FXニュース:米JOLTS求人数予想以下
2025年2月05日東西FXニュース – 2025年02月05日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米中貿易摩擦リスク回避
- 米製造業新規受注下振れ
- 米長期金利低下ドル売り
- 日毎月勤労統計が上振れ
- 日銀早期追加利上げ予想
- 日米金利差縮小予想円高
- 中東情勢の低リスク通貨
今日2025年2月5日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の154円36銭付近から、円の高値でドルの安値の153円7銭付近の値幅約1円29銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円34〜36銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円39銭付近の前東京終値比で約2円5銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国関税ディール政策の交渉合意によりメキシコとカナダへの25%の米国関税発動が1ヶ月延期になった影響では、昨日の日経平均株価反発の影響などもありリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたことや世界的な安全資産の米国債売りが起きた時間があったことでは、昨夜17時の時間外の米国債券取引で米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.580%付近に上昇したため、昨夜17時18分頃にドルは円相場で一時155円53銭付近にまで下げ幅を縮小したが、欧州の主要取引先の中国が10%の対中追加米国関税に対抗し、米国からの原油や石炭などに15%の報復中国関税を表明したことでは米中貿易摩擦への警戒感が高まり、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) に転じたことで低リスク通貨の円買いで円相場が反発し、昨夜18時25分頃に世界的な安全資産の米国債の買い戻しで米国長期金利が一時4.568%付近に低下すると、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入り、昨夜18時35分頃の対ドル円相場は一時155円7銭付近とドルが円相場で反落していた。
ただし、昨夜22時頃からの米国市場を控え、世界市場ではメキシコとカナダへの高関税が世界経済に与える悪影響が一時緩和されていたことでは安全資産の米国債売りが再び入り、米国政策金利の先高観も燻って米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発上昇し、昨夜22時頃の一時4.593%付近に向けたことではドルの買い戻しも入り、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時155円28銭付近の始値で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜22時45分頃の一時4.596%付近に向けて上昇していたことでは、債券利回りの金利差トレードの円売りドル買いで、昨夜22時30分頃にドルは円相場で一時155円39銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、その後は米国長期金利が4.6%台を前に反落を始めたことでは、ドルも円相場で再び下落した。
米国市場では、対中米国関税に関しても「ドナルド・トランプ米国大統領と習近平中国国家主席による電話会談が行われる予定」との一部報道の影響などもあり、昨日の中国市場は春節の大型連休で現地の連休明けまでに米中首脳電話会談で関税ディール政策の交渉の可能性があると楽観視されていた時間があったことも、一時の安全資産の米国債売りによる米国長期金利上昇に影響を与えていたのであるが、続報では、米中首脳電話会談は結局実施されない見通しとなり、ドナルド・トランプ米国大統領が、米中首脳会談の実施について「急いでいない」と発言したことが話題になり、米中貿易摩擦への警戒感が再燃したことでも、安全資産の米国債の買い戻しが起き始めて米国債券価格上昇に伴い利回りが低下に転じ、債券利回りの日米金利差トレードの円買いドル売りで、低リスク通貨の円が買われやすくなった。
深夜24時には、今週金曜日に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長も注目していることで知られている最新米国雇用統計の重要指標発表のイベントを控えていることなどから、市場での注目度が増していた米国雇用関連の最新米国経済指標の12月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が発表されたが、前回の809.8万件と前回上方修正の815.6万件と市場予想の800.0万件を下回る760.0万件に下ぶれし、同時発表の米国景気関連の12月の米国製造業新規受注の前月比も前回の−0.4%と前回下方修正の−0.8%と市場予想の−0.7%を下回る−0.9%とマイナス圏で悪化したため、米中貿易摩擦による世界経済への悪影響が懸念されていたことでもリスク回避のリスクオフで買われていた安全資産の米国債買いの勢いが増し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が急落を始め、午前3時45分頃の一時4.520%付近に向けたため、午前3時21分頃にドルは円相場で一時154円17銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国長期金利の低下を受けては、米国主要企業の決算報告シーズンが続いていた米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でも特に金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が金利警戒感の緩和もあり、前日の大幅安から反発上昇し、前日比の下げ幅を回復する大幅高の終値に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も同様に反発上昇して前日比で高値の終値に向けていたことを受けては、米国主要株価三指数が揃って上昇したことを好感した株価リスク選好のリスクオンでは、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整のドルの買い戻しの抵抗が入った。
