FXニュース:米新規失業保険申請減少
2024年12月27日東西FXニュース – 2024年12月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利一時4.643%
- 日米金利差拡大予想影響
- 日財務相の円安牽制続く
- 日経平均株価連日の続伸
- 国内長期金利一時1.11%
- 欧英市場再開で実需回復
今日2024年12月27日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の157円95銭付近から、円の高値でドルの安値の157円51銭付近の値幅約44銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円79〜80銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の157円35〜36銭付近の前東京終値比で約44銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場はドイツのクリスマス第2日 (独語:Zweiter Weihnachtsfeiertag) や英国と北欧のボクシング・デー (Boxing Day) などの祝日連休で休場していたが、時間帯の近い世界FX市場での値動きに続き、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時157円65銭付近の始値であった。
この要因には、英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク外国為替市場と日本の東京外国為替市場の世界三大市場の中でも唯一12月25日のクリスマスにも平日営業していた日本市場で、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が日本経済団体連合会審議員会で「2%物価目標の実現とわが国経済」というタイトルで講演した際のハト派寄りの要人発言の影響が昨夜のクリスマス翌日の世界市場で続いたことから、来年の米国利下げペース鈍化予想による米国政策金利の先高観で時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜21時台には一時4.634%付近に上昇し、日米金利差予想の円売りドル買いが優勢になり、昨夜の米国市場の祝日明けの再開前から米国現地のドル実需見込みもあり、主要通貨に対しドルが買われやすかったこともあり、昨夜21時41分頃からドルは円相場で一時157円66銭付近に上昇し、その後20分近くも一時157円64〜66銭付近の間の狭いレンジの高止まりを続けていたため、昨夜22時からの米国市場の始値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の下押しも、昨夜22時15分頃の一時157円60銭付近までに留まり、これが昨夜の米国市場での円の高値でドルの安値となった。
昨夜のクリスマス翌日の祝日休場明けの米国市場でも、米国市場が休場中であった12月25日の植田和男総裁の要人発言で、賃金上昇を伴う2%のインフレ目標と今後の日銀の金融政策運営についての「2つのポイント」において、ハト派寄りの第1のポイントであった「日本銀行は、2%目標の持続的・安定的な実現に向けた移行期にあたる現時点においては、景気・物価に中立的となる中立金利よりも政策金利を低くすることにより緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりとサポートしていく」ことが、タカ派寄りの第2のポイントの「経済・物価情勢の改善が続いていくのであれば、それに応じて、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが必要になる」という日銀の追加利上げ方向の維持よりも優先して述べられたことなどから、来年の春闘の賃上げデータや来年1月からの米国の第2次ドナルド・トランプ政権の政策案の様子見などの姿勢も示していたことから、日銀の早期の追加利上げ予想が後退していた。
来年2025年1月23〜24日に開催予定の次回の日銀金融政策決定会合での追加利上げ見送り予想が高まったことに対し、来年2025年1月28〜29日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の金利据え置き予想が優勢で、当面の間の日米金利差が拡大した状態が継続する可能性を意識した市場予想の影響が続いていたが、米国市場では、来年の第2次ドナルド・トランプ米国政権の政策案により米国インフレが再燃する可能性もあることから警戒感も燻り、米国政策金利の先高観から米国長期金利が上昇し、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大による円売りドル買いに影響していた。
また、昨夜22時30分の米国市場では最新米国経済指標の発表があり、前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の22.0万件と市場予想の22.3万件よりも堅調な21.9万件に改善されたことも、堅調な米国雇用市場を背景とした米国利下げペース鈍化予想に影響を与えたため、安全資産の米国債売りも相まって、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が更に上昇し、昨夜23時15分頃に一時4.643%付近と今年5月以来の高利回りを更新したことで、債券利回りの日米金利差拡大時の低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いが勢いを増し、午前1時1分頃にはドルは円相場で一時158円9銭付近に上昇し、一時158円台の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、同じく発表されていた前週分の米国失業保険継続受給者数は、前回187.4万人は前回186.4万人に改善されたものの、市場予想の188.0万人よりも軟調な191.0万人であったことでは市場高値