FXニュース:米PCEデフレーター控え
2024年12月20日東西FXニュース – 2024年12月20日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米欧英金利差予想影響
- 米長期金利一時4.591%
- 米ダウ10日続落後反発
- 日加藤財務相が円安牽制
- 米トランプが欧関税発言
今日2024年12月20日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の157円92銭付近から、円の高値でドルの安値の156円76銭付近の値幅約1円16銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円81〜83銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の156円53〜54銭付近の前東京終値比で約28銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日の正午前に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合が追加利上げ見送りを決定したことに続き、午後の記者会見で植田和男総裁が来年の春闘の様子見を示唆した発言をするなど、追加利上げを急がない慎重なハト派寄りの姿勢を示したことから、市場では日銀の次回1月の日銀金融政策決定会合での早期の追加利上げ予想が後退し、主要通貨に対する円売りが進み、大幅な円安ドル高が進行していた。
さらに、前日付けの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では、米国政策金利と経済見通し (SEP / Summary of Economic Projections) のドットプロット / ドットチャート (Dot plot / dot chart) の来年度2025年の米国追加利下げ予想回数が前回9月時点の4回から2回に半減したことから、タカ派寄りの米国利下げペース鈍化予想が優勢となり、米国政策金利の先高観が意識されたため、昨夜の18時27分頃の時間外の米国債券取引では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.545%付近に上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードの低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いが続き、昨夜18時6分頃と18時56分頃にドルは円相場で一時157円14銭付近と157円台への上昇を見せていた。
英国ロンドン外国為替市場では、昨夜21時には英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) による英国政策金利と金融政策の発表し、市場予想で優勢であった通り、英国政策金利を現状の4.75%に据え置きしたが、投票権を持つ9人の委員のうち3人が英国追加利下げを支持する反対票を投じた後の多数決による決定であったことが明らかになり、市場予想では英国利下げ支持者は1人程度と考えられていたことから、市場予想よりもハト派寄りの英国利下げ見送りによる金利維持であった可能性が意識され、来年2月の次回のMPCでは英国追加利下げの可能性が出てきたことで、一時は米国長期金利と同じく4.5%台の高利回りに上昇していた英国長期金利が反落を始めた影響では、利回り低下時の英国債券価格上昇を受けた債券買いが欧米国債にも波及した時間があったことでは、米国長期金利も一時上昇幅を縮めた時間があったため、ドル円にも利益確定と持ち高調整の抵抗が入ったことでは、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円94銭付近の始値であった。
昨夜22時30分の米国市場では最新米国経済指標の発表が複数あり、7~9月の第3四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の確定値は、前期比年率が前回と市場予想の2.8%を上回る3.1%に上方修正されたほか、同四半期の米国GDP個人消費の確定値も前期比年率が前回の3.5%と市場予想の3.6%を超える3.7%に上方修正され、同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) に確定値も、前期比年率が前回と市場予想の2.1%以上の2.2%に上方修正されたことでは、発表の瞬間にドルは円相場で再び一時157円台に乗せ始め、昨夜22時35〜36分頃にかけて一時157円5銭付近に再上昇していた。
同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数も、前回の24.2万件と市場予想の23.0万件よりも堅調な22.0万件に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の188.6万人が前回187.9万人に修正されたことに加えて、市場予想の189.0万人に対し187.4万人と米国雇用市場の強さを見せていた。
ただし、同じく発表されていた12月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が、前回の−5.5と市場予想の3.0を大幅に下回るマイナス圏の−16.4に下振れしたことを受けては、安全資産の米国債の買い戻しの影響もあり、昨夜22時40分頃にドルは円相場で一時156円39銭付近と米国市場の円の高値とドルの安値を記録した。