とはいえ、この日の米国経済指標を受けて米国雇用市場の軟化や米国景気要因のインフレ圧鈍化による米国政策金利の先高観の後退の影響では、米国中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の今年年内の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国追加利下げ予想値がやや上昇した影響などもあり、債券市場では今朝7時頃のニューヨーク終値時の一時4.510%付近に向けて米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が低下を続けていたことでは、債券利回りの金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するドル売りの影響が大きく、対円での円高ドル安に加えて、欧州ユーロなどの主要通貨に対するドル指数 (ドルインデックス) も一時107.92まで低下した外貨影響の波及もあり、円高ドル安のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の155円39銭付近から、円の高値でドルの安値の154円17銭付近の値幅約1円22銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は154円34銭付近と、前営業日同時刻の154円73銭付近の前ニューヨーク終値比で約39銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、昨日まで春節で大型連休だった中国の世界市場参入により世界市場全体の流動性の回復が予想される中でも、世界的に流動性が高いドルは今朝8時26分頃に一時154円46銭付近まで買われていたが、今朝8時30分には日本の最新経済指標の12月の日本毎月勤労統計調査の現金給与総額が発表され、前年同月比で前回3.0%が前回3.9%に上方修正されたほか、市場予想の3.7%を上回る4.8%に上振れし、物価変動の影響を除いた日本の実質賃金が2ヶ月連続でプラス圏の上昇を見せたことから、賃金上昇を伴う2%のインフレ目標への確度の高まりにより日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想値が高まったことでは、日米金利差縮小予想の円買いドル売りで円相場が上昇し、発表後の今朝8時46分頃に対ドル円相場は一時154円4銭付近に対ドルの円相場が上昇していた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時154円13 銭付近の始値で、今日は5日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったことでは、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが先行したことや、早朝の米国主要株価三指数上昇の影響により今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価が前日比の高値圏から始まったことなどでは日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りも入り、今朝9時24分頃に対ドル円相場は一時154円36銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録していた。v
しかし、続いては、国内輸出企業のまとまった円買いドル売りオーダーが入り始めたことに続き、今朝発表されていた12月の日本毎月勤労統計調査の現金給与総額が市場予想を超えて増額し、国内実質賃金上昇を受けた日銀の早期の追加利上げ予想が市場で意識されていたところに、今朝の衆院予算委員会のニュース報道では、日本政府の赤沢亮正経済財政・再生相が、「足元はインフレの状態という認識、植田和男日銀総裁と特に齟齬 (そご) はない」と発言したことが話題になり、午後にも日銀の正木一博企画局長が衆院予算委員会で、「基調的な物価上昇率は2%に向けて徐々に高まってきている」と発言しており、日本政府同調の日銀の早期の追加利上げ予想が高まった。
昨夜の米国経済指標を受けた年内の米国追加利下げ予想の影響に加えて、今日の世界ニュースでは、今朝に米国ドナルド・トランプ大統領が、「今後、イスラエルとガザ、サウジアラビアを訪問する予定」であることを記者団に語り、「イランに最大限の圧力をかける米国政策を復活する」と発言したことも話題になり、中東情勢緊迫化への警戒感でも低リスク通貨の円買いが入りやすくなったほか、世界的な安全資産の米国債買いの影響による米国長期金利低下に波及していき、日本市場での日銀の早期の追加利上げ予想を受けた日米金利差縮小予想の円買いドル売りに加えて、世界市場では中東情勢警戒による安全資産の米国債買いで米国債券価格上昇に伴う利回り低下時の債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも起き始めた。
債券市場では、日銀の早期の追加利上げ予想の影響などから、今朝9時30分頃に新発10年物の日本国債利回りが指標となる国内長期金利が一時1.296%付近に上昇し、2011年4月以来の高利回りを記録したことに対して、米国10年債の利回りは今朝9時52分頃の一時4.532%付近をピークに低下を続け、夕方の16時48分頃の一時4.490%付近に向けて4.5%台から4.4%台へと低下したため、日米の債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になり、夕方からの欧州市場でも米国長期金利低下時にはドルは欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても売られやすくなるため外貨影響の波及もあって大幅な円高ドル安が進行し、午後16時27分頃に対ドル円相場で一時153円7銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値をつけて、昨年12月以来の今年最大の円高ドル安も記録した。