後のドルにも利益確定売りや持ち高調整に抵抗が入り始めたほか、午前3時の米国ニューヨーク債券市場では、米国7年債の入札を控えていたこともあり、祝日明けの世界市場で安値からの米国債券の買い戻しが入り始めたことでは、上昇後の米国長期金利は反落を始め、午前3時の米国7年債の入札結果が堅調であったことから他の年度の米国債にも買い戻しの影響が波及し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は午前3時45分頃から午前4時頃にかけて一時4.578%付近にまで急落したことを受けては、ドルは円相場で上昇幅を157円台後半へと縮小した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、クリスマスから年末年始にかけて長期休暇を取る一部の米国トレーダーもいる中で全体的な市場流動性の減少が続いてはいたが、米国長期金利の上昇後の反落を受けた金利警戒感の緩和により、米国主要株価三指数の中でも金利に特に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が小幅ながらも祝日前の前営業日に続く5連日の続伸を見せており、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前日比で小幅な反落を見せたものの小幅域に留まったことでは、安全資産の米国債には債券価格上昇に伴う利回り低下後の米国債売りも入ったことでは、米国10年債の利回りも低下幅をやや縮小し、低リスク通貨の円売りでドルの買い戻しも混ざったことでは、ドルは円相場で底堅さも見せた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の157円60銭付近から、円の安値でドルの高値の158円9銭付近の値幅約49銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は157円99銭〜158円1銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円33銭付近と比較すると約66〜68銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の発表が相次ぎ、今朝8時30分に発表された11月の日本失業率は前回と市場予想通りの2.5%の横ばいの完全雇用に近い状態が続いており、11月の日本有効求人倍率も前回と市場予想通りの1.25の横ばいと堅調であった。
また、今朝8時30分には日本国内の最新インフレ指標でもある総務省の12月の日本東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品を除くコアの前年同月比が同時発表されており、前回の2.2%と市場予想の2.5%に対し2.4%と、市場予想以下ではあったものの前回よりも上昇し、2カ月連続で伸び率が拡大していた。
続いて、今朝8時50分には日本の最新経済指標の11月の日本鉱工業生産の速報値が発表され、前月比が前回の2.8%から低下したものの市場予想の−3.5%よりは堅調な−2.3%の低下幅に留まったほか、前年同月比も前回の1.4%と市場予想の−3.2%に対し−2.8%で、同時発表の11月の日本小売業販売額の前年同月比は前回の1.6%と前回修正の1.3%と市場予想の1.7%を上回る2.8%に上昇し、11月の日本百貨店・スーパー販売額 (既存店) の前年同月比も前回マイナス圏だった−0.5%が前回−0.4%に上方修正された上で、プラス圏の3.5%に改善されており、日本景気の堅調さを受けては低リスク通貨の円買いも入り、この時間の対ドル円相場は一時157円68〜69銭付近と、ニューヨーク終値時点よりも円相場がドルに対して下げ幅を縮小していた。
しかし、今朝8時50分頃には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が12月18〜19日開催分の日銀金融政策決定会合における主な意見を公表したことを受けては、今後の日銀の追加利上げの判断にあたり、「賃金という面では、春季労使交渉 (春闘) に向けた動きを、米国という面では、新政権発足を確認していくのが常識的」などの主な意見があったため、市場では来年1月の早期の追加利上げ予想の後退が続き、日米金利差予想では円売りドル買いが入りやすかったが、今朝早朝には米国10年債の利回りが指標となる米国長金利が一時反落を見せていたことでは、ニューヨーク終値よりもやや円相場は反発していた。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円77銭付近の始値であったが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、年末が近づいていることもあり月末の決済集中日の五十日を前倒しした日本企業の輸入実需のまとまった円売りドル買いなどが入り、今朝9時54分頃と10時頃にドルは円相場で一時157円95銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今日の午前中の閣議後の記者会見でも日本政府の加藤勝信財務相が円安について、「投機的な動向も含め市場の動向を憂慮している。行き過ぎた動きには適切な対応を取りたい」と円安牽制発言を続けたことから、為替介入警戒感が燻り、158円台を前にしたドルの利益確定売りや持ち高調整の円の買い戻しが入り始めたことでは円相場が反発し、午前11時18分頃には対ドル円相場は一時157円51銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、今日の東京株式市場では、日銀の早期の追加利上げ予想の後退を受けた国内金利上昇への警戒感の緩和からは、日経平均株価が大幅に続伸していたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りも入り、午後15時30分に日経平均株価が4万281円16銭の終値をつけ、前日比713円10銭高の大幅続伸となったことでは、ドルは円相場で為替介入警戒感による下げ幅を縮小した。
