FXニュース:米長期金利上昇4.24%台
2024年12月11日東西FXニュース – 2024年12月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米消費者物価指数を控え
- 日銀の利上げ見送り予想
- 米主要株価三指数は続落
- 日経平均株価は小幅続伸
- 米関税向け中元安容認か
- 明日は欧ECB理事会開催
今日2024年12月11日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の151円87銭付近から、円の高値でドルの安値の151円41銭付近の値幅約46銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円63〜64銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の151円58銭付近の前東京終値比では約5銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜17時15分頃の英国ロンドン外国為替市場では、時間外の米国債券市場で世界的な安全資産の米国債売りが続いたことで、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.218%付近に上昇を続けており、この時間のドルは円相場で一時151円78銭付近と、昨日の日本市場での円の安値でドルの高値を更新していた。
前日から中国共産党が2025年の中国の経済政策と金融政策について「より積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を実施していく」との方針を示したファンダメンタル・ニュースを受けて、欧州を主要取引先に持つ欧州市場などで中国景気刺激策への期待感が高まり、これまでに対中米国関税強化案などにより高まっていた中国景気懸念がやや緩和したため、以前のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で買われた世界的な安全資産の米国長期債がリスク選好のリスクオン (Risk-on) に転じたことで持ち高調整で売られたほか、低リスク通貨の円も売られていたところに、米国債売りの影響で米国債券価格低下時の利回り上昇が続き、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差拡大時の低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いが主要通貨に対しても優勢になり、外貨波及でも円相場が下落した。
また、今夜この後には米国インフレ関連の最新米国重要経済指標である11月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えており、昨夕の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場時間には、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールで、来週12月17〜18日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時85.8%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超え続けていたものの、米国インフレへの警戒感などから一部のタカ派の米国金利据え置き予想値も一時14.2%付近と依然として燻っていたことなども米国長期金利の上昇に影響を与えていた。
その欧州英国市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場も一時151円78銭付近の始値で、この時間には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.245%付近と更なる上昇を続けていた。
しかし、米国市場では昨夜22時30分に最新米国経済指標の発表があり、米国労働省の7〜9月第3四半期の米国非農業部門労働生産性の年率換算の前期比の改定値は前回と市場予想通りの2.2%上昇であったものの、前年同期比は前回の速報値の3.4%増から2.2%に下方改定され、生産単位あたりの報酬を示す米国単位労働コスト (Cost / 費用) の改定値も前回の速報値の1.9%と市場予想の1.5%を下回る年率0.8%増に下方改定されたことを受けては、労働コスト上昇率の鈍化は賃金インフレ圧の鈍化予想に繋がるため、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国小幅利下げ予想が優勢さを保ち、昨夜22時31分にドルは円相場で一時151円52銭付近と、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、米国長期金利も深夜24時までに一時4.224%付近まで上昇幅を縮めた。
ただし、最近の米国インフレ鈍化には根強さが見られていたことや、米国関税強化案などに伴う米国インフレ再燃への警戒感も世界市場では燻っていたことからは、今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控えたイベント前の持ち高調整の米国債売りが続き、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が反発し、深夜24時50分には一時4.247%付近と更なる上昇を見せたため、来週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合では今月の早期の追加利上げが見送られる可能性が市場で意識されていた影響もあり、債券利回りを受けた日米金利差拡大の円売りドル買いと、来年1月からのドナルド・トランプ政権の政策予想では米国利下げペース鈍化予想も出ていたこともあり、当面の間は日米金利差が広がった状態が続く可能性などからドルは円相場で再び上昇し、午前1時7分頃には一時152円18銭付近と152円台の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利の上昇を受けた企業貸付ローン金利などへの警戒感からは、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が連日で大幅続落し、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と世界的なハイテク企業株の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も小幅ながらも続落の終値に向けたため、米国主要株価三指数が揃って下落したことへのリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円買いの抵抗も入り、一時152円台の市場高値後のドルは今夜この後のイベントリスクもあって早期の利益確定売りや持ち高調整などにより151円台後半へと戻し始めた。
