FXニュース:米FRBウォラー理事発言
2025年1月17日東西FXニュース – 2025年01月17日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日銀の利上げ議論を意識
- 欧ECB議事要旨の影響も
- 米小売売上高が予想以下
- 米製造業景気指数上振れ
- 米新規失業保険申請混合
- 日米株価下落リスク回避
- 来週トランプ就任式控え
今日2025年1月17日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の154円98銭付近から、円の安値でドルの高値の155円78銭付近の値幅約80銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円59〜60銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円22〜23銭付近の前東京終値と比べると約63銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場でも、昨日の午前11時頃に米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) が「日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) は、来週予定されるトランプ米国次期大統領の就任時の発言を受けて金融市場などで大きな混乱が起きなければ、1月23〜24日の日銀金融政策決定会合で追加利上げを決める公算が大きい。複数の関係者への取材で分かった」という観測報道のニュースの影響による日銀の追加利上げ予想値の高まりを受けた主要通貨に対する円相場の上昇が続き、一方で時間外の米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.6%台に低下後の推移を続けていたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードの円買いドル売りの影響もあって、昨夜18時59分頃にドルは円相場で一時155円61銭付近と円高ドル安が進行していた。
しかし、欧州市場では、昨夜21時30分に前回2024年12月12日開催分の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会議事要旨の公表があり、「ECBがベースラインとしている欧州物価の見通しが今後数カ月または数四半期で確認されれば、制約的な金融政策の巻き戻しを徐々に進めるのが適切」と、欧州追加利下げ継続が示唆されたことを受けては、欧州ユーロに対するドル買いの外貨波及による抵抗も対ドル円相場に入り、昨夜21時54分頃にドルは円相場で一時156円20銭付近に買い戻されて反発していた。
また、時間外の米国債券市場でも昨夜21時45分頃には米国長期金利が一時4.684%付近に下げ幅を縮小し、この時点ではまだ金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでも、今月1月28〜29日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国政策金利据え置き予想値は一時97.3%付近と市場で確定値と考えられている70%超えの優勢さを続け、次回の0.25%の米国小幅追加利下げ予想値は一時2.7%付近の推移が観測されていたことも欧米金利差予想による欧州ユーロに対するドルの買い戻しに影響を与えていた。
そのため、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円11銭付近の始値で、昨夜22時27分頃には一時156円31銭付近にドルの買い戻しが入り、昨夜22時30分の米国景気関連の最新米国重要経済指標を含む複数の経済指標の同時発表に向けていた。
米国市場では、昨夜22時30分に同時発表された複数の最新米国経済指標の中でも、米国景気関連の最新重要経済指標として注目されていた12月の米国小売売上高は、前月比の前回0.7%が前回0.8%に上方修正されたものの市場予想の0.6%を下回る0.4%に下振れし、昨夜22時30分の発表時の1分間の値動きでドルは円相場で一時155円96銭付近に瞬時に急落したが、自動車を除くコアの前月比は前回の0.2%に対し市場予想通りの0.4%であったことでは、同じ1分間の値動きの中で156円台に戻し始めた。
また、昨夜22時30分に同時発表された景気関連の最新経済指標の1月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、前回マイナス圏だった−16.4が前回−10.9に上方修正された上で、市場予想の−5.0を大きく上回るプラス圏の44.3に大幅な改善を見せたこともサプライズによるドルの買い戻しに繋がったことから、昨夜22時32分頃にはドルは円相場で一時156円37銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、同じく昨夜22時30分に発表された米国雇用関連の最新経済指標である前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回20.1万件が前回20.3万件に軟化の修正がされたほか、市場予想の21.0万件よりも弱い21.7万件であったが、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回186.7万人が前回187.7万人に下方修正されたものの、市場予想の187.1万人よりも堅調な185.9万人に改善されたことでは強弱混合の指標となっていた。
同じく昨夜22時30分に発表されていた12月の米国輸入物価指数の前月比は前回と市場予通りの0.1%の横ばいであったが、12月の米国輸出物価指数の前月比は前回の0.0%と市場予想の0.2%を上回る0.3%に上昇しており、昨夜22時52分頃に一時155円85銭付近まで再低下後のドルが円相場で反発し、昨夜23時頃に再び156円台に戻していた。
深夜24時に発表された最新米国経済指標の1月の全米住宅建設業者協会 (NAHB /National Association of Home Builders) 住宅市場指数は、前回の46と市場予想の45を上回る47に上昇し、米国住宅インフレの根強さが意識されたことでも、深夜24時4分頃に対ドル円相場は一時156円20銭付近とドルが円相場で上昇した。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、昨夜22時25分頃に一時4.697%付近と4.7%台の手前付近にまで再上昇していた米国長期金利の反落が続いており、最新重要景気指標の下振れなどを受けて米国主要株価三指数が反落した影響による株価リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いが入り始めていた影響もあり、ドルは円相場で再び155円台への下落を始めた。
