FXニュース:米対欧関税インフレ警戒
2025年2月27日
東西FXニュース – 2025年02月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米経済指標で景気懸念も
- G20三村淳財務官の発言
- 日経平均株価プラス圏に
- 米エヌビディア決算好調
今日2025年2月27日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の148円78銭付近から、円の安値でドルの高値の149円43銭付近の値幅約65銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円21銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円51銭付近の前東京終値比で約30銭の円高ドル安であった。
ただし、今夜20時台の欧州英国市場では、前日比で円安ドル高の市場反転も見せている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では欧州主要株式指数の独DAX (Deutscher Aktien-indeX) の大幅上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りにより、昨夜20時20分頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.322%付近に上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いがあったことでは、欧州英国市場の後半にあたる昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円62銭付近の始値と前東京終値よりもドルが円相場で上昇して始まったが、この時間には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.294%付近と、一時4.3%台から4.2%後半に戻していた。
しかし、米国のニュースでは、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、欧州連合(EU / European Union)からの輸入品に対する米国追加関税について、「まもなく発表する予定」と発言したことが市場で話題となり、欧州から輸入される自動車などに「25%の高関税を課す」と述べたため、米国関税政策による米国のインフレ圧に警戒感した米国政策金利の先高観も米国長期金利の再上昇に影響を与えたため、深夜24時15分頃に米国長期金利は一時4.313%付近と再び一時4.3%台に上昇し、深夜24時23分頃に対ドル円相場は一時149円89銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、米国市場では最新米国重要経済指標の発表があり、深夜24時の1月米国新築住宅販売件数は、年率換算件数の前回69.8万件が前回73.4万件に上方修正された一方で市場予想の68.0万件を下回る65.7万件に下振れしており、前月比も前回プラス圏だった3.6%は前回8.1%に上方修正されたものの市場予想の-2.6%を下回るマイナス圏の-10.5%と大幅な下振れを見せたことを受けては、米国インフレ警戒感に加えての米国景気減速懸念による安全資産の米国債の買い戻しも入り、一時4.3%台に上昇後の米国長期金利が反落後に一時4.2%台に向けて大幅な急落を見せたことでは、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと低リスク通貨の円買いも入り、対ドルの円相場が反発上昇を始めた。
また、月末が近いため、米国市場と同時進行していた世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場では、午前1時のロンドン・フィキシング (London Fixing) の主要取引通貨で世界的に流動性が高いドル需要の後の月末を控えた英国ポンドや外貨の買い戻しのドル売りフロー (Flow / 流れ)が観測されたことも外貨影響波及の円相場でのドル下落圧となった。
更に、米国ニューヨーク株式市場では、市場前半には米国主要株価三指数が揃ってプラス圏で推移していたものが、月末を控えた利益確定や持ち高調整などで市場後半に一時揃ってマイナス圏への反落を見せた時間があったことも、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による安全資産の米国債買いで米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、日米金利差縮小時の円買いドル売りと低リスク通貨の円買いも入り円相場が上昇した。
米国ニューヨーク債券市場では、午前5時台に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.2429%付近と、昨年2024年12月11日以来の今年最低の低利回りの更新に向けて急落しており、その直前の午前4時59分頃には債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと低リスク通貨の円買いの影響により、ドルは円相場で一時148円81銭付近と一時148円台の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で南アフリカのケープタウンを訪れていた日本政府の財務省の三村淳財務官の発言の影響もあり、記者団に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ観測報道を受けた円高ドル安傾向について、最近の日本の経済指標や日銀の今後の金融政策に関する発信と「基本的に齟齬はない」と話し、日本政府の同調により日銀が追加利上げをしやすい環境にあることへの観測報道の世界ニュースがあったことなども一時148円台の円高ドル安傾向の為替相場に影響を与えた。
とはいえ、米国主要企業の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、市場予想の影響などもあり安値からの株の買い戻しが入り、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) は前日比で大幅安の終値をつけたものの一時のより大幅な下げ幅を縮小したほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は一時のマイナス圏からプラス圏に反発上昇して前日比で小幅高の終値をつけたことでは、米国主要株価三指数中の二指数の反発上昇を受けた低リスク通貨の円の利益確定売りによるドルの買い戻しが入ったほか、米国市場でも月末が近いことから円の利益確定売りに加えての持ち高調整によるドルの買い戻しも入り、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の今朝6時21分頃にはドルは円相場で一時149円23銭付近と149円台に反発上昇していた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円89銭付近から、円の高値でドルの安値の148円81銭付近の値幅約1円8銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は149円10銭付近と、前営業日同時刻の149円3銭付近の前ニューヨーク終値比で約7銭の小幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米国対欧関税政策や最新米国重要経済指標低下の世界ニュースを受けた警戒感などによる低リスク通貨の円買いドル売りが先行し、今朝8時51分頃に対ドル円相場は一時148円74銭付近と、再び一時148円台になっていた影響では、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時148円88銭付近の始値となり、今朝9時27分頃に一時148円78銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝には米国主要企業で半導体大手の米国エヌビディア (NVIDIA) の決算報告があり、2024年1月~2025年1月期の売上高は前年同期比78%増の393億ドル(約5兆9千億円)で、純利益は80%増の220億9100万ドルと、いずれも市場予想以上に好調で、四半期としての過去最高記録を更新し、生成AI(Artificial intelligence / 人工知能)向け製品の需要が依然として高く成長が継続していた。