FXニュース:米関税加墨延期と中交渉
2025年2月04日東西FXニュース – 2025年02月04日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧米株下落時リスク回避
- 米ISM製造業景況上振れ
- 米交渉期待で日株価反発
- 対円の欧英通貨買い戻し
- 10%米関税15%中報復
今日2025年2月4日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の154円83銭付近から、円の安値でドルの高値の155円42銭付近の値幅約59銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円39銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円63〜65銭付近の前東京終値比で約24銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、2月1日に米国のドナルド・トランプ大統領がカナダとメキシコに25%の関税と中国に10%に追加関税の米国関税発令に署名したことへの警戒感から、中国は2月2日に世界貿易機関 (WTO / World Trade Organization) への提訴を表明していたが、中国を主要取引先に持つ欧州企業株売りなどで欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien IndeX) が大幅安になり、欧州と経済圏が近い英国主要株価指数の英FTSE 100 (Financial Times Stock Exchange 100 Index)も続いて急落し、昨日の日米欧英株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いが起き、米国債券価格上昇に伴う利回り低下で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下したことから、債券利回りの金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りも影響を及ぼし、昨夜21時33分頃に対ドル円相場は一時154円29銭付近と円相場が上昇し、前東京終値比で円高ドル安に市場反転を見せていた。
その影響から、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円56銭付近の始値で、この時間の米国長期金利は一時4.501%付近に低下していたが、米国市場では米国政策金利の先高観もあり、米国債券価格上昇後の米国債売りの抵抗が入ったことでは、昨夜22時45分頃に米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.532%付近に反発上昇したことを受けては、債券利回りを受けた金利差トレードのドルの買い戻しも入り、昨夜22時46分頃の対ドル円相場は一時154円83銭付近への抵抗を交えていたが、欧州や英国に続き米国株式市場も米国関税警戒感の株売りで始まったことでは、欧米株価下落時のリスク回避のリスクオフによりドルからでも買える低リスク通貨の円買いで円相場が再び上昇した。
米国市場では、最新米国経済指標の発表が始まり、昨夜23時45分の1月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は、前回と市場予想の50.1を上回る51.2に上方修正されたほか、深夜24時の最新米国重要景気指標の1月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 製造業景況指数も前回の49.3と前回下方修正の49.2と市場予想の49.6を上回る50.9に上振れし、景気ボーダーラインの50を上回る好景気指標となり、同時発表の12月の米国建設支出の前月比も前回の0.0%と前回上方修正と市場予想の0.2%を超える0.5%に上昇したことを受けては、堅調な米国経済指標により発表時の深夜24時にドルは円相場で一時154円71銭付近に再反発を見せた。
しかし、決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、第二次ドナルド・トランプ米国政権による米国関税政策が、米国経済や今後の米国主要企業決算に悪影響を与えることへの警戒感が高まり、米国主要株価三指数が揃って大幅な下落を見せたことでは、低リスク通貨の円買いの勢いが増してドルは円相場で反落を始めた。
また、深夜24時過ぎには、一時は報復関税を表明していたメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が、米国のドナルド・トランプ大統領との協議でディール要求された合成麻薬フェンタニルの流入対策に応じ、メキシコは米国との国境に1万人の警備隊を配置し、今後の安全保障と貿易について協議することで、「トランプ氏と話し、合意に達した」ことから、メキシコでは昨日2月3日の月曜日はメキシコ憲法記念日 (Avinersario de la Constitución) の祝日連休であったことから連休明けの4日から影響が懸念されていたメキシコへの25%の米国関税の発動が1カ月延期の合意がなされたことが発表され、ドナルド・トランプ大統領も、「非常に友好的な会話だった」とコメントしたことから、米国関税ディール政策の交渉合意によるメキシコへの25%の関税延期を受けて、世界市場では他国にも交渉の可能性があると米国政策金利の先高観が一時後退し、深夜24時15分頃の米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.468%付近と大幅な急落を見せたため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと米国長期金利急落時の主要通貨に対するドル売りが起き、深夜24時22分頃にドルは円相場で一時154円1銭付近と、米