FXニュース:最新米小売売上高を控え
2025年2月14日
東西FXニュース – 2025年02月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ユーロ地政学リスク緩和
- 米PPI上振れも一部低下
- 米相互関税導入調査期間
- 米長期金利低下4.5%台
- 日経済財政再生相の発言
- 日経平均反落リスク回避
今日2025年2月14日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の153円10銭付近から、円の高値でドルの安値の152円38銭付近の値幅約72銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円70銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円27銭付近の前東京終値比で約1円57銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州連合(EU / European Union)の米国関税協議への期待感やロシアとウクライナ停戦協議による地政学リスク緩和の影響が続き、低リスク通貨の円や世界的に流動性の高い安全資産であるドル対し欧州ユーロが買い戻された外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜17時3分頃の一時154円34銭付近をピークに米ドルが円相場で上昇幅を縮小し、昨夜20時台後半には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も上昇幅を一時4.6%台から4.598%付近に縮小した影響もあり、昨夜20時47分頃にドルは円相場で一時153円73銭付近と前東京終値よりもドルが円相場で下落した。
欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時153円85銭付近の始値であったが、米国市場では昨夜22時30分に最新米国経済指標でインフレ関連の1月米国生産者 (卸売) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) が発表され、前月比は前回0.2%が前回0.5%に上方修正された上で市場予想の0.3%を上回る0.4%に上昇し、前年同月比も前回3.3%が前回3.5%に上方修正された上で市場予想の3.2%を上回る3.5%に上振れし、天候条件などで価格変動の激しい食品とエネルギーを除き基調を示す1月米国PPIコア指数は、前月比が前回0.0%から前回0.4%に上方修正されており市場予想通りの0.3%だったが、前年同月比では前回3.5%が前回3.7%に上方修正された上で市場予想の3.3%を上回る3.6%に上昇したことを受けては米国インフレ圧が意識されたドル買いの影響により、発表時の昨夜22時30分にドルは円相場で一時154円2銭付近に上昇し、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、昨夜22時30分に同時発表された米国雇用関連の最新経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の21.9万件と前回修正の22.0万件と市場予想の21.5万件よりも堅調な21.3万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の188.6万人と市場予想の188.0万人よりも強い185.0万人に改善されていた。
しかし、先ほどの1月米国生産者 (卸売) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の個別項目の詳細では、医療関連などの1月の米国個人消費支出(PCE / Personal Consumption Expenditures)物価指数の構成要素となる一部項目が低下しており、米国連邦準備制度理事会(FRB / Federal Reserve Board)が見通しで引用するなどして重視している1月の米国個人消費支出(PCE / Personal Consumption Expenditures)物価指数の市場予想では、一部項目の低下要因により大幅な上昇への警戒感が後退したことを受けては、一時4.5%台に下げ始めていた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が更なる低下に向けたため、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整に加えて、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になり、ドルは円相場で下落を始めた。
さらに、昨夜には米国政府のドナルド・トランプ大統領が、貿易相手国と同水準の米国関税を課す相互関税の導入を指示する覚書に署名した世界ニュースがあったが、市場で警戒されていた様な高税率の相互関税の即時発動は見送られて、米国通商代表部(USTR / United States Trade Representative)や米国商務省が国毎に今後調査した上で個別に対応するとし、調査期間は4月1日頃までの数ヶ月にも及ぶという見通しであることから、猶予期間ができたことに加えて各国に交渉の余地がある米国ディール政策が意識され、交渉次第では米国関税を回避ができる可能性などから、米国関税による米国インフレ再燃警戒感の緩和でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、米国ニューヨーク債券市場では、午前3時の米国30年債入札の影響が他の年度の米国債に波及した後の午前4時50分頃には、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.522%付近と大幅な低下を見せており、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りや、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対する米国長期金利低下時のドル売りの影響もあり、午前5時58分頃には対ドル円相場は一時152円70銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国関税インフレ再燃への警戒感緩和や米国長期金利低下に伴う金利警戒感の緩和などにより、米国主要株価指数が揃って上昇し、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅高の終値に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と世界的な国際ハイテク企業比率の高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も揃って上昇し、米国主要株価三指数上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) では低リスク通貨の円売りも入ったことはやや抵抗になったが、リスクオン市場では世界的に流動性が高いドルも欧州ユーロや英国ポンドなどに売られやすかったことでは円相場への影響は限定的なものとなり、前日比で円高ドル安のニューヨーク終値に向けた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円2銭付近から、円の安値でドルの高値の152円70銭付近の値幅約1円32銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は152円80銭付近と、前営業日同時刻の154円42銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円62銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝8時39分頃にドルは円相場で一時153円16銭付近に買い戻されていた影響では、今朝9時頃からの東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時153円0銭付近で、日本市場では今日は5と10が付く貿易企業の決済日が集中しやすい「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったことから、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需のドル需要の円売りドル買いが先行した影響では、今朝9時7分頃にドルは円相場で一時153円10銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、日本政府の赤沢亮正経済財政・再生相が、「円安は実体経済に様々な影響、為替動向を十分注視する」と、円安牽制発言をした影響による主要通貨に対する円の買い戻しが入り始めたほか、米国政府の相互関税について、「措置の具体的な内容や影響を精査し、適切に対応」と発言しており、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が歩調を合わせて、今後の賃金上昇を伴う2%のインフレ目標に向けて日銀の追加利上げを支援するとの市場での見方もあり、今朝までの米国長期金利低下時の日米金利差縮小時よる円買いドル売りに加えて、日米金利差縮小予想でも円が買い戻されてドルに対して上昇した。
