FXニュース:日経平均下落リスク回避
2025年2月25日
東西FXニュース – 2025年02月25日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米関税と対中半導体規制
- 米AI株下落もダウは反発
- 米主要株価決算報告警戒
- 米ダラス連銀製造景況減
- 日米10年債利回り低下
- 仏英訪米会談軍事費懸念
今日2025年2月25日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の150円30銭付近から、円の高値でドルの安値の149円19銭付近の値幅約1円11銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円28銭付近と、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円47〜48銭付近と比較すると約19銭の円高ドル安で、日本市場の祝日連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の150円55銭付近の前東京終値比では約1円27銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場は祝日連休で休場であったが、昨夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、前日には揃って大幅下落していた米国主要株価三指数の先物が一時反発を見せた時間などがあり、低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整が入ったことや、先週末のドイツ総選挙後に暫定の開票結果が市場予想通りとなり一時買われて上昇した欧州ユーロにも連立政権の不透明感や欧州景気懸念などから利益確定売りや持ち高調整でドルが買い戻されていた影響では、昨夜21時34分頃にドルは円相場で一時149円83銭付近に前東京終値比での下げ幅を縮小していた。
欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円77銭付近の始値で、この時間には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.457%付近に下げ幅を縮小しており、債券利回りの日米金利差トレードの円売りドル買いも入ったことでは、昨夜22時46分頃の対ドル円相場は一時149円88銭付近と、昨夜の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。
この原因は、ニュースでドナルド・トランプ米国大統領が、延期したカナダとメキシコからの輸入品に対する米国関税について、3月から予定通りに実施する考えを表明し、第二次ドナルド・トランプ米国政権の米国関税政策が米国のインフレ圧となり、米国連邦準備制度理事会(FRB / Federal Reserve Board)の米国金利据え置き予想が優勢で、米国追加利下げ予想が後退する米国政策金利先高観などが影響を及ぼしていた。
一方、米国ニューヨーク株式市場が始まると、第二次ドナルド・トランプ米国政権の米国関税ディール政策や対中半導体規制懸念では、前日にもAI (Artificial Intelligence) 関連株や世界的なハイテク企業が多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) の大幅下落に影響を与えたが、先日にドナルド・トランプ大統領は米国アップル (Apple Inc.) のティム・クック最高経営責任者(CEO / Chief Executive Officer)と会談し「彼は関税を払いたくないので、米国内に数千億ドルを投資する様だ」と話していたが、米国アップルはアイフォーン (iPhone) などを中国で製造しているため、第一次ドナルド・トランプ米国政権時代にも米国投資拡大により米国関税対象を回避した経緯があり、今回の対中米国追加関税もコスト増加が懸念されるため、「今後4年間で米国内に5000億ドル(約75兆円)以上を投資する」と発表したことでは、米国アップル株は一部の上昇銘柄となった。
しかし、今週28日には、先日の中国ディープシーク (DeepSeek) ショック後の影響が燻るAI半導体大手の米国エヌビディア (NVIDIA) の決算報告が予定されていることなどから、米国主要株価決算シーズンの市場では投資家や株主達の株価への警戒感が高まっており、値上がり後の長期保有ポジションの利益確定売りや持ち高調整などが入ったほか、米国マイクロソフト (MIcrosoft) が米国内の大規模データセンターのリースを解約したニュースでAIインフラ供給過剰の可能性が示唆されたことなどもあり、一時反発して始まった米国ナズダック総合株価指数が反落し、再び大幅安に向け始めたことでは、米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債が買われて米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと共に、低リスク通貨の円が買われて反発した。
また、この日の米国市場では特に重要度が高い最新米国経済指標の発表がなかったため、平常時であれば比較的注目度が低いとされている経済指標への反応があり、深夜24時30分頃に発表された最新米国経済指標の2月の米国ダラス連邦準備銀行制度 (Federal Reserve Bank of Dallas) 製造業景況指数が前回プラス圏の14.からマイナス圏の−8.3に大幅に低下したことから、前市場でも燻った米国景気警戒感が再燃した。
その影響から、米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産でもある米国債が買われて債券価格上昇時の利回り低下が続き、深夜24時50分頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.394%付近と一時4.4%台から4.3%台に低下し、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小による円買いドル売りが強まると、深夜24時55分頃に対ドル円相場は一時149円19銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、午前1時のロンドン・フィキシング (London Fixing) では世界的な流動性が高い主要取引通貨で基軸通貨でもあるドルの買い戻しが入り、また米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) は米国長期金利低下時の金利警戒感の緩和の影響などで反発上昇していたため、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整では、市場安値後のドルが買い戻されて円相場で底堅い値動きで反発を見せ始めて、午前4時33分頃には一時149円80銭付近と、149円台後半に買い戻され、今朝早朝のニューヨーク終値の頃には米国債券価格上昇後の米国債にも利益確定売りや持ち高調整が入り、今朝7時頃には一時4.410%付近と4.4%台の利回りに戻していた。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で小幅高の終値をつけ、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) は前営業日比で小幅安の終値であったが、先述の米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前営業日比で大幅安の終値をつけるなど強弱混合になって引けていたが、前市場では米国主要株価三指数が揃って大幅安であったことと比較すると、低リスク通貨の円の利益確定売りでドルの買い戻しが入りやすかった。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円88銭付近から、円の高値でドルの安値の149円19銭付近の値幅約69銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は149円72銭付近と、前営業日同時刻の149円27銭付近の前ニューヨーク終値比で約45銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のオセアニア市場時間には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の発表があったが、1月の日本企業向けサービス価格指数の前年同月比は前回2.9%が前回3.0%に上方修正されたものの、市場予想通りの3.1%であった。
