FXニュース:米パウエル議長発言控え
2025年2月11日
東西FXニュース – 2025年02月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧米主要株価が反発上昇
- 独DAX史上最高値を更新
- 米長期金利一時4.5%台
- 欧ECB総裁貿易摩擦懸念
- 米関税政策のインフレ圧
- 今週米重要経済指標発表
今日2025年2月11日火曜日の日本の東京外国為替市場は建国記念日の祝日休場だったが、世界FX市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの日本市場相当時間の対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の151円69銭付近から、円の安値でドルの高値の152円6銭付近の値幅約37銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は151円97銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の152円17〜19銭付近の前東京終値比で約20銭の円高ドル安であった。
ただし、今夜その後の20時台の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、小幅な円安ドル高への市場反転も見せている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日の日経平均株価が小幅高で大引けした後に、欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien IndeX) が史上最高値に向けるなど欧州株式市場が堅調で、前日に下落後の米国主要株価先物も反発上昇を見せていたことなどから、時間外の米国債券市場では世界的な安全資産である米国債売りが起き、米国債券価格低下に伴う利回り上昇の影響などで、昨夜17時23分頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.511%と一時4.5%台に上昇し、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いにより、昨夜17時34分頃にドルは円相場で一時152円54銭付近と、昨日の日本市場のドルの高値を円相場で上抜けしていた。
しかし、この日に大統領令への署名が予定されていた米国に輸入される鋼鉄やアルミ製品に対し一律の25%の関税を課す米国関税政策の対象国には例外措置なく同盟国も含まれる可能性や、先日の日米首脳会談後に発表された相互関税導入などによる貿易摩擦リスクなどからは、米国インフレ再燃警戒感で米国政策金利の先高観による米国長期金利上昇時のドル買いがあった一方で、世界的な安全資産である米国債の買い戻しによるリスク回避のリスクオフの抵抗も入り始めたことでは米国長期金利が一時4.486%付近に上昇幅を縮小した時間があったことでは、昨夜20時2〜3分頃にかけてドルも円相場で一時152円1銭付近に上昇幅を縮小したが、その後に米国長期金利が再び一時4.5%台に戻して昨夜21時29分頃にはドルは円相場で一時152円25銭付近に買い戻されたが、今週は今夜と明日の夜に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定があるほか、明日の水曜日の夜には最新米国重要インフレ指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) など最新米国重要経済指標の発表予定があり、イベントリスクでも米国長期金利が再び低下し、ドルは円相場で下落を始めていた。
欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円6銭付近の始値で、昨夜22時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時152円9銭付近の高値を昨夜22時2分頃の二度目の高値圏から上抜けできなかったテクニカル分析的なダブルトップ (Double Top) の売りサインから反落を続け、世界的な安全資産の米国債買いの影響により、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起きて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の低下が続き、深夜24時40分頃には一時4.463%付近と大幅な急落を見せたことなどから、深夜24時14分と42分頃に対ドル円相場は一時151円57銭付近と、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
この一因として、昨夜23時頃から欧州議会で欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリステーヌ・ラガルド総裁の要人発言が始まっており、「欧州ユーロ圏におけるディスインフレのプロセスは順調に進行している」として「欧州インフレ率は今年中に2%の目標になる見通しだが、上下両サイドのリスクはある」と述べ、欧州のディスインフレによる欧州追加利下げ予想の継続を受けては欧州金利警戒感の緩和などにより欧州主要株価指数は最高値を記録後にも大幅高の終値に向けたが、米国関税が欧州経済にも影響を及ぼすことへの警戒感も示し、「世界的な貿易摩擦の増大は、欧州ユーロ圏のインフレ見通しをより不透明にするだろう」などと言及したことでは、世界的な安全資産の米国債買いで米国長期金利が低下すると、先日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想の影響なども燻り、主要通貨に対する低リスク通貨の円買いの影響が強まっていた。