今後の見通しも、2025年2~4月期の売上高見通しが430億ドル前後と市場予想以上となり、時間外のエヌビディ株価が一時急伸し、ジェンスン・フアン最高経営責任者 (CEO / Chief Executive Officer) は生成AI向けの次世代半導体チップのブラックウェル (Blackwell) について、昨年2024年11月以降に出荷した同半導体の売上高は110億ドルを計上し、「需要は驚異的だ。我々は大規模生産に成功した」と強調し、市場で警戒されていた中国ディープシーク (DeepSeek) ショックの影響の払拭に努め、低リスク通貨の円売りの一因となった。
今日の東京株式市場では、米国AI株の先行きへの警戒感の緩和などの影響があり、日経平均株価が反発上昇し、株価上昇時の国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りドル買いに影響を及ぼしてドルは円相場で149円台に反発し、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万8256円17銭の終値をつけて前日比113円80銭高で大引けすると、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りドル買いの影響が円相場で顕著になり、この午後15時30分頃に対ドル円相場は一時149円43銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、第二次ドナルド・トランプ米国政権による米国関税政策によるインフレ圧の警戒の一方で、米国景気減速懸念の影響があり、今日の日本市場の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が一時4.2%台の低利回りを見せており、今朝早朝の一時4.263%付近から一時4.285%付近に反発後に午後15時56分頃には一時4.271%付近に反落していたため、夕方16時頃から始まった欧州市場では米国の対欧州の高関税への警戒感もあり低リスク通貨の円買いドル売りが先行したことでは、ドルは円相場で一時反落した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円51銭付近の前東京終値比では約30銭の円高ドル安になっていた。
しかし、今夜17時の東京終値の頃から始まった英国ロンドン外国為替市場では、月末を控えた米国債券価格上昇後の米国債の利益確定売りや持ち高調整が入り、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が再び一時4.3%台に向けた再上昇を始めた影響では、今夜18時55分と19時19〜20分頃にドルは円相場で一時149円97銭付近に買われて上昇し、前東京終値比の円安ドル高にも転じており、米国長期金利は今夜19時49分頃には一時4.316%付近への再上昇も見せている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に2024年10〜12月第4四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値と同四半期の米国GDP個人消費の改定値と同四半期米国コアPCE (Personal consumption expenditures / 個人消費支出)と、前週分の米国新規失業保険申請件数と前週分の米国失業保険継続受給者数と1月米国耐久財受注が同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜23時15分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBの米国カンザスシティ連邦準備銀行 (連銀) のジェフリー・シュミッド総裁の発言予定と、深夜24時に1月の米国住宅販売保留指数と米国中古住宅販売保留、深夜24時頃からFRBのマイケル・バーバー副議長の発言予定と、25時45分頃から次回のFOMC投票権を持つメンバーの中でもタカ派で有名なFRBのミシェル・ボウマン理事の発言予定などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加えて、世界情勢などの政治ニュースや要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は156円33〜35銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円89銭付近の前東京終値比で約56銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、米国の対欧州関税への警戒感が高まる中、日本政府高官の発言を受けた日銀追加利上げ観測報道の影響もあり、低リスク通貨の円が欧州ユーロに対して反発した。
そのため、欧州と経済圏が近い英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円98銭〜189円4銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の189円12銭付近の前東京終値比で約14銭の円高ポンド安であった。
ただし、その後の今夜20時台の欧州英国市場では、月末を控えた円の利益確定売りや持ち高調整で欧英通貨の買い戻しも入り、前東京終値比の円安ユーロ高と円安ポンド高への市場反転も見せている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0474〜1.0476ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0493ドル付近の前東京終値比では約0.19セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏への米国追加関税の警戒感による欧州ユーロ売りの影響や、今日の東京終値の頃には米国長期金利が反発上昇を始めていたことでもドル買いが入った。
なお、今夜この後の欧州市場では今夜21時30分に1月30日開催分の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会議事要旨の公表予定も控えている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月27日の日本時間(JST)20時20分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時20分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:20の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.83 〜 149.84 | +0.32 (円安) |
ユーロ/円 | 157.03 〜 157.04 | +0.14 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0478 〜 1.0482 | −0.0015 (ドル高) |
英ポンド/円 | 189.94 〜 190.00 | +0.82 (円安) |
スイスフラン/円 | 166.84 〜 166.90 | −0.35 (円高) |
豪ドル/円 | 94.40 〜 94.44 | −0.21 (円高) |
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