けた影響があり、低リスク通貨の円が売られたことで、昨夜19時25〜26分頃と19時37分頃にはドルは円相場で一時151円95銭付近に買われていた。
しかし、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的な有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールで、来月の12月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値が、0.25%の米国小幅利下げ予想値は一時66.5%付近に上昇後で、対する一部のタカ派の米国金利据え置き予想値は一時33.5%付近に低下後であったこともあり、次回の米国小幅利下げ予想が優勢であったことでは、日米金利差縮小予想の影響で円相場も底堅い値動きを見せて反発を見せ始め、テクニカル分析的にも152円付近に位置していた200日移動平均線がレジスタンス・ライン (抵抗線) として意識されると152円台の手前付近からは円相場が反発を始めた。
昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場は、米国感謝祭 (Thanksgiving Day) の祝日休場であったが、同時進行中だった欧州英国市場と世界FX市場の米国ニューヨーク外国為替市場始値相当の対ドル円相場は一時151円76銭付近で、この昨夜22時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時151円77銭付近が米国市場相当時間の円の安値でドルの高値となり、深夜24時8分頃には一時151円40銭付近の米国市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、昨夜にはフランスのアントワヌ・アルマン財務相が、「予算案が可決されなければ、フランスが制御不能に陥るリスクがある」と発言したニュースも世界市場の話題になり、欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治懸念に加えて欧州連合 (EU / European Union) 域内2位の経済大国であるフランス政府の財政リスクが意識され、昨夜には仏10年債の利回りが一時3.03%付近に上昇し、昨年まで大手格付け会社にジャンク級の格付けがされていたギリシャ債と並ぶという史上初の欧州債務危機が一時意識されたが、その後にはフランスで2025年度予算案への譲歩準備があるとの続報の報道などもありフランス国債価格は上昇に転じたが、米国市場休場中の世界市場では全体的な流動性の低下により不安定な動きへの警戒感があった中で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのフランス銀行 (BdF/ Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁が、「現状では、次回12月12日の理事会で欧州追加利下げを支持する理由は十分あり、規模については、今後発表されるデータや経済見通しとリスク評価次第でオープンな選択肢を残しておくべき」であると、欧州小幅利下げだけでなく欧州大幅利下げへの選択肢も残すことを示唆しことでは、欧州ユーロが対ドルで売られた外貨影響が円相場に波及し、ドルも円相場も反発を見せていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の世界市場での対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の151円77銭付近から、円の高値でドルの安値の150円40銭付近の値幅約37銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値相当時間のドル円は151円55銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円9銭付近と比べて約46銭の円安ドル高をつけていた。
しかし、今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、月末決算に向けた自国通貨の買い戻しの持ち高調整で世界的に流動性が高い基軸通貨のドル売りが再開し、今朝8時頃からドル下落の影響が円相場でも始まっていた中で、今朝8時30分には日本の最新経済史指標の発表があり、11月の東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品を除く物価基調のコアなインフレ指数の前年同月比が、前回の1.8%と市場予想の2.1%を上回る2.2%に上昇し、賃金上昇を伴う2%のインフレ目標の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想が高まり、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが再燃した。
同時発表だった10月の日本失業率は前回の2.4%に対し市場予想通りの2.5%であったが、10月の日本有効求人倍率は前回と市場予想の1.24に対し1.25に上昇しており、海外市場と比較した場合には日本の完全雇用に近い堅調な雇用市場において、市場予想以上に有効求人数が増えていたことから、前述の日銀の2%の目標以上の東京都区のインフレ率と、賃金上昇予想も先日の政労使会議で石破茂首相が来年の春闘における大幅な賃上げへの協力要請を経済界と労働界に求めていたニュースがあったことから、日銀の追加利上げ予想と日米金利差縮小予想の高まりにより、対ドルの円相場が大幅な上昇を始めた。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円18銭付近で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時151円20銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、今日の日本市場では対ドルの円相場が上昇を続けた。
また、今日の日本市場では、日本企業の主要取引先である米国市場が昨夜の米国感謝祭の祝日に続き今夜もブラックフライデーのホリデームードの休暇時期の短縮市場になり、日本企業の輸入実需は少ない一方で、明日の30日は週末にあたるため今日が実質的に日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10がつく五十日で月末でもあることから、円建ての月末決算に向けた日本国内の輸出企業の主要取引通貨のドル売りと自国通貨の円の買い戻しも入ったことで円相場は更に上昇し、対ドルの円相場は今朝9時55分の仲値決済後の今朝9時59分頃には一時149円84銭付近と、150円台を下回る値動きを見せ始めた。
