FXニュース: 日銀審議委員タカ派発言
2025年2月19日
東西FXニュース – 2025年02月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米NY連銀製造業景況改善
- 米FRB高官慎重発言続く
- 米露ウクライナ停戦交渉
- 新NZ準備銀0.5%利下げ
- 日銀追加利上げ予想影響
- 日10年債利回り1.435%
- 日経平均下落リスク回避
今日2025年2月19日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の152円32銭付近から、円の安値でドルの高値の151円59銭付近の値幅約73銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円64銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の152円10銭付近の前東京終値比で約46銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国とロシア政府がサウジアラビアでウクライナ戦争停戦交渉について話し合う初の米露高官会合が欧州と英国やウクライナ抜きで開かれる警戒感がある中で、欧州連合 (EU / European Union) の北大西洋条約機構 (NATO / North Atlantic Treaty Organization) 加盟国の軍事費上昇予想による財政圧迫への懸念などから、欧州主要株指数価の独DAX (Deutscher Aktien-indeX) が一時反落した影響では、株価リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いが入り、対ドル円相場は昨夜17時頃の前東京終値の一時152円台から151円台へと円相場が上昇し、昨夜20時38分頃にドル円は一時151円68銭付近と前東京終値比で円高ドル安に転じ始めていた。
ただし、昨夜19時に欧州経済研究センター(ZEW / 独語:Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung / 英語:Centre for European Economic Research)が発表していた欧州ユーロ圏総合と主要国ドイツの最新経済指標の2月の欧州・独ZEW景況感調査と期待指数はいずれも市場予想以上であったことなどでは、欧州周辺の地政学リスク緩和期待の影響もあり、一時低下後の欧州主要株価指数の独DAXが反発上昇し、大幅高に向け始めたことでは、世界的に流動性が高いドルに対して低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整が入り始めたほか、世界的な安全資産である米国債売りの影響で米国債券価格低下に伴う利回り上昇により、時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.5%で上昇し、債券利回りの日米金利差トレードではドルが円相場で買い戻されて下げ幅を縮小した。
欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場は米国祝日連休明けで、現地ドル実需見込みなどでもドルの買い戻しが円相場で入ったため、ドルは円相場で下げ幅を縮小し、一時151円72銭付近のニューヨーク始値となり、この時間には米国長期金利も一時4.527%付近への上昇していた。
米国市場では、昨夜22時30分に最新米国経済指標の2月米国ニューヨーク連銀製造業景気指数の発表があり、前回マイナス圏だった-12.6と市場予想の-1.0を大きく上回るプラス圏の5.7に改善したことを受けては、堅調な景気指標発表後のドルは円相場で昨夜23時54分頃の一時151円86銭付近に向けた上昇を見せた。
ただし、続いて深夜24時に発表された最新米国経済指標の全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) の2月米国NAHB住宅市場が前回と市場予想の47を下回る42に低下したことを受けては、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債の買い戻しが入り、深夜24時40分頃には米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.514%付近に低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時には円買いドル売りが入りやすく、また米国市場の祝日連休中に日本の最新重要経済指標の2024年10〜12月第4四半期の日本実質国内総生産 (GDP /Gross Domestic Product) の速報値が上振れし、堅調な日本経済のインフレ圧が意識され、賃金上昇を伴う2%のインフレ目標の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期追加利上げ予想が影響を及ぼして新発10年物の日本国債利回りが指標の国内長期金利が上昇した日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響もあり、深夜24時47分頃に対ドル円相場は一時151円53銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、前日までにも次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の当面の米国政策金利維持を示唆する慎重な発言が続いた中で、この日にも米国サンフランシスコ地区連邦準備銀行のメアリー・デイリー総裁の発言が話題になり、米国アリゾナ州フェニックスの米国銀行協会の会合で、米国経済と米国労働市場の堅調さを指摘し、「米国インフレ目標達成への進展が継続していると確認できるまでは、制約的な米国金融政策を維持しなくてはならない」と、当面の間の金利維持を示唆するタカ派発言をし、「時間をかける必要がある」ことや「注意深い監視を続け、慎重に検証していく」と、第二次ドナルド・トランプ政権の米国関税政策などにも慎重な姿勢を示したことから、当面の間の米国金利維持と今後の追加利下げ時期に特に言及しない未定感への市場の受け止め方が広がり、早期の米国追加利下げ予想が後退し、米国政策金利の先高観を受けて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が米国市場終盤の一時4.560%付近に向けた上昇を始めた。
