FXニュース:米国長期金利低下後反発
2024年12月09日東西FXニュース – 2024年12月09日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米雇用者数市場予想以上
- 米失業率は予想通り増加
- 米小幅利下げ予想値上昇
- 米FRB高官のタカ派発言
- 米消費者態度指数上振れ
- 日リスク回避から選好に
- 中景気期待の米国債売り
今日2024年12月9日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の149円69銭付近から、円の安値でドルの高値の150円38銭付近の値幅約69銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円36〜38銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の150円12〜14銭付近の前東京終値比で約24銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の先週金曜日の夜19時22分頃の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.198%付近に上昇したことを受けた債券利回りの日米金利差拡大時の金利差トレードの低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いの影響で、先週金曜日の夜19時33分頃にドルは円相場で一時150円70銭付近に上昇したが、その後の米国市場で先週金曜日の夜22時30分に最新米国重要経済指標の11月の米国雇用統計の発表イベントを控えイベントリスクがあったことでは、世界的な安全資産の米国債の買い戻しが入り米国長期金利が反落を始めたため、早期の利益確定や持ち高調整の円買いドル売りも入ったため、欧州英国市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円40銭付近の始値であった。
米国債券市場では、反落を始めていた米国長期金利が先週金曜日の夜22時23分頃の一時4.189%付近に向けた一時反発も見せたことでは、先週金曜日の夜22時18分頃にドルも円相場で一時150円57銭付近に反発し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
先週金曜日の夜22時30分に発表された米国雇用関連の最新米国重要経済指標の11月の米国雇用統計発表が発表され、11月の米国非農業部門雇用者数 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比は、米国でハリケーンやストライキの影響があった前回1.2万人が前回3.6万人に上方修正された上で市場予想の20万人を上回る22万7000人増に上昇し、11月の米国平均時給も前月比は市場予想の0.3%に対し前回と横ばいの0.4%で、前年同月比も市場予想の3.9%に対し前回と同じ4.0%と市場予想を上回ったが、しかし11月の米国失業率が市場予想通りに4.2%と前回の4.1%よりも軟化したことを受けては、次回12月17~18日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国小幅利下げ予想値が市場で確定値と考えられている70%付近を大幅に超えて上昇したため、日米金利差縮小予想の影響により米国長期金利が急落し、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが勢いを増して円相場が上昇し、米国長期金利は先週金曜日の夜23時32分頃には一時4.133%付近に向け大幅に低下し、先週金曜日の夜23時31分頃にドルは円相場で一時149円36銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
金利先物市場のデータを基にして米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時86.0%付近に上昇した一方で、一部のタカ派の米国金利据え置き予想値は一時14.0%付近に後退していた。
ただし、先週金曜日の夜23時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の中でもタカ派で知られるミシェル・ボウマン理事の発言があり、米国ミズーリ州銀行協会のイベントの講演で、米国の基調的なインフレ率は依然として目標の2%を「不快なほど上回っている」と指摘し、物価上昇に対するインフレの上振れリスクは「顕著」であることから、現時点では歴史的に見れば米国雇用市場はなお堅調であるとの見解から、インフレリスクの方をより懸念し、「米国インフレは高止まりしており、米国追加利下げは、慎重かつ漸進的に進めたい」とタカ派発言が話題になり始めたことでは、次回の米国小幅利下げ予想値は一時85.1%付近にやや反落し、一部のタカ派の次回の米国金利据え置き予想値が一時14.9%付近に反発したことでは、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も低下幅を縮め始めたため、市場高値後の円には利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めた。
続いて、深夜24時に発表された米国最新経済指標の12月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値も、前回の71.8と市場予想の73.0を上回る74.0に上昇したことでも、ドルの買い戻しが入り、ドルは円相場で150円台に向けて下げ幅を縮小した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が一時上昇後の反落を見せて大幅続落に向けたことでは安全資産の米国債買いによる米国債券価格上昇に伴う利回り低下後の影響はやや続いていたが、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) は小幅高に向けており、世界的なハイテク企業株の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は大幅高に向けていたことでは、米国ニューヨーク債券市場では午前1時12分頃には米国長期金利が一時4.179%付近に反発して下げ幅を縮めたため、午前1時11分頃にはドルも円相場で一時150円11銭付近に買い戻された。
午前2時頃からは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド連邦準備銀行のベス・ハマック総裁の発言もあり、「米国利下げペースを緩める時期に近づいているか、既にその時期になっている」とのタカ派寄りの発言内容があったことも市場で話題になり、午前4時20分頃にはドルは円相場で一時150円13銭付近に下げ幅を縮めていた。
しかし、世界情勢のニュースでは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、来年2025年後半にも同盟国のベラルーシ領土にロシア製新型中距離弾道ミサイル(IRBM / Intermediate-Range Ballistic Missile)のオレシュニク (ロシア語:Орешник / 英語:Oreshnik) を配備する可能性があると発表したニュースがあり、地政学リスクの高まりによる世界的な安全資産の米国債買いも入った影響では、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が終値時点に一時4.153%付近と前営業日比で-0.015低下して引けたため、ドルも円相場で小幅ながらも円高ドル安のニューヨーク終値に向けていた。
このため、先週金曜日の夜22時頃から先週土曜日の朝6時55分頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円57銭付近から、円の高値でドルの安値の149円36銭付近の値幅約1円21銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のニューヨーク終値のドル円は150円0銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円10銭付近と比較すると約10銭の円高ドル安をつけて週末を迎えていた。