日本市場の祝日連休明けとなった今朝9時頃の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時149円92銭付近で、今朝の日本市場の仲値決済では今日は25日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日」(ごとおび / ゴトーび) で月末も近いことなどから、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢となり、今朝10時22分頃に対ドル円相場は一時150円30銭付近と一時150円台をつけ、今日の日本市場における円の安値でドルの高値を記録した。
また、国内債券市場でも、先週に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ予想を受けた金利先高観などから利回りが上昇後の新発10年物日本国債利回りが指標となる国内長期金利が、債券価格低下に伴う利回り上昇後の買い戻しで上昇幅を縮小したことも、今朝早朝に米国長期金利が4.4%台に戻していた債券利回りの日米金利差でも円売りドル買いが入っていた。
しかし、今日の日経平均株価が市場予想通りの大幅なマイナス圏から始まった後にも、日通しでマイナス圏の推移を続けた日本株価下落時のリスク回避のリスクオフの影響では国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが入り、対ドルの円相場が反発上昇したほか、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が3万8237円79銭の終値をつけ、前営業日比539円15銭安大幅安で大引けすると低リスク通貨の円買いが強まり、ドル円は149円台前半に向けて円相場が上昇した。
夕方からの欧州市場参入では、企業の景況感悪化が警戒される中で、日経平均株価の大幅安の大引けに続き、この後の米国ダウ先物も反落を見せた時間があり、日米株価への警戒感が燻り、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産の米国債が買われた影響があり、米国長期金利が再び一時4.337%付近に向けて一時4.3%台に低下したため、債券利回りの金利差売買でも日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、午後16時52分頃に対ドル円相場は一時149円19銭付近と、今日の日本市場における円の高値でドルの安値を記録した。
欧州市場では、今日の午後16時に欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新重要経済指標の10〜12月第4四半期独国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値が発表され、前期比と前年同期比は共に前回と市場予想通りのマイナス成長の-0.2%で、季調前の前年同期比も前回と市場予想一致の-0.4%のマイナス成長のままであったことも、この時間の世界的な安全資産の米国債買いによる米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の低下に影響を与えていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円28銭付近で、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円47〜48銭付近と比べると約19銭の円高ドル安で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の150円55銭付近の前東京終値比では約1円27銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と米国債入札予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に10〜12月第4四半期米国住宅価格指数と12月米国住宅価格指数と12月米国S&Pケース・シラー住宅価格指数の同時発表があり、深夜24時には2月米国リッチモンド連銀製造業指数と2月米国消費者信頼感指数、25時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのマイケル・バー副議長の発言予定と、27時には米国5年債の入札なども控えている。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加え、世界情勢などの政治ニュースや要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は156円14〜16銭付近で、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円81〜82銭付近と比べると約67銭の円高ユーロ安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の157円95〜96銭付近の前東京終値比で約1円81銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフで、低リスク通貨の円が買われた一方で、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドが売られて下落した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円19〜25銭付近で、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の188円96銭〜189円2銭付近と比べると約77銭の円高ポンド安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の190円69〜75銭付近の前東京終値比では約2円50銭の大幅な円高ポンド安になった。
なお、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に続き、英国のキア・スターマー首相も今週に米国ワシントンを訪問し、米国のドナルド・トランプ大統領と会談する予定であるが、ドナルド・トランプ大統領はホワイトハウスでの仏米会談後に、ロシアによるウクライナ侵略の停戦後にフランスや英国などがウクライナに平和維持軍を駐留させる方針で一致したと発表しており、ウクライナ情勢を巡る欧州諸国などの北大西洋条約機構(NATO / North Atlantic Treaty Organization)加盟国の軍事費増額による財政懸念は、ウクライナ周辺と地理的に隣接する地域を持つ欧州ユーロだけでなく欧州と近い英国ポンドにも波及した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0459〜1.0461ドル付近で、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0490〜1.0492ドル付近の前東京終値比で約0.31セントのユーロ安ドル高で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0491〜1.0492ドル付近の前東京終値比では約0.32セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、ドイツの選挙後にも獲得議席数により今後の独連立政権への不透明感が残るほか、ウクライナ情勢を受けた欧州軍事費増額による財政圧迫懸念に加えて、今日の夕方に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツのGDPがマイナス成長に留まり、欧州景気懸念があったこともあり、株価リスク回避のリスクオフで買われやすい低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対してもリスク市場で売られやすい欧州ユーロが下げた東京終値となっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月25日の日本時間(JST)20時28分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時28分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:28の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.81 〜 149.83 | −0.74 (円高) |
ユーロ/円 | 156.97 〜 156.99 | −0.98 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0477 〜 1.0479 | −0.0014 (ドル高) |
英ポンド/円 | 189.23 〜 189.29 | −1.46 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.24 〜 167.30 | −0.37 (円高) |
豪ドル/円 | 94.89 〜 94.93 | −1.31 (円高) |
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