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、米国関税ディール政策への市場警戒感の緩和からは、一時は大幅な下落を見せていた米国主要株価三指数が下げ幅を縮小し、米国景気インフレ圧の影響もあって一時4.4%台に急落後の米国長期金利も安全資産の米国債売りの影響ですぐに4.5%台に反発し、午前4時台の一時4.452%付近に向けた上昇を続けたことでは、主要通貨に対する市場安値後のドルの買い戻しが入り始めたことに続き、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整でもドルは円相場で反発上昇し、午前3時56分頃にドル円は一時155円1銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、午前6時台には、メキシコと同じく25%の米国関税ディール政策の対象国となっていたカナダのジャスティン・トルドー首相も、「約1万人のカナダ兵士が米国境を警備する」ことの交渉に応じ、「米国関税が30日間先送り」されることで合意されたことを発表し、先日の2月1日の記者会見では「カナダのために強く立ち向かう」と報復関税を表明しており、4日から約3兆円規模の300億カナダドル相当額の米国からカナダへの輸入品に25%の関税を課すと表明されていたことなどによる米国インフレ再燃警戒感が緩和されたことでは再び一時4.536%付近に米国長期金利反落と抵抗が入ったことでは、今朝6時45分頃にはドルは円相場で一時154円55銭付近にやや反落したが、米国景気好感からは米国長期金利は再び反発しており、今朝7時頃のニューヨーク終値時には一時4.564%付近に上昇したことではドルは底堅さも見せたが、今朝早朝までの米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数が一時の大幅下落からは下げ幅を縮小したものの、前営業日比では揃って安値で引けたことでは、株価リスク回避時の低リスク通貨の円買いの影響が残った。
メキシコ、カナダ、中国は、米国の貿易額上位3カ国で、全体の4割を占めるため、米国関税政策が実施されれば、輸入物価上昇を通じて、米国インフレ警戒感が高まっていたが、中国に関しては関税実施に至る可能性もあったことでは、午前6時半頃のカナダ政府の発表前引けていた米国主要企業の決算報告シーズンで今後の決算予想への警戒感が燻りやすかった米国主要株価三指数は揃って安値で引けた後で、米国ニューヨーク株式市場では、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で122ドル75セント安の終値をつけ、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) も前営業日比45ドル96セント安、米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前営業日比で235ドル48.7セント安の終値で引けていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円1銭付近から、円の安値でドルの高値の155円1銭付近の値幅約1円で、今朝7時頃のニューヨーク終値は154円73銭付近と、前営業日同時刻の155円19銭付近の前ニューヨーク終値比で約46銭の円高ドル安をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、本日2月4日までは中国が春節 (Chinese New Year / 旧正月) の大型連休の祝日休場で、中国では米国関税の影響は連休明けの明日からではあるものの、アジア市場全体の市場流動性低下が続く中で、今朝8時59分頃には米国関税によるインフレ再燃警戒感により米国政策金利の先高観から時間外の米国長期金利が上昇し、米国長期金利上昇時の日米金利差トレードの円売りドル買いの影響などで、対ドル円相場は一時155円30銭付近にドルが円相場で反発して下げ幅を縮小していたため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円27銭付近の始値であった。
日本市場では、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入り始めたことや、今日の東京株式市場では昨日の大幅下落後の日経平均株価が反発情緒yして始まったことで低リスク通貨の円売りが入ったことでも、今朝9時37分頃にドルは円相場で一時155円41銭付近に上昇した。
今朝には米国のドナルド・トランプ大統領も、今夜2月4日の発動を予定していたメキシコとカナダへの25%の米国関税発動を1カ月先送りする公式に発表し、中国への10%の追加関税についても中国と近く協議する予定としたことに続き、米国経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) が、「中国政府がトランプ大統領との貿易交渉に向けた初期の準備をしている」と報じたことを受けては、中国への関税発動も米国関税ディール交渉の合意により見送られる場合には、米国インフレ圧への警戒感が緩和されることへの期待感が高まり、今日の日本市場の時間外の米国債券取引で正午12時台には一時4.578%付近に上昇後の米国長期金利が一時反落し、午後14時7分頃には一時4.548%付近に低下したため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったことでは、午後14時7分頃にドルは円相場で一時154円83銭付近に下落し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、市場の一部ではメキシコとカナダの延期に続いて中国関税のディール合意による関税回避期待が出ていたことに反して、今日の午後14時台にはドナルド・トランプ米国政権は予定通り、中国から米国への輸入品に10%の追加関税を発動し、また対抗して中国政府も米国からの石炭や液化天然ガス(LNG / Liquefied Natural