FXニュース:米FRB理事のハト派発言
2024年12月03日東西FXニュース – 2024年12月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 独仏政治懸念リスクオフ
- 米ISM製造業景況感上昇
- 日銀利上げ予想影響続く
- 米小幅利下げ予想値上昇
- 日経平均続伸リスクオン
- 日米欧英金融政策の違い
今日2024年12月3日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の149円49銭付近から、円の安値でドルの高値の150円23銭付近の値幅約74銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円99銭〜150円1銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円26〜27銭付近の前東京終値比で約27銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場の午後に一時4.224%付近に反発上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、昨夕の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏主要国のドイツに続きフランス政権の不信任案に関するニュースを受けた仏政治懸念のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の影響で、世界的な安全資産である米国債が再び買われた影響により米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜18時1分頃には一時4.198%付近にまで一時反落したが、昨夜19時台の一時4.218%付近に向けた再反発を見せたことでは、欧州ユーロ売りで低リスク通貨の円買いだけでなく、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルも買われた外貨影響が波及し、昨夜18時50分頃にはドルは円相場で一時150円44銭付近に上昇していた。
しかし、昨夜21時35分頃には再び米国債買いが入ったことで、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起きると、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.198%付近に一時押し戻されたことから、この時間には債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りにより、ドルも円相場で一時149円91銭付近と149円台に戻したが、その後には米国長期金利が4.2%台への再反発を始めたことでは、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円13銭付近の 始値であった。
米国市場では、米国感謝祭とブラックフライデー明けのクリスマス・シーズンに向けたホリデームードが続いており、市場流動性の減少は続いていたものの、昨夜22時35分頃には米国債券価格上昇後の利益確定売りや持ち高調整の影響もあり、反発後の米国長期金利が一時4.238%付近に向けて大きく上昇した時間があったため、債券利回りを受けた金利差売買の日米金利差拡大時の円売りドル買いが先行したことでは、昨夜22時33分頃にドルは円相場で一時150円35銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国市場の安値後の円には、先日の植田和男総裁の発言を受けた観測記事の影響などで日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想の燻りもあり買い戻しが入り始めたことでは円相場はクロス円の円高の外貨波及もあって反発を始めたが、昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の11月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値が、前回と市場予想の48.8を上回る49.7に上方修正されたことを受けては、発表時のドル円は一時150円5銭付近の推移を見せていた。
深夜24時には、米国景気関連の最新米国重要経済指標の11月の米国ISM (Institute for Supply Management/ 全米供給管理協会) 製造業景況指数が発表され、前回の46.5と市場予想の47.6を上回る48.4に上昇したことを受けては、安全資産の米国債売りの影響で深夜24時頃の米国長期金利が一時4.246%付近に急上昇したため、ドルは円相場で発表時の一時150円8銭付近から上昇し、深夜24時45分頃に一時150円24銭付近まで再上昇していたが、好景気と不景気の境界線の景気ボーダーラインの50を依然として下回り続けていたことでは、ドルの円相場での上昇幅は追加利上げ方向を維持している日銀 (BoJ) と追加利下げ方向に向かう市場予想が優勢であることなどから、クロス円の円高の対ドル円相場への波及もあり市場高値は上抜けせずに反落を始めた。
ただし、深夜24時に同時発表されていた10月の米国建設支出も、前回の0.1%と市場予想の0.2%を上回る0.4%に上昇していたことでは、この時間のドルには底堅さがあった。
しかし、米国感謝祭とブラックフライデーの後にもクリスマスホリデーシーズンに向けたホリデームードの漂う米国市場は市場流動性が減少していたため、小さな値動きでも増幅した荒い値動きを見せやすくなっていたことから、米国ニューヨーク株式市場で市場前半の米国長期金利上昇に合わせる様に反落して大幅安になっていた米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が一時下げ幅を縮めた後に再反落して大幅安になっていたことでは、世界市場だけでなく米国市場でも再び安全資産の米国債買いが入り米国債券価格の一時急伸に伴い利回りが午前1時30分頃の一時4.180%に向けて急落を始め、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが勢いを増したほか、一部の株価下落時のリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円が買われていたことに加えて同時進行中の世界最大規模のロンドン外国為替市場では午前1時頃のロンドン・フィキンシング終了後のドル売りも入ったことなどから、ドルは円相場でストップロス (SL / Stop Loss) を巻き込み一時急落し、午前1時28分頃に一時149円8銭付近と米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方、米国主要株価三指数の中では前述の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) は大幅安の推移を続けていたものの、欧米のクリスマス・プレゼントのセールスシーズンでもあることでは、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は続伸しており、特に世界的なITやハイテク企業の比率の多いナズダックは大幅続伸の終値に向けたことでは、一時急落後の安全資産の米国債の利回りも下げ止まり、欧州市場と英国市場終了後の午前3時20分頃にはドルも円相場で一時149円79銭付近に下げ幅を縮めていた。
とはいえ、午前5時15分頃からは次回12月17〜18日に開催される米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事の発言があり、「12月の米国利下げ支持に傾いている」とハト派寄りの発言をしたことが話題になったことでは、次回の米国小幅利下げ予想値が上昇したため、米国長期金利低下の影響が続き、発言後の午前5時32分頃には、ドルは円相場で一時149円22銭付近に再反落を見せていた。