米国ニューヨーク債券市場でも、午前3時に米国3年債の入札があったため、米国債売りのトレンドの中でも、米国債の買い戻しが混ざった時間があったことは、他の年度の米国債にも影響が波及し、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利も午前5時35分頃までに一時4.223%付近に上昇幅を縮めていた時間があった。
とはいえ、世界的な米国債売りのトレンドは優勢であったため、今朝早朝のニューヨーク終値時点には、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.225%付近と前日より上昇していたため、ドル円は債券市場の日米金利差拡大時の円安ドル高の終値に向けた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円52銭付近から、円の安値でドルの高値の152円18銭付近の値幅約66銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は151円95銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円21銭付近と比較すると約74銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時50分のアジア・オセアニア市場時間には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の発表があり、10〜12月の第4四半期の日本法人企業景気予測調査の大企業全産業業況判断指数 (BSI / Business Survey Index) は、前回の5.1から5.7に上昇し、大企業製造業業況判断指数 (BSI) も、前回の4.5から6.3に上昇したことでは、堅調な日本企業の景況感を受けた円の買い戻しが入り始めた。
また、同時発表だった11月の日本国内企業物価指数は、前月比が前回0.2%から前回0.3%に上方修正されたほか、市場予想の0.2%を上回る0.3%で、前年同月比も前回3.4%が前回3.6%に上方修正された上で、市場予想の3.4%を上回る3.7%に上昇したため、これらの最新日本経済指標を受けた円の買い戻しが続いた。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円84銭付近の始値で、その直後の今朝9時1分頃に記録した一時151円87銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、今日の日本市場では対ドルの円相場が今朝までの下げ幅を一時縮小し、正午12時3分頃にはドルは円相場で一時151円41銭付近と今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
今日の東京株式市場では、日銀 (BoJ) の今月の追加利上げ見送りの可能性はあるものの、来週の日銀金融政策決定会合のイベントを控えた利益確定売りや持ち高調整の影響では、今日の日経平均株価が反落し、前日比でマイナス圏の推移を見せていた時間があったことも、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われた一因となったが、市場終盤には株の買い戻しも入りプラス圏に転じたことでは、午後15時30分に今日の日経平均株価は3万9372円23銭の終値をつけ、前日比4円65銭高の小幅高で大引けしたことでは、小幅ながらも連日での日経平均の続伸となったため、リスク選好のリスクオンに転じたことでは、午後16時2分頃にはドルは円相場で一時151円79銭付近に反発していた。
今日の日本市場の時間外の米国債券取引では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.243%付近で高止まりを見せている時間が長かったが、夕方には一部報道が関係筋情報のリークとして、「中国の政策当局は、トランプ次期米国大統領による通商関税引き上げに備え、2025年には中国人民元安を容認することを検討している」とのニュースが話題になり、オフショアの中国人民元 (CNH) が一時急落したため、中国を主要貿易先に持ちリスク市場にも弱い欧州ユーロや豪ドル売りが入った一方で、世界的に流動性が高いことから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルや主要通貨に対する低リスク通貨の円が買われたが、世界的な安全資産である米国債にも買い戻しが入り、夕方に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.228%付近まで下押しした時間があったことでは、対ドルの円相場も午後16時36分頃には一時151円42銭付近に反発した時間があった。
夕方の欧州市場に続き、今夜17時の東京終値の頃から本格化した英国ロンドン外国為替市場の参入では、再び今夜この後のイベントを控えた持ち高調整の米国債売りが再開したことでは、ドルも円相場で再び反発を見せていたことから、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円63〜64銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円58銭付近の前東京終値比では約5銭の円安ドル高になった。
また、その後の今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、来週の12月18〜19日に開催予定の日銀金融政策決定会合についての一部報道の観測記事が話題になり、「日本の国内消費者物価上昇に加速感が見られず、追加利上げを急ぐ状況にはないと日銀は認識している」と報じたことを受けて、市場で可能性として意識されていた来週の日銀追加利上げ見送り予想が高まったことから、記事では日銀が追加利上げ方向を維持していることにも言及していたことからは、今夜18時11分頃には対ドルの円相場は瞬時に150円99銭付近に上昇後から大幅な反落を始め、今夜19時10分頃には日米金利差予想を受けた低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いでドルは円相場で一時152円79銭付近に上昇した。