また、日本政府の円安牽制発言などを受けて、日本政府支援の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ予想が最意識され、昨日までは続伸していた日経平均株価が反落を始め、円安時に買われた海外投資の日本株が今日の円高トレンドに乗せて利益確定売りや持ち高調整で売られた影響もあり前日比で大幅安に向けたため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しがドルや主要通貨に対して入り、今朝10時41分頃に対ドルの円相場は一時152円44銭付近と152円台前半に上昇し、また、午後15時30分に日経平均株価が3万9149円43銭の終値をつけて前日比312円4銭安の安値で大引けすると、株価リスク回避の低リスク通貨の円買いの影響で、午後15時45分頃に対ドルの円相場は再び一時152円44銭付近に上昇し、前東京終値比で大幅な円高ドル安が進行した。
夕方からの欧州市場の参入では、昨夜にもロシアとウクライナ停戦協議による地政学リスク緩和などで欧州ユーロが対ドルで買い戻されたトレンドの影響が続いており、ユーロドルのドル安の外貨影響の対ドル円相場への波及もあり、今日の日本市場時間にも米国長期金利低下後の4.5%台の推移が続く中で、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の1月独卸売物価指数(WPI / Wholesale Price Index) の前月比が前回の0.1%に対し0.9%に上昇したことでも欧州ユーロが対ドルで買われたため、その外貨影響も対ドル円相場にも波及し、午後16時9分頃に対ドル円相場は一時152円38銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
今日の日本市場の時間外の米国債券取引でも一時4.533%付近に低下していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、夕方の16時53分頃に一時4.549%付近に反発して下げ幅を縮小した影響では、市場安値後のドルの買い戻しも入り始めたが、今夜この後にも米国景気関連の最新米国重要経済指標の発表イベントを控えているイベントリスクからは、低リスク通貨の円に対する買い戻し幅は限られていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円70銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円27銭付近の前東京終値比では約1円57銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後にも最新米国重要経済指標の発表予定があり、今夜22時30分にも最新米国景気指標の1月の米国小売売上高と、1月米国輸入物価指数と1月米国輸出物価指数が同時発表され、今夜23時15分に1月米国鉱工業生産と1月米国設備稼働率と、深夜24時に12月米国企業在庫などの発表を控えており、イベント前にはイベントリスクによるドルの利益確定や持ち高調整の影響なども観測されている。
また、週末を控える米国株式市場では今週の米国主要企業の決算報告シーズンの影響もあり、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税ディール政策や中東情勢なども注視される中で、世界情勢や政治要因と最新経済データなどを含めたファンダメンタルズや要人発言なども世界のFXトレーダー達が引き続き注視する。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は159円79〜80銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円82〜84銭付近の前東京終値比で約1円3銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、先述の通り、今日の日経平均株価が大幅な下落を見せ、日本株価リスク回避のリスクオフによる低リスク通貨の円買いで、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対して買われて上昇した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円85〜91銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の192円91〜97銭付近の前東京終値比で約1円6銭と大幅な円高ポンド安になった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0464〜1.0466ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0424〜1.0426ドル付近の前東京終値比で約0.40セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、先日の欧州連合 (EU / European Union) の米国関税協議のニュースに続き、昨夜に米国相互関税の即時発動が見送られて調査期間の猶予期間に交渉の可能性があることや、欧州と地理的に近いウクライナ情勢がロシアと停戦協議合意に向けており、欧州地域の地政学リスク緩和の影響もあって、欧州ユーロが世界的に流動性の高い安全資産でもある対ドルで買い戻されて上昇していた。
なお、今夜19時には欧州ユーロ圏総合の10〜12月第4四半期欧州域内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値の発表があり、前期比は前回と市場予想の0.0%が0.1%に上方修正されたが、前年同期比は前回と市場予想通りの0.9%の横ばいであった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月14日の日本時間(JST)20時40分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時40分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:40の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.61 〜 152.63 | −1.66 (円高) |
ユーロ/円 | 159.76 〜 159.78 | −1.06 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0467 〜 1.0469 | +0.0043 (ドル安) |
英ポンド/円 | 192.07 〜 192.13 | −0.84 (円高) |
スイスフラン/円 | 169.24 〜 169.30 | −0.42 (円高) |
豪ドル/円 | 96.69 〜 96.73 | −0.23 (円高) |
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