FXニュース:日銀が追加利上げ見送り
2024年12月19日東西FXニュース – 2024年12月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRBタカ派小幅利下げ
- 米金利見通しが上方修正
- 米パウエル議長「慎重に」
- 米長期金利上昇4.5%台
- 米主要株価三指数大幅安
- 日銀総裁「春闘情報必要」
- 英BoE政策金利据え置き
今日2024年12月19日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の154円46銭付近から、円の安値でドルの高値の156円77銭付近の値幅約2円31銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円53〜54銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の153円58〜59銭付近の前東京終値比で約2円95銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時153円82銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の7〜9月第3四半期の米国経常収支で前回-2668億ドルが前回-2750億ドルの赤字に下方修正されたほか、市場予想の-2840億ドルを下回る-3109億ドルに下振れし、同時発表だった11月の米国住宅着工件数もの年率換算件数では前回の131.1万件は前回131.2万件に上方修正されたものの市場予想の134.5万件以下の128.9万件に下振れし、前月比は前回の-3.1%と前回下方修正の-3.2%と市場予想の2.6%に反し-1.8%とマイナス圏に留まり、11月の米国建設許可件数は年率換算件数が前回の-0.6%が前回-0.4%に上方修正された上で市場予想の143.0万件を上回る150.5万件に上昇し、前月比は前回マイナス圏だった-0.6%が前回-0.4%に上方修正後に市場予想の1.0%を上回る6.1%に上振れするなどやや強弱が入り混じったが、この時点では今朝未明の午前4時に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 開催後の米国政策金利と金融政策の発表のイベントを控えている時間であったことでは、イベントリスク回避の持ち高調整が進み、深夜24時3分頃にドルは円相場で一時153円68銭付近と、昨夜の米国市場での円の高値でドルの安値を記録していた。
しかし、午前4時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee)終了時の米国政策金利の発表があり、市場予想で確定値超えの優勢さを見せていた通り、0.25%の米国追加小幅利下げが決定し、これまでは4.50〜4.75%だった米国政策金利誘導目標のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートを4.25〜4.50%に変更したが、声明文では全員一致の投票ではなく元金融系のゴールドマンサックス出身で知られる米国クリーブランド連邦準備銀行のベス・ハマック総裁がタカ派の金利据え置きの反対票を出した多数決決定であったほか、市場で来年の米国利下げペース鈍化予想が出ていた以上に、同時発表の米国政策金と経済見通し (SEP / Summary of Economic Projections) のドットプロット / ドットチャート (Dot plot / dot chart) は上方修正され、来年2025年の米国追加利下げ予想回数が前回9月の4回に対し2回に半減しており、市場予想以上の米国利下げペース鈍化予想では2〜3回予想が優勢であったため、市場予想以上にタカ派寄りの米国小幅利下げであったことから、日米金利差予想によりドルは円相場で154円台に上昇したほか、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対してもドルが一時全面高となった。
午前4時30分頃から、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見での要人発言が始まったが、来年1月の第二次ドナルド・トランプ政権の政策案導入を前にした不透明性への警戒感や、FRBの二大責務である米国雇用最大化と価格安定化のインフレ抑制のリスクバランスがある中で、今後の米国追加利下げに慎重なタカ派寄りの発言が見られ、「今回の米国追加利下げ決定は、ぎりぎりの判断」であったことや、「追加調整を検討する上で、今後はより慎重に進める可能性」などに言及し、また「米国政策金利は、中立水準にかなり近づいた」と目標のターミナルレートの上方修正について示唆したことや、「金利調整プロセスの新たな段階」と話し、市場予想以上の米国政策金利の先高観が意識され、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国政策金利が午前6時40分頃の一時4.522%付近に向けた大幅な急伸を始めたことから、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードでも円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いが勢いを増し、記者会見終了後の午前6時58分頃にドルは円相場で一時154円86銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の先高観への警戒感などから、米国主要株価三指数が揃って大幅に下落し、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が10営業日連続の続落となり、11営業日続落した1974年10月以来と言われる歴史的な最長記録に迫り、前日比1123ドル3セント安と-2.58%の大幅安の終値となったことに加えて、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) も前日比178ドル45セント安の-2.94%の大幅安の終値になり、世界的なハイテク企業の多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日の反落に続いての大幅続落の終値で、前日比716ドル37セント安の-3.56%の大幅安になったため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による低リスク通貨の円買いはやや抵抗になったものの、世界的な安全資産の米国債の買い戻し幅は米国政策金利の先高観の中では限られていたため、米国債券市場では今朝7時頃のニューヨーク終値時点の米国長期金利も一時4.519%付近と、4.5%台の高利回りを維持しており、日米金利差を受けた円安ドル高が進行した。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の153円68銭付近から、円の安値でドルの高値の154円86銭付近の値幅約1円18銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は154円86銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の153円46銭付近と比較すると約1円34銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時154円66銭付近であったが、今朝の円安ドル高を受けた日本国内の輸出企業の円買いドル売りも先行したほか、今日の正午前頃に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合の日本の政策金利と金融政策の発表イベントを控えていた午前中には、イベントリスク回避の持ち高調整で国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しが入ったことや、今朝早朝の米国主要株価三指数の大幅下落の影響が米国を主要取引先に持つ日本企業の株売りにも波及し、今朝の東京株式市場では今日の日経平均株価も大幅下落を見せて始まったことから、日米株価リスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円需要もあったことでは、今朝11時28分頃には対ドル円相場は一時154円46銭付近と今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録していた。