ただし、今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントのイベントリスクはやや抵抗になっている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と米国債の入札予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に最新米国重要インフレ指標の11月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベント時間があり、続いて深夜24時30分に米国週間原油在庫、27時には米国10年債の入札予定、28時に11月の米国月次財政収支などを控えている。
なお、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控え、今週は米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言自粛のブラックアウト期間 (Black out period) にあたるため、事前収録以外では特に公式な発言予定は入っていないが、世界の債券や株式とコモディティ市場などの影響や、世界政治や世界情勢などの最新ニュースなどの為替相場への影響などは注視されており、来週の日米金融政策会合後には12月の欧米のクリスマス・ホリデー・シーズンの冬休み時期を控えることから、世界市場全体の流動性の低下傾向により通常よりも増幅された荒い値動きが出やすくなる時期があることなどには、引き続き注意が必要である。
また、今夜23時45分には北米カナダの中央銀行制度にあたるカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) の新政策金利と声明の発表なども控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は159円11〜12銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の159円89〜90銭付近と比べると約78銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の東京終値前の夕方の欧州市場の参入時には、先述のオフショア中国人民元 (CNH) の一時急落を受けて中国を主要取引先に持つ欧州ユーロがリスク回避のリスクオフで売られた一方で、低リスク通貨の円や世界的に流動性が高いドルが買われた値動きが為替相場に影響を及ぼしていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0492〜1.0494ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0549〜1.0550ドル付近と比べると約0.57セントのユーロ安ドル高であった。
また、明日の夜17時30分のスイス国立銀行の新政策金利発表イベントに続き、明日12月12日の夜22時15には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会による欧州新政策金利発表と明日の夜22時45分頃からクリスティーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見での発言予定があるが、市場では欧州追加利下げ予想が優勢であることも欧州ユーロの為替相場に影響を与え続けており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の上昇時には低リスク通貨の円だけでなく、欧州ユーロに対してもドルが買われやすかった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は193円10〜16銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の193円15〜21銭付近と比べると約5銭の小幅な円高ドル安であった。
主な要因は、東京終値時点の夕方には、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドに対しても、今日の日本市場時間のオフショア中国元の急落を受けたリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円が買われていたが、今夜その後の18時台の一部の観測報道では今月の日銀の追加利上げ見送り予想が高まり、ドルなどの主要通貨に対して円が売られたため、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、小幅域だった英国ポンドだけでなく欧州ユーロに対しても円安ポンド高や円安ユーロ高への市場反転を見せている。
また、英国増税案に対する企業負担を価格転嫁する市場予想により、来週12月19日に次回の開催が予定されている英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) での英国追加利下げ予想には金利据え置き予想や鈍化予想が出ていることから、今月の日銀の追加利上げ見送り予想や追加利上げを急がない姿勢を受けては、今夜20時台には英国ポンドは円相場での上昇幅を大幅域にも広げている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月11日の日本時間(JST)20時34分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時34分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 20:34の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.57 〜 152.59 | +0.99 (円安) |
ユーロ/円 | 160.18 〜 160.20 | +0.29 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0497 〜 1.0499 | −0.0052 (ドル高) |
英ポンド/円 | 194.23 〜 194.29 | +1.08 (円安) |
スイスフラン/円 | 172.68 〜 172.74 | +0.25 (円安) |
豪ドル/円 | 96.84 〜 96.88 | +0.10 (円安) |
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