FXニュース:日銀早期利上げ予想後退

2024年12月04日

 

東西FXニュース – 2024年12月04日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 韓非常戒厳時リスク回避
  • 米JOLTS求人数予想以上
  • 日経平均株価反落後続伸
  • 米長期金利反発後の上昇

今日2024年12月4日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の149円52銭付近から、円の安値でドルの高値の150円43銭付近の値幅約91銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円38〜39銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円99銭〜150円1銭付近の前東京終値比では約39銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.222%付近に向けた上昇を見せていた時間には、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大の影響による円売りドル買いで、昨夜17時11〜12分頃にかけてドルは円相場で一時150円18銭付近に買われたが、その後には世界的な安全資産である米国債に再び買いが入り、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き始めたことでは、米国長期金利低下時の円買いドル売りの影響などで円相場が反発を始めため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円68銭付近の始値で、昨夜22時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時149円70銭付近が、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となり、円相場が上昇した。

昨夜22時20分過ぎ頃に、韓国の最新の世論調査で支持率低下が懸念されていた尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領が、来年度の国内予算案に合意しない野党多数に対し「国政が麻痺状態にある」と発言し、「自由憲政秩序を守るために、非常戒厳を宣布する」と発表した世界ニュースがあり、1987年の韓国の民主化宣言以来初の非常戒厳が発令されたことを受けた韓国政治懸念のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) が世界市場で急激に高まり、韓国ウォンが売られて急落した一方で、低リスク通貨の円買いや世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルが買われて上昇したが、欧州英国市場で仏政治懸念やウクライナや中東情勢の燻りによる地政学リスク回避などでも入っていた世界的な安全資産の米国債買いが勢いを増したことでは米国長期金利も昨夜23時35分頃の一時4.178%付近に向けて急落したため、主要通貨に対する低リスク通貨の円買いに加えて、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響で対ドルの円相場が急伸し、昨夜23時38〜41分頃にかけてドルは円相場で一時148円64銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、その後の続報では、韓国当局者が「必要に応じ市場に無制限の流動性を供給する」と表明したほか、韓国の臨時国会が「戒厳令解除の決議案」満場一致で可決したニュースが伝わり、尹錫悦大統領も「閣議を通じて非常戒厳を解除する」ことを発表したことでは調整も入り始めるが、「韓国内は突然の事態に対する混乱が続いている」との報道もあり、欧米のクリスマス・ホリデー・シーズンに向けた世界市場の流動性の減少が意識される中で世界情勢への市場警戒感は燻っていたもののウクライナや中東と欧州ユーロ圏のドイツやフランスの政治懸念などのリスクオフはこれまでにも顕在化していたが、この日の世界市場では韓国の突然のサプライズ非常戒厳リスクオフとなったことでは、一時はストップロス (SL / Stop Loss) などを巻き込んだ円相場でのドル急落を見せるなどの荒い値動きとなった。

しかし、深夜24時には最新米国経済指標の10月の米国雇用動態調査(JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey)求人件数が発表され、前回の744.3万件は前回737.2万件に下方修正されたものの、市場予想の747.5万件を上回る774.4万件に上昇したことを受けては、米国ニューヨーク債券市場では米国債券価格上昇後の米国債の利益確定売りが入り、米国長期金利が反発上昇して下げ幅を失くし、午前1時15分頃には一時4.222%付近に戻したため、円相場でもドルが反発して下げ幅を縮小し始めたが、前回分が下方修正されたことなどでは、市場では次回の米国小幅利下げ予想が優勢さを保っていたことでは日米金利差縮小予想の影響もあり、午前1時28分頃のドルの円相場での買い戻しは149円52銭付近であった。

午前2時35分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のアドリアナ・クーグラー理事の発言があり、「米国経済は最大限の雇用と物価安定というFRBの2大責務に向けて近年大きく前進し、現在は良好な状態にある。米国労働市場は堅調を維持し、インフレ率は途中多少の起伏はあったものの、目標の2%に向けた持続可能な道筋をたどっているように見受けられる」と楽観的な姿勢を示したことでは次回の米国小幅利下げ予想値が一時上昇したが、住宅インフレの根強さなどについては、「米国インフレ鈍化の面で達成した前進を台無しにしかねないリスクや負の供給ショックが到来しないかどうかを注意深く監視していく」との慎重さも見せており、「現在の米国金融政策の設定は、FRBの2大責務を追求する中で直面する不確実性に対処する上で良い位置にある」との考えも述べていたことでは、次回の米国小幅利下げ予想が70%の市場確定値を上回る優勢さを増す中で、一部のタカ派の金利据え置き予想値も後退後も2割以上と燻り続けていた。

今朝未明に時差で先行していた欧州英国市場が終了した後の米国市場では、先日に米国共和党のドナルド・トランプ次期大統領が、日本製鉄のUSスチール買収案を阻止する意向を示したことなどから米国第一主義のアメリカ・ファーストの国内産業保護が改めて意識されたことや、テスラ大株主の実業家イーロン・マスクの米国政治関連を受けた米国株価上昇予想に続き、米国での減税や国際関税強化案などによるドル高圧のトランプ・トレードも燻りを見せていたこともドルの買い戻しや米国債売りに影響を与えたため、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び上昇し、午前6時15分頃には一時4.237%付近となったため、市場終盤のドル円は149円台後半に向けた。