今日の東京株式市場でも、今朝8の日銀 (BoJ) の早期の追加利上げ予想への警戒感による株売りが起き、以前の円安時に買った日本株を円高時に利益確定売りする海外投資家達の株売りなどの影響もあり、前日には大幅に反発上昇していた日経平均株価が今日は大幅な反落と下落を見せ始めたことでも、日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が主要通貨に対して買われたため、対ドルの円相場は更に上昇し、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万8208円3銭の終値をつけて前日比141円3銭安の大幅安で大引けすると、夕方からの欧州市場でも日銀の追加利上げ予想のニュースを受けた円買いが一時入ったため、午後16時29分頃には対ドルの円相場は一時149円53銭付近と前東京終値比での大幅な円高ドル安が進行しており、今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、欧州英国市場でも月末決算時期にあたることでは、一時149円台に上昇後の円の利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入り始めたほか、今夜17時の東京終値の頃に英国冬時間の英国ロンドン外国為替市場が参入し、今夜の月末のロンドン・フィキシングに向けた主要取引通貨であるドルの買い戻しなどもあったことでは、日本市場終盤のドルは円相場で150円付近に反発した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円1銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円79銭付近の前東京終値比で約1円78銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場は、昨日の米国感謝祭に続くブラックフライデー (Black Friday) の短縮市場となり、クリスマスシーズンに向けた大規模なセール日でホリデームードの休暇時期が続くことから、特に注目されている最新米国経済指標などの発表はないものの、世界市場では欧州市場の最新欧州重要経済指標などの発表があり、世界の債券や株式とコモディティなどの各市場の影響や、世界の政治要因やウクライナ情勢などを含めた世界情勢ニュースの為替相場への影響などは引き続き注視されている。
米国のホリデー時期に特有の世界市場全体の市場流動性の減少により、平常時なら小さな値動きでも増幅されて拡大された荒い値動きが出やすくなることと、今夜は欧州英国市場などの世界市場でも月末決算期であることにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円74〜75銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の159円99銭〜160円0銭付近と比べると約1円25銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の日本市場では、今朝の日銀の追加利上げ予想を受けた主要通貨に対する円買いや日本市場での月末要因の大規模な円の買い戻しの影響に加えて、今日の日経平均株価が大幅な反落を見せて大幅安で大引けしことから、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円が買われて、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルが売られたため、これらの主要通貨に対する大幅な円高が進行した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は190円84〜90銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の192円5〜11銭付近と比べると約1円21銭の大幅な円高ポンド安になった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0580〜1.0582ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0539〜1.0541ドル付近と比べると約0.41セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今日の日本市場での欧州ユーロよりも大幅な円買いドル売りの外貨影響がユーロドルにもドル下落圧として波及したほか、今夜の米国市場の短縮営業を見込んだ実需低下と月末締めに向けた欧州ユーロの買い戻しも為替相場に影響を与えていた。
ただし、今夜17時の東京終値後の今夜19時の欧州市場では、欧州ユーロ圏総合の最新重要インフレ指標の11月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語 : Harmonised Index of Consumer Prices / 米語 : Harmonized Index of Consumer Prices) の速報値の発表があり、前年同月比は前回の2.0%に対し市場予想通りの2.3%であったが、欧州HICPコア指数の速報値では前年同月比が市場予想の2.8%に対し前回と横ばいの2.7%とやや市場予想を下回ったことでは、発表後の欧州ユーロは対ドルでの上昇幅をやや縮めていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年11月29日の日本時間(JST)20時37分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時37分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 20:37の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.02 〜 150.03 | −1.77 (円高) |
ユーロ/円 | 158.45 〜 158.47 | −1.54 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0561 〜 1.0563 | +0.0022 (ドル安) |
英ポンド/円 | 190.45 〜 190.51 | −1.60 (円高) |
スイスフラン/円 | 170.29 〜 170.35 | −1.36 (円高) |
豪ドル/円 | 97.63 〜 97.67 | −0.74 (円高) |
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