週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時50分には、日本の最新重要経済指標の7〜9月第3四半期日本実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値が発表され、前期比は前回と市場予想の0.2%を上回る0.3%に上方修正され、年率換算も前回と市場予想の0.9%を上回る1.2%に上方修正されたほか、同時発表の10月日本国際収支の貿易収支も前回の−3152億円と市場予想の−2950億円よりも堅調な−1557億円に赤字額が減少したことなどを受けては、堅調な日本経済指標による主要通貨に対する円買いが入り、対ドルの円相場が上昇したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円89銭付近の始値で、今朝9時42分頃に対ドル円相場は一時149円69銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今朝の日本市場と時間帯の近いアジア市場では、韓国で先日の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳の発令と解除以降は政治懸念が燻っており、韓国株式市場が下落していたことからリスク回避のリスクオフ (Risk-off) が他のアジア株や日本株に一時波及し、今朝の東京株式市場では一時上昇して始まっていた日経平均株価が、今朝9時40分頃に一時急落してマイナス圏に転じた時間があったことから、今朝のこの時間には日本市場でも、株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円買いが一時強まっていた。
しかし、今朝の堅調な日本の経済指標を受けて、今日の日経平均株価は反発し、再びプラス圏に戻したことでは、リスク選好のリスクオン (Risk-on) に転じ始め、国内第一安全資産の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整の影響もあり、ドルは円相場で反発した。
また、来週の12月17~18日に開催される米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の米国小幅利下げ予想値が上昇したことにより、それに続く、来週12月18〜19日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合では、日銀が今月の早期の追加利上げを見送る可能性が市場で意識されていたことも、円の利益確定売りとドルの買い戻しの一因となった。
さらに、今日の日本市場の時間外の米国債券市場では、世界的な安全資産でもある米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.138%付近にまで低下した後には反発し、午後15時30分頃に今日の日経平均株価がプラス圏の3万9160円50銭の終値をつけて前営業日比69円33銭高の小幅高で大引けした日本株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響や、中国共産党が中国金融政策を2011年以来の「適度に緩和的」に変更したことを受けた中国景気への期待感などから香港株が急伸したリスク選好のリスクオンの波及もあり、中国を主要取引先に持つ欧州市場の夕方の参入でも世界的な安全資産の米国債売りによる米国債券価格低下時の利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、ロンドン外国為替市場参入時の今夜17時の東京終値時点の一時4.152%付近に向けたため、債券利回りの日米金利差拡大時の金利差売買の円売りドル買いが優勢で、今夜17時の東京終値直前の17時0分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時150円38銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円36〜38銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の150円12〜14銭付近の前東京終値比では約24銭の円安ドル高になった。
また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今日の午後の世界的な安全資産の米国債売りによる米国債券価格低下時の利回り上昇が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、今夜17時55分頃の一時4.170%付近に向けて上昇したため、今夜17時35分と39分頃にドルは円相場で一時150円52銭付近にも買われていた。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜24時に10月の米国卸売売上高の発表予定があるが、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控え、今週から米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は発言自粛期間のブラックアウト期間 (Black out period) に入るため、公式な発言予定は特に入っていない。
また、世界の債券や株式とコモディティ市場などや、世界の政治要因や世界情勢などの最新ニュースなどの為替相場への影響などは引き続き注視されており、来週の日米金融政策会合後には、今月12月は欧米のクリスマス・ホリデー・シーズンの冬休み時期にあたることから、世界市場の流動性の減少傾向により平常時よりも値動きが増幅された荒い値動きが出やすくなる場合があることなどにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円87〜89銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の158円86〜88銭付近と比べるとやや横ばいに近い約1銭の僅差の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日本市場では、今朝のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いから、午後のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りに転じた影響があり、リスク市場に弱いと考えられている欧州ユーロや英国ポンドが円相場で買い戻されていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は191円89〜95銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の191円60〜66銭付近と比べると約29銭の円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0564〜1.0566ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0581〜1.0582ドル付近と比べると約0.17セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、先週末にロシアがベラルーシに新型ミサイルを配置する可能性などからウクライナ情勢を受けては地政学リスク回避も燻っており、欧州ユーロに対して世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルが、今夕の米国長期金利の反発の影響もあって買い戻されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月9日の日本時間(JST)19時7分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の10時7分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 19:07の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.44 〜 150.45 | +0.32 (円安) |
ユーロ/円 | 159.05 〜 159.06 | +0.19 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0571 〜 1.0573 | −0.0010 (ドル高) |
英ポンド/円 | 192.14 〜 192.20 | +0.54 (円安) |
スイスフラン/円 | 171.03 〜 171.09 | +0.19 (円安) |
豪ドル/円 | 96.90 〜 96.94 | +0.39 (円安) |
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