FXニュース:加墨中に米トランプ関税
2025年2月03日東西FXニュース – 2025年02月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米PCE物価指数予想通り
- 米長期金利上昇株価下落
- 米関税インフレ再燃警戒
- 日経平均株価1052円安
- 欧英株価下落リスク回避
- 今週米重要経済指標控え
今日2025年2月3日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の155円88銭付近から、円の高値でドルの安値の155円28銭付近の値幅約60銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円63〜65銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の154円68〜69銭付近の前東京終値と比べると約95銭の円安ドル高であった。
ただし、今夜20時台には日米欧英株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による低リスク通貨の円の買い戻しでは、小幅な円高ドル安への市場反転も見せている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円83銭付近の始値であったが、先週金曜日の夜22時30分には複数の最新米国重要経済指標の同時発表があり、注目されていた12月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数のPCEデフレーターの前年同月比は前回の2.4%に対し市場予想通りの2.6%で、天候条件などで価格変動の激しい食品とエネルギー除く物価基調の12月の米国PCEコア・デフレーターの前年同月比は前回と市場予想通りの2.8%の横ばいとなり、前月比も前回の0.1%に対し市場予想通りの0.2%で、2024年10〜12月第4四半期の米国雇用コスト指数の前期比も前回の0.8%に対し市場予想通りの0.9%の上昇率と、いずれも市場予想通りであった。
同じく発表された12月の米国個人所得の前月比も前回の0.3%に対し市場予想通りの0.4%と想定範囲内であったが、12月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比は、前回の0.4%と市場予想の0.5%を上回る0.7%に上振れしたことを受けてはドル買いが入り、発表5分後の先週金曜日の夜22時35分頃にはドルは円相場で一時 155円2銭付近に上昇したが、ほとんどの重要経済指標が市場予想通りであったことでは、ほぼ想定内として一時的な反応に留まり、1月末を控えた利益確定や持ち高調整で再び154円台後半に戻した。
続いて、先週金曜日の夜23時45分に発表された最新米国経済指標の1月の米国シカゴ購買部協会景気指数は、前回の36.9と市場予想の40.0を下回る39.5に下振れしたことを受けては、先週金曜日の夜22時40分頃に一時4.536%付近に上昇後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が安全資産の米国債買いの影響で上昇幅を縮小し、先週金曜日の夜23時55分頃の米国ニューヨーク債券市場で一時4.507%付近にまで低下したため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りの抵抗が入ったことことでは、先週金曜日の夜23時57分頃にドルは円相場で一時154円56銭付近に反落し、深夜24時26分頃には一時154円52銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、同時進行中の世界最大規模の英国市場では1月末最終の午前1時のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた主要取引通貨のドル需要があり、市場安値後のドルは円相場で反発し、午前1時51分頃にも一時155円0銭付近と再び155円台をタッチしたが、英国市場終盤の利益確定と持ち高調整が入り再び一時154円台後半にドルが円相場で反落していたところに、英国ロイター通信 (Reuters) が「トランプ米国大統領は、2月1日の発動を警告していたカナダとメキシコに対する25%の関税措置を、3月1日に延期する見通しだと、関係筋3人がロイター通信に対して明らかにした」とのニュース記事を発表したため、午前2時22分頃に対ドル円相場は一時154円66銭付近に反落した。
しかし、この一部報道に対して、米国ホワイトハウスのキャロライン・レビット (Karoline Leavitt / カロリンやカロリーナ) 報道官が、「カナダとメキシコに25%、中国に10%の追加米国関税を2月1日から課す」と改めて表明して否定したため、再び米国関税によるインフレ再燃警戒感により米国政策金利の先高観から米国長期金利が上昇を始めたほか、主要通貨に対するドル買いが優勢になり、午前3時31分頃にドルは円相場で一時155円22銭付近と、米国市場での円の安値でドルの高値を記録し、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が午前5時40分頃の一時4.585%付近に向けて急伸した。
一方、米国主要企業の決算報告シーズンの影響などで前営業日には米国主要株価三指数が揃って高値で引けていた米国ニューヨーク株式市場では、この日の米国関税強化案を受けた米国インフレ再燃警戒と米国政策金利の先高観による金利警戒感などから米国主要株価三指数が反落し、金利に特に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅安の終値に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日比で安値の終値をつけ、米国主要株価三指数が揃って下落して引けた影響では、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債が買い戻され、利回りの上昇幅をやや縮小したほか、ドルからでも買える低リスク通貨の円が買い戻されたことは対ドル円相場では円の抵抗となったが、米国政策金利の先高観の影響では、上昇幅をやや縮小後にも米国長期金利は前日比では高利回りとなり、米国ニューヨーク債券市場の終値時点は4.540%付近と前日比+0.024%と上昇したままであったことでは、ドルは円相場で155円台前半に留まった。