一方、連休明けの米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の先高観を受けては、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が一時揃って下落したが、米国景気好感を受けては連休前に解消されていたポジションの再形成もあり市場安値圏からの株の買い戻しが入り始めて反発上昇し、今朝早朝には米国主要株価三指数は揃って前営業日比で小幅高の終値をつけた。
このことから、一時の欧米株価リスク回避で買われていた低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整が入ると共に、安全資産の米国債売りで上昇トレンドだった米国長期金利が、米国株引け後の市場終盤の今朝6時15分頃には一時4.560%付近と米国市場での高利回りに達したため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響で、今朝6時27分頃にドルは円相場で一時152円13銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、再び一時152円台と前東京終値比で小幅な円安ドル高に転じていた。
また、先述のサウジアラビアでの米露政府高官会談後の米露首脳の対面会談の日程がまだ未定で、市場ではウクライナ停戦に向けた不透明感が漂うニュース続報があったことに加えて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「トルコも含めた欧州が参加すべきだ」と米露会談に対する欧州関与を訴えており、19日に予定されていたサウジアラビア訪問を3月10日に延期すると話しており、欧州での当面の地政学リスク継続が再意識されたことで欧州ユーロが対ドル再び売られた外貨影響も、対ドル円相場に波及していた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円53銭付近から、円の安値でドルの高値の152円13銭付近の値幅約60銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は152円6銭付近と、前営業日同時刻の151円51銭付近の前ニューヨーク終値比では約55銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時50分頃のオセアニア市場では、今日の日本市場に先立って日本の最新経済指標の発表があり、最新貿易統計の発表前には対米貿易黒字解消のための円安是正圧などの米国相互関税への警戒感が燻っていたが、通関ベースの1月日本貿易統計は、季調前が前回の1309億円と前回上方修正の1325億円と市場予想の-2兆1005億円に対し-2兆7588億円と市場予想よりも貿易赤字が拡大しており、季調済も前回の-330億円と前回下方修正の-2210億円と市場予想の-2436億円を大幅に下回る-8566億円の赤字であったことでは貿易摩擦懸念はやや後退し、今朝9時頃から始まった東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円92銭付近となった。
ただし、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いなどが入ったほか、今朝10時には時間帯が近いオセアニア市場でニュージーランドの中央銀行にあたるニュージーランド準備銀行 (RBNZ / Reserve Bank of New Zealand) が市場予想通り0.5%の大幅利下げを発表したことでニュージーランドドルが世界的に流動性の高いドルに対して円よりも一時多く売られた外貨影響の対ドル円相場への波及などもあり、今朝10時2分頃にドルは円相場で一時152円11銭付近への再上昇を見せていた。
しかし、今日の日本市場では、今朝10時30分頃から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の中でもタカ派で知られる高田創審議委員の発言があり、日銀早期追加利上げ観測報道の影響もあり、宮城県の金融経済懇談会の挨拶で先行きの金融政策運営について、日本企業の設備投資や賃上げなどの「前向きな企業行動」の持続性が確認され「見通しが実現していけば、一段のギアシフトを進める局面」であるとタカ派発言し、国内債券市場では新発10年物の日本国債利回りが指標となる国内長期金利が一時1.435%付近と、およそ15年3カ月ぶりの高利回りに向け、今朝10時33分頃に対ドル円相場は一時151円74銭付近と、円相場が反発上昇した。
日銀の高田創審議委員は、午後にも記者会見で再発言をする予定と伝わったことでは、イベントリスクによるイベント前の早期の利益確定売りや持ち高調整が抵抗となり、外貨影響の波及もあって買い戻されていたドルは円相場で再び一時152円台に向けて上昇し、午前11時9〜10分頃に一時152円32 銭付近と、今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。
一方、今日の東京株式市場では、国内長期金利上昇を受けた金利警戒感からは日経平均株価が大幅に下落し、株価リスク回避のリスクオフにより国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻され、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が3万9164円61銭の終値をつけ、前日比105円79銭安で大引けすると、低リスク通貨の円買いの勢いが増した。
