FXニュース:英追加利下げ後4.5%に
2025年2月06日
東西FXニュース – 2025年02月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日銀早期追加利上げ予想
- 米ADP雇用統計予想以上
- 米ISMサービス景況低下
- 米長期金利一時4.40%台
- 日銀田村委員タカ派発言
- 日米株価続伸リスクオン
今日2025年2月6日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の152円69銭付近から、円の高値でドルの安値の151円81銭付近の値幅約88銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円50銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の153円34〜36銭付近の前東京終値比で約84銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場では日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想による国内長期金利上昇に対し、先日のメキシコやカナダへの米国関税がディール交渉合意後に延期されたことからはドナルド・トランプ大統領の米国ディール関税政策による過度な米国インフレ再燃への警戒感が緩和されて米国政策金利の先高観の後退により米国長期金利が低下し、日米金利差縮小予想の円高ドル安が進行したが、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場でも、世界的な安全資産である米国債買いの影響により米国債券価格上昇に伴う利回り低下が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜19時台に一時4.476%付近と、昨夕の一時4.5%台から4.4%台へと低下したため、昨夜19時39分頃にドルは円相場で一時152円55銭付近と、この時点での今年最大の円高ドル安を更新していた。
その後には、米国市場を控え、世界的に流動性が高いドルの実需などもあり買い戻しが入ったことでは、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円87銭付近の始値となり、米国市場では今週金曜日に最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントなどを控えて最新経済指標が注目されていた中で、昨夜22時15分に米国雇用関連の最新米国重要経済指標の1月米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計が発表され、前回分の12.2万人が前回17.6万人に上方修正されたほか、市場予想の15.0万人を上回る18.3万人に上振れしたことでは、昨夜22時21分頃にドルは円相場で一時153円8銭付近に反発し、一時153円台に戻していた。
続いて、昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の12月の米国貿易収支は、前回分の−782億ドルが前回−789億ドルに下方修正されたほか、市場予想の−966億ドルを下回る−984億ドルに赤字額が増えたことでは、発表後の昨夜22時35分頃には安全資産の米国債買いの影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.457%付近と更に低下したが、米国の貿易赤字増加が米国関税政策に影響を与えていることでは、米国ニューヨーク債券市場では米国債券価格上昇後の米国債売りの抵抗も入り、昨夜23時頃に米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.474%付近に反発したことを受けては、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いや主要通貨に対するドルの買い戻しが起き、昨夜23時8分頃に対ドル円相場は一時153円21 銭付近と、昨夜の米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
また、昨夜23時45分に発表された最新米国景気指標の1月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) の改定値は、前回の52.8が市場予想通りの52.9に上方修正され、1月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回の52.4と市場予想の52.5を上回る52.7に上方修正されていた。
しかし、深夜24時に発表されたより重要度の高い最新米国重要景気指標である 1月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数が、前回の54.1が前回54.0に下方修正されたことに続き、市場予想の54.3を下回る52.8に下振れしたことを受けては、米国景気減速要因のインフレ圧鈍化予想が高まり、安全資産の米国債に買い戻しが入り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.419%付近に急落し、その後も一時4.40%台に向けるなど昨年2024年12月18日以来の今年の低利回りの更新に向けたことでは、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するドル売りが起き、深夜24時58分頃と午前1時6分頃に ドルは円相場で一時152円11銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、この時点での今年最大の円高ドル安を再び更新したが、ドルが二度目の安値を下抜けしない底堅さを見せたことでは、テクニカル分析的なダブルボトム (Double Bottom) の毛抜き底からのリバーサル・パターンの買い戻しを見せて反発を始めた。
この要因として、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利低下の影響により金利警戒感が緩和され、米国主要企業の決算報告シーズンの影響などもあって、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が反発上昇後の大幅続伸の終値に向けており、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も反発上昇後に続伸の終値に向けるなど、米国主要株価三指数が揃って続伸に向けたことでは米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整とドルの買い戻しが入ったことなどが抵抗になり、米国主要株価三指数が揃って高値の終値をつけると、安全資産の米国債売りによる米国長期金利の反発による下げ幅縮小もドルの円相場での抵抗要因となり、市場終盤の今朝5時48〜49分頃にかけてドルは円相場で一時152円77銭付近に買い戻されていた。