一方、米国政府のホワイトハウスでは、ドナルド・トランプ大統領が米国現地時間の2月10日付けで、アメリカに輸入される全ての鉄鋼とアルミニウム製品に対し、25%の米国関税をかける大統領令に正式に署名し、これまでに関税を減免してきた国々も「例外なく対象」にする方針を明らかにし、さらに今後は自動車と医薬品や半導体などにも同様の関税措置を実施する可能性を示したことでは、貿易国に同水準の税率を適用する相互関税導入についても今週に発表する見通しであることなどでは、米国関税政策を巡る米国インフレ警戒感の再燃も燻り、今週のイベントリスクを控えた持ち高調整や様子見の値動きの抵抗の混ざる中でも米国インフレ圧を意識したドル買いが入り始めたほか、米国政策金利の先高観を受けて、米国ニューヨーク債券市場では反落後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発し、再び一時4.5%台に向けたことでは円相場でのドルの買い戻しも入り始めた。
また、米国ニューヨーク株式市場では、昨夕の先物から反発上昇を見せていた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が揃って反発上昇を続けており、米国主要株価三指数が揃って前日比で高値の終値に向けていたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で安全資産の米国債が米国債券価格上昇後の売りなどで米国債券価格反落に伴う利回り上昇で債券利回りの日米金利差を拡大すると、低リスク通貨の円にも利益確定売りや持ち高調整が入ったことなどでは、午前3時55分頃にドルは円相場で一時152円7銭付近と再び152円台に反発したが、今週のイベントリスクを控えた持ち高調整や様子見では小動きになった。
米国ニューヨーク債券市場では、今朝5時35分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.507%付近と、一時4.5%台の高利回りに戻しており、債券利回りを受けた日米金利差拡大では、ドルは円相場で152円台のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の152円9銭付近から、円の高値でドルの安値の151円57銭付近の値幅約52銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は152円0銭付近と、前営業日同時刻の151円41銭付近の前ニューヨーク終値比で約59銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝の世界ニュースでは米国政府のドナルド・トランプ大統領が、アメリカに輸入される鉄鋼とアルミニウムへの25%の米国関税を対象国に例外なく導入する大統領令に署名し、「この米国にとって、鉄とアルミは外国でなく国内で作られなくてはならない」などと発言したが、他の製品にも相互関税をかける今後の方針については対象国や関税率をまだ示さずに免除などがあるのかどうかにはまだ言及していなかった一方で、オセアニアのオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相がドナルド・トランプ大統領と電話会談をし、関税問題に関する懸念を提起したことでオーストラリアが免除される可能性があることを示唆し、「米国大統領は、両国の利益のため免除を検討中だと同意した」と発言したニュースが話題になり、ドナルド・トランプ大統領もオーストラリアへの免除措置の検討について、「理由は、向こうは飛行機が必要でたくさん買うからだ」と述べており、広大な自然と土地を持つオーストラリアでは自家用車や救急車などの代わりに小型飛行機が移動に必要な地方があることなどに配慮したのか、「飛行機がたくさん必要だから」と、免除措置検討について「熟慮するとアンソニー・アルバニージー首相に伝えた」と記者団に話しており、米国相互関税についてはディール政策の交渉余地があることからは、過剰な米国インフレ圧への警戒感がやや緩和されたドル売りも入り、今朝8時58分頃にドルは円相場で一時151円75銭付近と、152円台から151円台に下げていた。
今朝9時頃からの今日の日本市場は建国記念日の祝日休場で、市場全体の流動性が減少していたが、世界市場での米国関税警戒感からは低リスク通貨の円買いの影響もあり、世界FX市場の今朝9時頃の東京外国為替市場始値相当時間の対ドル円相場は一時151円89銭付近の始値で、アジアと時間帯の近い今朝早朝のオセアニア市場の影響により円相場でドル売りの影響が続いていた今朝9時12分頃にはドルは円相場で一時151円69銭付近と、今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国政策金利の先高観が燻っていた影響では、世界的な流動性の高さによるドル需要もあり、市場安値後のドルの買い戻しと市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りとイベント前の持ち高調整も入り始めたことでは、今朝10時26分頃にはドルは円相場で一時152円6銭付近と再び152円台に買い戻されて、今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、今週の最新米国重要経済指標の発表のイベントや、今夜この後と明日に2日間の米国議会証言で米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも市場への影響が大きいジェローム・パウエル議長の要人発言予定のイベントが続くことから、イベント前の利益確定と持ち高調整やイベントリスクの様子見や買い控えの抵抗も入った。
夕方の欧州市場の参入では、午後16時46〜48分頃に時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.520%付近に上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードの円売りドル買いが入った影響では、午後16時52分頃に一時152円5銭付近の高値圏になったが、イベントリスクによる持ち高調整や様子見の買い控えでは一時151円台後半に上昇幅を縮小した時間があったため、前東京終値比では小幅な円高ドル安の東京終値相当時間になった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は151円97銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の152円17〜19銭付近の前東京終値比では約20銭の円高ドル安になっていた。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定はないものの、今夜と明日に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム(ジェイ)・パウエル議長の要人発言予定などが注目されているが、米国債の入札予定などもあり、日本時間の経済指標カレンダーは、深夜24時頃からジェローム・パウエル議長の半期に1度の米国議会証言で今夜上院銀行委員会における要人発言予定があり、27時には米国3年債の入札予定、29時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのミシェル・ボウマン理事の発言予定と、29時30分頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定などを控えている。