また、日本市場時間の時間外の米国債券市場では、米国政策金利の先高観の影響が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時の反落後に反発して再上昇を始めたており、今夜17時の東京終値の頃には一時4.606%付近と4.6%台に戻した後にも上昇トレンドになっていたことでは、ドルは円相場で反発して157円台後半への再上昇を見せた。
今日の夕方からは連休明けの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入も始まっており、それが夕方の米国長期金利の再上昇に影響を与えていた。
なお、今日の夕方の金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、来年の2025年1月28〜29日開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国政策金利据え置き予想値は一時89.3%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた優勢さを継続していたが、それに対する次回の0.25%の米国小幅追加利下げ幅の市場予想値は一時10.7%付近にとどまっているものの、やや上昇した影響もあり、米国長期金利の再上昇はその後も一時4.618%付近に向けた。
一方、今日財務省が発表した来年2025年度の日本国債発行計画では、5年物国債の発行額が2024年度から1兆2000億円増える見込みとなり、市場では想定外の増額への警戒感による国債売りの影響の波及があり、今日の日本の国内債券市場では新発10年物の日本国債の利回りが指標となる日本の国内長期金利が一時1.11%付近に上昇し、2011年7月以来の高利回りを記録したが、4.6%台の米国長期金利に対し1.1%台の日本の国内長期金利とでは、債券利回りを受けた日米金利差拡大の影響は続いていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円79〜80銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円35〜36銭付近の前東京終値比で約44銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーの予定は、今夜22時30分に11月の米国卸売在庫と、27時に週間米国原油在庫などが発表される予定である。
また、欧米の債券市場や株式市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、世界政治と世界情勢などの最新ニュースなどの影響も引き続き注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円45〜47銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の163円62〜63銭付近と比べて約83銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、連休明けの欧州英国市場再開による欧州ユーロや英国ポンドの現地実需回復に加えて、次回の日銀 (BoJ) 金融政策決定会合における日銀の追加利上げ見送り予想が優勢さを保ち、日経平均株価も大幅続伸となりリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが入っていたことから、リスクオンで買われやすい欧州ユーロや英国ポンドなどが円相場で上昇した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は197円73〜79銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の197円15〜21銭付近と比べると約58銭の円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0418〜1.0419ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0397〜1.0401ドル付近と比べると約0.21セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、欧州市場再開による欧州ユーロの実需回復に加えて、米国長期金利が一時反落していた際の欧米金利差縮小による欧州ユーロの買い戻しが入ったことに加えて、日経平均株価の大幅続伸を受けたリスクオン市場で低リスク通貨の円や世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルに対して欧州ユーロが買われていた影響が観測された。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月27日の日本時間(JST)20時32分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時32分頃) 設定の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 20:32の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.68 〜 157.69 | +0.33 (円安) |
ユーロ/円 | 164.51 〜 164.52 | +0.89 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0427 〜 1.0429 | +0.0030 (ドル安) |
英ポンド/円 | 197.88 〜 197.94 | +0.73 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.15 〜 175.21 | +0.31 (円安) |
豪ドル/円 | 97.94 〜 97.98 | −0.20 (円高) |
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