しかし、今日の正午前の午前11時52分頃に、日銀金融政策決定会合が終了し、市場予想で優勢であった通りではあるが今月の日銀の早期の追加利上げ見送りを決定し、日本の政策金利を現状の0.25%程度で据え置きすることを発表したことから、市場の一部で燻っていた早期の追加利上げ予想で買われていた円が主要通貨に対して売られて反落し、発表直後の午前11時53分頃にはドルは円相場で一時155円27銭付近と155円台に急伸し、来年の米国利下げペース鈍化予想の影響などで今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が4.5%台の高利回りの推移を続けていた日米金利差の影響も相まって、正午12時20分頃にはドルは円相場で一時155円43付近と更に上昇していた。
午後15時30分頃から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の記者会見での要人発言が始まるイベントリスクもあり、午後15時30分頃に日経平均株価が3万8813円5銭の終値をつけ、前日比268円13銭安の大幅安で大引けしたことでは、リスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円の買い戻しの一時抵抗が混ざったことでは、午前15時33分頃に対ドルの円相場は一時154円93銭付近にまで反発したが、記者会見での挨拶と前置き後に始まった植田和男総裁の記者会見での発言では今後の日銀の追加利上げには慎重な姿勢が見られ、今後の金融政策について「来年の春闘などの情報も必要」と発言したため、来年1月の次回の日銀金融政策決定会合での早期の日銀利上げ予想が後退し、また「輸入物価の対前年比は落ち着いている」と円安に対する警戒感が緩和されていたことなどから、タカ派発言がなかったことや利上げを急がない慎重なハト派寄りの姿勢が観測されたことなどから、来年の米国利下げペース鈍化予想の影響も続き、当面の間の日米金利差予想から円売りドル買いの勢いが増してドルは円相場で156円台に上昇し、発言終了後の午後16時33分頃には、夕方からの欧州市場の参入でもトレンドが継続したため、対ドル円相場は一時156円77銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円53〜54銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の153円58〜59銭付近の前東京終値比で約2円95銭の大幅な円安ドル高であった。
なお、今夜17時30分頃には北欧スウェーデンの中央銀行にあたるスウェーデン国立銀行リスクバンク (Sveriges Riksbank) が政策金利を0.25%利下げしたが、今夜18時にはノルウェーの中央銀行にあたるノルウェー銀行ノルゲバンク (Norges Bank) が政策金利を4.50%で据え置きしたが、来年3月には利下げを開始する見通しを示していた。
また、今夜17時の東京終値の頃から参入を始めた英国ロンドン外国為替市場では、来年の米国利下げペース鈍化予想などの影響を受けて、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が今夜18時27分頃の一時4.545%付近に向けた更なる上昇を見せたため、主要通貨に対するドル買いの影響が続き、今夜18時6分頃にはドルは円相場で一時157円14銭付近と、157円台への上昇も見せているが、今夜21時には英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) による英国政策金利と金融政策の発表イベントも控えている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定もあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に7~9月第3四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の確報値と同四半期の米国GDP個人消費の確報値と、同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures) と、同時刻に12月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数と前週分の米国新規失業保険申請件数および米国失業保険継続受給者数が発表され、深夜24時には11月の米国景気先行指標総合指数と11月の米国中古住宅販売件数と、30時に10月の米国対米証券投資などを控えている。
また、世界の債券市場や株式とコモディティ市場などの為替相場への影響や、世界政治や世界情勢などの最新ニュースなどの影響も注視され、欧米のクリスマス・ホリデー・シーズンの本格化による世界市場の流動性の減少傾向により、通常よりも増幅された荒い値動きが出やすくなる時期があることなどにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円65銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時は161円21〜22銭付近と比べると約1円44銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の正午前に日銀金融政策決定会合が追加利上げを見送り、植田和男総裁の発言にも追加利上げを急がない慎重な姿勢が見られたことから、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても低金利通貨の円売りが優勢であった。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は197円33〜39銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の194円89〜95銭付近と比べると約2円44銭の大幅な円安ポンド高であった。
また、今日の東京終値の17時頃から本格参入が始まった英国ロンドン外国為替市場では、今夜21時の英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) が英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の結果発表を控えており、市場予想では4.75%の英国政策金利の据え置き予想が優勢であったことも、日英金利差予想に影響を及ぼしていた。
なお、追記として、今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) が英国政策金利を発表し、市場予想通りこれまでの4.75%で英国政策金利を据え置きすることを発表した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0394〜1.0395ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0495〜1.0497ドル付近と比べると約1.00セントの大幅なユーロ安ドル高であった。
主な要因は、市場予想以上の来年の米国利下げペース鈍化への見通しが出てきたことから、来年の欧州追加利下げ継続予想が優勢である欧米金利差予想による欧州ユーロ売りドル買いが入る中で、米国長期金利上昇に伴う対円などの主要通貨に対する今日のドル高の外貨影響の波及も観測されたことから大幅域になっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月19日の日本時間(JST)20時43分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時43分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 20:43の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 156.81 〜 156.82 | +3.23 (円安) |
ユーロ/円 | 163.17 〜 163.19 | +1.96 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0404 〜 1.0406 | −0.0091 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.11 〜 198.17 | +3.22 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.05 〜 175.11 | +3.21 (円安) |
豪ドル/円 | 97.95 〜 97.99 | +1.00 (円安) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。