また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言の影響もあり、午前4時30分頃から予定されていた米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言では、米国デトロイトの自動車業界関係の会議において、「今年2025年に米国のインフレ率が上昇したり、インフレでの進展が停滞したりする場合、FRBはインフレが景気過熱によるものか、または米国関税によるものかを見極めるという難しい立場に置かれる。FRBが行動するべき時期、あるいは行動するべきかどうかを判断する上で、この区別が極めて重要となる」と発言し、米国関税がインフレ圧になり得る場合は、より多くの国や商品に関税の影響が拡大する可能性や長期化の恐れもあると警戒感も見せていた。
ただし、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でもタカ派で知られているFRBのミシェル・ボウマン理事の発言も今朝5時頃からあったものの、米国カンザス銀行協会の政府関係会議の講演であったことから、今年2025年以降の米国銀行規制について適切な調整とイノベーションの促進の重要性がテーマで、この日には今後の金融政策については市場が期待していた様なタカ派発言は特に伝えられなかったことでは、要人発言による為替相場への影響は限定的なものとなり、昨日の日本市場で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想の高まりにより進行していた日米金利差縮小時の大幅な円高ドル安の影響が残っていた。
今朝のニューヨーク終値の頃の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.432%付近と、一時の下げ幅は縮小したものの前日よりも低下していた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の153円21銭付近から、円の高値でドルの安値の152円11銭付近の値幅約1円10銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は152円61銭付近と、前営業日同時刻の154円34銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円73銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
続いて始まった今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝8時37〜38分頃にドルは円相場で一時152円75銭付近に買い戻されていた影響では、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時152円65銭付近の始値で、今朝の米国主要株価三指数続伸の影響で今朝の東京株式市場でも今日の日経平均株価が続伸から始まり、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが入ったほか、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いの影響もあった今朝9時21分頃には、対ドル円相場は一時152円69銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、続いては国内輸出企業の円買いドル売りが入り始めたほか、今朝の衆院予算委員会で日本政府の加藤勝信財務相が、「基本的には現状、物価が上がっているという意味ではインフレ」と発言し、昨日に続き賃金上昇を伴う2%のインフレ目標を掲げる日銀の早期の追加利上げ予想による円買いが入り、更に今朝10時半頃から日銀の中でもタカ派で知られる田村直樹審議委員の発言があり、長野県の金融経済懇談会の挨拶において、「2025年度後半には、少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価安定の目標を持続的・安定的に達成するうえで必要だ」と市場予想以上のタカ派発言をした影響により、日米金利差縮小予想による円買いドル売りの勢いが増して円相場が上昇し、今朝10時41分頃には対ドル円相場は一時 151円81銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、昨年2024年12月以来の今年最大の円高ドル高を続伸した。
今朝は前日比で大幅高から始まっていた日経平均株価が、国内金利上昇への警戒感の高まりから上昇幅を縮小したことも低リスク通貨の円買いに影響を与えたが、今朝までの米国主要株価三指数続伸の影響も続き、再び上昇に向け始めると、市場安値後のドルの買い戻しと市場高値後の円の利益確定売りで反発を始めていたドルの買い戻しが強まった。
また、今日の午後14時頃から先ほどの日銀の田村日銀審議委員の記者会見での再発言があり、「政策金利0.75%の壁は特に意識していない」ことや「中立金利は1%と決め打ちしているわけではない」ことに言及し、「物価上振れリスクはだんだん膨らんでいる」としたものの、「利上げペースは半年に1回などの予断は持っていない」などの見解を示したことでは、他の日銀金融政策決定会合の委員達と今後のデータ次第で利上げペースを決めるとの市場予想が高まったことでは、タカ派の早期の追加利上げ予想の影響はやや緩和された。