Gas)などの輸入品に最大15%の報復関税を課すことを発表したため、世界市場では米国と中国の貿易摩擦激化による世界経済への悪影響への警戒感が高まると共に、米国インフレ再燃への警戒感から米国政策金利の先高観により、世界的な安全資産である米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発し、16時53分頃の一時4.583%付近に向けて上昇を始めたため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り始めたほか、警戒感から一時の大幅な上昇幅は縮小したものの今週の日米首脳会合での日本政府の米国関税ディール交渉への期待感の燻りも残る日経平均株価が、午後15時30分に3万8798円37銭の終値をつけて前日比278円28銭高の大幅高で大引けすると、低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整も為替相場に影響を及ぼし、今夜17時0分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時155円42銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録したが、瞬時にやや戻したことでは前日比で円高ドル安の東京終値をつけた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円39銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の155円63〜65銭付近の前東京終値比では約24銭の円高ドル安になった。
また、その直後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜17時18分頃には対ドル円相場は一時155円53銭付近にまで下げ幅を縮小していた。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、深夜24時に12月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と、同時刻に12月の米国製造業新規受注を控えており、また今週金曜日の米国雇用統計などの最新米国重要経済市場の発表予定が相次ぐほか、今週金曜日の夜には日米首脳会談などのイベントなども控えている。
米国株式市場では、今夜この後に米国グーグル (Google) の持ち株会社の米国アルファベット社 (Alphabet Inc.) などの米国主要企業の決算報告なども予定されており、世界の株式市場と、世界の債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税政策に加えての世界情勢や政治要因や最新経済指標データなどを含むファンダメンタルズの影響や要人発言なども、世界のFXトレーダー達が注目している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円16〜17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円8〜9銭付近の前東京終値と比べると約1円8銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨日の日経平均株価の1052円の大幅下落や昨夕の欧英主要株価急落を受けてはリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われて、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドに対して大幅な円高になっていたため、今日の日経平均株価の大幅反発を受けては低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整が起き、対円で欧州ユーロや英国ポンドが買い戻されて反発した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は192円91〜97銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の191円13〜19銭付近の前東京終値比では1円78銭の大幅な円安ポンド高となっていた。
ユーロドルも、欧州ユーロも対ドルでの買い戻しが入り、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0312〜1.0313ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0220〜1.0222ドル付近の前東京終値と比べると約0.92セントのユーロ高ドル安であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月4日の日本時間(JST)21時11分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の12時11分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 21:11の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 155.36 〜 155.37 | −0.27 (円高) |
ユーロ/円 | 160.33 〜 160.38 | +1.25 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0321 〜 1.0322 | +0.0101 (ドル安) |
英ポンド/円 | 192.61 〜 192.67 | +1.48 (円安) |
スイスフラン/円 | 170.74 〜 170.80 | +1.38 (円安) |
豪ドル/円 | 96.43 〜 96.47 | +0.95 (円安) |
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