また、今朝のニュージーランド準備銀行 (RBNZ) の追加利下げ後の記者会見でエイドリアン・オア総裁がRBNZの今後の大幅追加利下げに慎重な発言をした影響によるニュージーランドドルの買い戻しが対ドルで入った外貨影響の波及や、夕方からの欧州市場参入時の値動きの影響に加えて、午後の日銀のタカ派の高田創審議委員の記者会見での再発言の影響などもあり、午後16時8〜9分頃には対ドル円相場は一時151円59銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
とはいえ、日銀の追加利上げ予想が高まる一方で、米国金利据え置き予想が優勢であったことでは、夕方には米国長期金利が再び上昇を始めてドルの買い戻しも入り始めてはいたが、今夜17時頃からの英国ロンドン外国為替市場の参入後に米国長期金利の上昇トレンドがより顕著になったため、その前に日本市場が終了したことでは、前東京終値比では日銀の追加利上げ予想の影響を受けた円高ドル安の東京終値をつけていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円64銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の152円10銭付近の前東京終値比では約46銭の円高ドル安になった。
今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜20時台には米国長期金利が一時4.574%付近に向けて上昇し、今夜20時39分頃にドルは円相場で一時151円96銭付近への下げ幅を縮小も見せている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と米国債入札に加えて、前回1月28〜29日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の議事要旨の公開予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に1月米国住宅着工件数と1月米国建設許可件数、27時に米国20年債入札、28時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨などを控えている。
加えて、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界情勢などの政治ニュースや要人発言なども世界のFXトレーダー達が引き続き注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は158円51銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円16〜17銭付近の前東京終値比で約65銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、日銀追加利上げ予想の影響がある一方で日経平均株価下落を受けた低リスク通貨の円買いがあり、その一方でウクライナ情勢の停戦会談で欧米の足並みが揃わず早期の地政学リスク緩和期待に不透明感が燻ったことなどでも欧州ユーロが円やドルに売られた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0452ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0463〜1.0465ドル付近の前東京終値比で約0.11セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドも、欧州ユーロと同様に、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円36〜42銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円87〜93銭付近の前東京終値比で約51銭の円高ポンド安になっていた。
ただし、今日の夕方16時には最新英国インフレ指標の発表があり、1月英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は、前月比が前回の0.3%と市場予想の-0.3%に対して-0.1%と想定以上に根強く、前年同月比は前回の2.5%と市場予想の2.8%を上回る3.0%に上振れし、1月英国CPIコア指数は前年同月比が前回の3.2%に対し市場予想通りの3.7%であったが、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の政策金利予想では追加利上げ時期が遅れる可能性もあることでは英国ポンドは欧州ユーロよりも小幅な円相場での下げ幅の東京終値をつけたが、日銀追加利上げ予想を受けた主要通貨に対する円買いに対して英国景気懸念による英国ポンド売りも入っている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月19日の日本時間(JST)21時20分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の12時20分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 21:20の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 151.79 〜 151.80 | −0.31 (円高) |
ユーロ/円 | 158.27 〜 158.29 | −0.89 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0426 〜 1.0428 | −0.0037 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.99 〜 191.05 | −0.88 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.90 〜 167.96 | −0.79 (円高) |
豪ドル/円 | 96.35 〜 96.39 | −0.31 (円高) |
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