市場予想以上のタカ派の国内金利上昇への警戒感がやや緩和されたことでは、午後15時30分頃には、今日の日経平均株価は3万9066円53銭の終値をつけ、前日比235円5銭高の大幅高で大引けし、夕方の欧州市場参入後の午後16時台には日本市場時間の時間外の米国債券取引でも世界的な安全資産の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.441%付近に下げ幅を縮小したため、午後16時2分と7〜10分と38分と40分頃の複数回に渡り、ドルは円相場で一時152円67銭付近の市場高値圏で高止まりを見せたが、何度も上抜けできなかったことではやや反落した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円50銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の153円34〜36銭付近の前東京終値比で約84銭の円高ドル安になった。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に1月の米国チャレンジャー人員削減数、今夜22時30分に10〜12月の第4四半期の米国非農業部門労働生産性と米国単位労働コストの速報値と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、28時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言予定などを控えている。
米国主要企業の決算報告シーズンも続いており、今夜この後の米国市場の株引け後には米国アマゾン (Amazon) の決算報告なども予定されており、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、明日の金曜日の夜には最新米国重要経済指標の1月の米国雇用統計などの発表イベント予定もあり、同日に日米首脳会談も予定されていることから、米国関税ディール政策や中東情勢などが注視される中で、世界情勢や政治要因や最新経済指標データなどを含めたファンダメンタルズの影響や要人発言なども世界のFXトレーダー達が注目している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円33〜35銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円52〜53銭付近の前東京終値と比べると約1円19銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日に続き、日銀の早期の追加利上げ予想による主要通貨全般に対する円相場の上昇の影響が大きかった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0379〜1.0380ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0401〜1.0403ドル付近の前東京終値と比べると約0.22セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、昨夜に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のフィリップ・レーン専務理事が講演で、欧州ユーロ圏で、「ディスインフレの過程は順調に進んでいる」発言し、欧州追加利下げ予想が優勢であったが、「欧州インフレ鈍化が、予想以上に時間がかかる可能性を考慮に入れておくことは重要」とやや慎重な姿勢も示したことでは、一時の米国長期金利低下時のドル売りでは欧州ユーロ買い戻しが入ったが、今日の夕方には米国長期金利が下げ幅を縮小したこともあり、再びドルが買い戻されていた影響が波及した。
なお、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の12月の独製造業新規受注は、前月比が前回の−5.4%と前回上方修正の−5.2%と市場予想の2.0%を上回る6.9%に上振れしたが、前年同月比では前回の−1.7%が前回−1.4%に上方修正され市場予想の−10.5%ほどは悪化しなかったものの−6.3%のマイナス圏であった。
今夜19時に発表の欧州ユーロ圏総合の12月の欧州小売売上高も、前月比が前回プラス圏だった0.1%が前回0.0%に下方修正された上で、市場予想の−0.1%を下回る−0.2%とマイナス圏に転じたが、前年同月比では前回の1.2%と前回上方修正の1.6%を上回る市場予想通りの1.9%であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円15〜21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の191円68〜74銭付近の前東京終値比では1円53銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、日銀の追加利上げ予想による主要通貨の円買いに加えて、今夜21時には英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) による英国政策金利発表のイベントを控えたイベントリスクの影響もあり、日銀の追加利上げ方向に対して英国追加利下げ予想の影響でも円高ポンド安が進行した。
また、今夜18時30分に発表された最新英国経済指標の1月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) は、前回と市場予想の53.5を下回る48.1に低下し、景気ボーダーラインの50を下回る不景気寄りの指標になっていた。
速報として、今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) は、これまでの4.75%の英国政策金利を市場予想通り4.50%へと0.25%の英国追加利下げを発表し、発表後の英国ポンドは円相場での大幅な下落幅を前東京終値比で一時3円超えに拡大している。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月6日の日本時間(JST)21時5分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の12時5分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 21:05の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.31 〜 153.32 | −1.03 (円高) |
ユーロ/円 | 157.76 〜 157.77 | −1.76 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0356 〜 1.0358 | −0.0045 (ドル高) |
英ポンド/円 | 188.42 〜 188.48 | −3.26 (円高) |
スイスフラン/円 | 168.25 〜 168.31 | −1.38 (円高) |
豪ドル/円 | 95.42 〜 95.46 | −0.72 (円高) |
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