FXニュース:今夜米雇用統計発表控え
2025年1月10日東西FXニュース – 2025年01月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRB高官達の慎重発言
- 日経平均株価が大幅続落
- 日銀物価見通し修正報道
- 欧英通貨の買い戻し調整
今日2025年1月10日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の157円94銭付近から、円の安値でドルの高値の158円45銭付近の値幅約51銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は158円39銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円20〜22銭付近の前東京終値と比べると約17銭の円安ドル高であった。
ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、一部通信社による日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の物価見通し上方修正報道を受けた円買いの影響が今夜17時30分頃から始まり、今夜18時10分と26分頃に対ドル円相場は一時157円63銭付近と前東京終値比の円高ドル安への市場反転も見せたが、その後にはドルは円相場で反発し、今夜20時14分頃には一時158円17銭付近に買い戻されている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の東京外国為替市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日に日本の厚生労働省が速報で発表した11月の日本毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比が上振れし、基本給増加率も約32年ぶりの高い上昇率を記録し、「賃金上昇を伴う2%のインフレ目標」により日銀の追加利上げ予想が市場で燻り、新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が一時1.185%付近と2011年5月以来の高利回りを記録後であったことなどから、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜22時頃の一時4.650%付近に向けた反落を始めたことで債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったほか、英国財政懸念による英国ポンド売りや欧州景気懸念の欧州ユーロなどに対しても低リスク通貨の円が買われて上昇していた外貨影響も対ドル円相場に波及したため、昨夜17時3分頃に一時158円29銭付近に上昇後のドルは円相場で反落を始め、昨夜21時24分頃には一時157円65銭付近に下落していた。
欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時157円75銭付近の始値で、この日の米国市場ではジミー・カーター元米国大統領の国葬につき米国株式市場が休場になり、米国債券市場も短縮取引となったため、年明け後も続いていた冬季休暇時期の市場流動性の低下がやや観測されていた。
同時進行中の欧州英国市場でも時間外から米国債券取引されてきた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、昨夜22時に一時4.650%付近にまで低下後には反発し、昨夜23時頃の一時4.667%付近に向けた再上昇を見せ始めたことでは、債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドルの買い戻しも入り、昨夜22時20分頃にドルは円相場で一時157円85銭付近に反発したが、米国株式市場休場で現地のドル実需が減少していた影響もあり、早期の利益確定売りと持ち高調整の抵抗も混ざったことでは、昨夜22時45分頃に一時157円58銭付近と、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、昨夜には次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言があり、昨夜23時5分頃から始まった米国ボストン連邦準備銀行のスーザン・コリンズ総裁の発言は、「現在の見通しでは、米国追加利下げには、段階的かつ忍耐強いアプローチが必要」と、米国追加利下げに慎重なタカ派寄りの姿勢を示したことではドルの買い戻しが優勢になり、米国政策金利の先高観から米国長期金利も深夜24時台後半の一時4.672%付近に向けて上昇し、世界最大規模の英国ロンドン市場でロンドン・フィキシングに向けたドル買いも入った午前1時過ぎにはドルは円相場で158円台に上昇していた。
続いて、午前3時台には同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官である米国カンザスシティ連邦準備銀行のジェフリー・シュミッド総裁の発言もあり、「さらなる米国利下げは、段階的かつ、データに基づいて行うべき」などの米国追加利下げに対する慎重な同様のタカ派寄りの姿勢を示して同調したほか、FOMCメンバーの中でもタカ派で有名なFRBのミシェル・ボウマン理事の発言があり、米国追加利下げに慎重なタカ派姿勢を示したことに加え、前回2024年12月のFOMCで米国小幅利下げを支持した理由について、「金融政策の調整局面における最後のステップと考えたからだ」と語り、「インフレ抑制の進展停滞に加え、経済活動や労働市場の継続的な好調さを考慮すると、12月会合で据え置きを支持することもできた」と、米国追加利下げは一旦停止するのが適切であることを示唆するタカ派発言があったことなども為替相場に影響を及ぼし、午前3時10分頃にはタカ派発言の期待感もあって発言前から一時158円16銭付近に上昇していたドルは円相場で米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時間の米国長期金利も一時4.694%付近に上昇し、一時4.7%台に迫ったが、米国債券市場が国葬による短縮取引のため、この日の取引では再び4.7%台には乗せなかった。
また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権は持たないが、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官で、以前は中道からハト派寄りとして知られる米国フィラデルフィア連邦準備銀行のパトリック・ハーカー総裁の発言もあり、「米国政策金利は下方向の道筋にあると、なお考えている。目の前にある全てを踏まえた上で、私はこの道筋を外れたり、引き返したりするつもりはない。しかし、この道筋を進み続ける正確なスピードは、もっぱら今後発表されるデータ次第になる」と講演で中道からハト派寄りの発言をしたが、その後の質疑応答では、「今は小休止して、状況の推移を見守るのが適切だ」、「しばしの現状維持は可能だ。恐らく長期ではないが、データ次第だ」などと、他の高官達同様の慎重な意見も語ったことなどでは、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入ったものの限定的ではあったが、米国市場が一部短縮取引となっていたことなどでは、欧州英国市場からの始値が円高ドル安であったことから、今朝の米国ニューヨーク外国為替市場も小幅域の円高ドル安になった。
加えて、「データ次第」が強調される中で、同米国市場からは翌市場にあたる今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の12月の米国雇用統計の「最新データ」の発表イベントを控えていることも、イベント前のイベントリスクによる早期の利益確定と持ち高調整や買い控えなどに影響を与えていた。
そのため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の157円58銭付近から、円の安値でドルの高値の158円16銭付近の値幅約58銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は158円14銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の158円35銭付近と比較すると約21銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝7時27分頃にドルは円相場で一時158円19銭付近に買われたが、今夜の最新米国雇用統計の「データ」発表を控えたイベントリスクの影響があり、早期の利益確定売りと持ち高調整や買い控えで反落を始めたため、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時158円4銭付近の始値で、今日は5と10が付く日本の貿易企業の決済日が集中しやすい五十日 (ごとおび / ゴトーび) であったが、日本市場の今朝9時55分の仲値決済から今夜のイベントリスク前の国内輸出企業の円買いドル売りが強まり、今朝10時3分頃に対ドル円相場は一時157円94銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今日の東京株式市場では、日経平均株価が続落したことも、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) による低リスク通貨の円買いの為替相場に影響を与えてはいたものの、昨夜から今朝未明の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達のタカ派寄りの発言の数々を受けては、日本市場の時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、15時51分頃に一時4.702%付近と4.7%台に乗せたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードの円売りドル買いの影響などでドルは円相場で反発上昇し、日米金利差拡大予想を受けた夕方からの欧州市場参入の円売りドル買いの影響もあって、午後16時48分頃にドルは円相場で一時158円45銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今日の午後には、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OI / Overnight indexed swap)市場のデータが示す今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げ確率は、一時40%以下と劣勢になった一方で、今夜の英国ロンドン外国為替市場参入後の金利先物市場のデータを元に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今月2025年1月28〜29日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国政策金利据え置き予想値は一時95.2%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた優勢さの推移を続け、それに対する次回の0.25%の米国小幅追加利下げ幅の市場予想値は一時4.8%付近に後退しており、日米金利差予想に影響を与えていた。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は158円39銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の158円20〜22銭付近の前東京終値と比べると約17銭の円安ドル高であった。
しかし、今夜その後の欧州英国市場時間には、今夜17時30分頃から米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) 日本版などの一部通信社が、「日本銀行 (日銀 / BoJ) が今月開く日銀金融政策決定会合では、変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価 (コアコアCPI) について、2024年度と2025年度の見通しが上方修正となる公算が大きい。利上げの是非は直前まで見極める方針だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった」と報道し、次回会合では「経済・物価情勢の展望(展望リポート)について議論し、最新の見通しを示す。関係者によると、コアコアCPI見通しの引き上げは、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因。円安の進行や原油価格の上昇も押し上げ要因になる。賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっているという」という記事が市場で話題になったため、次回の日銀金融政策決定会合への警戒感の高まりから主要通貨に対する大規模な持ち高調整の円買いが起き始め、大幅な円相場の急伸を受けて今夜の米国雇用統計発表イベントを控えたイベントリスクに加えて、海外市場を狙った為替介入への警戒感もストップロスを引っ掛けた大幅な急落時に一時燻ったため、ドルには円相場での利益確定売りや持ち高調整が入り、今夜18時10分と26分頃に一時157円63銭付近まで円相場で売られたドルは、テクニカル分析的なダブルボトム (Double Bottom) の二番底や二点底とも呼ばれる二重底の買い戻しサインの後に下げ止まって反発を始めるまでは、一時急落を見せていた。
ただし、反発後のドルは円相場で今夜20時14分頃には一時158円17銭付近に買い戻されている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表イベントなど予定されており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜22時30分に12月の米国雇用統計の12月米国非農業部門雇用者数変化、12月米国失業率、12月米国平均時給、12月米国製造業雇用者数などの米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達が重視している「データ次第のデータ」の発表が世界的な注目を集めており、その後の深夜24時には最新米国経済指標の1月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値などの発表も控えている。
また、世界情勢と政治や最新経済指標と要人発言などを含めたファンダメンタルズのニュースの影響や、世界の債券市場や株式市場とコモディティ市場などの為替相場への影響などもFXトレーダー達に引き続き注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円8〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の162円86〜88銭付近と比べると約22銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日経平均株価の大幅続落などによるリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われやすかった一方で、欧州政治や景気懸念などの影響もあってリスク市場に弱い欧州ユーロが下落していた。なお、今日の日経平均株価は、午後15時30分に3万9190円40銭の終値をつけ、前日比414円69銭安の大幅安で大引けしていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0296〜1.0298ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0293〜1.0295ドル付近と比べると約0.05セントの小幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今夜この後の最新米国重要経済指標の12月の米国雇用統計発表のイベントを控えたイベントリスクの影響などがあり、早期の利益確定や持ち高調整で対ドルの欧州ユーロが買い戻されていた時間があった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は194円64〜70銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の194円0〜6銭付近と比べると約64銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、前日に英国労働党キア・スターマー政権の財政不安とインフレ懸念の影響などで英国ポンドが円相場で大幅な下落を見せた後であったことから、英国ポンドには買い戻しが入りやすく、英国債売りの影響により英国債券価格低下時の利回り上昇が起き、英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利が昨夜は一時4.913%付近と4.9%台に乗せ、英国10年債の利回りが2008年以来、英国30年債の利回りは1998年以来の高利回りに上昇しその後には一旦反落したものの、今夜の英国ロンドン外国為替市場に向けて再び4.9%方向への再上昇を見せ始めたことでも、日英金利差拡大時の金利差トレードの円売りポンド買いの影響などによる英国ポンドの円相場での反発が見られた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年1月10日の日本時間(JST)20時46分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時46分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:46の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 158.11 〜 158.12 | −0.09 (円高) |
ユーロ/円 | 162.88 〜 162.89 | +0.02 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0300 〜 1.0302 | +0.0007 (ドル安) |
英ポンド/円 | 194.53 〜 194.59 | +0.53 (円安) |
スイスフラン/円 | 173.00 〜 173.06 | −0.36 (円高) |
豪ドル/円 | 97.84 〜 97.88 | +0.06 (円安) |
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