ただし、今日の金利先物市場のデータを基にして米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的な有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今月12月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時73.9%付近に上昇し、市場で確定値と考えられている70%を上回り続けていたことに対し、一部のタカ派の米国金利据え置き予想値は一時26.1%付近に後退したが、前日のFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言でも、「現時点では、次回の米国利下げ支持に傾いている」としたものの、会合の時点までに今後発表される最新データ次第であることも強調していたことでは、米国市場ではイベントリスクも意識されていた。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でも国内金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) は小幅域ながらも続落したが、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と世界的なハイテク株の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は小幅ながらも続伸したことでは、米国市場終盤には米国長期金利上昇の影響もあり、低リスク通貨の円の利益確定売りとドルの買い戻しも入り、ドルは円相場での韓国リスクオフの下げ幅を回復していた。

このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円70銭付近から、円の高値でドルの安値の148円64銭付近の値幅約1円6銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は149円60銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円60銭付近と同じ横ばいレンジ圏であった。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円61銭付近の始値で、今朝の東京株式市場でプラス圏から始まった今日の日経平均株価が今朝9時5分頃に一時上昇幅を失っていたことに対するリスク回避の低リスク通貨の円買いの影響などで、今朝9時6分頃に下押ししていた一時149円52銭付近が、今日の日本市場の円の高値でドルの安値となった。

今朝のニュースでは、昨夜の一時の低リスク通貨の円相場上昇の要因となった韓国の非常戒厳令は既に正式に解除されていたこともあり、低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整のドル買いが入っていたが、続報のニュースでは韓国内では政治への不透明感は払拭できておらず不透明感が漂っていることでは、時間帯の近いアジア市場での円売りは鈍かった。

しかし、午後になると今日の世界ニュースでは、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が今月12月18 〜19 日に開催予定の日銀金融政策決定会合では、「追加利上げを見送る可能性」についての観測報道が話題になり、先日の日銀の植田和男総裁の「近づいていると言える」との発言を受けた早期の追加利上げ予想では具体的な時期を明言していなかった影響もあって先送りの可能性から日銀の早期の追加利上げ予想が後退し、その一方で今日の日本市場時間の時間外の米国債券市場でも米国長期金利が再び上昇したことから債券利回りの日米金利差の円売りドル買いの影響もあり、今日の日本市場の円相場ではドルが上昇した。

今日の昼頃には一時は前日比のマイナス圏で推移していた日経平均株価は、日銀の早期の追加利上げ予想の後退により、国内金利上昇への警戒感がやや緩和した影響もあり反発上昇し、午後にはプラス圏に転じて午後15時30分頃には3万9276円39銭の終値をつけて前日比27円53銭高で大引けし、小幅ながらも続伸した影響では日本株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整が入っていた。

夕方からの欧州市場の参入では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.25%台に向けて上昇をしたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが続き、午後16時31分頃にドルは円相場で一時150円43銭付近と、今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録し、ドル円は150円台を回復していた。

そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円38〜39銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円99銭〜150円1銭付近の前東京終値比では約39銭の円安ドル高になった。

また、その後の今夜20時17分頃の英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.258%付近に上昇したため、ドルは円相場で一時151円4銭付近にも買われている。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定とジェローム・パウエル議長を含む次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間での経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時15分に米国雇用関連の最新重要経済指標の11月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計の発表があり、今夜23時頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国リッチモンド連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁の発言予定、今夜23時45分に11月の米国サービス部門と総合の購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値、深夜24時に米国景気関連の最新重要経済指標の11月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 非製造業景況指数と、同時刻に10月の米国製造業新規受注、深夜24時30分に米国週間原油在庫、そして27時40分頃から次回のFOMC投票権を有するFRB高官達の中でも市場での注目度が高いFRBのジェローム・パウエル議長の発言予定があり、28時には米国地区連銀経済報告のベージュブックが公表される予定である。

また、世界の債券や株式とコモディティなどの市場影響や、世界の政治要因や世界情勢のニュースなどの為替相場への影響なども、世界市場では引き続き注視されており、欧米のクリスマス・ホリデーの時期に向け、世界市場の流動性の減少により、値動きが増幅された荒い値動きが出やすくなることなどにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円5〜7銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の157円47〜49付近と比べると約58銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、今日の午後の日経平均株価の続伸と日銀の早期の追加利上げ予想の後退により、昨夜の韓国ウォン安で円高ドル高後の低リスク通貨の円やドルには利益確定売りや持ち高調整が入りやすくなり、欧州ユーロや英国ポンドの買い戻しが入ったことで反発した。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0509〜1.0511ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0497〜1.0499ドル付近と比べると約0.12セントのユーロ高ドル安に反発していた。

また、今夜22時30分頃からは、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言予定なども控えている。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は190円78〜84銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の189円83〜89銭付近と比べると約95銭の円安ポンド高であった。

また、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁の発言もあったが、英国のインフレ率低下が定着すれば、今後1年で「段階的に」英国利下げをする可能性が高いと発言したが、「段階的」かつデータ次第であることも強調する慎重な姿勢を示していたことで、今夜その後の21時頃には、英国ポンドは円相場で反発上昇幅を広げ、前日比では大幅な円安ポンド高にもなっている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月4日の日本時間(JST)21時0分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の12時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。

通貨ペア JST 21:00の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.86 〜 150.87 +0.99 (円安)
ユーロ/円 158.46 〜 158.48 −0.23 (円高)
ユーロ/ドル 1.0503 〜 1.0505 +0.0006 (ドル安)
英ポンド/円 191.31 〜 191.37 +1.48 (円安)
スイスフラン/円 170.29 〜 170.35 +1.21 (円安)
豪ドル/円 96.75 〜 96.79 −0.53 (円高)

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