このため、先週金曜日の夜22時頃から先週土曜日の朝6時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円52銭付近から、円の安値でドルの高値の155円22銭付近の値幅約70銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のニューヨーク終値は155円19銭付近と、前営業日同時刻の154円29銭付近の前ニューヨーク終値比で約90銭の円安ドル高をつけて、世界市場の週末を迎えた。
週末の世界ニュースでは、米国現地時間の2月1日の土曜日に、米国のドナルド・トランプ大統領が、カナダとメキシコに25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す米国大統領令に署名した。ドナルド・トランプ政権は、今回の追加関税は大統領に広範な権限を与える国際緊急経済権限法 (IEEPA / International Emergency Economic Powers Act) を法的根拠としていたが、今回の措置に最も近いと考えられている1971年の米国リチャード・ニクソン政権時の10%の一時的な追加関税措置の際には、ドルと金の交換停止後の国際収支が悪化する中で、輸入増加を制限するためにIEEPAの前身にあたる1917年敵国通商法 (TWEA / Trading with the Enemy Act) に基づき発動したことがあったが、今回のIEEPAの適用については、貿易・法律の専門家からは異論が出ており、法廷闘争になる可能性が高いという指摘も出ていた。
時差で先行していた日本時間では翌2月2日にあたるため、この日のテレビ番組で日本政府の加藤勝信財務相は、米国のドナルド・トランプ政権がカナダとメキシコに25%、中国に10%の追加関税を課すことを決めた米国関税政策について、「為替などにどういう形で反映していくのか、その前提として米国の金融政策がどういう形で動いていくのか、しっかり見極めていかないといけない」と発言し、対象が今回の3カ国以外に拡大していくかはまだ不明だとする一方で、「世界経済にどういう影響を及ぼしていくのか、我々も大変懸念している」と警戒感を示し、石破茂首相が今週の2月7日に米国ワシントンで予定しているドナルド・トランプ米国大統領との日米会談について、「色々な懸念を踏まえながら、議論がなされるものと思う」と述べていた。
また、今週7日の日米首脳会談では、石破茂首相がドナルド・トランプ大統領との会談を通じて年内の来日を求める見通しとの一部報道などもあり、日本が米国への最大の直接投資国であることを説明するほか、米国からの液化天然ガス (LNG) 輸入拡大に前向きな考えを示すとの観測続報もあり、安全保障だけでなく経済や技術など幅広い分野での協力を通じて日米同盟を深めるとし、日米関税ディールについての観測なども出始めていた。
なお、日本経済産業省は、カナダ、メキシコ、中国に進出している日本企業を含め、今回の米国関税措置の影響を受ける可能性がある企業を支援するため、企業向けの相談窓口を日本貿易振興機構のジェトロ (JETRO / The Japan External Trade Organization) と共同で設置したことを発表した。
今朝早朝の週明けのアジア・オセアニア市場では、今日も中国が春節 (Chinese New Year / 旧正月) 連休の祝日休場でアジア市場の市場流動性低下による荒い値動きが予想されていた中で週末の米国関税発令を受けた警戒感からリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが先行し、今朝7時1分には対ドル円相場は一時154円75〜76銭付近の窓開けから始まったが、今朝8時8分頃には米国関税を受けた米国インフレ再燃警戒感で米国政策金利の先高観からドルが買い戻された窓埋めが起きており、今朝8時50分に公表された1月23〜24日開催分の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の「日銀金融政策決定会合における主な意見」を受けては円の買い戻しの一時抵抗もやや混ざったものの、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円37銭付近の始値となり、前ニューヨーク終値比では円安ドル高が進行していた。
また、今日の日本市場では、今朝9時55分の2月初めの仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入り、今朝10時4分頃に対ドル円相場は一時155円88銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今日の東京株式市場では、米国主要株価三指数下落を受けた株売りや、米国関税案への警戒感から輸出系の自動車株などが売られて下落し、日経平均株価が一時は前日比で1100円以上の大幅下落を見せると、株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻されて反発し、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が3万8520円9銭の終値をつけ、前営業日比1052円40銭安と-2.66%下落の大幅安で大引けすると、低リスク通貨の円買いが勢いを増し、午後15時51分頃に対ドル円相場は一時155円28銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、夕方には時差遅れで週明けの欧州市場の参入があり、米国関税を受けて追加関税対象国の中国を主要貿易先に持つ欧州市場でも米国関税を受けたインフレ警戒感で米国政策金利の先高観が高まり、夕方16時48〜50分頃にかけて時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.553%付近に上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の金利差トレードで円売りドル買いが入った影響では、ドルは円相場で再び155円台後半に再上昇した。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円63〜65銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の154円68〜69銭付近の前東京終値比では約95銭の円安ドル高となった。