しかし、日米金利差予想の影響も続いていたことでは、米国長期金利が再び上昇したため、再び円相場でドルが買われたことに加えて、続いて深夜24時に発表された最新米国経済指標の11月の米国景気先行指標総合指数の前月比は前回マイナス圏だった−0.4%と市場予想の−0.1%に対しプラス圏の0.3%に上昇しており、同時発表の11月の米国中古住宅販売件数も、年率換算件数が前回の396万件と市場予想の409万件を上回る415万件に上昇し、前月比でも前回の3.4%と市場予想の3.2%を上振れする4.8%と、前回と市場予想以上に堅調な米国景気を示したことも安全資産の米国債売りによる債券価格低下時の利回り上昇に繋がり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び上昇に向け、債券利回りの日米金利差拡大を受けたドルも円相場で再び更なる上昇に向け、午前1時12分頃には一時157円80銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午前3時35分頃の米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の上昇は一時4.591%付近と、およそ7カ月ぶりの高水準を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、前日の米国主要株価三指数の大幅安の後の米国株の買い戻しが先行した影響では、市場前半には米国主要株価三指数が揃って反発を見せており米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) も10営業日続落後の11営業日目の反発を見せていたが、この市場後半の米国長期金利上昇を受けた早期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたことでは上昇幅を縮小して小幅高の終値に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は反発後の利益確定や持ち高調整の抵抗が強かったことでは反落して小幅安の終値に向けたことでは、安全資産の米国債の買い戻しの抵抗も入ったことでは、ニューヨーク終値時点には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.575%付近と一時の上昇幅を縮小したことでは、低リスク通貨の円買いの抵抗もやや入ったが、日米欧英金利差予想を受けた大幅な円安ドル高が進行後であったことでは、利益確定や持ち高調整の抵抗を交えながらもドルは円相場で157円台中盤付近に留まっていた。
そのため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円39銭付近から、円の安値でドルの高値の157円80銭付近の値幅約1円41銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は157円44銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円80銭付近と比較すると約2円64銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時30分には、日本のインフレ関連の最新重要経済指標の発表があり、11月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は、前年同月比が前回の2.3%に対し市場予想通りの2.9%で、天候条件などで価格変動の激しい生鮮食料品除く物価基調のコアCPIの前年同月比は前回の2.3%と市場予想の2.6%を上回る2.7%であったが、生鮮食料品とエネルギーを除くコアコアCPIは前回の2.3%に対し市場予想通りの2.4%であった。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円64銭付近の始値であったが、日米欧英金利差予想を受けた主要通貨に対する円安トレンドの影響に加えて、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けて、今日が20日で5と10が付く日本の貿易企業の決済日が集中しやすい五十日 (ごとおび / ゴトーび) であったことから日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢になったため、今朝9時11分頃にドルは円相場で一時157円92銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今朝9時55分の仲値決済の時間を過ぎると、157円台後半の高値圏のドルの利益確定売りや持ち高調整の円の買い戻しが入り始めたほか、国内輸出企業の円買いドル売りも入ったところに、日本政府の閣議後の会見で加藤勝信財務相が、大幅な円安ドル高が進行している為替相場について、「一方的で急激な動きが見られる。ファンダメンタルズ (Fundamentals / 経済の基礎的諸条件) を反映し、安定推移が重要」と円安牽制の発言をしたことがニュースの話題になり、市場では日本政府と日銀の為替介入への警戒感が燻り始めたことや、今日の東京株式市場で今朝は一時上昇していた日経平均株価が反落してマイナス圏に転じ始めたことでも、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が主要通貨に対して買い戻されたため円相場が反発し、157円台から156円台に向け、下げ幅を縮小し始めた。
今日の午後15時30分頃には、反落後の日経平均株価は3万8701円90銭の終値をつけ、前日比111円68銭安の大幅安で大引けし、株価リスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが為替相場に影響を及ぼし、対ドルの円相場は今朝の大幅な円安ドル高での下げ幅を縮小していた。
今日の午後には、米国のトランプ次期大統領が、自身が運営するソーシャルメディア・プラットフォームのTruthSocial (トゥルース・ソーシャル) で、「欧州連合 (EU / European Union) に対し、米国との貿易赤字を補うために石油とガスを購入するよう要求した。そうでなければ、ずっと関税だ」と発言したニュースが話題になり、欧州ユーロが一時売られた外貨影響もあったが、今夜この後の米国市場では最新米国重要経済指標の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数の米国PCEデフレーターなどの発表イベントを控えているドルのイベントリスクがあることでは、欧州ユーロ売りでは世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルだけでなく、低リスク通貨の円も買われており、海外市場を狙った日本の為替介入への警戒感も燻っていたことでは、午後16時54〜55分頃にはドルは円相場で一時156円76銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、対ドルの円相場は今朝の一時大幅な円安ドル高進行後の下げ幅を小幅域に縮小していた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円81〜83銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円53〜54銭付近の前東京終値比では約28銭の円安ドル高になった。