また、明日の水曜日には最新米国重要インフレ指標の1月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントも控えているが、今週はその他にも最新の米国生産者 (卸売) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) や米国小売売上高などの経済データの発表予定が続くほか、今夜この後も米国コカコーラなど、米国主要企業の決算報告も続くため、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税ディール政策や中東情勢などが注視される中で、世界情勢や政治要因や最新経済データなどを含めファンダメンタルズの影響や要人発言なども世界のFXトレーダー達が注目している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値相当時間は156円58銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円92〜93銭付近の前東京終値と比べると約34銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日に続き、日本市場と時間帯が近い世界市場でも欧州ディスインフレ観測による欧州追加利下げ予想が優勢だった一方で、日銀の早期の追加利上げ予想による円高の影響や米国関税警戒感などで低リスク通貨の円買いの影響があり、リスク市場に比較的弱いとされている欧州ユーロや英国ポンドに対しては円相場の上昇が続いていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は187円49〜55銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の188円75〜81銭付近の前東京終値比では1円26銭の大幅な円高ポンド安であった。
ただし、その後の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利上昇に伴って英国債利回りや欧州長期金利の指標となるドイツ連邦10年債利回りも連れて上昇した影響では、債券利回りを受けた金利差トレードで低金利通貨の円売りの利益確定売りや持ち高調整が入り始めたことでは、今夜20時台終盤の欧州ユーロは円相場で円安ユーロ高への市場反転も見せたほか、英国ポンドも円相場で下げ幅を小幅域に縮小している。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0304ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0310〜1.0312ドル付近の前東京終値と比べると約0.06セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧州ディスインフレ発言受けた欧州追加利下げ予想の継続と、米国関税警戒感などが影響を及ぼしており、また米国政策金利の先高観から米国長期金利が上昇し、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜20時57分頃には時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.532%付近にも上昇している。
また、今夕の欧州委員会で、通商・経済安全保障担当のマロス・セフコビッチ委員が「欧州連合(EU / European Union)は、米国関税に対して対抗措置を講じる」と発言したニュースが話題になったことでも、欧米貿易摩擦への警戒感によるリスク回避のリスクオフの欧州ユーロ売りが世界的な流動性の高さから安全資産でもある対ドルで入っていた。
しかし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利上昇に連れて欧州長期金利も上昇した影響では、欧州ユーロの買い戻しが入って反発した今夜20時台後半には小幅なユーロ高ドル安への市場反転も見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月11日の日本時間(JST)20時58分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時58分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:58の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.35 〜 152.36 | +0.18 (円安) |
ユーロ/円 | 157.26 〜 157.27 | +0.34 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0320 〜 1.0322 | +0.0010 (ドル安) |
英ポンド/円 | 188.36 〜 188.42 | −0.39 (円高) |
スイスフラン/円 | 166.85 〜 166.91 | −0.20 (円高) |
豪ドル/円 | 95.56 〜 95.60 | +0.10 (円安) |
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