その後の今夜17時頃からの英国ロンドン外国為替市場の参入を受けては、17時15分頃の一時4.557%付近に向けて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇したため、今夜17時8分頃にドルは円相場で一時155円72銭付近に上昇したが、中国を主要取引先に持つ欧州企業株などの欧州主要株価が大幅安で始まっていたことに続き、先週金曜日から週末にかけた3日間に英国大手銀行バークレイズ (Barclays) のIT問題でおよそ2000万人とも言われる英国内の顧客が銀行取引に問題が出たことで株価急落を見せるなど、英国主要株価も大幅急落から始まった影響では、日米欧英株価下落時のリスク回避のリスクオフで世界的な安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いの抵抗が入り始めたことでは、今夜20時36分頃には対ドル円相場は一時154円63銭付近に円相場が反発し、前東京終値比で小幅な円高ドル安に市場反転を見せている時間も観測されている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、今夜23時45分に1月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値と、深夜24時に最新重要景気指標の1月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 製造業景況指数と、同時刻に12月の米国建設支出などを控えている。
また、今週は米国ISMだけでなく、今週金曜日の米国雇用統計などの最新米国重要経済市場の発表予定が相次ぐほか、今週金曜日の夜に前述の日米首脳会談などのイベントも予定されている。
米国株式市場では、今週は米国グーグル (Google) の持ち株会社の米国アルファベット社 (Alphabet Inc.) などの米国主要企業の決算報告なども続き、世界の株式市場の為替相場への影響や、世界の債券市場やコモディティ市場などの影響と、米国関税政策に加えて世界情勢や政治要因や最新経済指標データなどを含むファンダメンタルズの影響や要人発言なども、世界のFXトレーダー達が注視する。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は159円8〜9銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の160円92〜94銭付近の前東京終値と比べると約1円84銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、先週の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州追加利下げ継続に対し日銀の追加利上げ方向を維持による日欧金融政策の方向性の違いでも欧州ユーロに対し円相場が上昇していたが、今日は米国関税政策への警戒感から日米欧英株価下落時リスク回避のリスクオフ市場で、低リスク通貨の円や世界的な流動性の高さから欧州通貨に対する安全資産でもあるドルに対して欧州ユーロや英国ポンドが売られやすかったため、大幅な円高ユーロ安やユーロ安ドル高となった。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0220〜1.0222ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0403〜1.0407ドル付近の前東京終値と比べると約1830セントの大幅なユーロ安ドル高であった。
ただし、今夜その後の19時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新欧州重要経済指標では、1月の欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonised Index of Consumer Prices) の速報値は、前年同月比が前回と市場予想の2.4%を上回る2.5%で、同月の欧州HICPコア指数の速報値も、前年同月比が市場予想の2.6%以上の前回と同じ2.7%であったことでは市場予想以上の高止まりにより、欧州インフレ抑制の進展にもやや抵抗が観測されていた。
欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも連れ安となり、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は191円13〜19銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の192円33〜39銭付近の前東京終値比では1円20銭の大幅な円高ポンド安となっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月3日の日本時間(JST)21時2分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の12時2分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 21:02の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 154.60 〜 154.61 | −0.08 (円高) |
ユーロ/円 | 158.49 〜 158.50 | −2.43 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0251 〜 1.0252 | −0.0152 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.43 〜 190.49 | −1.90 (円高) |
スイスフラン/円 | 168.74 〜 168.80 | −1.28 (円高) |
豪ドル/円 | 95.04 〜 95.08 | −1.40 (円高) |
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