さらに、米国ニュース専門局のCNBC (Consumer News and Business Channel) のインタニューなどで次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事のハト派発言があり、先日の12月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) コア指数の下振れについて、「米国ディスインフレ傾向が続き、考えられているより少し早く2%に近づくのではないかと楽観している」と、「3月の米国追加利下げの可能性が排除されるとは考えていない」ことや、「米国インフレの今後の動向次第では、今年最大3〜4回の米国追加利下げの可能性はあり得る」などが話題になり、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.6%台から4.5%台に急落し、午前4時35分頃の一時4.594%付近や瞬時の一時4.58%台付近への大幅な低下に向けたため、主要通貨全般に対する金利差トレードのドル売りが優勢になり、午前1時40分と1時43分頃と午前6時44分頃にもドルは円相場で一時155円10銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、昨年2024年12月19日以来の円高ドル安が進行した。
また、米国ニューヨーク株式市場でも、最新米国重要景気指標が市場予想以下であった影響などもあり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) は前日比で小幅安の終値をつけ、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前日比で大幅安の終値をつけたこともあり、米国主要株価三指数が揃って前日比で安値をつけた影響でも、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフで安全資産の米国債が買われたほか、低リスク通貨の円も買われていたことも為替相場に影響を及ぼしていた。
ただし、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.5%台に低下後には米国債券価格上昇後の利益確定や持ち高調整などで下げ幅を縮小しており、米国ニューヨーク外国為替市場の終値の頃には一時4.617%付近と4.6%台に戻していたことなどを受けては、市場高値後の円の利益確定や持ち高調整で市場安値後のドルの買い戻しはやや抵抗になったが、今年前期の米国追加利下げの可能性が意識されたことに対する日銀の追加利上げ予想の高まりの影響では、円高ドル安の終値に向けていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の156円37銭付近から、円の高値でドルの安値の155円10銭付近の値幅約1円27銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値のドル円は155円16銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円47銭付近と比較すると約1円31銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、今朝7時8分頃に対ドル円相場は一時155円9銭付近に円相場が上昇したが、来週1月20日の第二次ドナルド・トランプ米国政権の就任式を控え、米国財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏が、昨日付けの米国連邦議会上院財政委員会の公聴会で、「我々はドルが世界の基軸通貨であり続けることを確実にしなければならない」などの発言をしていたニュースの話題が続いており、世界的に流動性が高い基軸通貨としてのドル需要などによる買い戻しも入り始めたことでは、ドルは円相場で反発し、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円37銭付近の始値で、今朝9時8〜12分頃にかけて一時155円48銭付近に上昇した。
しかし、日本企業の主要貿易先である米国市場は、来週月曜日の1月20日がキング牧師記念日 (Martin Luther King Jr. Day) の連邦祝日休場予定を控えていることもあり、日本市場の今朝9時55分の仲値決済では日本企業の輸入実需が低かった一方で、国内輸出企業の円買いドル売りが優勢であったことに加えて、今朝早朝に米国主要株価三指数が揃って前日比のマイナス圏で終えた影響もあり、今朝の東京株式市場では日経平均株価がマイナス圏で始まったことに続き、一時大幅な急落を見せた日米株価リスク回避のリスクオフでも国内第一安全資産である低リスク通貨の円が買われたため、今朝9時51分頃にドルは円相場で一時154円98銭付近と、昨年2024年12月以来のおよそ1カ月ぶりとなる今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
市場安値後のドルには買い戻しが入り始めたほか、今朝10時55分頃に一時は前日比で513円以上の大幅下落を見せていた日経平均株価が底値からの買い戻しで下げ幅を縮小したことでは、低リスク通貨の円の利益確定売りの抵抗も入り、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が3万8451円46銭の終値をつけ、前日比121円14銭安で大引けするなど下げ幅を縮小した影響では、午後15時30分頃にはドルも円相場で一時155円77銭付近に下げ幅を縮小していた。
また、日本市場では、昨日の日銀追加利上げ観測報道が、「来週予定されるトランプ米国次期大統領の就任時の発言を受けて金融市場などで大きな混乱が起きなければ、1月23〜24日の日銀金融政策決定会合で追加利上げを決める公算が大きい」という関係者筋の内容であったこともあり、来週1月20日のドナルド・トランプ米国次期大統領の就任式を控えた持ち高調整や様子見も混ざり始めていた。
一方、夕方から参入の欧州市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会議事要旨を受けた欧州追加利下げ予想の影響が続いており、夕方16時30分頃の時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.620%付近に上昇した際にはドル買いが入り、午後16時30分頃にドルは円相場で一時155円78銭付近と、今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録し、今朝の下げ幅を縮小していた。