今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が今夜20時過ぎの一時4.542%付近に向けて、今朝のニューヨーク終値時点から上昇幅を縮小していた影響もあり、今夜18時51分頃にドルは円相場で一時156円62銭付近にまで買われていたが、その後には主要取引通貨でもあるドルの買い戻しも入っている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官である米国サンフランシスコ連邦準備銀行のメアリー・デイリー総裁の発言予定、今夜22時30分に11月の米国個人所得と米国個人支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) と、最新米国重要経済指標の11月の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターの発表イベント、今夜22時30分頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定、深夜24時に12月の米国ミシガン大学消費者信頼感指数の確報値などを控えている。
また、世界の債券市場や株式市場およびコモディティ市場などの各市場の為替相場への影響と、世界政治や世界情勢などの最新ニュースなどの影響も注視され、欧米のクリスマス・ホリデー・シーズンの本格化による世界市場の流動性の減少傾向により、平常時よりも増幅された荒い値動きが出やすくなる時間があることなどにも引き続き注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円80〜82銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の162円65銭付近と比べて約15銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨日の日銀の追加利上げを急がない姿勢を意識した日米欧英金利差予想の影響は残っていたが、今日は為替介入への警戒感も燻り、株価リスク回避でも低リスク通貨の円の買い戻しが入っていた影響などにより、昨日に比べると今日は小幅域になっていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0381〜1.0382ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0394〜1.0395ドル付近と比べると約0.13セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、来年の米国利下げペース鈍化の見通しを受けた米国長期金利上昇時には、低金利通貨の円だけでなく、欧州ユーロや英国ポンドに対してもドルが買われて上昇しており、欧州と米国の経済指標の比較によるドル買いや、今日の夕方にはトランプ発言を受けた欧州景気懸念のユーロ売りもユーロドルの為替相場に影響を与えていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は196円8〜14銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の197円33〜39銭付近と比べると約2円1円25銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、昨夕には日銀の追加利上げ見送りと早期の追加利上げ予想の後退による大幅な円安ポンド高が進行したが、昨夜の英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) では英国利下げ見送りが決定したものの、反対票を投じていたハト派寄りの委員の数が市場予想以上出会ったことから、次回の英国追加利下げ予想が高まった影響で、上昇後の英国ポンドの利益確定売りと持ち高調整の円の買い戻しが入り、株価リスク回避による低リスク通貨の円の買い戻しと財務相の円安牽制による為替介入警戒感も燻ったことで調整が進んでいた。
さらに、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の11月の英国小売売上高が、前月比は前回の−0.7%と市場予想の0.5%に対し0.2%と、マイナス圏だった前回よりは改善したものの市場予想以下であったことに加えて、前年同月比は前回の2.4%が前回2.0%に下方修正されたほか、市場予想の0.8%を下回る0.5%に下振れしたことも英国ポンド売につながったため、前日の大幅な円安ポンド高の調整後ということで、前日比では大幅な円高ポンド安に転じた。
また、11月の英国小売売上高の自動車を除くコアは、前月比は前回マイナス圏の−0.9%と市場予想の0.0%を上回るプラス圏の0.3%であったものの、前年同月比では前回の2.0%が前回1.6%に下方修正され、市場予想の0.7%を下振れする0.1%であったことで、主要通貨に対する英国ポンド売りが起きていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月20日の日本時間(JST)21時14分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の12時14分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 21:14の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 156.73 〜 156.74 | +0.20 (円安) |
ユーロ/円 | 162.91 〜 162.93 | +0.26 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0393 〜 1.0395 | −0.0001 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.99 〜 196.05 | −1.34 (円高) |
スイスフラン/円 | 175.38 〜 175.44 | +1.21 (円安) |
豪ドル/円 | 97.64 〜 97.68 | +0.06 (円安) |
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