なお、日銀の追加利上げ予想を受けた金利上昇への警戒感からは、今朝は前日比で一時は大幅高で始まった日経平均株価が一時反落はしたものの、堅調な日本の経済指標の影響などもあって買い戻されて、午後15時30分頃に3万8831円48銭の終値と、前日比33円11銭高の小幅高で大引けしていたことでは、為替相場への影響は限定的なものとなった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円34〜36銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の155円39銭付近の前東京終値比では約2円5銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜その後の英国ロンドン外国為替市場でも米国長期金利の低下が続き、今夜19時台に一時4.476%付近にまで低下した影響では、今夜19時39分頃にドルは円相場で一時152円55銭付近と、日本市場で記録した今年最大の円高ドル安を更新している。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時15分に米国雇用関連の最新重要経済指標の1月米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計、今夜22時30分に12月米国貿易収支、今夜23時45分に1月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) と同月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値、深夜24時に最新米国重要景気指標の 1月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数、深夜24時30分に米国週間原油在庫、28時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB 高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言予定と、29時頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の中でもタカ派として知られているミシェル・ボウマン理事の発言予定などを控えている。
また、今週金曜日の米国雇用統計などの最新米国重要経済市場の発表予定が相次ぐほか、今週金曜日の夜には日米首脳会談などのイベントなども予定されており、米国株式市場でも米国主要企業の決算報告シーズンが続いていることなどもあり、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税ディール政策や中東情勢などが注目される中で、世界情勢や政治要因や最新経済指標データなどを含めたファンダメンタルズの影響や要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は159円52〜53銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円16〜17銭付近の前東京終値と比べると約64銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、日銀の早期の追加利上げ予想が高まった一方で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州追加利下げ予想が優勢であったことなどから、日欧金利差予想が影響を及ぼしたほか、今日のファンダメンタルズのニュースを受けては、中東情勢警戒感によるリスク回避でも低リスク通貨の円が欧州ユーロや英国ポンドなどのリスク市場に弱いと考えられている主要通貨に対して買われやすかった影響などで円高になった。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円68〜74銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の192円91〜97銭付近の前東京終値比では1円23銭の大幅な円高ポンド安になっていた。
また、今夜18時30分に発表された最新英国景気指標の1月英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の51.2に対し市場予想以下の50.8に下方修正されていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0401〜1.0403ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0312〜1.0313ドル付近の前東京終値と比べると約0.89セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、米国長期金利低下時のドル売りで欧州ユーロが買い戻されており、この外貨影響から、ユーロ円のユーロの下げ幅は東京終値時点では小幅域に留まっていたが、今日の東京終値後に発表された最新欧州景気指標を受けては、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の1月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が前回と市場予想の51.4に対し51.3と下方修正され、低リスク通貨の円に対しては英国ポンド同様に一時は大幅域の円高ユーロ安になった時間も観測された。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月5日の日本時間(JST)20時59分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時59分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:59の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.86 〜 153.87 | −2.53 (円高) |
ユーロ/円 | 159.21 〜 159.22 | −0.95 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0414 〜 1.0415 | +0.0102 (ドル安) |
英ポンド/円 | 191.54 〜 191.60 | −1.37 (円高) |
スイスフラン/円 | 169.40 〜 169.46 | −0.97 (円高) |
豪ドル/円 | 96.02 〜 96.06 | −0.44 (円高) |
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