今夜17時頃から始まった英国ロンドン外国為替市場では、今朝未明の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事のハト派発言の影響が続いていたことでは、米国長期金利反落に伴うドル売りが先行したが、今日の午後16時に発表されていた最新英国経済指標の12月の英国小売売上高が、前月比は前回プラス圏の0.2%と前回下方修正の0.1%と市場予想の0.4%に対しマイナス圏の-0.3%に低下したほか、前年同月比は前回の0.5%と前回下方修正の0.0%と市場予想の4.2%に対し3.6%と前回よりは改善したもののいずれも市場予想以下となり、自動車を除くコアも下振れしたことでは、英国ポンド売りで低リスク通貨の円だけでなく世界的な流動性の高さからは欧州ユーロや英国ポンドに対する安全資産でもあるドルも買い戻された影響なども対ドル円相場に外貨影響として波及していた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円59〜60銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円22〜23銭付近の前東京終値比では約63銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、米国景気関連の最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に12月の米国建設許可件数と12月の米国住宅着工件数、今夜23時15分に12月の米国鉱工業生産と12月の米国設備稼働率、30時に11月の対米証券投資などを控えている。
加えて、世界の株式や債券市場およびコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界情勢や政治要因などを含めたファンダメンタルズのニュースの影響なども、世界のFXトレーダー達に引き続き注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値160円6〜7銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の160円87〜88銭付近の前東京終値と比べると約81銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日の日銀追加利上げ観測報道を受けた円買いの一方で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会議事要旨を受けた欧州追加利下げ継続予想などによる欧州ユーロ売りが為替相場に影響を与えていた。
また、今朝までの米国主要株価三指数下落や今日の日経平均株価下落を受けた日米株価リスク回避のリスクオフでも、低リスク通貨の円はリスク市場に弱いと考えられている欧州ユーロや英国ポンドなどに対して買われやすかった。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は189円48〜54銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の190円87〜93銭付近の前東京終値比では約1円39銭の大幅な円高ポンド安であった。
英国ポンドは、先述の最新英国経済指標の12月の英国小売売上高の下振れを受けても低リスク通貨の円に売られやすかったことから、欧州ユーロよりも大幅な下落を見せていた。
なお、明日の朝6時頃には、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁の要人発言予定も控えている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0286〜1.0288ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0296〜1.0298ドル付近の前東京終値と比べると約0.10セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、昨夜に公表された欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会議事要旨を受けた欧州追加利下げ継続予想の影響が欧米金利差予想に影響を与えていた。
ただし、今夜その後の欧州市場では、今夜19時に欧州ユーロ圏総合の欧州インフレ関連の最新重要経済指標である12月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語:Harmonised Indices of Consumer Prices / 米語:Harmonized Indices of Consumer Prices) の改定値が発表されたが、前年同月比は前回と市場予想通りの2.4%のままで、同月の欧州HICPコア指数の改定値も前回と市場予想通りの2.7%であったことでは、イベント経過後の欧州ユーロの買い戻しも入り、今夜20時台には時間外の米国債券取引で米国長期金利低下時のドル売りでも欧州ユーロが買い戻しが混ざったことでは、前東京終値比で小幅なユーロ高ドル安に市場反転を見せている時間も観測されている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年1月17日の日本時間(JST)20時40分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時40分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:40の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 155.68 〜 155.70 | −0.60 (円高) |
ユーロ/円 | 160.39 〜 160.41 | −0.48 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0300 〜 1.0302 | +0.0004 (ドル安) |
英ポンド/円 | 190.08 〜 190.14 | −0.79 (円高) |
スイスフラン/円 | 170.69 〜 170.75 | −0.57 (円高) |
豪ドル/円 | 96.49 〜 96.53 | −0.61 (円高) |
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