今日の世界市場に向けて、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的な有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今月12月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時72.8%付近に上昇し、市場で確定値と考えられる70%を超えた一方で、一部のタカ派の米国金利据え置き予想値は一時2.72%付近に後退しており、日米金利差縮小予想の影響が優勢の円高ドル安のニューヨーク終値となった。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円35銭付近から、円の高値でドルの安値の149円8銭付近の値幅約1円27銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は149円60銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円77銭付近と比べて約17銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円51銭付近の始値で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時149円49銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値となった。
今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったことに加えて、今日の日本市場では来年1月に米国第一主義のアメリカ・ファーストの米国共産党のドナルド・トランプ政権が始まることから米国株投資を含む新NISA (Nippon individual savings account / 日本少額投資非課税制度) への実需の安値のドル買いも入りやすかったことでは、ドルは円相場で149円台後半へと下げ幅を縮め始めた。
今日の東京株式市場では日経平均株価が続伸して始まったことでも、日本株価上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨が円売られた影響では、日経平均株価が午後13時25分頃に前日比で一時約907円付近の大幅上昇を見せた後にもしばらく高止まりを続けていた午後14時3分頃に、ドルは円相場で一時150円23銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今日の日経平均株価が市場終盤の利益確定売りや持ち高調整などの影響で一時の大幅な上昇幅をやや縮小した影響では、ドルも円相場で上昇幅を縮小したものの、午後15時30分頃には日経平均株価は3万9248円86銭の終値をつけ、前日比735円84銭高の大幅高で大引けしたことでは、ドルは円相場で149円台後半から150円付近の推移を続けた。
夕方からの欧州市場の参入では、夕方16時55分頃の時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.220%付近に再上昇していた債券利回りの影響もあったが、英国ロンドン外国為替市場の参入時の本日17時の東京終値の頃の米国長期金利は一時4.218%付近とやや抵抗も交えていたことでは、米国追加利下げ予想と日銀の追加利上げ予想の日米金利差縮小予想の影響も残り、円高ドル安の東京終値になった。
なお、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜17時8〜10分頃にかけて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.221%に上昇した影響では、債券利回りを受けた日米金利差の影響もあり、今夜17時11〜12分頃にかけてドルは円相場で一時150円18銭付近に買い戻されていたが、今夜この後にも米国雇用市場関連の最新米国経済指標の発表予定あるが、今週に最新米国重要経済指標の発表イベントや明日の夜のジェローム・パウエル議長の発言予定などを控えているイベントリスクでは欧米のクリスマス・ホリデー前の持ち高調整の影響もあり、クリスマスも営業予定で低リスク通貨でもある日本円に対するドルの買い戻し幅は、日米の金融政策の方向性の違いから日米金利差縮小予想の影響もあって今日は限られていた。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間での経済指標カレンダーのスケジュールは、深夜24時に10月の米国雇用動態調査(JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey)求人件数と、26時35分頃から次回のFOMC投票権を有するFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言を控えている。
また、世界の債券や株式とコモディティなどの市場影響や、世界の政治要因や世界情勢のニュースなどの為替相場への影響も、世界市場では引き続き注視されている。
欧米のクリスマス時期の冬休みに向けたホリデーシーズンには、世界市場の流動性の減少により、値動きが増幅された荒い値動きが出やすくなることなどにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は157円47〜49銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の157円80〜82銭付近と比べると約33銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、日銀の早期の追加利上げ予想が観測記事を受けた市場で燻る中で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) には欧州景気懸念の影響もあり欧州追加利下げ予想が優勢であったことなどから日欧金利差縮小予想の影響が続いていたほか、フランスの政治懸念でも欧州ユーロ売りで低リスク通貨の円や世界的に流動性が高いドルが買われていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0497〜1.0499ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0501〜1.0502ドル付近と比べると約0.04セントの小幅なユーロ安ドル高であった。
ただし、小幅域であったことから、今夜その後の欧州市場では、昨日のユーロ安ドル高が進行後の調整で自国通貨の欧州ユーロが買い戻される値動きも入り始めたことでは、今夜20時台にはユーロドルは前東京終値比でユーロ高ドル安に市場反転も見せている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は189円83〜89銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の190円51〜57銭付近と比べると約68銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏と地理的・経済的に近いことから影響を受けやすい英国ポンドも欧州ユーロとクロス円で連れ安になっており、日銀 (BoJ) の早期の追加利上げ予想の観測記事に対して、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) も将来的な英国追加利下げ予想が優勢であるため、日英金利差縮小予想が為替相場に影響を及ぼした。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月3日の日本時間(JST)20時37分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時37分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 20:37の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.77 〜 149.79 | −0.49 (円高) |
ユーロ/円 | 157.57 〜 157.62 | −0.23 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0520 〜 1.0522 | +0.0019 (ドル安) |
英ポンド/円 | 189.72 〜 189.78 | −0.79 (円高) |
スイスフラン/円 | 169.33 〜 169.39 | −0.41 (円高) |
豪ドル/円 | 97.18 〜 97.22 | −0.41 (円高) |
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